ブレーキランプがつきっぱなしはNG!原因と対処法を整備士が解説

ブレーキランプがつきっぱなしはNG!原因と対処法を整備士が解説

ブレーキを踏んでいないのにブレーキランプがつきっぱなしになるのは、車に何らかの不具合が発生している状態です。
そのまま走り続けることは他のトラブルにもつながり、法令違反にもなるので早急な対処が必要です。
なぜ、ブレーキランプがつきっぱなしになるのか?そのままだとどのような問題があるのか、対処法や修理費用について現役整備士が分かりやすく解説します。

ブレーキランプがつきっぱなしになる原因

ブレーキランプがつきっぱなしになる原因はいくつかあります。

  • ブレーキスイッチのストッパーの劣化、損傷、脱落
  • ブレーキスイッチの不具合
  • コンピューター(コントロールユニット)の不具合
  • ブレーキランプに関わる配線の短絡

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ブレーキスイッチはブレーキを踏んでいない状態のとき、スイッチがストッパーに当たって押されています。(縮んでいる)
逆にブレーキを踏むとスイッチが伸びます。
ブレーキスイッチが伸び縮みすることで、内部の接点がON/OFFします。
このときの電気の流れをコンピューターが検知し、ブレーキペダルを踏む/踏まないに連動してブレーキランプをつけたり消したりします。
ストッパーが劣化して割れたり脱落すると、ブレーキを踏んでいないときに本来縮む方向に押されていなければいけないスイッチが、伸びきったままの状態となります。
すると、コンピューターがブレーキを踏んでいると誤判断してしまい、ブレーキランプを点灯させ続けてしまいます。
ストッパーは樹脂やプラスチックでできており、新車から年数が経過し経年劣化によって割れたりすることが多いです。
また、ブレーキスイッチ内部の故障やコンピューター内部の不具合、配線の不良が原因で同じくブレーキランプがつきっぱなしになることがあります。

ブレーキランプが消えないままだとどうなる?

ブレーキランプが消えないままだと、法令違反ならびに車検不合格のほか、バッテリーが上がるといった様々なトラブルの原因になります。

バッテリーが上がる

ほとんどの車で、ブレーキランプには常時電源が使用されています。
エンジンを切った状態(POWER OFFやIG OFF)でもブレーキランプは点灯します。
エンジンが掛かっていない(HV車やEV車だとシステム起動していない)状態だと、バッテリーへの充電が行われません。
そのため、ブレーキランプがつきっぱなしだと常にバッテリーの電力を消耗し続けることになります。
その結果、バッテリー上がりのトラブルに繋がるおそれがあります。

事故を誘発する恐れがある

故障してブレーキランプがつきっぱなしだと、減速しているのか加速しているのか、後続車が判別することは困難です。
車の状況を正しく周囲に伝えられないことで、思わぬ事故を誘発する恐れがあります。
自分が走る分にはなんの支障もないという自分勝手な考えは御法度です。
ブレーキランプつきっぱなしでの走行は、非常に危険であることの自覚を持ってください。

法令違反になる

解説したように、そもそも自車の状況を周囲に正しく伝えることができない、ブレーキランプのつきっぱなしは非常に危険です。
そのため、ブレーキランプのつきっぱなしは保安基準不適合かつ整備不良に該当します。
保安基準不適合だと車検に合格できる状態ではありません。
また、整備不良として道路交通法の定めにより以下の罰則が科せられます。

  • 違反点数…1点
  • 罰金…7,000円(普通車の場合)

【補足】ハイマウント常時点灯は法令違反

近年、LEDの普及に伴って灯火装置関連のアフターパーツが多く販売されています。
その中には、装着により法令違反となるものも多いです。
今回の記事に関連したところだと、ハイマウントブレーキランプを走行時に常時点灯させるアフターパーツの装着、または加工をしている車を見かけることがありますが、これも法令違反になるので注意しましょう。

ブレーキランプが消えないときの対処法

ブレーキランプが消えないとき、その原因が「ブレーキスイッチのストッパー」の劣化や脱落によるものであれば応急処置で修理までの間に対処することができます。

ブレーキペダルの根元を覗いて状態の確認

ブレーキスイッチのストッパーは、ブレーキペダルの根元部分についている、ブレーキスイッチのプッシュロッド先端の対面に位置するところについています。
劣化して損傷したストッパーの痕が残っていたり、フロアの上に残骸が落ちていたりしないか確認します。

ストッパーの代わりになるものを固定する

ストッパーが原因だと確認できたら、応急処置にうつります。
元々、ストッパーの付いているところに、プッシュロッドを押すことができるある程度の硬さがあるものを挟んで固定できれば、一時的に対処することができます。
例えば、椅子の足裏に貼る傷つき防止のゴムなどが、貼り付け面が両面テープにもなっているのでちょうど良いかもしれません。(適切な大きさに切ってください)
ストッパーのついている箇所付近は、ペダルのリンク部付近でグリスなどが付着している可能性があります。
可能であればパーツクリーナーやシリコンオフで脱脂、手元にそれらがなければ乾いたタオルで油分をしっかりと拭き取ります。
ベタつき感がなくなれば、両面テープがしっかりとつきやすくなります。
また、両面テープのないものをストッパー代わりにしたり、両面テープの貼り付けだけで不安な場合には、ビニールテープなどを使用して固定しても構いません。
作業後は、ブレーキペダルの踏み込みに応じてブレーキランプが点いたり消えたりするか確認します。

逆にブレーキランプがつかないままにならないように注意

応急処置をおこなう場合、ストッパーの代わりとして使うものの厚みがありすぎてはダメです。
厚みがあると、ブレーキを踏んだときもブレーキスイッチのプッシュロッドが押し込まれたままで伸びきらずに、逆にブレーキランプがつかないままになる可能性があります。
応急処置したときは必ず、ブレーキペダルを踏んだときにはブレーキスイッチのプッシュロッドが伸びきることと、ブレーキランプの点灯・消灯状況を確認しましょう。

つきっぱなしのブレーキランプの修理費用の目安

ブレーキランプがつきっぱなしになった時の修理費用の目安を、原因ごとにまとめました。

修理内容 修理費用(部品代+工賃)
ストッパーの交換 1,000円〜
ブレーキスイッチの交換 5,000円〜
コンピューターの交換 数万円〜
配線の修理 (診断時間・作業時間による)数千円〜

ブレーキランプがつきっぱなしになる原因のなかで、コンピューターの故障よる原因の可能性はもっとも低いですが、万が一の場合には費用が高額になります。
一方で、それ以外の原因であれば数千円の修理費用でおさまることが多いです。

整備士のまとめ

ブレーキランプのつきっぱなしは周囲の車を惑わすので、想像以上に危険な状態です。
修理する場合、数千円で済むことがほとんどなので放置せずに、気付いた時点ですぐに整備工場で診断・修理してもらうようにしましょう。
また、原因のひとつであるストッパーの劣化は古い車を中心に発生しています。
年式が古くなったり距離の増えた車ほど、こういったトラブルを未然に防ぐためにも、信頼できる整備工場で定期的にメンテナンスすることが大切です。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。