ブレーキランプ、テールランプの交換時期や費用の目安を整備士が解説

ブレーキランプ、テールランプの交換時期や費用の目安を整備士が解説

ブレーキランプやテールランプは車両後方の灯火装置のひとつです。ランプ切れを起こしていると保安基準不適合となり、車検に通りません。また、そのまま放置していると整備不良として取り締まりの対象になります。ブレーキランプやテールランプの正しい知識を理解しておきましょう。
今回はブレーキランプ、テールランプの交換について時期や費用の目安について解説します。

ブレーキランプ、テールランプとは

ブレーキランプは「制動灯」、テールランプは「尾灯」とも呼ばれます。
ブレーキランプとテールランプはそれぞれ独立していることもあれば、光源が共通していることもあります。
ブレーキランプとテールランプの役割の違いとして、ブレーキランプは減速したことを後続車に知らせる役割があります。一方、テールランプは夜間や悪天候といった視界不良時に車の存在を知らせる役割があります。

ブレーキランプについて解説

ブレーキランプ(制動灯)は、その名のとおりブレーキペダルを踏んだときに点灯する、車両後方の左右対称に位置する灯火装置です。
テールランプ(尾灯)の5倍以上の光度が必要かつ、昼間に車両後方100mの距離から点灯を確認できることが法令上で定められています。
また、2006年1月1日以降生産の車に関しては、ハイマウントストップランプの装着が義務付けられています。ハイマウントストップランプは、ブレーキランプにのみ連動して点灯します。

テールランプについて解説

一方で、テールランプ(尾灯)はスモールランプ呼ばれることがあります。
ポジションランプをON、またはヘッドライトをONにしたときに点灯する車両後方の灯火装置です。ブレーキランプと同様に左右対称です、夜間に車両後方300mの距離から、点灯を確認できることが法令上で定められています。

ブレーキランプ、テールランプが切れたままは違反

ブレーキランプや、テールランプを含む灯火類が切れたまま車両を運行することは、整備不良として保安基準不適合となります。
簡単にいうと、ランプ切れのまま公道を走ると違反となるので、警察官に違反切符を切られる可能性があります。
ブレーキランプやテールランプが切れたままの場合は、罰金(7,000円)の支払い及び違反点数として1点が加算されます。

ブレーキランプ、テールランプの交換時期の目安

ブレーキランプとテールランプの交換時期の目安は、白熱球のバルブの場合で早くて「新車から3〜5年以降」のタイミングです。一方、LEDの場合は「新車から10~15年ほど」で交換する可能性があると考えておきましょう。
最近の車は、新車時から純正でLED化されていることが多いです。LEDの場合は白熱球と比較して、大きく長寿命化されています。そのため、基本的に未交換であることが多いですが、それでも寿命はかならずあります。

ブレーキランプ、テールランプの交換費用の目安

ブレーキランプ、テールランプの交換費用の目安は工賃込みで1500円~です。セルフでの交換の場合は部品代のみで500円~です。ブレーキランプとテールランプの違いで交換費用の目安が大きく異なることはありません。
また、バルブ(白熱球)だけでなくレンズも交換しないといけない場合、費用は大きく変わってきます。

セルフで交換する場合

セルフで交換する場合、白熱球を使用している場合は電球代のみとなるので「500円前後/1箇所」で交換が可能です。
交換にかかる時間は慣れている人がやって1箇所あたり10分~30分程度です。
純正LEDが採用されているテールレンズの場合は、電球(バルブ)のみの交換が不可能なのでレンズ一体での交換対応になります。
レンズの費用は軽自動車の場合だと新品で30,000円前後〜です。車種によっては10万円を超えるものもあります。

業者に依頼する場合

電球(バルブ)の値段はセルフでやる場合と大差なく数百円程度です。
車種によって電球(バルブ)へのアクセスが異なるので、費用の違いは工賃の占める割合がほとんどです。
例えば、テールレンズ自体の脱着を伴うものもあれば、荷室内のトリムを脱着して電球(バルブ)にアクセスできるので、レンズは外さずに交換できるものもあります。
簡単なものだと工賃は1,000円前後〜です。部品代と工賃を合わると1,500円〜です。
高級車や特殊な車になると、工賃が高額になる傾向にあります。

不安な場合は業者に依頼する

たかが電球交換といっても工具が必要だったり、作業に際して誤ってショートさせてしまいフューズを飛ばしてしまうリスクもあります。
わたし自身もそういった相談をお客さまから受けたことがあるので、慣れない作業で心配であれば、整備業者に交換を依頼することをおすすめします。

ブレーキランプ、テールランプを自分で交換する方法

自分で交換にチャレンジされる方に向けて、ブレーキランプ、テールランプ交換の方法を解説します。

電球は身近な所で購入可、取説を参考に作業準備

電球(バルブ)単体の交換で対応できる場合、電球はホームセンターやカー用品店で購入可能です。
レンズ本体ごとの交換が必要なLEDタイプかどうかの判断ができないときは、車載の車種別取扱説明書を読めば、使用している電球の種類が書いてあるので確認してみましょう。
また、車種によっては電球(バルブ)交換の手順を図解して解説しているものもあるので、参考にしてみてください。

バルブの形状によって脱着方法が異なる

バルブの形状には以下の2種類があります。

  • 金属口金タイプ
  • ウェッジベースタイプ

金属口金タイプは押し込みながら左に回して取り外し、取り付けるときは押し込みながら右に回します。
ウェッジベースタイプはソケットホルダーに挿さっているだけなので、抜き挿しするだけで脱着できます。

レンズ本体を交換するときの注意点

レンズ本体を交換する場合、LEDが採用されているレンズだと高額になります。中古であれば数千円で手に入ることもありますが、注意点があります。
同じモデルの車種でも年式によって部品が異なることがあり、また同じ年式でもグレードによって部品が異なることがあります。
そのため、深い知識がない場合は、安易に中古品に手を出さないほうがよいでしょう。

工具が必要になることがある

ブレーキランプ、テールランプの電球(バルブ)を交換するときも、レンズ本体を交換するときも車種に応じた工具が必要になることがあります。
よく使う工具には以下のようなものがあります。

  • プラスドライバー
  • クリップリムーバー
  • ソケット&ラチェット

プラスドライバーはサイズに注意です。
ネジに対して適切なサイズを選択しないと、ねじ山を潰してしまうリスクがあります。
ソケット&ラチェットはボルトを緩めたり締めるときに使います。
国産車であれば、8mm・10mm・12mmといったサイズが使われていることが多いです。

【補足】電球交換してもつかない場合は接触不良の可能性がある

電球(バルブ)交換後も灯火が点かない場合は、接触不良の可能性があります。
ライトが点灯してもチラついていたり、予期しない光り方をする場合は接触不良かもしれません。

(予期しない光り方の例:テールライトは正常に点灯してるのに、ブレーキを踏むと片側はブレーキが点かず、テールライトも消灯してしまう)

電球(バルブ)を装着するバルブホルダー部分で接触不良が起きていることもあれば、回路上でアース不良または電源線の不良が発生していると考えられます。
バルブホルダー内に水が侵入し、端子部分に錆が発生して接触不良が起きていることも意外と多いので、まずは目視で点検してみるのも良いかもしれません。
しかし、電気関連の診断は自動車整備士の中でも苦手とする人が多く、まったくの素人の場合は処置に苦慮する可能性が高いです。
また、不具合が発生している場合には、何かしらの対策がメーカーから出ている可能性もあります。
基本的に不具合を解消するときは確実な診断・修理・対策のためにも、整備工場やディーラーに依頼するのがベストです。

整備士のまとめ

テールランプやブレーキランプの電球切れは、違反切符を切られる恐れもあるので、早急な修理が必要です。
車種によっては取扱説明書に交換方法の説明が記載されていることもあるので、交換にチャレンジしてみるのも良いかもしれません。
一方で作業には工具が必要なパターンもあります。
取扱説明書を読んでも理解できない、工具がない…などセルフでやるのに不安な面がある場合は、安心と安全を優先してプロの整備士がいる整備工場に作業依頼するようにしましょう。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。