N-BOX対スペーシア徹底比較!人気の軽スーパーハイトワゴン

N-BOX対スペーシア徹底比較!人気の軽スーパーハイトワゴン

2024年5月の新車販売ランキングでは、上位を軽スーパーハイトワゴンが占めている。ただ、23カ月ナンバー1に輝いたN-BOXが約600台差で2位となり、代わってスペーシアがトップとなり話題となった。

スペーシアは、圧倒的な販売台数を誇っていたN-BOXの牙城を崩すことができるのか? 今後のスペーシアの動向に注目が集まる。

そこで、今回は軽スーパーハイトワゴンのトップセラーモデルであるホンダ N-BOXとスズキ スペーシアを徹底比較した。

3代目N-BOXの特徴

3代目N-BOXの全景画像

※上図:3代目N-BOXの全景

2023年10月に登場したホンダ 3代目N-BOXの開発コンセプトは「HAPPY Rhythm BOX わたしも家族も、日本も、ハッピーになれる“幸せな生活リズム”をつくる。」だ。女性や家族に留まらず、親しい友人や地域の仲間まで、ユーザーが大切に思う“みんな”のしあわせを後押ししたいと思いが込められている。

 

モデル体系は標準車のN-BOXと、圧倒的な存在感を演出するN-BOXカスタムの2種類。3代目N-BOXも大きく外観デザインは変わらず、初代からのキープコンセプトを継続。しかし2代目モデルで設定されていた標準車のターボモデルや、助手席ロングスライドシート仕様は廃止されている。

 

3代目N-BOXのボディの骨格は、2代目モデルで採用した軽量・高剛性プラットフォームをブラッシュアップした。ルーフライニングを厚くしたり、フロアカーペットに遮音フィルムを追加したりして、ロードノイズの低減に成功している。さらにN-BOXカスタムではルーフライニングに吸音シートを採用することで、更なる静粛性を得た。

他にもフロントサスペンションアライメントの適正化、フロント&リアサスペンションの結合適正化を実施。さらにターボ車ではフロント&リアバンパーの減衰力を変更し、乗り心地や操縦安定性、ステアリングフィールを向上させた。

 

3代目N-BOXに搭載されているエンジンは2種類ある。

  • 自然吸気エンジン:ホンダ独自の技術であるVTECを採用
  • ターボエンジン:電動ウェストゲートを搭載

いずれも先代からの流用だが、細部の制御を見直すことで扱いやすさを向上させているのが特徴だ。トランスミッションのCVTは、変速制御を細部まで見直した。ドライバーの意図しないG(加速度)の変化まで抑制し、これまで以上に無駄な動きをしない上質な走りを実現している。

安全装備では、先進の安全運転システム「ホンダセンシング」を全グレードに標準装備。近距離衝突軽減ブレーキと急アクセル抑制機能を加えた全13の機能でドライバーの運転をサポートする。また、新世代コネクテッド技術を採用した車載通信モジュール「ホンダコネク」をホンダの軽自動車として初採用。より安心・快適なカーライフが楽しめるコネクテッドサービス「ホンダトータルケアプレミアム」を利用可能だ。

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3代目スペーシアの特徴

3代目スペーシアの全景画像

※上図:3代目スペーシアの全景

2023年11月にスズキ スペーシアはフルモデルチェンジを行い、3代目となる現行モデルが登場した。軽自動車のベストセラーモデル、N-BOXのフルモデルチェンジから1カ月後のことだ。

2代目の「わくわく満載!!自由に使える安心・快適スペーシア」というコンセプトをキープしつつ、進化している。内外装のデザインモチーフには、頑丈で大容量のコンテナを採用した。モデル体系は標準車とカスタムの2種類に加え、スマッシュヒットしたSUVテイストのスペーシアギアが2024年秋頃に発表予定だ。

 

3代目スペーシアのポイントはインテリアにある。リアシートにマルチユースフラップをスズキで初めて採用した。内蔵されたフラップの位置や角度を調整することにより、3つのモードを選べ、使い方に合わせて多彩なアレンジが可能となっているのが特徴だ。

 

3代目スペーシアに搭載されているエンジンは自然吸気(NA)とターボの2種類。ターボはカスタムのみ選べる。ターボエンジンは2代目からのキャリーオーバーだが、自然吸気エンジンは新型のR06D型に変更された。このエンジンは高い熱効率が特徴で、WLTCモード25.1km/L(ハイブリッドG 2WD車)という軽スーパーハイトワゴンでトップレベルの低燃費性能を実現している。軽量で高効率な新CVTと、マイルドハイブリッドの組み合わせによる恩恵だ。

 

安全装備では、運転支援システムを支えるデバイスを変更した。2代目モデルでは、単眼カメラ+レーザーレーダーを搭載していたが、3代目スペーシアでは単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせたデバイスになった。これにより全車に標準装備されている衝突被害軽減ブレーキの「デュアルセンサーブレーキサポートII」の検知対象は、車両や歩行者、自転車、オートバイまでとなり、交差点での検知にも対応可能になった。

また3代目スペーシアには、コネクテッドサービスのスズキコネクトを搭載している。これはスズキ緊急通報やスズキトラブルサポートをはじめとした各種アプリサービスに加え、スズキコネクト加入者があらかじめ登録した家族などと機能をシェアできる。

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燃費はマイルドハイブリッドを採用した3代目スペーシアの圧勝

燃費比較

3代目N-BOXの評価は4.0

3代目スペーシアの評価は5.0

 

3代目ホンダN-BOXと、スズキ3代目スペーシアの燃費は以下の通りだ(WLTCモード以下同)。

 

2WD

4WD

3代目N-BOX

20.3~21.6km/L

18.4~19.4km/L

3代目スペーシア

21.9~25.1km/L

19.8~22.4km/L

燃費性能は3代目スペーシアが圧倒している。その理由は3代目スペーシアの全グレードに、12VのISG(モーター機能付発電機)+リチウムイオン電池を組み合わせたマイルドハイブリッドシステムを採用しているから。以下のモーター機能付発電機によってエンジンをアシストしている。

  • 自然吸気エンジン…最高出力6ps、最大トルク40Nm
  • ターボエンジン…最高出力1ps、最大トルク50Nm

エンジンの弱点である発進時の加速や追い越し時の加速のシーンでは、モーターがエンジンをアシストし、エンジンの負荷を低減。また、ブレーキ時に発生したエネルギーを回収し、バッテリーに溜め、必要な時に使うので燃料使用量を抑えることができる。

 

また、車両重量は3代目N-BOXが、910~1,030kg。対して3代目スペーシアは850~960kgと軽いことも燃費性能に影響を与えていると言える。これは、スズキの優れた軽量化技術によるものだ。軽自動車はエンジンの排気量が660cc以下という制限があるので、ボディサイズの大きく車両重量の重い軽スーパーハイトワゴンでは燃費性能が悪くなりがちだ。

価格を抑えて、加速&燃費性能をともに向上させるスズキのマイルドハイブリッドは非常に効果的なアイテムと言える。事実、軽自動車の燃費性能上位はマイルドハイブリッドを搭載したスズキ車が占めている。

価格はインテリア快適装備が充実した3代目スペーシアに得感あり

価格比較

3代目N-BOXの評価は4.0

3代目スペーシアの評価は4.5

 

3代目N-BOX と3代目スペーシアの最上級グレードの価格は下記の通り。

  • N-BOXカスタムターボ コーディネートスタイル4WD…236万2800円
  • スペーシアカスタム ハイブリッドXSターボ4WD…219万3400円

3代目N-BOX最上級グレードであるカスタムターボ コーディネートスタイル4WD と3代目スペーシアの最上級グレード、スペーシアカスタム ハイブリッドXSターボ4WD  との価格差は約16万9400円。3代目N-BOXの方が高額となっている。3代目スペーシアのボディカラーを2トーンにすると、6万5000円高くなり、その差は10万円となる。この価格差がどうして生じるのか、装備面をチェックする。

 

3代目N-BOX カスタムターボ コーディネートスタイル4WD 、3代目スペーシアカスタム ハイブリッドXSターボ4WDともにパワフルなターボエンジンを搭載し、駆動方式は4WDと同じだ。また装着しているタイヤサイズは、両車ともに165/55R15と同じである。

 

運転支援機能は、3代目N-BOX がホンダセンシング、3代目スペーシアがデュアルセンサーブレーキサポートIIを核とした先進の運転支援システムを標準装備と五角だ。ただし機能を見ると、3代目スペーシアは以下を有している。

【デュアルセンサーブレーキサポートII(衝突被害軽減ブレーキ)】

  • 右左折時の交差点衝突回避支援
  • 交差点内の出会頭の衝突回避支援

【アダプティブクルーズコントロール(高速道路などで追従走行が可能)】

  • カーブ速度抑制機能(カーブを認識し、手前で減速)
  • 車線変更時の補助機能

また、一部グレードには運転席前方のダッシュボード上に車速、シフト位置や警告などの情報をカラーで表示するヘッドアップディスプレイも装備している。一方、コネクテッドサービスは、3代目N-BOX、3代目スペーシアともにオプション設定となっており互角だ。

 

快適装備では、3代目N-BOX 、3代目スペーシアともに最上級グレードのシート表皮は、合成皮革のシートを採用。そして3代目スペーシアにはマルチユースフラップを採用し、快適性を向上させている。

純正ナビゲーションの画面サイズは9インチで、スピーカー数は6個と互角だ。ただし3代目スペーシアには、車内の空気を循環させるスリムサーキュレーターを採用し、前後シートの温度差を抑えてくれる。

また3代目N-BOX、スペーシアともにフロントシートにヒーター機能を標準装備。さらに3代目スペーシアにはステアリングヒーター機能も標準装備になっており、ホスピタリティの高さを感じる。

 

3代目N-BOXカスタムターボ コーディネートスタイル4WD に標準装備で3代目スペーシアカスタム ハイブリッドXSターボ4WDに装着されていない主な装備は以下の通り。

  • チップアップ&ダイブダウン機構付スライドリアシート

 

3代目スペーシアカスタム ハイブリッドXSターボ4WDに標準装備で3代目N-BOXカスタムターボ コーディネートスタイル4WDに装着されていない主な装備は以下の通り。

  • マルチユースフラップ
  • スリムサーキュレーター
  • ステアリングヒーター
  • ヘッドアップディスプレイ

3代目N-BOXと3代目スペーシアの最上級グレードの価格を比較すると、約10万円N-BOXのほうが高くなっている。しかし、装備の充実度を考えると3代目スペーシアのほうがバリュー感は高い。

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納期は短くなっているが、スペーシアの値引きは厳しくてN-BOXの方が期待大

購入時の値引き術

3代目N-BOXの評価は4.0

3代目スペーシアの評価は3.5

 

新車を購入する際に気になることの一つが、納期だろう。3代目N-BOXは約1カ月。一方3代目スペーシアは2~4カ月と納期遅延は解消している。

3代目N-BOX の値引き交渉はやや厳しめの中、値引きの目標額は5万~約20万円といったところだ。クルマ本体からの値引きは相当渋いので、オプション装備や下取り価格を上げてもらうようにしたい。

 

3代目スペーシアは、N-BOXよりも厳しいようで、値引きの目標額は5万~10万円といったところだ。こちらもオプション装備や下取り価格を上げてもらうといいだろう。

また、商談する際には、必ず競合させたい。例えば、N-BOXが本命で商談する場合は、先にスペーシアの見積もりを取り商談するとよい。営業マンに本命はスペーシアと思わせることで、値引きしやすい環境となる。スペーシアが本命の場合、この逆の手順で商談したい。両車は互いにかなりライバル視しているので、競合させるのは大幅値引きを引き出すための重要な手法だ。

大幅にデザインを変更したスペーシアカスタムがヒット

デザイン比較

3代目N-BOXの評価は3.5

3代目スペーシアの評価は4.0

ひと目でN-BOXとわかるデザインを3世代続けて継承

3代目N-BOXの全景画像

※上図:3代目N-BOXの全景

開発コンセプトは「HAPPY Rhythm BOX わたしも家族も、日本も、ハッピーになれる"幸せな生活リズム"をつくる」という3代目N-BOX。外観デザインでは、"ひと目でN-BOXとわかる堂々とした四角いフォルム"と"シンプルに高品位に進化したフロントフェイス"がポイントだ。

3代目N-BOXのフロントフェイス画像

※上図:3代目N-BOXのフロントフェイス

"ひと目でN-BOXとわかる堂々とした四角いフォルム"では、3代目N-BOXの安定感のある四角いフォルムを基本に、タイヤを車体の四隅に配置することで生まれる良好なスタンス。そして高いベルトラインによる安心感が特徴である。さらに、ドアパネルを先代モデル以上にシンプルな面で構成することで、ボディ全体の塊感を強調している。

N-BOXのリヤエンド画像

※上図:3代目N-BOXのリヤエンド

塊感を大切にしながら、サイドのキャラクターラインをリアタイヤ前でキックアップすることで、ルーフピラーやルーフとの連続感を創出し、広さや安心感を高めている。また、前後フェンダーを滑らかに隆起させると同時に、バンパーコーナーにボリュームを持たせることで安定感を演出している。

N-BOXカスタムの全景画像

※上図:N-BOXカスタムの全景

N-BOXカスタムは、光沢のある黒いパネルに6角形の吸気口を配置し、立体感のある緻密なデザインを採用することで、格調高い印象を強めている。ヘッドライトには、反射板や遮光板を用いずにレンズの作用のみで集光・遮光を行うダイレクトプロジェクト式フルLEDヘッドライトをホンダ車として初めて採用した。

N-BOXカスタムのリヤエンド画像

※上図:N-BOXカスタムのリヤエンド

さらに、左右のポジションランプと中央のアクセサリーランプをつなげ、全幅いっぱいに光る横一文字ライトを採用。装飾に頼らずに車幅の広さや存在感を強調している。

スペーシア標準車はキープコンセプトだがカスタムは大きくデザインを変更

3代目スペーシアの全景画像

※上図:3代目スペーシアの全景

3代目スペーシアは、デザインモチーフを2代目のスーツケースから3代目では頑丈なコンテナに変更した。ボディサイドには頑丈なコンテナのプレス面を連想させるようなビード形状や工業製品に用いられる角を面取りしたような造形を取り入れている。

3代目スペーシアのフロントフェイス画像

※上図:3代目スペーシアのフロントフェイス

また、先代ではブラックアウトされていたDピラーをボディ同色とすることで、ボディの大きさとコンテナのような丈夫さを表現した。

3代目スペーシアのリヤエンド画像

※上図:3代目スペーシアのリヤエンド

標準車のスペーシアは、親しみやすく優しい表情を演出するLEDヘッドランプを採用している。このLEDヘッドランプは誰にでも好かれる優しい印象を目指して大型リフレクタータイプを採用するなどキープコンセプトとなっている。

スペーシアカスタムの全景画像

※上図:スペーシアカスタムの全景

対して、2代目モデルからデザインが大きく変更されたスペーシアカスタムは、フロントグリルに2本の水平に走る太いバーを採用した。薄型のブラックアウトしたLEDヘッドランプを採用することにより、ワイド感を強調しつつ大型メッキ加飾によりカスタムらしい上質感と存在感を表現している。

スペーシアカスタムのリヤエンド画像

※上図:スペーシアカスタムのリヤエンド

また、フロントのヘッドライトはブラックアウトしているが、リアのコンビネーションランプはクリスタル感のあるパーツを採用し、スタイリッシュに仕上げている。

両車ともリアシートの使い勝手にオリジナリティを主張

室内空間と使い勝手

3代目N-BOXの評価は4.5

3代目スペーシアの評価は4.5

 

ホンダ3代目N-BOXとスズキ3代目スペーシアのボディサイズ、ホイールベース、荷室容量は以下のとおり。

 

全長×全幅×全高

ホイールベース

ホンダ3代目N-BOX

3,395mm×1,475mm×1,790mm(4WD車:1,815mm)

2,520mm

スズキ3代目スペーシア

3,395mm×1,475mm×1,785mm

2,460mm

3代目N-BOXの運転席画像

※上図:3代目N-BOXの運転席

3代目N-BOXの後席画像

※上図:3代目N-BOXの後席

3代目N-BOXと3代目スペーシアは、同じ軽スーパーハイトワゴンでありながら、いくつかの特徴的な違いがある。全長と全幅は両車同じだが、全高は3代目スペーシアのほうが低い。2WD車で5mm、4WD車では30mm低くなっている。それにもかかわらず、全高の高い3代目N-BOXがフラットな乗り心地を実現しているのは注目に値する。

3代目スペーシアの運転席画像

※上図:3代目スペーシアの運転席

3代目スペーシアの後席画像

※上図:3代目スペーシアの後席

室内の広さに大きく影響するホイールベースは、3代目N-BOXが2,520mmで、3代目スペーシアの2,460mmより60mm長い。このロングホイールベースにより、3代目N-BOXはタイヤを四隅に配置することで、広い室内空間と優れた走行安定性を両立している。

 

ラゲッジスペースについて、両車とも5:5分割のリアシートにリクライニングとスライド機構を装備している。背もたれを倒すと、フラットな床面の広い空間が確保できる。

3代目N-BOXの荷室画像

※上図:3代目N-BOXの荷室

両車とも限られた空間を最大限に活用しているが、それぞれに特徴がある。3代目N-BOXはセンタータンクレイアウトを採用し、チップアップ&ダイブダウン機構付リアシートを実現している。座面を畳むことで背の高い荷物も積載可能だ。

3代目スペーシアの荷室画像

※上図:3代目スペーシアの荷室

一方、3代目スペーシアはリアシートに内蔵したマルチユースステップにより、オットマンモード、レッグサポートモード、荷物ストッパーモードなど、多様な使い方に対応している。

 

結論として、両車とも優れた室内空間と使い勝手を提供しているが、ユーザーの具体的なニーズに合わせて選択することが重要だ。

N-BOX、ホンダセンシングの全機能が標準装備。高機能な自動ブレーキをもつスペーシア

安全装備&運転支援機能

3代目N-BOXの評価は4.5

3代目スペーシアの評価は4.5

3代目N-BOXのインパネデザイン画像

※上図:3代目N-BOXのインパネデザイン

3代目N-BOXとスペーシアは、2023年に登場したばかりの新しいモデルだ。両車とも、運転支援機能を含めた予防安全装備が軽自動車の中でトップレベルの充実度を誇る。

3代目N-BOXのメーター画像

※上図:3代目N-BOXのメーター

3代目N-BOXの安全装備の特徴は以下の通りだ。

  • ホンダセンシングを全グレードに標準装備
  • 13の機能を搭載(衝突軽減ブレーキ、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)、新機能の近距離衝突軽減ブレーキなど)
  • マルチビューカメラを設定(見通しの悪い交差点への進入時、狭い道でのすれ違い時、後退駐車時のサポートに役立つ装備)

※上図:3代目スペーシアのインパネデザイン

3代目スペーシアの安全装備は次の特徴を持つ。

  • 単眼カメラとミリ波レーダーを新デバイスに更新
  • 11の機能を搭載(右左折時の交差点衝突回避支援も可能な衝突被害軽減ブレーキデュアルサポートIIなど)
  • アダプティブクルーズコントロールの性能を向上(カーブ速度抑制機能や車線変更時補助機能などを追加)

3代目スペーシアのメーター画像

※上図:3代目スペーシアのメーター

ただし、アダプティブクルーズコントロールの標準装備には差がある。3代目N-BOXは全グレードに標準装備だが、3代目スペーシアは一部グレードのみの標準装備となっている。

N-BOXの上質な乗り味にスペーシアが追いついた

走行性能の比較

3代目N-BOXの評価は4.5

3代目スペーシアの評価は4.5

 

ホンダ3代目N-BOXのエンジンの最高出力、最大トルク、車両重量は以下のとおり。

 

最高出力

最大トルク

車両重量

自然吸気エンジン

58ps

65Nm

910~1,030kg

ターボエンジン

64ps

104Nm

940~1,000kg

 

スズキ3代目スペーシアのエンジンの最高出力、最大トルク、車両重量は以下のとおり。

 

最高出力

最大トルク

車両重量

自然吸気エンジン

49ps

58Nm

880~960kg

ターボエンジン

64ps

98Nm

910~960kg

軽スーパーワゴンの中でトップレベルの質感の高い走りは健在のN-BOX

3代目N-BOXのエンジンルーム画像

※上図:3代目N-BOXのエンジンルーム

ターボエンジンを搭載した3代目N-BOXカスタムの乗り味は、軽自動車の域を超えている。発進時の加速や高速道路での追い越し加速が非常にスムーズだ。CVTにはタイムラグがなく、アクセルペダルを踏むと即座に加速する。これによりストレスなく走行できるのが魅力となっている。

乗り心地の良さは、2代目モデルから更に向上した。3代目N-BOXカスタムでは以下の改良が施されている。

  • フロント&リアサスペンション結合部の最適化
  • 前後のダンパー減衰力の変更

 

これらの改良により、次の効果が得られた。

  • カーブでのクルマの傾きを抑制
  • ブレーキ時のダイブ現象(車体前部が沈み込む動き)を軽減

ドライバーには気持ち良さを、そのほかの乗員には安心感を提供している。3代目N-BOXカスタムは、軽スーパーハイトワゴンの中でもワンランク上の乗り心地を実現していると言える。

ボディ剛性の向上とマイルドハイブリッドで質感が向上したスペーシア

3代目スペーシアのエンジンルーム画像

※上図:3代目スペーシアのエンジンルーム

3代目スペーシアカスタムの乗り味は、以下の特徴を持つ。

  • ハーテクトという軽量・高剛性のプラットフォームを採用
  • 環状骨格構造と減衰接着材の使用により、走行時の無駄な揺れを抑制
  • マイルドハイブリッド搭載のパワフルなターボエンジンにより、車内の静粛性が向上

3代目スペーシアは、走行安定性や静粛性の面でN-BOXとの差を大幅に縮めた。

パワフルなターボエンジンでの差は小さかったが、最高出力の低い自然吸気エンジンでの静粛性や加速性能は、マイルドハイブリッドシステムを搭載した3代目スペーシアが有利だ。新車販売が好調なのは、こうした3代目スペーシアの進化した点がユーザーに支持されてのことだろう。

 

乗り心地はそれぞれ以下の特徴がある。

【N-BOX】

  • しっとりとした乗り心地重視
  • 街中での走行では快適さが際立つ
  • 高速道路では少し物足りなさを感じる
  • カーブでの車体の傾きがやや気になる

【スペーシア】

  • やや硬めのしっかりとした乗り心地
  • 街中ではややゴツゴツ感がある
  • 高速道路など速度が上がると乗り心地が向上
  • カーブでの車体の傾きを適度に抑え、安心感がある

乗り心地の好みは個人差があり、どちらが優れているかは一概に言えない。

旧世代のターボモデルはスペーシアのほうが高リセールバリュー

リセールバリュー

3代目N-BOXの評価は3.5

3代目スペーシアの評価は4.5

*中古車価格などは、2024年7月調べ

 

3代目N-BOX、3代目スペーシアともに2023年登場という新しいモデル。そのため今後、大きな変動があるかもしれないので、参考程度としたほうがよいだろう。

  • 3代目N-BOX中古車価格(2024年式):約140~210万円
  • 3代目N-BOX新車価格帯:約165~236万円
  • 新車価格比:約85~89%

 

  • 3代目スペーシア中古車価格(2024年式):約140~230万円
  • 3代目スペーシア新車価格帯:約153~219万円
  • 新車価格比:約92~105%

N-BOXの中古車価格は、新車価格と比較して標準的な水準にある。一方、スペーシアの中古車価格は新車価格を上回っており、異例の状況だ。

 

スペーシアは流通量の多い車種であるため、今後徐々にN-BOXと同程度の価格帯に落ち着くと予想される。現在のスペーシアの中古車価格では、新車を購入するメリットの方が大きいため、価格が下がるのを待つことが賢明だ。

 

これに対し、N-BOXの中古車は適正な価格帯にあるといえる。そのため、N-BOXの中古車を検討している方にとっては、現在が購入の好機だ。

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高い基本性能の3代目N-BOX。充実した快適装備の3代目スペーシア。

まとめ・総合評価

ホンダ3代目N-BOXがお勧めとなる人の重視ポイント

  • 小型車に負けない高い質感のインテリア
  • フラット感の高い乗り心地
  • ミニバン並の多彩なシートアレンジ

 

スズキ3代目スペーシアがお勧めとなる人の重視ポイント

  • 快適性の高いリアシート
  • 充実した運転支援システム
  • サーキュレーターなど充実した快適装備

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  N-BOX スペーシア
総合得点(40点満点) 32.5 35.0
1.燃費 4.0 5.0
2.価格 4.0 4.5
3.購入時の値引きしやすさ 4.0 3.5
4.デザイン 3.5 4.0
5.室内空間と使い勝手 4.5 4.5
6.安全装備 4.5 4.5
7.走行性能 4.5 4.5
8.リセールバリュー 3.5 4.5

ホンダ3代目N-BOXの価格・スペック

3代目N-BOXの価格

【N-BOX】

 

2WD

4WD

N-BOX

1,648,900円

1,782,000円

ファッションスタイル

1,747,900円

1,881,000円

スロープ

1,844,000円

1,965,000円

     

【N-BOX カスタム】

 

2WD

4WD

N-BOX カスタム

1,849,100円

1,982,200円

コーディネートスタイル(モノトーン)

2,059,200円

2,192,300円

コーディネートスタイル(2トーン)

2,119,700円

2,252,800円

スロープ

2,067,000円

2,188,800円

 

【N-BOX カスタムターボ】

 

2WD

4WD

N-BOX カスタムターボ

2,049,300円

2,182,400円

コーディネートスタイル(モノトーン)

2,169,200円

2,302,300円

コーディネートスタイル(2トーン)

2,229,700円

2,362,800円

3代目N-BOXのスペック

代表グレード

N-BOXカスタム2WD

ボディサイズ

3,395mm×1,475mm×1,790mm

ホイールべース

2,520mm

最低地上高

145mm

最小回転半径

4.5m

車両重量

920kg

エンジン型式

S07B型

エンジンタイプ

直列3気筒DOHC

総排気量

658cc

最高出力

58ps(43kW)/7,300rpm

最大トルク

65N・m(6.6kgm)/4,800rpm

燃費(WLTCモード)

21.5km/L

駆動方式

前輪駆動(2WD)

サスペンション

前:マクファーソン式、後:車軸式

タイヤサイズ

155/65R14

スズキ3代目スペーシア価格・スペック

3代目スペーシアの価格

【スペーシアハイブリッド】

 

2WD

4WD

G

1,530,100円

1,656,600円

X

1,705,000円

1,824,900円

 

【スペーシアカスタムハイブリッド】

 

2WD

4WD

GS

1,801,800円

1,925,000円

XS

1,995,400円

2,115,300円

XS ターボ

2,073,500円

2,193,400円

3代目スペーシアのスペック

代表グレード

ハイブリッドXS 2WD

ボディサイズ

3,395mm×1,475mm×1,785mm

ホイールべース

2,460mm

最低地上高

150mm

最小回転半径

4.6m

車両重量

910kg

エンジン型式

R06D

エンジンタイプ

直列3気筒DOHC

総排気量

657cc

最高出力

49ps(36kW)/6,500rpm

最大トルク

58N・m(5.9kgm)/5,000rpm

モーター最高出力

1.9kW(2.6ps)/1,500rpm

モーター最大トルク

40N・m(4.1kgm)/100rpm

燃費(WLTCモード)

23.9km/L

電力用主電池

リチウムイオン電池

駆動方式

前輪駆動(2WD)

サスペンション

前:マクファーソンストラット式、後:トーションビーム式

タイヤサイズ

165/55R15

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員