この記事の目次 CONTENTS
ジムニーとシエラの特徴-世界的に貴重なオフローダー
ジムニーは軽自動車、シエラは普通車
ジムニーは660㏄、シエラは1.5Lエンジンを搭載
走行性能の差は、安定感のあるシエラが優勢
ジムニー、シエラは硬派なクルマ。必ず試乗して決めたい
ジムニー、シエラの納期は長期化

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

スズキの人気車種であるジムニーとジムニーシエラ。新車、中古車ともに人気が高い両車の違いを解説。購入前の検討材料にして欲しい。

ジムニーとシエラの特徴-世界的に貴重なオフローダー

2018年にフルモデルチェンジしたジムニー

ジムニー

スズキ ジムニーは、スズキにとって歴史あるモデルのひとつだ。
初代ジムニーは1970年にデビューした。当時、軽自動車で唯一の四輪駆動車だった。その後モデルを重ね、現行のジムニーは4代目である。

ジムニーは、モデルサイクルが非常に長い。初代ジムニー誕生からすでに50年以上経過しているが、いまだ4代目である。4代目ジムニーは、2018年に20年振りとなるフルモデルチェンジが行われた。

小回りの利くオフローダー、ジムニーシエラ

ジムニーシエラの車両画像

対するジムニーシエラは、1977年に発売された0.8Lの「ジムニー8」を原点とする小型車だ。

本格的なオフローダーは、比較的ボディサイズも大きいモデルが多い。しかし、狭い林道や道なき道を走る場合、大きなボディサイズでは走りにくい。そんな場所では、ジムニーとシエラのようなコンパクトオフローダーが活躍するのだ。
コンパクトな車体による取り回しの良さなどにより、様々な作業現場や山間部、積雪地の重要な交通手段として活用されてきた。ジムニーでしか行けない場所もあるのだ。
こうしたニーズから、ジムニーとシエラは、国内外問わず高く評価され続けてきた。

結果、全世界194の国と地域で大人気を得ている。世界累計285万台を販売し、日本が世界に誇る唯一無二のコンパクトオフローダーとなった。
近年では、高い評価がブランドと化している。趣味やライフスタイル的にジムニーやシエラを選ぶ顧客が増えている。

ジムニーは軽自動車、シエラは普通車

ジムニーとシエラの大きな違いは、ボディサイズである。
端的に言えば、ジムニーは軽自動車で黄色のナンバー、シエラは普通車で白ナンバーになる。

ボディサイズは以下の通りだ。

  全長×全幅×全高 ホイールベース
ジムニー 3,395mm×1,475mm×1,725mm 2,250mm
ジムニーシエラ 3,550mm×1,645mm×1,730mm 2,250mm

シエラはジムニーをベースとしたモデルだ。オーバーフェンダーや大型化された前後のバンパーでボディサイズが変更されている。
オーバーフェンダーとなったことで、前後のトレッドもワイド化されている。タイヤサイズもジムニーの175/80R16から、シエラは195/80R15とワイドになった。ほぼ外装パーツによるボディサイズの変更なので、室内スペースやインパネデザインはジムニーと共通だ。

シエラのデザインは、オーバーフェンダーになりワイドになったことで安定感が増している。カッコ良さではシエラが上回る。

経済性では軽自動車であるジムニーが勝る。普通車のシエラより税金などが安価なので経済的だ。

ジムニーは660㏄、シエラは1.5Lエンジンを搭載

搭載されたエンジンは、大きな差が生じている。

  排気量 エンジン 出力 燃費
ジムニー 660㏄ 直3ターボエンジン 64ps&96Nm 16.2㎞/L
ジムニーシエラ 1.5L 直4エンジン 75ps&130Nm 15.0㎞/L

軽自動車のジムニーに対し、シエラは普通車なので排気量は一気に増え、出力もかなりパワフルになっている。
燃費はややジムニーが優れている。(双方5MT、WLTCモード)

走行性能の差は、安定感のあるシエラが優勢

ジムニーとシエラの走行性能は、少し違いがある。
以下は両車の「トレッド」という、左右のタイヤ接地面中心間の距離だ。

 
ジムニー 1,265mm 1,275mm
ジムニーシエラ 1,395mm 1,405mm

シエラはボディサイズがワイドになり、トレッドもワイドになっている。オーバーフェンダー化によるものだ。

トレッド(左右のタイヤ接地面中心間の距離)が長い方が、カーブなどでの安定感が増す。
そのためトレッドの長いシエラは、ジムニーよりも安定した姿勢でカーブを曲がることができる。また、ワイドトレッド化した分、横転リスクもシエラの方が低い。

排気量による差もある。最大トルクはジムニーが96Nm、シエラは130Nmだ。この差は大きく、低速域での力強さはシエラが上回る。高速道路でのクルージングでも、ジムニーと比べるとシエラは余裕がある。

エンジンのフィーリングはジムニーの方がよい。スムースでよく回る。MTを駆使してガンガン回して走ると、それなりに気持ちよく走る。シエラのエンジンはやや眠たく、あまり高回転まで回したくなるようなタイプではない。

ジムニー、シエラは硬派なクルマ。必ず試乗して決めたい

最近では、ジムニー、シエラの世界観に共感して購入した顧客も多い。しかし、ジムニーとシエラは、かなり特殊なクルマだ。あくまでも悪路を走るために特化したモデルで、誰にでも合うわけではない。

実際に試乗してみると分かるが、明らかに静粛性・乗り心地・燃費では、最近の軽自動車に負けている。オンロードでは、扱いにくさの方が気になるのだ。イメージだけで買うと痛い目にあうので、必ず試乗してから選びたい。

 

ジムニー、シエラの納期は長期化

スズキの人気車種であるジムニーとシエラ。共に人気車種ということもあり、発売当初は新車の納車は2年待ちという予想を上回る注文が入っていた。2022年現在も人気は変わらないなか、半導体不足による全体的な納期遅れが続いている。ジムニー、シエラ共に新車の納期は約1年だ。また、中古車市場も新車の供給が遅れていることも相まり需要が高まっている。中古車で気になる車種があるなら早めに問い合わせや入荷情報を知らせてもらうようにすることをおすすめする。