スバルWRX S4新旧比較 フルモデルチェンジで走行性能が魅力!

自動車ニュース / ガリバー

2021.12.29

スバルWRX S4新旧比較 フルモデルチェンジで走行性能が魅力!

※本記事内に安全装備への言及がありますが、安全装備には作動条件や限界があります。機能を過信せず、安全運転を心がけましょう。

スバルWRX S4新旧比較

2021年11月にフルモデルチェンジにより、2代目となったスバルWRX S4。初代と比べ走行性能面でもより、パワーアップした印象を受ける。今回は初代と2代目WRX S4の違いを価格・内外装デザイン・性能面で比較をした。また、未だに根強い人気のある初代の中古車価格や新車の値引き市況感についても考察したので購入の検討材料にして欲しい。

この記事の目次 CONTENTS
スバルWRX S4の歴史・概要
コンセプト&エクステリアデザイン
インテリア&安全装備
走り、メカニズム
おすすめは初代WRX S4か? それとも新型WRX S4か?
新車値引き交渉のポイント
スバルWRX S4 価格・スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

スバルWRX S4の歴史・概要

より扱いやすく走りも楽しいスポーツセダンへ

初代スバル WRX S4 初代スバル WRX S4

初代スバルWRX S4は、2014年に投入された。従来、インプレッサWRXと呼ばれていたが、このモデルからWRXとなっている。

WRX STI 初代WRX S4
特徴 モータースポーツも視野に入れていた ストリート向けのスポーツモデル
トランスミッション マニュアルミッション CVT
エンジン EJ20型 FA20型
4WD機能 マルチモードDCC方式AWD VTD-AWD

STIの4WD機能は、マルチモードDCC(ドライバーズコントロールセンターデフ)方式AWDを採用している。後輪側によりトルクを分配するタイプのAWD機能に加え、路面状況やカーブなど、ドライバーの好みで前後の駆動配分を細かく設定することが可能だ。
対するS4はVTD-AWDを採用した。このAWDも後輪寄りのトルク配分となるが、マルチモードDCCほど細かな設定や制御などはされていない。

速く走るためのパフォーマンスでは、STIがおすすめ出来る。ただし、STIはレーシングマシンを公道で走らせるようなものだ。一般道での通常走行では、乗り心地や静粛性、使い勝手などでマイナス面も大きい。日常も扱いやすく快適で、いざという時にはSTIに近い楽しい走りができるモデルがS4だ。

二代目スバル WRX S4 二代目スバル WRX S4

2代目WRX S4は、2021年11月に登場した。先代モデルと同じく、日常使いでも不満なく使えるスポーツセダンとしての価値を磨いている。
新型WRXS4は、スバル最新のプラットフォームであるSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用し、走行性能を大幅にアップした。
エンジンの排気量もFA20型2.0Lターボから、FA24型2.4Lターボへアップした。最高出力は、燃費や排ガスの問題もあり300psから275psへとダウンしているものの、非常に扱いやすくなっている。
VTD-AWDも継続採用されている。制御は新開発され、初代WRX S4とは全く違うトラクション性能を発揮している。よりコントローラブルになり、走る楽しさも大幅にアップした。

コンセプト&エクステリアデザイン

大人っぽい初代。分かりやすいアグレッシブなデザインの2代目

初代スバル WRX S4の外観 初代スバル WRX S4の外観

初代スバルWRX S4のコンセプトは「Pure Power in Your Control」だ。スポーツ性能を中心として、安全性能や環境性能、上質な乗り心地などが向上している。ハイパフォーマンスカーでありながら、乗り手を選ばないスバルの万能型スポーツセダン像を追求した。

初代スバル WRX S4のフロントフェイス 初代スバル WRX S4のフロントフェイス

初代WRX S4は、スバルのデザインアイコンであるヘキサゴングリルを中心に、スポーツセダンらしいアグレッシブな顔にまとめられている。彫りも深く押出し感もある。ボンネット上に大きく開いたインタークラー用ダクトも、スバルスポーツモデルの象徴だ。そして、ブリスターフェンダー的なフロントフェンダーが、さらに迫力をアップさせている。

初代スバル WRX S4のリヤエンド 初代スバル WRX S4のリヤエンド

リヤビューもなかなかクルマ好きのツボを押さえたデザインだ。ディフューザー一体型のリヤバンパーで、レーシーなリヤビューを創り出している。

二代目スバル WRX S4の外観 二代目スバル WRX S4の外観

2代目WRX S4は「Fun to Driveを極める」が開発テーマだ。

二代目スバル WRX S4のフロントフェイス 二代目スバル WRX S4のフロントフェイス

フロントフェイスは、ワゴンモデルのレヴォーグとほぼ同じだ。ヘキサゴングリルを中心にエッジの効いたラインで、彫りの深い顔にまとめられている。ボトム部のデザインは、レヴォーグとやや異なる。

サイドビューは、樹脂製のフェンダーガードのようなデザインが施された空力テクスチャを装着し、優れた空力特性を得た。

二代目スバル WRX S4のリヤエンド 二代目スバル WRX S4のリヤエンド

リヤビューは、初代のディフューザー風のデザインをさらに強烈にした。マフラーも左右4本出しだ。やや、やり過ぎた感もあるが、レーシーなテイストをもつ。デザインコンセプトは「Aggressive」である。
2代目WRX S4のデザインは、デザインテーマ通りかなりアグレッシブだ。中高年のユーザー的には、少々派手さがあり敬遠されるかもしれないが、分かりやすいデザインである。
初代WRX S4は大人っぽくまとめられている。2014年登場モデルだが、古さは感じさせない。

インテリア&安全装備

先進技術で圧倒する2代目

初代スバル WRX S4のインパネ 初代スバル WRX S4のインパネ
初代スバル WRX S4のメーター 初代スバル WRX S4のメーター

スバルWRX S4の初代と2代目のインパネデザインを比べると、一目瞭然で2代目WRX S4が勝る。

二代目スバル WRX S4のインパネ 二代目スバル WRX S4のインパネ
二代目スバル WRX S4のメーター 二代目スバル WRX S4のメーター

2代目には、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムや12.3インチフル液晶メーターなど、視認性や先進性に優れた装備が用意されている。
対する初代WRX S4はオーソドックでシンプルなデザインながら、先進性という部分では2代目に敵わない。
初代の後期に設定されたSTIスポーツは、レカロシートなども装備され、質感も高く満足できるレベルに達している。2代目もレカロシート仕様がSTIスポーツにオプション設定されている。

初代スバル WRX S4のフロントシート 初代スバル WRX S4のフロントシート
初代スバル WRX S4のリヤシート 初代スバル WRX S4のリヤシート
初代スバル WRX S4の荷室 初代スバル WRX S4の荷室

安全装備は、もはや比べ物にならない。2014年に登場した初代WRX S4が勝る部分は皆無だ。これは仕方のないこと。ただ、初代もアイサイトver.3なので、今でも十分なレベルの予防安全装備と運転支援機能をもつ。

二代目スバル WRX S4のフロントシート 二代目スバル WRX S4のフロントシート
二代目スバル WRX S4のリヤシート 二代目スバル WRX S4のリヤシート
二代目スバル WRX S4の荷室 二代目スバル WRX S4の荷室

2代目WRX S4の予防安全装備である新世代アイサイトは、360°センシングを実現した。自動ブレーキは、歩行者と自転車に対応している。交差点での右左折時や、見通しの悪い場所での出会い頭の衝突回避も支援する。
さらにアイサイトXは、システムが条件(高速道路上で50km/h以下など)を満たしたと判断した場合、ドライバーはハンズオフが可能になる。ドライバーの疲労を大幅に軽減してくれる。ちょっとした自動運転のような感覚がある運転支援機能だ。

走り、メカニズム

とにかく乗りやすく速い新型。パンチのある加速力の先代

走行性能面でも、2代目スバルWRX S4が先代を大きく上回る。この差を生み出した要因は、大きく分けて3つある。

  1. エンジン
  2. 高剛性化
  3. AWD制御
初代スバル WRX S4のエンジンルーム 初代スバル WRX S4のエンジンルーム
二代目スバル WRX S4のエンジンルーム 二代目スバル WRX S4のエンジンルーム

1つ目はエンジンだ。
新型には2.0LのFA20型をボアアップし、改良を加えた2.4L FA24型が搭載された。新型WRX S4の出力は275ps&375Nmだ。先代の出力が300ps&400Nmである。新型は、排気量はアップしているのに、出力が落ちている。しかも、新型は車重も約60kg重くなっているので、パンチの効いた加速力では先代が勝る。
出力が下がっているのは、主に燃費や排ガスなどの環境性能が要因だ。その結果、新型の燃費は約8%アップし11.0km/L(WLTCモード)となっている。
パワーダウンしたFA24型だが、走行フィーリングは、先代を圧倒する。とにかく、アクセル操作に対するレスポンスがよい。先代モデルは、アクセルをポンと戻し踏み込んでも、わずかな時間だがクルマが反応しないことがある。速く走ろうとすると、そのターボラグによる反応遅れを見込んで少し早めにアクセルを踏むことが必要だった。
新型WRX S4のFA24型ターボでは、ターボチャージャーを新開発した。緻密な過給圧制御ができるようになり、とくに低速域でのレスポンスが大幅に向上している。排気量が400cc増えたことで、過給が始まる前のトルクも増えている。よりレスポンスがよく感じ扱いやすい。ターボ車ながら高回転域まで気持ちよく回るエンジンだ。

2つ目の走りの差はボディの高剛性化だ。
プラットフォームには、スバル最新のインナーフレーム構造を採用したSGPを使用している。これによって、ボディ剛性(静剛性)は+28%向上した。
この高剛性ボディに合わせ、サスペンションを先代比フロントで+5%、リヤで20%ロングストローク化した。結果、路面追従性が向上し、乗り心地や操縦安定性もアップしている。この他多岐にわたる改良で、新型WRX S4は快適な乗り心地を維持しながら、切れ味鋭いハンドリング性能を得ている。ステアリング操作に対して、クルマの反応は早く想定ラインを確実にトレースする。
とくに、ZF製電子制御生ダンパーは秀逸だ。減衰力をコンフォート、ノーマル、スポーツの3段階でコントロールすることが可能だ。レヴォーグにも採用されているこのダンパーを、WRX S4専用に減衰力をアップするなど制御幅も拡大されている。
こうした仕様により、新型WRX S4は街乗りでの快適性を担保しながら、サーキットまで走行シーンを選ばないフットワークを得た。

3つ目の走りの差は、AWD制御だ。
AWDシステムは、先代同様VTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)を採用している。イニシャルトルクは、前45:後55。後輪側により多くトルクを配分することで、スムースなハンドリングを生み出している。トルク配分は、走行状況に応じて、連続可変制御することで最適なトラクションを得ることができる。
VTD-AWDは先代と同じだが、制御は新開発された。この制御のテイストが大きく異なるのだ。先代は、リヤが滑り出すとゴリゴリとフロントにトルクを配分し、滑りを止めトラクションを最大化しようとする。これはこれで正解だ。トラクションがしっかりとかかるので速い。
対する新型WRX S4は、リヤが滑り出してもあまりフロントにトルクを配分しない。そのため、そのままアクセルを踏み続けていると、リヤの滑りは止まる感じがない。ノーズがグリグリとイン側に入っていく。カウンターステアをあてながらカーブを抜けていく。AWDなのにFRのような走りをみせるのだ。しかも、滑り出しは穏やかでコントローラブルで、さらに安定感も抜群だ。軽快感や車体をコントロールする幅は、完全に新型WRX S4が上回る。
また、ミッションはCVTであることに変わりはないが、制御は別物だ。アクセル操作に対してダイレクト感もアップし、レスポンスも向上している。よくできた8速ATのようだ。
このように、新型WRX S4の走行性能は大幅に先代を超えている。ドライバーの能力を問わず、より多くの人が走りを楽しめる懐の深さを感じた。まさに、走る場所を選ばないオールマイティなスポーツセダンに進化している。

おすすめは初代WRX S4か? それとも新型WRX S4か?

すべてで圧倒する新型。スポーツセダンらしさと価格は初代の魅力

新型スバルWRX S4と先代を比べると、圧倒的大差で新型が勝る。ほぼすべての面で先代は新型に太刀打ちできないレベルだ。これは、仕方のないことでもある。

だが、好みの部分も含め、先代WRX S4で評価したいポイントもいくつかある。そのひとつがデザインだ。先代WRX S4のデザインは意外とスッキリとしていて、あまり古臭さがない。中古車を買っても、クルマに詳しくない人から見れば、先代モデルであることを感じさせないレベルにある。
先代はエンジンの瞬発力も魅力的だ。絶対的なパワーは先代が上回り、車重も軽いからだ。少しターボラグを感じるものの、ブースト圧が高まると爆発的なパワーで車体を加速させる。いかにもターボ車らしい加速が好きな人に向く。

残念な点は、先代WRX S4の中古車価格が意外と高いところだ。根強いファンが多いことや、中古車流通量が少ないことで、セダンモデルだが高値を維持している。
ビルシュタイン製ダンパーを装備した先代WRX S4の初期モデル2.0GT-Sアイサイトの中古車相場は、2014年式で約200~250万円だ。新車価格が356万円だったので、新車価格の30~44%しか安くなっていない。この年式でこれだけ高価だと、少々悩みどころだ。だが新型WRX S4の価格は約400~477万円なので、初代を中古車で買うと200万円以上安価に買える。
2018年に登場した先代WRX S4の最上級グレードとなるSTIスポーツアイサイトの中古車相場は、2019年式でおおよそ330~410万円とやや幅が広い。新車価格が409万円なので、安価な価格帯の車両でも新車から約20%しか安くなっていない。走行距離が少なく新車に近いレベルの車両だと、もはや新車並みの価格だ。中には新車価格越えの車両もある。こうなると、多少プラスすれば新型WRX S4の最上級グレードまで狙えるようになる。

ただ、この中古車価格の高価格がいつまでも続かないと予想できる。新型WRX S4は、まだ登場したばかりだ。これから下取りに入った先代が徐々に中古車マーケットに流通してくるだろう。また、高価格帯の先代WRX S4も新車価格との差が少ないため、このままでは売れなくなる可能性が高い。中古車価格を引き下げるしかないだろう。
こうした傾向がしばらく続けば、半年もすれば先代WRX S4の中古車価格も下がってきて、少しは買い得感も出てくる。先代モデルの中古車を購入するのは、しばらく様子を見てからがよい。

新車値引き交渉のポイント

マニアックなモデルなので、輸入中古セダンと競合もあり

2021年12月現在、新型のWRX Sは登場したばかりなので値引きはゼロベースだ。しかし販売車数が多いクルマではないので、半年もすれば値引き対応が始まるだろう。

新車値引きで重要なのは、ライバル車と競合させることだ。異なるメーカーのライバル車それぞれの見積りを取り、比較検討することが重要である。こうすることで、営業マンはライバル車に顧客をとられないように、値引き対応に出るしかなくなる。

だが、人気カテゴリーだとライバル車は多く存在するものの、人気のないセダンは競合させるモデルがないこともある。この新型スバルWRX S4もそんな車種だ。直接的なライバル関係にあるセダンは、国内にはほぼ無いと思っていいだろう。比較的キャラが似たモデルとしては、ホンダ シビックタイプRがある。これもかなりマニアックなモデルで指名買いがほとんどなので、競合させるには微妙なモデルだ。
指名買いになると、売り手が圧倒的に有利になる。「値引きしなくても買ってくれる」客になってしまうからだ。

新型WRX S4の場合、国内にライバル車がいないので、国産車ではなく輸入車に目を向けてみるのもよい。ただし輸入車は高価なので、中古車と競合させると良い。「あくまで欲しいのは輸入車セダンだが、新車は高いので中古車を探している。ただ、予算内で買える新車も検討してみたい」といった感じで商談するといいいだろう。

ライバル車にしたいのは、新型WRX S4と同じCセグメントのスポーツモデルであるフォルクスワーゲン ゴルフRや、アウディS4だ。ただし、こうしたモデルは、中古車流通量が極端に少ない。
そこで、1クラス上のモデルになるが、スポーツセダンの代名詞でもあるBMW3シリーズを加えるのもよい。3シリーズは中古車市場に多く流通しているので競合車を探しやすい。新車価格は600万円程度のクルマだが、中古車になるとかなり安価になり、中古車相場は2019年で400~500万円というところ。新型WRX S4とほぼ同等の価格帯になる。

新型WRX S4は簡単に売れるモデルではないので、じっくりと上記の輸入中古車と競合させて値引きを引き出したい。
値引きで重要なのは納期だ。中古車は必ず現車があり、すぐにでも登録が可能だ。しかし、新車は在庫車が無い状態ならば、生産して手元に来るまで早くても1ヶ月程度はかかる。しかも、現在はコロナ禍で半導体不足や部品不足で納期が遅れがちだ。そこで「長期間待つのなら、やっぱり輸入中古車かなぁ」といったトークも入れ「支払い面で頑張ってくれるのなら新型WRX S4もありかな?」と値引きをダイレクトに要求するのもおすすめだ。

スバルWRX S4 価格・スペック

スバルWRX S4価格

(通常) EX
GT-H 4,004,000円 4,389,000円
STI Sport R 4,389,000円 4,774,000円

スバルWRX S4スペック

代表グレード スバルWRX S4 STI Sport R EX
全長×全幅×全高 4,670mm×1,825mm×1,465mm
ホイールベース 2,675mm
最小回転半径 5.6m
タイヤサイズ 245/40R18
車両重量 1,600kg
駆動方式 AWD
エンジン FA24型2.4L 直列4気筒直噴ターボ
最高出力 202kW(275)/5,600rpm
最大トルク 375,195N・m(38.2kgf・m)/2,000~4,800rpm
燃料消費率(WLTCモード) 10.8km/L
サスペンション形式(前:後) ストラット:ダブルウィッシュボーン