スズキ ソリオの新旧比較レビュー。
トールワゴン系コンパクトクラスという新たなマーケットを築き上げたソリオ。
2015年に登場した3代目ソリオは2代目のキープコンセプトながら、軽量化技術などが投入され、優れた低燃費を誇るモデルとなった。この3代目をフルモデルチェンジし、上質感と乗り心地を向上して登場したのが4代目だ。
今回は3代目と4代目を、内装・外装、安全装備面で比較評価する。
- この記事の目次 CONTENTS
- スズキ ソリオの歴史・概要
- 内装
- コンセプト&外装デザイン
- 予防安全装備
- 走り、メカニズム
- おすすめは4代目?それとも、3代目?
- 新車値引き交渉のポイント
- スズキ ソリオ/ソリオ バンディットの価格・スペック
スズキ ソリオの歴史・概要
スズキ ソリオの歴史は、少し複雑だ。
初代モデルは、1999年に登場したワゴンR+だった。
当時、絶大な人気を誇っていた軽自動車ワゴンRと、よく似た外観のハイト系ワゴンだ。
エンジンは1.0L自然吸気とターボ。
軽自動車より少し大きいボディサイズだった。
このワゴンR+はモデル途中で、車名をワゴンRソリオに変更。
さらに、その後にワゴンRの名が外され、現在の車名であるソリオとなっている。
この初代ソリオは、あまり注目されなかったが長期間にわたって販売された。
そして2代目となるソリオは、2011年の発売。
初代は一般的なヒンジ式ドアだったが、この2代目から両側スライドドアを採用した。
デザインもワゴンRのイメージはなく、完全に独立したモデルとなっている。
全長3,700mm前後で両側スライドドアをもち、広大な室内空間のコンパクトカーは、ソリオのみ。
この2代目は、スズキが新たなマーケットを築いたモデルとなった。
爆発的なヒットとはいかないまでも、着実に販売台数を積み上げていったのだ。
そして、3代目は2015年に登場。
2代目のキープコンセプトながら、マイルドハイブリッドやスズキ独自のストロングハイブリッドも設定。
スズキの軽量化技術も導入され、優れた低燃費性能を誇るモデルへと進化した。
![3代目ソリオ](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220922/20220922221013.jpg)
このトールワゴン系コンパクトクラスは、ソリオが築き上げたマーケットで、ライバル車はいなかった。
しかし、このマーケットの将来性にトヨタとダイハツが注目。
2016年にトヨタはルーミー&タンクを、ダイハツはトールを同時投入した。
このトヨタの参入により、マーケットは一気に拡大。
2019年度の登録車販売台数ランキングで、ルーミーは5位、タンクが11位と、超人気モデルへと成長した。
ルーミーは販売台数約9.3万台であったのに対して、ソリオは4.4万台。
ランキングも21位となり、マーケットを一気に奪われた状態となった。
こうした販売台数の差は、ある意味、販売店の数と広告宣伝費に比例している部分もある。
マーケットを完全に奪われてしまったソリオだが、2020年12月に4代目を投入。
プラットフォーム(車台)は3代目と共通だが全長を+80mm伸ばし、これにより、顧客の要望が多かった荷室を拡大した。
また、後席を中心とした乗り心地も向上させている。
内装
広がり感ある上質なインテリアをもつ4代目
3代目ソリオのインパネは、羽を広げたような広がり感あるデザインが特徴だ。
センタメーターを中心とした、シンメトリーデザインが採用されている。
全体的に重厚感もある。
2代目ソリオは荷室の広さがUP
2代目ソリオは、全長を+80mm伸ばしている。
このサイズアップ分は、主に荷室の広さ向上に使われている。
荷室床面長は100mm拡大し、35Lのスーツケースが5つも積める広さを誇る。
また、後席を前方に倒しフラットにすれば、ソリオの荷室は広大になり、自転車なども積載可能だ。
また、FFモデルでは、床下にサブトランクを備える。
上下で分割して棚のようにして使えるので便利だ。
コンセプト&外装デザイン
売れるツボを押さえたデザインとなった4代目ソリオ
3代目ソリオは、幅広い層に親しまれるスタイリングを目指した。
全体的にクリーンな印象が強く、ヘッドランプから連続性を持たせたメッキフロントグリルが特徴的だ。
そして、より個性を主張するソリオバンディットは、迫力あるアグレッシブなスタイリングとしている。
2段構えのLEDヘッドランプで、精悍さも感じさせる。
また、ワイド感を強調したエアロ形状のリヤバンパーを採用したことで、ドッシリとした視覚的安定感も手に入れている。
![3代目ソリオのフロントフェイス](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220922/20220922221009.jpg)
対する4代目は、3代目と比べて45mmも高くして大きな顔を創り出した。
これは、以前、初代スペーシアカスタムのデザインを見誤り、販売が低迷した経験をうけての反省からだ。
大きな顔にすると、空気抵抗が増え、燃費面ではデメリットとなる。
しかし、大きな顔で迫力がないと売れないというのが、クラスを問わず、こうした箱型系ボディをもつモデルの特徴でもある。
4代目ソリオバンディットも基本的に、基準車のソリオと同様だ。
ただ、より迫力と個性をプラスするために、大型のグリルを追加。
そして、3代目ソリオバンディットで好評だった2段構えのヘッドランプを継承した。
3代目と比べると、より彫りが深く奥行きのあるデザインとなり、高級感も増している。
予防安全装備
設計が新しい4代目が3代目を上回る
歩行者検知式自動ブレーキなどの予防安全装備は、やはり設計が新しい4代目ソリオが上回る。
重要な歩行者検知式自動ブレーキは、夜間の歩行者も検知。
誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、ヘッドランプのハイビーム/ロービームを自動で切り替えるハイビームアシストなども搭載している。
さらに、運転席前方のダッシュボード上に、運転に必要な情報を見やすく表示するカラーヘッドアップディスプレイも用意。
運転支援機能として、アダプティブクルーズコントロール(ACC)に全車速追従機能も追加している。
車線逸脱防止機能などがないのが、少々物足りないが、平均的な予防安全装備といえる。
ただ、4代目はこうした予防安全装備「スズキセーフティサポート」がオプション設定となっているグレードが、2つ存在する。
全車標準装備化が当り前になりつつある時代なのに、こうした設定はやや時代に逆行する。
なお、エアバッグ類は充実しており、運転席・助手席エアバッグ、フロントシートサイドエアバッグ、カーテンエアバッグを全車に標準装備している。
機能面や性能面では、やはり4代目が完全に上回る。
だが、3代目も歩行者検知式自動ブレーキを始め、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、エマージェンシーストップシグナル、クルーズコントロールシステムなどがセットでオプション設定されていた。
基本的にオプション設定なので、中古車を選択する場合、こうした装備が装着されているモデルを選ぶとよい。
走り、メカニズム
乗り心地は4代目。キビキビ感は3代目
3代目、4代目ともに、搭載されるエンジンは1.2L直4のK12C型デュアルジェットエンジンだ。出力は91ps&118Nmと、変更はない。
これに小さなモーターを搭載した、マイルドハイブリッドシステムを搭載している。
基本的に、パワーユニットには大きな変更はない。
ただし、3代目に搭載されていたスズキ独自のストロングハイブリッドは、販売台数があまり伸びず、4代目では搭載が見送られている。
燃費性能は、3代目が27.8㎞/L(FF、JC08モード)に対して、4代目は22.4㎞/L(FF、JC08モード)。
4代目は、大きく燃費を落としている。
これは、全長が80mm伸びて車重が重くなったため。
3代目ソリオMZは950㎏と軽量だったが、4代目ソリオMZは1,000㎏と、50㎏重くなったのだ。
ただやや車重は重くなっているものの、動力性能面ではほとんど変わらない。
おすすめは4代目?それとも、3代目?
4代目ソリオが無難?予算が少ないなら3代目の未使用車
3代目と4代目はプラットフォームが共通でありながら、クルマの基本性能面や使い勝手など、ほぼすべての面で4代目が3代目を大きく上回る。
予算に余裕があるのであれば、積極的に4代目を選ぶといい。
![4代目ソリオ](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220922/20220922220958.jpg)
ただ、前述した通り、乗り心地はやや硬めでもキビキビ感と安定感があるのは3代目だ。
また、4代目のエントリーグレードであるGの価格は、約160万円。
この位の予算しかないのであれば、3代目の最上級グレードであるMZの中古車という選択も悪くない。
しかし、3代目の中古車流通量は意外と少なく、中古車価格も高値維持という状態だ。
最上級グレードとなる2018年式3代目ソリオMZの中古車相場は、おおよそ120~170万円。
当時の新車価格が約200万円だったので、それほどお買い得感はない。
120~130万円くらいで程度のよい中古車なら、お買い得感はあるが流通量は少ないという状況だ。
また、マイナーチェンジ前の2016年式でも、3代目は高値維持となっている。
中古車相場は約90~150万円位だ。
100万円前後なら年式相応といったところだが、150万円近い価格の中古車はまったくお買い得感がない。
おすすめなのは、3代目の未使用車だ。
モデルチェンジ直前となる2020年式の未使用車は、ある程度流通している。
グレードがMZの場合、価格は160~170万円台程度で流通している。
ほぼ新車コンディションということもあり、お買い得感もあるので、2020年式の未使用車を狙うのもよい。
新車値引き交渉のポイント
ルーミーとの競合で値引きアップの期待大
4代目ソリオはフルモデルチェンジ直後ということもあり、しばらくの間はわずかな値引きしか期待できないだろう。
ただ、交渉次第では大幅値引きが期待できる可能性もある。
![](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/d/drivinghigh/20220922/20220922221002.jpg)
4代目のライバル車は、トヨタ ルーミーだ。
まず、ルーミーとは必ず競合させたい。
ルーミーの見積りを先に取って、ソリオの商談に向かうことが重要だ。
商談時には、ルーミーの見積りを持っていることを伝えよう。
「ルーミーが本命である」と誤解させるためだ。
そうすることで「ルーミーに負けないように」と、値引き勝負に応じてくる可能性が高くなる。
営業マンとの会話では、大げさに感心してみるとよい。
「ソリオ、いいクルマだなぁ…」を連呼して、営業マンに「ルーミーをやめて、ソリオを買ってくれるかもしれない」と思わせるのだ。
そこで本題の値引きに入る。
「ソリオはいい車だけど、出費はなるべく抑えたいな…、ルーミーなら値引き額が大きいし…」と呟くとよい。
そこで「ルーミーは何万円引きですか?」と聞かれても、具体的な金額は伝えてはいけない。
もちろん、ルーミーの見積書も見せてはいけない。
「値引き額は全然違う」くらいで十分だ。ここからは駆け引きになる。
営業マンは色々と探りを入れながら、徐々に値引き額をアップしてくる可能性が高い。
商談期間は長めに取り、新たな見積書が提示されるたびに「うーん、もうちょっとなんですけど…」と答えよう。
納得できる値引き額が提示された後は、営業マンから「いつ買ってくれるんですか?」などと質問されれば、チャンス到来だ。
「では、あと5万円値引きしてくれたら今、買います」と、答えるとよい。
これが拒否されたら「では、もう少し考えます」とすればいいだけだ。
営業マンは、「今、買う」という言葉にとても弱い。
そして、値引き同様に重要なのが下取り車の処理だ。
ディーラーでは大幅値引きした分、下取り車の価格を下げて利益を出すケースも多いからだ。
商談時に「買取店で査定されましたか?」と、探りを入れてくるケースは要注意だ。
下取りで損をしないためには、下取り車の適正価格を知っておくことが重要。
できれば複数の買取店で査定しておきたい。
そうすることで、下取り車の適正価格が見えてくる。
最も高値を付けたところに売ればいいのだ。
とはいえ、コロナ禍で人と接触する機会はなるべく減らしたい、時間がないという人におすすめなのが、WEBサイトで査定相場がざっくり分かるサービスだ。
中古車大手のガリバーでは、過去6ヶ月間で実際に顧客から買い取ったクルマの価格情報を公開、「ざっくりな相場」が確認できるようになっている。
より詳しい査定額を調べたければ、WEB上で走行距離や年式などの情報を入力するだけで、無料で査定が可能となっている。
ぜひこれらのサービスを上手く活用して、下取りで損をしないようにしたい。
スズキ ソリオ/ソリオ バンディットの価格・スペック
ソリオ価格
- G FF:1,581,800円/4WD:1,707,200円
- HYBRID MX FF:1,850,200円/4WD:1,975,600円
- HYBRID MZ FF:2,022,900円/4WD:2,148,300円
ソリオ バンディット
- HYBRID MV FF:2,006,400円/4WD:2,131,800円
代表グレード | ソリオ バンディットHYBRID MV FF |
---|---|
ボディサイズ(mm) | 全長3,790×全幅1,645×全高1,745 |
ホイールベース(mm) | 2,480 |
最低地上高(mm) | 140 |
車両重量(kg) | 1,000 |
燃費(km/L) | 19.6(WLTCモード) |
最小回転半径(m) | 4.8 |
エンジン型式 | K12C型 直4DOHC16バルブ |
総排気量(L) | 1.242 |
最高出力(kW/rpm) | 67〈91PS〉/ 6,000 |
最大トルク(N・m/rpm) | 118〈12.0kg・m〉/ 4,400 |
燃料タンク容量(L) | 32 |
モーター型式 | WA05A |
最高出力(kW/rpm) | 2.3〈3.1PS〉/ 1,000 |
最大トルク(N・m/rpm) | 50〈5.1kg・m〉/ 100 |
動力用主電池種類 | リチウムイオン電池 |
トランスミッション | CVT |
タイヤサイズ | 165/65R15 |
関連ページ
ソリオのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和2年12月(2020年12月)〜現在
- 新車時価格
- 151.6万円〜229.4万円
ソリオの在庫が現在52件あります
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