ショックアブソーバーは車の部品のひとつです。ショックアブソーバーの交換目安は走行距離だと7万~10万kmのため、あまり耳馴染みがない人もいるでしょう。
「交換のサインとなる症状や、どんな役割をしているのか?」ショックアブソーバーについて分からない方に向けて、現役の整備士がわかりやすく解説します。
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- ショックアブソーバーとはサスペンション構造の一部
- ショックアブソーバーの寿命、交換時期の目安
- ショックアブソーバーの劣化の症状、交換のサイン
- ショックアブソーバー交換費用の目安
- ショックアブソーバー交換の際は他の部品もチェックしてみよう
ショックアブソーバーとはサスペンション構造の一部
ショックアブソーバーは、車のサスペンション構造の一部です。
サスペンションの部品の内訳は、大まかに以下のとおりです。
- スプリング
- ショックアブソーバー
- アーム・リンク類
ショックアブソーバー単品で構造の一部となっているものもあれば、スプリングと一体構造となっているものもあります。
ショックアブソーバーの役割
サスペンションは、走行中の振動や衝撃を抑制する役割があります。
スプリングが伸び縮みすることで、振動や衝撃を吸収します。
この伸縮運動は放っておくと、しばらく続いてしまうので乗り心地が悪化します。
ショックアブソーバーはスプリングの伸縮をすばやく抑制して、乗り心地の良さを確保する働きがあります。
ショックアブソーバーのつくり
ショックアブソーバーのつくりは、いたってシンプルです。
筒状の形状の中にあるシリンダ内で、ピストン及びロッドが伸縮するときに減衰力を発生させます。
内部にはオイルとガスが封入されています。
ショックアブソーバーが伸縮するときに動くピストンに開けられた穴を、オイルが通過するときに生じる抵抗が減衰力です。
また、ショックアブソーバーには「複筒式」と「単筒式」があります。
一般的に耐久性のある複筒式は純正採用されることが多く、放熱性が高くシンプルなつくりでチューニングのしやすい「単筒式」は、スポーツタイプのサスペンションや、車高調に採用されることが多いです。
ショックアブソーバーの寿命、交換時期の目安
ショックアブソーバーの交換を検討する時期は、使い方や車種によりますが純正の場合で「7〜10万km」程度の走行距離がひとつの目安となります。
走行距離以外では、交換を検討する目安として以下のようなものがあります。
- へたり
- オイル漏れ(車検に通らない)
- 異音がする
へたり(揺れが大きくなる)
へたりはショックアブソーバーとしての使用限度を迎え、寿命がきている合図です。
どのような症状になるのかは、後ほどくわしく解説します。
へたりの確認方法
へたりの確認方法として、車のフェンダーやボンネット、またはトランクを持って上下にボディを揺することで確認する方法があります。
実際に、整備士も点検するときにこの方法でヘタリ感のチェックをすることがあります。
正常な状態を把握している、もしくは同型車が用意できるいったように、比較ができる状態であればより確実にヘタリの確認ができるでしょう。
オイル漏れが発生している
ショックアブソーバーのオイル漏れは、車検不適合(保安基準不適合)になるポイントのひとつです。
この場合、放置することはダメで交換必須です。
異音がする
異音が原因でショックアブソーバーを交換することもあります。
ある程度、走行距離が多い場合はへたりの合図のひとつとも考えられます。
これを機に交換する良いタイミングかもしれません。
ショックアブソーバーの劣化の症状、交換のサイン
ショックアブソーバーの劣化した時の症状について、もう少し掘り下げて具体的に解説します。
へたりの症状、交換のサイン
ショックアブソーバーのへたりは、粗い路面を走るときや、段差を乗り越えるときに感じやすいです。
- 乗り心地が悪化した
乗り心地が悪い例として、「フワフワ感がある」「車の上下の振動がなかなか収まらない」「底付き感、突き上げ感がある」があげられます。
- ブレーキ時の車の沈み込みが大きくなった
これらの症状は、酔いやすくなったり、運転時の疲労度が増すといった弊害もあります。
交換のサインとして、早めに交換しましょう。
オイル漏れが発生している時の症状、交換のサイン
ショックアブソーバーのオイル漏れは、ユーザー自身で判断するのが難しいです。
しかし、オイル漏れによりショックアブソーバーが性能を発揮できない状態であることから、へたりと同様に乗り心地の悪化や、段差走行時に異音の発生を伴うことが多いです。
ショックアブソーバーのオイル漏れは、保安基準不適合にあたることから、点検の結果オイル漏れが発覚した場合は、速やかに部品の交換を実施しましょう。
異音発生時の症状、交換のサイン
ショックアブソーバーからの異音とひとことで言っても、様々な音や発生タイミングがあります。
- コトコト
- コンコン
- コツコツ
- ギシギシ
- ミシミシ
「コトコト」「コンコン」「コツコツ」の音は、高くて軽い音です。
一方で「ギシギシ」「ミシミシ」音は、低くて鈍い音です。
上下の振動や衝撃に合わせて異音が発生することもあれば、コーナリング時などで荷重が加わった時に異音が発生することもあります。
振動の大小によって音の発生の有無が変わることもあります。
また、ほかのサスペンションの部品が劣化していても同様の異音がすることがあり、判別が難しいところでもあります。
ショックアブソーバー交換費用の目安
スプリングと一体式のショックアブソーバーは、現在ではほぼ全ての乗用車のフロントに採用されています。
また、リヤにも採用されている車が多いです。
ショックアブソーバー交換時には、特定整備を伴う分解が必要になります。
よって部品代も工賃も、ショックアブソーバー単体で交換できるタイプよりも高くなる傾向にあります。
1箇所につき、部品代と工賃の合計で「2万円〜」の費用がかかります。
また、一体式の場合はダストブーツやマウントラバー、バンプストップラバーといった付随する部品の劣化も考えられるので、同時交換することが多いです。
その場合は「3.5万円〜」の費用がかかります。
一方で、軽自動車やコンパクトカーのリヤのサスペンションに多く採用されている、ショックアブソーバー単体で交換できるタイプの場合は、1箇所あたり部品代と工賃の合計で「1万円〜」の費用がかかります。
ショックアブソーバー交換の際は他の部品もチェックしてみよう
ショックアブソーバーは、紹介した劣化の症状が出ていない場合、メンテナンス・予防整備として交換される例は少ないです。
一方で、交換の必要が出てくるタイミングだと、車の年数が経過して古くなっていたり、走行距離が伸びていることが多く、ほかの部品にもガタが出てきている可能性があります。
ショックアブソーバーの交換をおすすめされたときには、トータルで車の健康状態を判断して、乗り換えを検討する良いタイミングかもしれません。
また、ショックアブソーバーを交換してまだまだ乗る場合は、悪い所だけを交換するのではなく、最低限左右共に交換してバランスが悪くならないようにすることをおすすめします。
- Supervised by 整備士 ヒロ
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保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。