O2センサーは現代の車には欠かせない部品です。(完全なEV車除く)
それだけに、これまでにも故障を経験したり耳にしたことがある人も多いかもしれません。この記事では、O2センサーとはどんなものなのか解説したうえで、故障原因や交換時期・費用などについても紹介します。
- O2センサーとは
- O2センサーの設置箇所、仕組み
- O2センサーが故障するとどうなる?
- O2センサーの交換時期
- O2センサーの交換費用の目安
- 【補足】O2センサーを交換したのに不具合が出る場合とは?
- 整備士のまとめ
O2センサーとは
O2センサーは、排気ガス中の残存酸素濃度を計測するセンサーです。
おおまかに、排気ガスが濃いか薄いかを見ています。
理論空燃比で燃焼するためにO2センサーは必要不可欠
O2センサーは、エンジン内部での燃焼が理論空燃比付近になるように、必要不可欠な部品です。
一般論として、エンジンは理論空燃比での燃焼がもっとも綺麗に完全燃焼すると言われています。(例外もあり)
エンジンのためにも、環境保全の観点からクリーンな排気ガスを出すためにも、これらは大切な要素です。
O2センサーの情報はエンジンコンピュータにフィードバック
計測した酸素濃度の情報はエンジンコンピュータに送られ、エンジンはその情報から排気ガスの状態を判定します。
その情報を元にコンピュータは燃料噴射量の補正制御を行っています。
これをフィードバック制御と呼び、クリーンな排気ガスを排出できるように常に働いています。
また、O2センサーの情報は触媒の劣化判定にも使われます。
O2センサーの設置箇所、仕組み
O2センサーの設置箇所はおおむね、どんな車も同じですが、年式やエンジンの種類によって個数が変わってきます。
O2センサーは触媒の前後に付いている
O2センサーは排気システムの途中に設置されています。
車両によって、例外を除くとおおまかに以下のようなパターンがあります。
- O2センサーが2つ付いている
- O2センサーが1つだけ付いている
- A/Fセンサーと併用され1つだけ付いている
最近の車は、O2センサーとA/Fセンサーを合わせた2つが付いているか、O2センサーが2つ付いていることが一般的です。
これらは、排気システムのうち触媒と呼ばれる排気ガスを浄化する装置の前後に付いています。
また、V型エンジンであれば、それぞれの排気管(触媒)ごとに付いているので、合計4つのセンサーが付いています。
O2センサーの仕組み
O2センサーの内部にはジルコニア素子と呼ばれる素材が使われています。
ジルコニア素子は、酸素濃度に応じて0V⇔1Vを出力し、その信号をエンジンコンピュータに送っています。
ヒーターも備わっており、このヒーターによってセンサが安定して働けるように活性化さています。
O2センサーが故障するとどうなる?
O2センサーが故障すると、エンジンチェックランプが点灯します。
走行していて体感できる不具合症状のない場合がほとんどなので、ドライバーはチェックランプの点灯で初めてその異常に気付きます。
場合によっては「排気ガスが臭くなる」「燃費が悪くなる」といった不具合を併発することもあります。
O2センサーの故障を放置することはNG
しかし、不具合を体感できないからと放置したままにすることはNGです。
O2センサーの故障によって、クリーンな排気ガスを排出できずに、排気ガス中のCOやHCの数値が基準値をオーバーしてしまうと、車検に不適合となるからです。
また、エンジンチェックランプが点灯したままでは車検に不適合となるので注意しましょう。
O2センサーの故障箇所
チェックランプが点灯し、整備工場やディーラーで診断機を接続して故障コードを読み込むことで、O2センサー関連のエラー入力があることを確認します。
入力するエラーには大きく分けて、以下の2つのパターンがあります。
- O2センサー本体内部の不良
- O2センサーのヒーター不良
O2センサー故障の原因
O2センサーは内部を分解できません。
入力されるエラーを元に推測すると、センサー内部回路の断線や短絡が主な原因です。
これらは経年劣化によるもので、予防策などはなく、オーナーの車の乗り方に起因するものではありません。
ただし、触媒が劣化していたりエンジン不調によって、正常な排気ガスが排出されない状態で乗り続けていると、O2センサーがダメージを受けて壊れることがあります。
O2センサーの交換時期
O2センサーは年式が古くなるほど、走行距離が増えるほど故障するリスクが高い傾向にあります。
新車から数えて3回目の車検(7年)、または8万km前後を目処に、交換の可能性が出てきます。
しかし、故障することがないまま乗り続けられることの方が多いので、あえて予防的に交換する必要はありません。
O2センサーが壊れても走行に支障をきたすような、体感できる大きな不具合はありません。「壊れたら壊れたときに交換」という認識で構いません。
O2センサーの交換費用の目安
O2センサーの交換費用の合計金額は1.5万円〜3万円が目安になります。
交換費用の内訳として、部品代と工賃があります。
O2センサーは部品代が高額です。代替え品として、サードパーティ製品を使うことで費用を抑えることもできますが、純正を使ったときの部品代で1万円〜2万円です。
工賃は車種によりますが、おおむね5,000円〜1.5万円です。
【補足】O2センサーを交換したのに不具合が出る場合とは?
O2センサーを交換しても、すぐにエンジンチェックランプが点灯することがあります。
O2センサーが故障する原因が、他の部品の劣化や不具合による影響の場合があるためです。
※新品部品の初期不良である場合もありますが、ここでの解説は除きます
他部品の劣化や不具合には以下のようなことが考えられます。
- 触媒の劣化
- エンジンがオイル消費している
- スパークプラグの劣化や不具合を放置
- インジェクターの劣化や不具合を放置
このような不具合や劣化によって、クリーンな排気ガスを排出できずに、O2センサーがダメージを受けて壊れるに至った可能性があります。
細かく見ていくと、ほかに原因があることもあります。
再診断は時間を要するかもしれませんが、信頼のできる整備工場でしっかりと診てもらいましょう。
整備士のまとめ
O2センサーの故障原因が触媒の劣化やエンジン本体にある場合は、数十万円の修理費用が発生する可能性があります。
そうなると、乗り換えも視野に入ってきて高額な出費となることも。
O2センサーそのものの不具合に起因する故障を予防することはできませんが、他の不具合が原因でO2センサーが壊れてしまうリスクは、日頃きちんとした所で定期的な点検とメンテナンスを行っていれば防ぐことはできます。
- Supervised by 整備士 ヒロ
-
保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。