ルノー カングーは、欧州では商用車として活躍している。日本では広い室内空間をユーザーがアレンジできる乗用ハイトワゴンとして独自の文化を育んでおり、日本独自の仕様も作られた。2023年3月に新型である3代目カングーが日本で発売を開始。
今回は欧州ハイトワゴンブームのパイオニアであるルノー カングーの新型と2代目を内装や燃費、走行性能といった項目で徹底比較した。
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ルノー カングーの歴史・概要
カングー歴代モデル |
日本での販売年月 |
初代 |
2002年~2009年 |
2代目(旧型) |
2009年~2023年 |
3代目(新型) |
2023年3月~ |
初代カングーはフランス本国で1997年に発表された。日本市場に導入されたのは約4年後の2002年のことだ。日本での取り回しに優れた5ナンバーサイズのハイトワゴンのパイオニアで、広い室内空間とリアに採用したスライドドアの利便性が高く評価され、現在でもファンが多いモデルだ。
※上図:旧型カングー(2代目)の全景
2代目の旧型カングーが日本市場に導入されたのは、2009年9月のことだ。それから2023年まで約14年間販売されるロングセラーモデルとなった。初代カングーは5ナンバーサイズだったが、旧型カングーはボディサイズが大型化された。全幅が1,830mmの3ナンバーサイズとなったことで“デカングー”と呼ばれることが多かった。
長いモデルライフの中で、2011年と2013年にマイナーチェンジを行い、時期によって3種類のフロントマスクが存在する。搭載しているパワートレインも多彩で、エンジンは1.6L直4DOHCを皮切りに、1.2L直4ガソリンターボ。そしてファイナルモデルには1.5L直4ディーゼルターボを搭載している。
組み合わされるトランスミッションは4速ATをはじめ、5速MT、6速MT、6速EDCとエンジンによって様々だ。駆動方式は2WD(FF)のみである。また少ロットの特別仕様車「クルール」が頻繁に設定され、カングーファンにとっては自分好みのボディカラーを選べるということで非常に人気が高い。
※上図:新型カングー(3代目)の全景
3代目となる新型カングーは2023年3月から販売開始された。ルドスパスというラテン語で「遊び」を意味する「ルド」とフランス語で「空間」を意味する「エスパス」を組み合わせた造語の「遊びの空間」をコンセプトとしている。新型カングーもこのルドスパスというコンセプトは変わらず、「もっと遊べる空間」へと大きく進化している。
新型カングーのプラットフォーム(車台)には、ルノー・日産・三菱のアライアンスが開発したCMF-C/D(コモン・モジュール・ファミリー)ベースを採用している。このベースプラットフォームをカングー用にチューニングした。
専用開発されたトーションビーム式リヤサスペンションを採用することで、剛性や操縦安定性が向上している。これまでの商用車らしい走りから、乗用車ライクな気持ちの良い走りへと進化した。また、このプラットフォームの採用によって積載性能も大きく改良している。
搭載しているエンジンは2種類ある。
ひとつはルノー・日産・三菱アライアンスそしてダイムラーと共同開発した1.3L直列4気筒ガソリンターボエンジンだ。メルセデス・ベンツAクラスにも搭載されている。もうひとつが、旧型のモデル末期に登場し大好評だった1.5 L直列4気筒ディーゼルターボエンジンだ。
新型カングーの注目ポイントは、ADASという先進の運転支援システムが旧型に比べて圧倒的に充実したことにある。新型カングーはエマージェンシーレーンキープアシストやブラインドスポットインターペンションを含む多彩な運転・支援システムを搭載している。ルノーの日本導入モデルでは初搭載だ。
これは、シトロエンベルランゴやプジョーリフター、フィアットデプロといった欧州ハイトワゴンが導入されたことで、新車セールスが激化したことも影響があるだろう。
新型カングーのデザインはかわいらしさよりもシャープな印象に変わった
コンセプト&外装デザイン比較
※上図:旧型カングー(2代目)の全景
2009年に日本市場に導入された2代目旧型ルノー カングーのコンセプトは、「遊びの空間」を意味する「ルドスパス」だ。これはラテン語で「遊び」を意味する「ルド」とフランス語で「空間」を意味する「エスパス」を組み合わせた造語である。
※上図:旧型カングー(2代目)のフロントフェイス
外観デザインは、ボンネット中央のプレスライン、盛り上がったフェンダー、アーモンド形のヘッドランプなど、一目でカングーとわかる親しみやすいフォルムを受け継ぎながら、現代的でより個性的なデザインに生まれ変わった。
※上図:旧型カングー(2代目)のリヤエンド
2代目旧型カングーは2011年に1度目のマイナーチェンジを行い、外観デザインを変更している。ボディと同色のサイドモール(ジョン アグリュムのみブラック)、シルバーのドアハンドルを新しく採用し、デザイン性が向上した。
2013年には2度目のマイナーチェンジを実施している。2009年にデザイン担当に就任したローレンス・ヴァン・デン・アッカーの新デザイン戦略により、フロントデザインを一新した。新しいデザインのフロントマスクは、これまでよりも大きく角度を立てて取り付けられたルノーロゴと、そこからヘッドライトまでつながるブラックグリルバンパー、そしてブラックのアクセントが際立つ新デザインのアーモンド型ヘッドランプによりカングーの生き生きとした表情を演出している。
※上図:新型カングー(3代目)のリヤエンド
2023年3月に導入された新型カングーは、一目でカングーとわかる親しみのある個性はそのままに、先進性を取り入れたデザインへと生まれ変わっている。
※上図:新型カングー(3代目)の全景
フロントガラスを寝かせることで流線型となったフォルムは、空気抵抗を低減させるとともに、ダイナミックさを強調している。ボンネットに入れられたリブやワイドなショルダーラインをはじめとする抑揚あるボディラインが、外観デザインに逞しさを演出している。
フロントエンドはルノーデザインを象徴するフルLEDヘッドライトとCシェイプデイタイムランプが装備され、クロームで縁取られたフロントグリルにより上質感を高まっている。またフロントバンパー両端に装備されたエアディフレクターでフロントタイヤが発生させる空気の乱れを抑え、燃費性能を向上させている。
※上図:新型カングー(3代目)のリヤエンド
カングーの特徴とも言えるダブルバックドアは健在だ。本国にはブラックバンパー仕様にはダブルバックドアは存在せず日本独自の仕様となっている。フロントと同様、リアランプにもCシェイプシグネチャーが取り入れられ上質感を演出している。
新型カングーは3種のデザインから選ぶことができる。
- インテンス(ボディ同色バンパー仕様)
- クレアティフ(人気の高いブラックバンパー仕様)
- ゼン
搭載するエンジンによって価格が異なり、同色バンパーとブラックバンパー仕様は同じ価格設定になっているのは非常に悩ましい。
旧型カングー(2代目)と新型カングーの大きな違いはフロントマスクだ。ポップな表情の親しみやすい2代目旧型。シャープさが増し迫力系になった3代目新型。雰囲気が大きく異なるデザインだけに、好みも分かれる。かわいい雰囲気をもつ2代目旧型カングーのデザイン評価は未だに高い。
新型カングーは運転支援機能が大幅に向上
予防安全装備の比較
2009年に導入された2代目旧型カングーの予防安全装備は、設計の古さが影響して物足りない仕様だった。安全装備といえば、EBA(緊急時ブレーキアシスト)付ABSぐらいだった。
しかし、2023年3月に登場した新型カングーは運転支援機能を一新している。
- アクティブエマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ、歩行者・自転車検知機能付)
- レーンデパーチャーワーニング(車線逸脱警報/車線をはみ出しそうになった場合にハンドル操作をアシスト)
- エマージェンシーレーンキープアシスト(車線中央維持支援)
- アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付/高速道路などを走行する際、車両速度を制御し、前方の車両との安全な車間距離を維持)
- レーンセンタリングアシスト(車線中央維持支援/カメラで道路上の白線や黄線を感知して、走行車線の中央を走るようにハンドルを操作)
- ハイウェイ&トラフィックジャムアシスト(アクティブクルーズコントロールとレーンセンタリングアシストを組み合わせて、長距離の走行や渋滞時のドライバーの疲労を低減)
- ブラインドスポットインターペンション(後側方車両検知警報/後側方車両との接触回避をサポート)
- トラフィックサインレコグニション(交通標識認識/制限速度、追い越し禁止の交通標識を表示)
- オートハイビーム
- フォライバー疲労検知アラート
- リアパーキングセンター(リア)+リアカメラ
- セーフティデイスタンスワーニング(前方車間距離警報/前方を走行する車両との相対速度差を検知して適切な車間距離を保つように注意を促す)
カングーの場合、2代目旧型と新型の運転支援機能の差が非常に大きい。安全性の高さを重視するのであれば、当然、新型カングーという選択になる。
新型カングーはボディサイズの拡大とサスの形状変更により積載性が向上
内装、室内空間の比較
旧型、新型カングーのボディサイズ、ホイールベースは以下の通りだ。
【2代目旧型カングー】
全長×全幅×全高 |
4,280mm×1,830mm×1,810mm |
ホイールベース |
2,700mm |
【3代目新型カングー】
全長×全幅×全高 |
4,490mm×1,860mm×1,810mm |
ホイールベース |
2,715mm |
※上図:旧型カングー(2代目)の運転席
※上図:旧型カングー(2代目)の後席
2代目旧型カングーは、開発当時、快適性や安全性において高い評価を得ていたルノーセニックのプラットフォームをベースに開発された。そして、新型カングーはルノー・日産・三菱のアライアンスが開発したミドルクラスに使用されるCMF-C/Dプラットフォームを採用している。
※上図:新型カングー(3代目)の運転席
新型カングーのボディサイズは2代目旧型に比べて、全長が+210mm、全幅+30mm、全高±0となり、ホイールベースも+15mmとなっている。これにより、前後方向だけでなく、横方向のカップルディスタンスにも余裕が生まれた。
ボディサイズの拡大により、リアシートの居住性と荷室容量も拡大されている。
荷室の床面長も通常で1,020mmと旧型と比べて+100mm、後席を畳むと+80mmの1,880mmと拡大した。この結果、荷室容量は5人乗車時で775L(旧型比+115L)、後席を畳むと最大で2,800L(旧型比+132L)と荷室の積載量が増えている。
※上図:新型カングー(3代目)の後席
新型カングーのインテリアは、フランス車らしい高い実用性と使い勝手の良さが融合したデザインと乗車定員が快適で楽しい時間が過ごせるように工夫された装備が特徴だ。形状が見直されたフロントシートは、一回りサイズが大きくなりサポート性が向上している。一方3座独立タイプの6:4分割式リアシートは大人3人がしっかりと乗車できるようになった。
※上図:新型カングー(3代目)のインパネデザイン
水平基調のデザインとなったインストルメントパネルは、各部に配したクロームパーツにより上質感を高めている。そして、メーターパネルは7インチのデジタルインストルメントパネルを採用し、先進感と視認性の高さを兼ね備えている。
※上図:新型カングー(3代目)のメーター
センターパネルに設置された8インチマルチメディアイージーリンクは、スマートフォンとの連携を強化し、ミラーリング機能を装備している。スマートフォンをUSBポートに接続すれば、Apple CarPlayやAndroid Autoを介して、スマートフォンのアプリを使うことが出来る。音声入力での操作も可能だ。
※上図:旧型カングー(2代目)のインパネデザイン
※上図:旧型カングー(2代目)のメーター
一方2代目旧型カングーのインテリアは、天井高が高く、広大なグラスエリアから差し込む光によって、明るく開放的な空間が演出されている。人間工学に基づいてデザインされた新設計のダッシュボードや、扱いやすい場所に配置されたスイッチなどの操作系は、運転時の快適性を高めている。シフトノブはドライバーの自然な手の動きに合わせ、センターコンソールのインストルメントパネル上に据えられている。
サイドブレーキは、ルノー メガーヌにも使われている航空機スタイルのものを、使いやすく発展させたデザインを採用した。このデザインはフランスの郵便局の協力のもと、1日に数百回サイドブレーキを使用する郵便局員からの要望を取り入れた結果生まれたものだ。扱いやすさと耐久性を兼ね備えた、カングーオリジナルのデザインとなっている。
※上図:旧型カングー(2代目)の荷室
2代目旧型カングーの荷室容量は5人乗車時で660L、助手席とリアシートを倒せば最大2,866Lまで拡大する。
60:40分割可倒式リアシートは、シート上部にあるハンドルを引くだけの簡単な操作で別々に折りたたむことができる。左右両方を倒せば、フラットな荷室空間に変わる。さらに、助手席を前方に倒すとフルフラットで長大な空間が出現し、2.5mの長尺物を積み込むことも可能だ。
※上図:新型カングー(3代目)の荷室
新型カングーは、ボディサイズの拡大によってシートのサイズアップや積載量の増加など機能性が大幅に向上している。またデジタルインストルメントパネルの採用やスマートフォンとの連携強化によって、より快適性が増した。
2代目旧型カングーと新型カングーの室内空間を比べると、ボディサイズが大きい分新型カングーが有利になる。ただ、ボディサイズが大きくなった分、新型カングーの最小回転半径は5.6mとやや大きい。2代目旧型カングーも小さいとは言えないが、新型カングーより0.2m小さい5.4mだ。狭い道や駐車場が多い日本での使い勝手は、2代目旧型カングーが優位に立つ。
ガソリン、ディーゼルともに燃費性能が向上した新型カングー
走行性能、燃費性能の比較
2代目旧型カングー、新型カングーのエンジンスペックと燃費性能は以下の通りだ。
【2代目旧型カングー】
|
最高出力 |
最大トルク |
燃費 |
1.5L直4ディーゼルターボ |
116ps |
260Nm |
19.0km/L(WLTCモード) |
1.2L直4ガソリンターボ |
115ps |
190Nm |
12.9km/L(JC08モード) |
1.6L直4ガソリン |
105ps |
148Nm |
- |
【3代目新型カングー】
|
最高出力 |
最大トルク |
燃費 |
1.3L直4ガソリンターボ |
131ps |
240Nm |
15.3km/L |
1.5L直4ディーゼルターボ |
116ps |
270Nm |
17.3km/L |
※上図:新型カングー(3代目)のエンジンルーム
新型カングーは、ガソリン、ディーゼルエンジンをそれぞれ1種類、合計2種類のエンジンを搭載している。
1.3L直列4気筒ガソリンターボエンジンは、ルノー・日産・三菱アライアンスとダイムラーが共同開発したもので、力強さと高い効率が特徴だ。低回転域の1,600回転から240Nmもの最大トルクを発生させる。そのため、市街地の走行時などのスムーズなレスポンスや、高速道路での追い越し時のパワフルな加速フィールなど、余裕のある走りが可能となった。
一方の1.5L直列4気筒ディーゼルターボエンジンは、ディーゼルらしい低回転域から高トルクを発生し、力強い走りを実現している。加えてDPFがPMを約99%除去する。SCRにより排気系統にアドブルーを噴射し、化学反応により窒素酸化物を約90%除去するなど環境に優しいのが特徴だ。
搭載するエンジンが変わっても、組み合わされるトランスミッションは7速EDC、駆動方式は前輪駆動(FF)のみ、加えてタイヤサイズは205/60R15とすべて同じだ。燃費性能はWLTCモードで1.3Lガソリンエンジンが15.3km/L、1.5Lディーゼルエンジンが17.3km/Lとなっている。
※上図:旧型カングー(2代目)のエンジンルーム
2代目旧型カングーは、デビュー当初、最高出力105ps、最大トルク148Nmを発生する1.6L直列4気筒エンジンを搭載していた。組み合わされるトランスミッションは5速MTと4速ATだった。
2014年に最高出力115ps、最大トルク190Nmを発生する1.2L直列4気筒ガソリンターボエンジンを追加した。組み合わされるトランスミッションは6速MTと6速EDCだった。
そして、2021年7月に旧型カングーの最終モデルとして、リミテッドを発売した。最高出力116ps、最大トルク260Nmを発生する1.5L直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載していた。組み合わされるトランスミッションは、6速MTのみとなった。燃費性能は、1.5LディーゼルターボがWLTCモードで19.0km/L。1.2Lガソリンターボエンジンの6速EDC車はJC08モードで14.7km/Lとなっている。
2代目旧型と新型カングーは搭載されているパワートレインが異なっているため、単純比較はできない。だが、回転フィーリングやアクセル操作に対するレスポンスなどは、新型カングーが優れている。特に1.5Lディーゼルターボエンジンは、高速道路などで余裕ある走行が楽しめる。
燃費も同様、新型カングーのほうが優れている。2代目旧型カングーはかなり設計が古いことが響き、燃費差は広がった。
旧型の乗り心地は、穏やかながらやや大きめの動きのある商用車らしさが特徴だった。が、新型はプラットフォームを一新したこともあり、無駄な動きが少なくなり乗用車のようなフラットな乗り心地へと変化している。
サスペンションは、旧型も新型カングーも全く同じシステムを採用している。フロントはマクファーソンストラット、リアはトーションビームだ。サスペンションのストローク量は変わらないものの、ロール量を抑えている。これまで定評のあった乗り心地を損なうことなく、走行安定性と応答性を高めている。
さらに、ステアリングギアレシオを旧型の17:1から15:1へと見直すことでハンドリングの応答性を向上させている。ハンドリングは商用車ベースのモデルとは思えないほど、シャープでキビキビ感がある。
旧型カングーは、いかにも商用車らしいおっとりとした乗り心地だった。対する新型は乗用車のようなスッキリとした無駄のない乗り心地が特徴だ。ルノーの乗用車系に近い快適な乗り心地となっている。
走行性能も新型カングーが2代目旧型カングーを圧倒する。最新のプラットフォームやエンジンなどが採用されたこと等が差に繋がった。
2代目旧型カングーの高年式中古車は、これから値落ちが進む!
価格比較
2代目旧型カングーの中古車相場は以下の通りだ(2023年9月調べ、すべてマイナーチェンジ後)。
2020年式 |
220万~280万円 |
2018年式 |
130万~230万円 |
2016年式 |
110万~160万円 |
〈参考〉2013年デビュー時の新車時価格は約214.8万~234.8万円
新型カングーの価格は以下の通りだ。
|
1.3Lガソリン車 |
1.5Lディーゼル車 |
カングー・ゼン |
384万円 |
- |
カングー・クレアティフ |
395万円 |
419万円 |
カングー・インテンス |
395万円 |
419万円 |
世代交代とも言えるフルモデルチェンジは、中古車相場に大きな影響を与える。しかし、旧型カングーは約14年も販売されていたモデルだ。すでに3回目の車検のタイミングを過ぎた2015年式以前の中古車相場には目立った動きはなさそうだ。
旧型カングーの中古車で値落ちが目立ちそうなのが、2016年式以降の高年式の中古車である。現状、5年落ちである2018年式の中古車の価格帯は、約130~230万円だ。初めての車検サイクルを迎えた2020年式は約220~約280万円と高値をキープしている。これらのカタログモデルは、フルモデルチェンジの影響で10~20%の値落ちが期待できるだろう。ただし、クレールのような特別仕様車や数少ないMT車は希少なので、もうしばらくは現状維持となりそうだ。
売却を考えているのであれば、なるべく早い方がよいだろう。
リセールバリューにやや不安があるのが新型カングーだ。
デザインが大きく変わり、価格も大幅にアップしている。高額車なのに、軽自動車にも付いているパワースライドアも無い。こうした影響で、賛否両論になっているからだ。
もし販売不調に終わると、リセールバリューも下がると予想できる。ただ、中古車流通量が非常に少ないモデルなので、一定のファンがいれば、リセールバリューは維持されるだろう。リセールバリューについては、しばらく注視が必要だ。
おすすめは新型カングー?それとも2代目旧型?
価格的な魅力と多彩なボディカラーや仕様を選べるのは旧型カングーだ。旧型のデザインとパッケージが好きであれば、後悔はしないだろう。
だが、お勧めしたいのは運転支援機能が充実した新型カングーだ。
ボディサイズでは全長で+210mm、全幅で+30mm拡大している。多少小回りが苦手になっているが、それほど気にする必要もない。それ以上に室内空間、特に荷室が拡大していることは非常にポジティブだ。
ただ、400万円前後もする価格帯でパワースライドアがない。国産ミニバンと比べると、利便性の高い装備面では物足りない仕様だ。新型カングーも、カングーの世界観に共感できる人向けのモデルといえる。
新型カングーは、設計も新しいため、パワートレインの走行&燃費性能の向上は目を見張るものがある。乗り心地もよく、走行性能はなかなかのものだ。
新型カングーは、かなり高価になった。そのため、しばらく様子見しながら、中古の現行型カングーが安くなったタイミングを狙って購入するのもお勧めだ。
新型カングーは、オプションの設定はほとんど無い。装備はグレード別で異なる仕様になっている。エントリーグレードのゼンは、価格訴求用のグレードで受注生産なので除外すると、最上級グレードのインテンスかクレアティフの2択となる。大きな装備差は、インテンスはボディ同色バンパー、クレアティフはブラックバンパー程度だ。後は、若干色や機能に差が付いているものの、それほど大きな差とは言えない。よりツール感のある仕様が好みなら、ブラックバンパーのクレアティフ、より乗用車的が好みならインテンスということになる。
新型カングー 価格・スペック
新型カングー 価格
|
1.3Lガソリン車 |
1.5Lディーゼル車 |
カングー・ゼン |
384万円 |
- |
カングー・クレアティフ |
395万円 |
419万円 |
カングー・インテンス |
395万円 |
419万円 |
新型カングー燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード |
1.3インテンス(FF) |
トランスミッション |
7速EDC |
全長×全幅×全高 |
4,490mm×1,860mm×1,810mm |
ホイールベース |
2,715mm |
車両重量 |
1,560kg |
最小回転半径 |
5.6m |
エンジン型式 |
H5H 直4DOHCターボ |
総排気量 |
1,333cc |
エンジン最高出力 |
131ps(96kW)/5,000rpm |
エンジン最大トルク |
240N・m(24.5kgm)/1,600rpm |
WLTCモード燃費 |
15.3km/L |
サスペンション前後 |
ストラット/トーションビーム |
タイヤサイズ前後 |
205/60R16 |
カングーのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和5年3月(2023年3月)〜現在
- 新車時価格
- 384.0万円〜427.0万円
カングーの在庫が現在13件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。