スパークプラグとは?交換時期や費用について整備士が解説

スパークプラグとは?交換時期や費用について整備士が解説

車の消耗品のひとつに、スパークプラグという部品があります。消耗品なので、当然ながら定期的な交換が必要になります。
この記事ではスパークプラグについて確実に理解していただけるように、スパークプラグの交換目安時期と費用、交換しないとどうなるか?といったことについて、現役の整備士が解説します。

スパークプラグとは

スパークプラグは、ガソリンエンジン車についている部品です。ガソリンエンジンが動くために必要不可欠です。エンジン部品の一部なので、ガソリンエンジンのハイブリッド車やPHEVにもついています。ディーゼルエンジンや、エンジンのないEV車にはついていません。

スパークプラグの仕組み

スパークプラグは、ガソリンエンジンの動力を生み出す燃焼室内に火花を飛ばす部品です。燃焼室内に満たされた混合気(空気とガソリンの混ざったもの)をピストンで圧縮したときに、スパークプラグを使って火花を飛ばして混合気を燃焼させます。
燃焼した力はピストンを押し下げる力となり、その繰り返しによってエンジンは回転の動力を得ています。

スパークプラグは、イグニッションコイルによって作られた高電圧を放電します。
スパークプラグ先端には中心電極と接地電極があり、この間で放電現象が発生することで火花を飛ばしています。

<関連記事>イグニッションコイルとは?故障症状や寿命、交換時期を整備士が解説

スパークプラグを交換しないとどうなる?

スパークプラグを交換しないままでいると車の加速不良や燃費の悪化、さらに症状が進行するとエンジン不調やエンジン始動不良が発生します。
不調の原因はスパークプラグの電極(火花が飛ぶ部分)が徐々に劣化(摩耗)することにより、きれいな火花が飛ばせなくなってくることです。そのため、スパークプラグは消耗品として定期的に交換するようにしましょう。

スパークプラグの交換時期

スパークプラグの交換時期の目安は一般的なプラグの場合、走行距離で1.5万~2万kmです。近年の新車に多い、長寿命タイプのプラグの場合では走行距離で4万~10万kmが交換の目安となります。
スパークプラグの交換時期はプラグの種類の他に排気量や気筒数によっても違いがあります。

スパークプラグの種類について

スパークプラグにはいくつかの種類があり、それぞれで寿命・交換目安時期が異なります。

  • 一般プラグ(レジスタープラグ、ニッケルプラグとも呼ばれる)
    交換目安:走行距離1.5万〜2万km
  • イリジウムプラグ
    一般寿命タイプの交換目安:走行距離1.5万km〜2万km
    長寿命タイプの交換目安…6万〜10万km(乗用車)/4万〜6万km(軽自動車等)
  • 白金プラグ
    交換目安:6万〜10万km(乗用車)/4万〜6万km(軽自動車等)

イリジウムプラグには2種類のタイプがあります。
中心電極のみイリジウムが使用されている「一般寿命タイプ」と、中心電極と接地電極にイリジウムまたは白金が使用されている「長寿命タイプ」です。

「イリジウムプラグ=長寿命」と勘違いされている場合が多いので注意しましょう。
また、長寿命タイプのイリジウムプラグの交換目安時期は、排気量や気筒数による影響があります。
最近、増えている3気筒の小排気量エンジンを搭載した普通乗用車は、軽自動車と同等の交換時期を目安にして、4万〜6万kmで交換するようにしましょう。

スパークプラグの交換費用の目安

スパークプラグの交換費用は部品とエンジンの気筒数、車種によって変わってきます。交換費用の目安例は、長寿命タイプのイリジウムプラグを使用した場合、軽自動車で7,500円~12,000円。4気筒エンジンの一般的な乗用車で12,000円〜40,000円です。


最近の車では、長寿命タイプのイリジウムプラグが採用されていることが多いです。
長寿命のイリジウムプラグの部品代目安は1本あたり2,000円〜3,000円です。一般プラグだと1本あたり1,000円以下で購入できるものもあります。

部品代は一般プラグが安いですが、寿命と交換工賃を考慮すると、長寿命のイリジウムプラグに交換する方がお得になることが多いです。
また、スバルの水平対向エンジンやインマニ(吸気管)がエンジンの上に位置している特定の日産車などは、4気筒エンジンの一般的な車でも工賃が高額になる傾向にあり、目安として20,000円〜30,000円程度の工賃が請求されます。

 

スパークプラグの交換費用に関する以下の3つの要素について補足します。

  • 車種(工賃)
    10分もあれば交換できるものから、エンジン廻りの多くの部品の脱着が必要で、1〜2時間掛かるケースもある(例:インマニ脱着が必要なV型エンジン等)
  • エンジンの気筒数(工賃および部品代)
    プラグの本数が増えるほど部品代が高くなるのと同時に、交換に時間と手間が掛かるので工賃が高くなる
  • スパークプラグ(部品代)
    一般プラグ<イリジウム(一般寿命)<イリジウム(長寿命)、白金 の順番で高額

スパークプラグの寿命、主な症状例

スパークプラグに寿命がくると、以下のような症状が出る場合があります。

  • 燃費悪化
  • 加速不良、パワーダウン(エンジンの吹けが悪い)
  • アイドリング不調、不安定(エンジン不調)
  • エンジンのかかりが悪い
  • O2センサーやイグニッションコイルの寿命を早める
  • 排気ガスが臭くなる

いずれも、スパークプラグの寿命によって本来必要な火花を飛ばすことができずに、きれいな燃焼ができないことに起因します。
これらの症状を放置してスパークプラグを交換しないでいると、最終的にはエンジンに深刻なダメージを与えてしまうことも考えられます。
基本的には、ここで紹介したような症状が出る前にスパークプラグの交換を実施しましょう。

整備士のまとめ

スパークプラグは、ガソリンエンジンの健康維持のために重要な部品です。
よって、エンジンに応じた適切なスパークプラグの選択が不可欠です。
一般・イリジウム・白金…と、耐久性や着火性能の異なる幾つかの種類があるだけでなく、サイズや形状もエンジンに合うものを選ばなければならず、その種類は多岐にわたります。
今後も長く安心して愛車に乗り続けるためにも、信頼できる整備工場でスパークプラグの点検と交換をしてもらうようにしましょう。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。