ライター紹介

現役整備士車専門Webライター

太田 りく 氏

所有資格は整備士3級。得意な記事は車の構造やメンテナンス関連。趣味はドライブ。車が好きだったため、車とは関係のない職場から整備工場へ転職。現在は働きながら2級を目指して奮闘中。現場でのリアルな情報を読者の方にお伝えできるよう心がけていきます。

「思ったよりも雪が降ってきて、クルマを動かすことができなくなった」「スリップしてしまい、クルマが壊れてしまった」など、雪道での走行はトラブルがつきものです。
そのような時、事前準備をどれくらいしていたかによって、安全に対応できるかどうかが変わります。
立ち往生しているということは、救助車もなかなか近づけないということ。
雪のなかで長時間過ごす際、最も懸念すべきことは命の危険を伴う一酸化炭素中毒です。
しかし、しっかりと対策を行えば予防できます。

今回は雪のなかで立ち往生した場合に行うべき対応や、事前に備えるべきアイテムをご紹介していきます。

雪で立ち往生した場合に行いたい、3つの対策

雪道で立ち往生した場合は、すぐに助けを求めましょう。
自分の命を守るためにはもちろんですが、自分が立ち往生しているということは、他のクルマも同じ状態になる可能性があるということです。
大雪であれば視界も悪く、道の端に止まっているクルマに気づかないこともあります。
二次災害を起こさないための対応も重要なのです。

ここでは、立ち往生した際に行いたい対策を、3つ紹介していきます。

①ハザード点灯や三角停止版を設置する

クルマを動かすことができないと判断した場合、すぐにハザードを点灯させ、持っていれば三角表示板をクルマから数メートル離れた位置に設置しましょう。
これは、後続車が自分のクルマに気づかず追突しないようにするためです。
雪が降っている場合、視界はかなり悪くなります。
さらに夕方や夜なら、なおさらです。

②ロードサービスに救助を求めたり、ガソリンスタンドに避難する

まずはロードサービスに連絡し、避難できる場所を探しましょう。
近くにガソリンスタンドなどがあれば、ガソリンスタンドに避難させてもらうのがベストです。

できるだけ車内で長時間待機せず、クルマの外で待つようにしましょう。

③最終手段として、警察や消防に救助を求める

ロードサービスにもつながらず、近くにガソリンスタンドなどもない場合は警察や消防に連絡しましょう。
時間が経てば経つほど、状況は悪くなります。
雪はだんだん積もってきますし、ガソリンやバッテリーがなくなればクルマのエンジンもかからなくなります。
そうなれば寒い中待機することになり、凍傷などのリスクもあります。
最悪の状態になるまでに、素早い判断をすることが大切です。

クルマの中は一酸化炭素中毒になる危険性が!必須で行いたい3つの防止策

クルマの中に長時間待機する場合に、最も怖いのが一酸化炭素中毒による死亡事故です。

一酸化炭素とは、エンジンの燃焼行程で発生する気体。
人体にとってとても有害なこの物質は、ごく少量ではあるものの排気ガスに含まれています。
一酸化炭素を吸うと、軽度であれば頭痛や吐き気で済みますが、重度になると痙攣や意識障害を起こして、最悪の場合は死に至ります。

雪の中の立ち往生に多い、一酸化炭素中毒。
どれだけ適切に対処できるかが、生き残るカギとなります。
具体的に、どうすれば一酸化炭素中毒を防止できるのか、予防法をご紹介していきます。

①できるだけエンジンをかけない

最も簡単な方法はエンジンをかけないことです。
雪の中は寒く、暖房をかけたくなるでしょう。
しかし、できれば服や毛布、保温効果の高い非常用ブランケットを使用し、寒さをしのぎましょう。

その他には、近くのガソリンスタンドを探して避難させてもらうという方法もとても有効です。

②マフラー周囲の雪をこまめに取り除く

暖房グッズがなく、どうしてもエンジンをかけなければならない場合はマフラー周辺の雪をこまめに取り除きましょう。
これは、マフラーから出た一酸化炭素を含む排気ガスが雪によって行き場をなくし、クルマの下に潜り込んでエンジンルーム内から車内に入り込むのを防ぐためです。

排気ガスの通り道を外に作ってしまえば、車内に入り込むことを防げるのです。
窓を開けるだけでは、一酸化炭素全てを外に出すことはできません。
必ず雪かきを行いましょう。

雪が止んでいれば積もることがないため、頻繁に雪を取り除く必要はありません。
しかし降り続けているのであれば、またすぐに積もってしまうので、定期的に作業を行うことが大切です。

③エンジンをかけておくなら1時間に1回は換気を行う

マフラー付近の雪を取り除くのはもちろん、1時間に1回は窓を全開にして換気をしましょう。
これは一酸化炭素だけではなく、人が息をすることで発生した二酸化炭素を外に出すという意味もあります。
暖房を内気循環にしているなら、なおさら。
二酸化炭素が増えると、人間は頭がぼーっとして寝てしまう可能性があります。
寝てしまえば雪を取り除く作業ができず、知らない間に車内に一酸化炭素が充満してしまいます。
眠気覚ましの意味も込めて、冷たい風を定期的に取り込み、換気を行うことが大切です。

一酸化炭素中毒以外に注意すべきこととその対応方法

雪のなか立ち往生した際に注意すべきなのは、一酸化炭素中毒だけではありません。
ここでは、一酸化炭素中毒以外に起こりうるトラブルと、その対応方法をご紹介します。

エコノミー症候群を予防するため、手足を伸ばすなどの運動を行う

車内に長くとどまる場合、エコノミー症候群にも注意が必要です。
エコノミー症候群とは、長時間同じ姿勢でいた場合に発症する疾患。
症状としては、足回りのはれや痛みがあります。
血管が詰まることによって起こるこれらの症状ですが、もし心臓周りで起こってしまうと、心臓発作と同様の症状が出ることもあります。

車種にもよるものの、クルマの中は意外と狭く、乗用車であっても足を曲げた姿勢で何時間も動けないケースも多いもの。
そのため定期的に意識して足や手を動かしたり、水分を多めにとったりしましょう。

エンジン切ったまま電気を使用するなら、バッテリー消費に注意

エンジンをかけると一酸化炭素中毒になるからと、エンジンを切ったままラジオやスマホの充電などをしているとバッテリーが上がってしまう可能性があります。
バッテリーが上がると電気が使えなくなるだけでなく、エンジンもかからなくなります。

通常ならバッテリーが上がらないような使用方法でも、バッテリーは寒さに弱いため、雪のなかでは上がる可能性があります。
そのため、電気の使用もできるだけ控えましょう。
もし使いたい場合は、一酸化炭素中毒に注意しながらエンジンをかけて充電をしながら行うとよいでしょう。

アイドリング時のガソリン消費は1時間当たり約780cc

アイドリング状態の場合、1時間あたり約780cc程度の燃料を消費します。
一般的な軽自動車の燃料タンクは約30ℓ、普通自動車なら50ℓです。
つまり満タン状態であれば、1日はアイドリング状態のままいることが可能です。
この数値をもとに、燃料タンクの残量を見ながらアイドリングを行いましょう。

ただし、車種や年式、エアコン使用の有無などによって数値は変わるので、目安程度に考えておくことが大切です。

立ち往生した場合に備え用意しておきたい便利グッズ

冬場のドライブをする場合は、出発時に雪が降っていなくても、非常事態のために便利グッズを用意しておくようにしましょう。
ここでは、立ち往生時にあると便利なグッズをご紹介します。

タイヤチェーン・ブースターケーブル

タイヤチェーンやブースターケーブルは、雪道の走行やバッテリーが上がった際に役立ちます。
雪がたくさん降っていた場合、スタッドレスタイヤでは不十分。
スタッドレスタイヤに、タイヤチェーンをかけて走行する方が安全です。

冬場は寒さによりバッテリーが上がりやすいため、バッテリーが上がった時に対応できるよう、ブースターケーブルも常備しておくとよいでしょう。

スコップ・長靴・手袋

スコップや長靴、手袋などは、雪のなかで立ち往生した際に使用します。
手で雪かきをするのは困難ですし、現実的ではありません。
小さめのスコップでもよいので、クルマに積んでおけば安心です。

小見出し カイロ・毛布・厚手の上着など暖をとれるもの
立ち往生した際は、一酸化炭素中毒になるのを防止するためにも、なるべくエンジンは切っておいた方がよいです。
エンジンを切ると車内はとても寒くなるので、カイロや毛布、厚めの上着などがあるとよいでしょう。
これらのグッズがあると、寒さをしのぐことができます。

飲み物や食べ物

もしお店などが近くにないような道を走る予定があるなら、飲み物や食べ物もある程度用意しておいた方がよいでしょう。
こまめな水分補給は、エコノミー症候群の予防にもつながります。
最低でも、水だけは常備しておきたいものです。

簡易トイレ

立ち往生しているときは、不用意に外に出るわけにはいきません。
しかし水分などを補給すると、どうしてもトイレに行きたくなります。
そのような場合に、役立つアイテムが簡易トイレです。
トイレを我慢するのは体にもよくないので、簡易トイレを常備しておきましょう。

モバイルバッテリー

モバイルバッテリーは、スマートフォンの充電に使用します。
近年ではモバイルバッテリーとしても使用できる、ジャンプスターターというグッズも売られています。
バッテリーが上がった場合にも使用でき、スマホの充電もできるため一つ持っておいて損はないといえるでしょう。

雪道を走る前に意識しておきたい点

雪道を走る予定があるのであれば、立ち往生した場合のことを考えて行動する必要があります。
日頃からの心がけにより、立ち往生に適切に対応できるかどうかが変わってくるのです。
では、どのような点を意識しておけばよいのでしょうか。

燃料は常に満タンに

燃料は、常に満タンを意識しておきましょう。
「天候が変わりそう」「雪がよく降る道を走る」など、立ち往生の可能性がある場面は予測できます。
「トラブルになるかもしれない」と思ったら、燃料に余裕があっても早めに給油しておきましょう。

万が一立ち往生してしまい、何時間も救助を待たなければならない場合、エンジンをかけて寒さをしのぐこともあります。
もし燃料がギリギリの状態で立ち往生してしまい、暖まるためにアイドリングをしている最中にガス欠になってしまえば最悪です。
体が冷えて凍傷などになることも考えられますし、常にクルマを動かせる状態にしておかないと他のクルマにも迷惑がかかります。

燃料は、常に満タンを意識して給油をしましょう。

横滑り防止装置の有無や使い方

現在のクルマには、「横滑り防止装置」がついています。
この装置は、凍った路面の上でも横滑りしないよう、タイヤのコントロールをクルマが自動で行ってくれる、とても便利なもの。
クルマに取り付けられたセンサーによって、曲がり方の異常を感知し、自動で各タイヤにブレーキや動力の伝達を行います。
そして、もし横滑りしそうになったら、クルマがぶれないように軌道修正してくれるのです。

この装置のスイッチはハンドルの周りにあり、クルマが滑っているようなアイコンで表示されています。
ボタンを押すとオフになったという知らせが、メーターに表示されるはずです。

近年のクルマには標準装備されるようになったこの装置。
しかし、古いクルマには取り付けられていません。
まずは愛車に横滑り防止装置が設置されているかを、確認しておきましょう。

まとめ

雪の中で立ち往生してしまうと、とても危険です。
待機する時間に比例して、体調を崩しやすくなり、最悪の場合は死に至ることもあるからです。

そのため雪道を走る際は、水やスコップ、毛布などをしっかりと準備しておきましょう。
また、寒い中、長時間車内に待機する場合には一酸化炭素中毒に注意しましょう。
排気ガスが車内に入り込んで起こるこのトラブルは、エンジンの停止やマフラー周りの雪かきで防止できます。

立ち往生した場合の対応方法を知っていると、安全に待機できます。
対応方法を事前に把握しておくとともに、安全に待機するために必要なアイテムを準備しておくとよいでしょう。
いつどこで災害に合ってもいいように、準備しておくことが大切です。