スバルは、スポーツセダンであるWRX S4を改良し8月3日より発売を開始する。

CVTを採用し走りを極めたスポーツセダン


スバルWRX S4は、2014年にデビュー。WRXシリーズには、6速MTのみで走行性能に特化したスポーツセダンWRX STIが存在する。かなりパフォーマンスの高いモデルだが、MTのみの設定ということもあり、AT限定で免許を取得しているなど家族間での利用を考えると買うことができないという顧客も多い。これは、スバルがツインクラッチのATやスポーツ系のATを持たないことが理由のひとつ。ATモデルのスポーツセダンが欲しいというニーズは昔からあった。

そこで登場したのがWRX S4ということになる。ただし、単なるSTIのCVT版ではなく、日常での使い勝手を維持しながら、STIに近いパフォーマンスを持たせた。

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レヴォーグのセダンバージョンともいえるS4

S4は、STIに近いというよりは、レヴォーグのセダン版となる。トランスミッションは、レヴォーグの2.0Lと同じCVTが採用された。
搭載されたエンジンは、STIのように名機EJ20型ではなく、レヴォーグと同じFA20型になる。出力もSTIは308ps&422Nmなのに対して、S4は300ps&400Nmとなる。

快適性と静粛性をさらにアップし上質な乗り心地に


スバルWRX S4今回の大幅改良では、STIとは明確に異なる方向性に舵を切っている。日常での快適性を上げるために、静粛性や乗り心地を向上させ、大人のスポーツセダンに仕上げた。

サスペンションのダンパーやスプリング、スタビライザーのセッティングを変更。上質な乗り心地を重視した。また、電動パワーステアリングも改良。より、スッキリとしたステアリングフィールとしている。

また、静粛性を高めるために、各所に振動騒音対策を行った。フロントとリヤのドアガラスの板厚アップ、サイレンサー面積・板厚のアップ、フロントレール空洞部に発泡剤追加などが行われた。こうした改良により、S4はより静粛性の高いスポーツセダンとなった。

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高級感あふれる装備もプラス

スバルWRX S4内外装も一部変更された。エクステリアは、LEDヘッドランプやフロントグリル、フロントバンパーのデザインを変更した。フロントフェイスは、アンダーグリル部分を大幅にデザイン変更。より大きな台形デザインとして、ワイド感と安定感を強くアピールする。

ディスプレイを大型化し、視認性も向上

インテリアは、おもに高級感を増す変更が行われている。インパネやセンターコンソール、センターパネルをはじめとする各種パネルをより質感の高い素材に変更。ナビゲーションも8インチにし、インパネ中央上部に搭載されていたマルチファンクションディスプレイを5.9インチ大型カラー液晶に変更。視認性を向上させている。

「アイサイト」がさらに進化しツーリングアシストと呼ばれる新機能を追加

スバルWRX S4そして、スバルのウリでもある歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備「アイサイト」が、さらにバージョンアップし、「ツーリングアシスト」が全車に標準装備化された。

ツーリングアシストは、「全車速域追従機能付クルーズコントロール」と「車線中央維持」を組み合わせたもの。0km/h~約120km/hの幅広い車速域で前走車を追従しながら、車線維持をする。アクセル、ブレーキ、ステアリング操作を自動制御する。
こうした機能は他車にもあるが、アイサイトの制御は緻密で、自然なフィーリングとなっているのが特徴だ。この機能がプラスされたことで、渋滞時ドライバーの疲労を大幅に軽減してくれる。
さらに、RAB(後退時自動ブレーキ)も標準装備化。ソナーで障害物を検知。衝突の危険性高い場合には、自動でブレーキが作動する。

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安全装備は、より充実しているものの、やや物足りない部分もある。2.0GTアイサイトには、スバルリヤビークルディテクション(後側方警戒支援システム)/ ハイビームアシスト(自動防眩ルームミラー付)などのアイサイトセイフティプラスがオプション設定となっている。スバルリヤビークルディテクション(後側方警戒支援システム)は、車線変更の度に安全確認ができ、使う頻度の高い安全装備。暗い場所や運転の苦手な女性、視界が狭くなった高齢者などいろいろなときに、クルマがフォローしてくれリスクを軽減してくれる。実用性の高い装備なので、積極的に標準装備化してほしい。他車では、コンパクトカーのデミオでさえ標準装備化している。

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スバルWRX S4の選び方


スバルWRX S4スバルWRX S4の選び方は簡単だ。基本的に2グレードしかない。エンジンとミッションの組み合わせも1つ。装備で選べばいい。2.0GTアイサイト(3,369,600円)と2.0GT-Sアイサイト(3,736,800円)の価格差は約37万円。GT-Sになるとタイヤが225/45R18から245/40R18となり、ビルシュタイン製ダンパー(フロント倒立式)となる。さらに、シートヒーターや大型リヤスポイラー、アイサイトセイフティプラスなどが装備される。

もし、購入後にカスタマイズが前提であるのなら、安価なGTで十分といった印象だが、やはりおすすめはGT-Sになる。これは、アイサイトセイフティプラスをオプション選択しようとすると、セットオプションとなり他の装備までプラスされ高額になってしまうからだ。こうなってしまうと、ビルシュタインダンパーが装備されるGT-Sの方が買い得感が出てくるのだ。

スバルWRX S4のリセールバリューは、WRX STIほどで高くはないが比較的高値となっているモデル。セダン不人気のマーケットということを考えると、かなりイレギュラーなモデルだ。つまり、こうしたモデルには一定のファンが多いということにもなる。なんにせよ、これだけのパフォーマンスをもつモデルが3,369,600円という価格は、かなりコストパフォーマンスに優れる。ただ、今後は単なるガソリン車という面では厳しいだろう。早急に電動化技術の投入が必要だ。

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スバルWRX S4価格


・WRX S4 2.0GT EyeSight 3,369,600円
・WRX S4 2.0GT-S EyeSight 3,736,800円

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。


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