この記事の目次 CONTENTS
ハッチバックとは、ボディ形状を分類するための用語
ハッチバックのメリットとデメリット
ハッチバックはこんな人におすすめ
ハッチバックおすすめ中古車3選

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ハッチバックは積載性が高いボディ形状で人気だ。どんな種類の車を選べいいか分からない方に向けハッチバックの特徴やおすすめの中古車を自動車専門家が解説します。購入の検討材料にしてください。

ハッチバックとは、ボディ形状を分類するための用語

ハッチバックとは、クルマのボディ形状を表す用語のひとつである。他にはセダンやミニバン、ワンボックス、ツーボックス、クーペ、ステーションワゴンなどがある。

ハッチバックの形状は、主にコンパクトカーに使用されている。バックドアが跳ね上げ式になっていて、後席と荷室が一体になった車室になっているモデルのことだ。ちなみにハッチバックの由来は、「船のハッチのような形状が後ろにある」ことから名付けられている。

だが、「跳ね上げ式のバックドアを持っている=ハッチバックと呼ぶ」とは限らないのが難しいところだ。特に区別しにくいのが、ステーションワゴンである。共通点は荷室と一体化された車室と、跳ね上げ式のバックドアだ。異なるのは、ステーションワゴンの場合、ハッチバックよりも荷室がさらに広く、ルーフも長くなっているところだ。自動車メーカーの中には、ハッチバックを「ショートワゴン」、「ファストバック」などと呼ぶ場合もある。

代表的なハッチバックモデルは、国産車だとトヨタ カローラスポーツ、ホンダ シビック、輸入車ではフォルクスワーゲン ゴルフなどが挙げられる。

 

ハッチバックのメリットとデメリット

ハッチバックのメリットは、荷物などの積載性にある。セダンは固定されたリヤウインドウの後方にトランクがあり、上方のスペースが無い。
対するハッチバックは、バックドアとリヤウインドウが一体化されている。高く跳ね上がるので、上方のスペースも荷室として使用可能だ。さらに、荷室と車室が一体化されているので、リヤシートを前方に倒せばさらに広い荷室になる。使い勝手がよいのが特徴だ。

ハッチバックのデメリットは、それほど気になる部分はない。強いて挙げるなら、セダンと比べると静粛性が若干劣る程度だ。
ハッチバックは荷室と車室が一体化されているため、リヤサスペンションの取り付け部分も車内にある。そのためロードノイズなどの騒音が入りやすい。対するセダンは、サスペンションの取り付け部分がトランク内にあり、車室と荷室が分割されているため、やや遮音効果が高い。

使い勝手に優れたハッチバックだが、中にはデザイン性を優先し荷室が狭いモデルも存在する。荷室を重視するのであれば、頻繁に積むような荷物がしっかり積載可能かチェックしておきたい。

ハッチバックはこんな人におすすめ

ハッチバックは積載性が良く、使いやすい。日常的に買い物をする機会が多い人におすすめといえる。
また、ボディサイズのラインナップやシートのアレンジも幅広い。そのため、使い勝手に加え、「運転が不安なので小型がいい」「週末のレジャー用にフルフラットにシートアレンジができるのがいい」など、様々な希望に沿った選び方が出来る。

 

ハッチバックおすすめ中古車3選

ベスト1 マツダ アクセラスポーツ

マツダ アクセラ

アクセラがおすすめの理由は、気持ちよい走りと低燃費を両立したディーゼル車があるからだ。
3代目マツダ アクセラは、2013年に登場し2019年まで発売されたCセグメントのハッチバックだ。アクセラのハッチバックはスポーツと呼ばれ、別途セダンも用意されている。

アクセラスポーツは、マツダのデザインテーマ「魂動デザイン」が採用され、ユニークで躍動感があるのが特徴だ。
躍動感は、デザインだけでなく走行性能にも表れていた。シャープなハンドリングでキレのあるスポーティな走りを披露している。

優れた走行性能の象徴的なグレードが、2.2Lディーゼルを搭載したXD系だ。2.2Lディーゼルの出力は、175ps&420Nmである。420Nmという大トルクは、ガソリン車にすると4.2L級だ。これほどの大トルクを全長4,470mmというコンパクトなボディに積んでいるので、その速さはスポーツカー並である。それでいて、燃費は19.6km/L(FF、JC08モード)と優秀だ。燃料もガソリンより約20円/L前後も安価な軽油なので、ガソリン高騰時代には財布にも優しい。

420Nmもの大トルクはかなり強力なので、4WD車であればより安心して走ることが可能だ。しかし中古車流通量はとても少ない。

グレードは、装備が充実したプロアクティブか、レザーシートを装備した豪華仕様のLパッケージがおすすめだ。

2017年式マツダ アクセラスポーツXD Lパッケージの中古車相場は、およそ150~190万円である。一部のファンに支えられていて、ディーゼル車はやや高値傾向だ。新車価格は約310万円だったので、新車価格の約48~61%になっている。中古車を170万円以下程度で購入できるなら、買い得感が出てきている。

ベスト2 フォルクスワーゲン ゴルフ7

フォルクスワーゲン ゴルフ7

フォルクスワーゲン ゴルフは、ハッチバックの代名詞的な存在である。「ハッチバックといえばゴルフ」と言われるほどだ。
今回おすすめするのは、1世代前のゴルフ7だ。2013年にデビューし2021年まで販売されていた。

ゴルフ7は、MQBという新世代プラットフォームを採用し、運動性能を飛躍的に伸ばした。現行のゴルフ8にも、ゴルフ7と同じMQBの改良型が採用されている。
もちろん、進化版のMQBを採用したゴルフ8の方が新型車なので、総合力は上回る。しかし、モデル後期のゴルフ7は、最新のゴルフ8とそれほど大きな差を感じさせないくらい、完成度が高い。

エンジンは年式により若干異なるものの、大別すると1.2L、1.4Lガソリン、モデル後期に投入された2.0Lディーゼルの3種類だ。なかでも燃費が良く力強いディーゼルはおすすめできる。ガソリン車は燃費は良いものの、ハイオク仕様なので、燃料経済性ではややマイナスといえる。

ガソリン車ならば、1.4L車がおすすめだ。1.2L車は、リヤサスペンションにコストダウンされたタイプが使われているため、荒れた路面だと1.4L車より少しゴツゴツ感のある乗り心地になる。

ゴルフは、Cセグメントのコンパクトカーだ。このクラスは、欧州を中心に車種も多く激戦が繰り広げられている。そんな中、ゴルフは世界中の自動車メーカーがベンチマークにするほどの実力車である。ゴルフ7の2013-2014日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞は、輸入車初の快挙だった。クルマ好きであれば、一度は乗ってみるべきハッチバックといえる。

ゴルフ7の中古車価格は、2017年式の1.4Lを搭載したハイラインで140~200万円が相場だ。ハイラインの新車価格は330万円位なので、新車価格の42~61%まで価格が落ちている。新車価格の約50%である170万円までなら、まずまずの買い得感といえる。特にディーラー系中古車店は高値傾向だ。

ベスト3 2代目日産リーフ

日産リーフ ボディ画像(2代目)

リーフがおすすめの理由は、中古価格が安い電気自動車だからだ。
初代日産リーフは、世界初の量産EV(電気自動車)として2010年にデビューし、2017年に2代目が登場した。

  バッテリー容量 航続距離 出力
2代目リーフ 40kWh 322km(WLTCモード) 150ps&320Nm
リーフe+ 62kWh 458km 218ps&340Nm

2代目リーフは、デビュー時からかなり力強いモーターを装備した。
そして、2019年に登場したリーフe+は、それぞれの数値が飛躍的に向上している。

2代目リーフの走りは爽快だ。モーターは、アクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発生する。そのため、アクセルをグッと踏み込めば、体がシートバックに押し付けられるような加速Gを発生させて怒涛の加速を開始する。モーター駆動なので、滑らかさや静粛性は非常に高く、EVらしさを感じる瞬間でもある。
EVのユニークポイントのひとつは、大きく重いリチウムイオンバッテリーを床下に搭載している点だ。このクラスのガソリン車と比べると明らかに重心が低く、カーブでも非常に安定している。

燃費の経済性も抜群だ。夜間割引の電力で充電すれば、ガソリン車より圧倒的に安価なランニングコストを誇る。戸建ての自宅で太陽光発電する専用の機器があれば、日中の不在時に太陽光発電した電力でリーフを充電し、夜間にリーフから電力を取り出し家の電力とすることも可能である。

近年世界中の自動車メーカーは、カーボンニュートラルを目指し急速にEVへシフトしている。いずれEVばかりになるのであれば、一足先にEVを生活の中に入れ色々と試してみるのもよい。
リーフの中古車は非常に安価なので、EVを試しやすい。新車購入時には補助金が出るものの、中古車の買い得感には及ばない。リーフは、中古車で買うのがおすすめだ。

EVの懸念点として、航続距離や急速充電器を挙げる人も多い。しかし、急速充電器は日産ディーラーほぼ全店に設置され、公共の充電器もかなり増えている。出先での充電への不安はほとんどなくなった。
航続距離は、リーフe+なら458km(WLTCモード)も走る。これだけ走行できれば、1日の走行距離が7~800kmを超えなければ十分である。高速道路での移動ならば、トイレや食事休憩時などに少しでも継ぎ足し充電すれば、長距離走行もそれほど苦にならない。

2代目リーフのおすすめグレードは、航続距離の長いe+だ。
2020年式の中古車価格は、e+の上級グレードGで約300~340万円だ。新車価格が約470万円なので、新車価格の64~72%である。わずか2年落ちという、ほぼ新車状態の中古車が、新車価格から130~170万円も安くなっているのはかなりお買い得だ。

40kWhのリーフで最上級グレードのGなら、さらに買い得感がある。2018年式の中古車価格は、190~240万円だ。新車価格が約400万円の48~60%にまで落ちている。新車価格の50%程度以下の価格のモデルは狙い目だ。