- この記事の目次 CONTENTS
- 欧州の規制に対応するために投入された新型EV
- デザイン優先でリヤ駆動が選択されたホンダe
- 先進性を感じさせるが、暖かみも感じるインテリア
- エコなだけじゃない、優れた走行性能を誇るホンダe
- 航続距離は、283㎞と十分!
- ホンダeの選び方
- ホンダe価格、航続距離、ボディサイズなどスペック
欧州の規制に対応するために投入された新型EV
ホンダは、新型EV(電気自動車)であるホンダe(ホンダ イー)の発売を開始した。
ホンダeは、欧州のCAFE規制に対応するために投入されたモデルだ。
CAFE規制とは、企業別平均燃費基準のこと。
「新車の平均二酸化炭素排出量を、95g/km以下にしなければならない」という取り決めだ。
この95g/km以下という基準をクリアするためには、一定数以上のEVを売らないと達成できない自動車メーカーがほとんど。
そのため、マツダも欧州にMX-30のEVを投入している。
当然、ホンダeもすでに欧州で発売済み。
欧州での発売に合わせて、やや遅れて日本でも導入された。
ただ、年間の販売計画台数はわずか1000台だ。
日本では、ほとんど売る気がないといえる販売計画台数といえる。
また、ホンダディーラーにも急速充電器などはほとんど設置されていない。
ホンダeを大量に売ったはよいが、ホンダディーラーで充電できないという状態なのだ。
ところが、ホンダeのユニーク性は高く、発売後にはホンダファンが殺到。
すでに、注文受付数が第一期の販売予定台数に達し、現在、注文を一時停止している。
デザイン優先でリヤ駆動が選択されたホンダe
ホンダeのデザインは、とても個性的だ。円を基調としたキャラクターとすることで、新しい時代になじむ、シンプルでモダンなデザインをめざした。
短いボンネットや丸形ヘッドライト、テールランプが、ホンダeの独特な世界観を表現。
なんとも愛らしいスタイルとなっている。
EVでなくても、このデザインなら欲しいと思う人も多いはずだ。
ホンダeはリヤにモーターを設置した後輪駆動だ。
こうしたコンパクトカーは前輪駆動にするパターンが多いが、あえて後輪駆動を選択したのは、初期のデザインを成立させるため。
当初、前輪駆動で設計が開始されたが、ボンネットが短く、フロントにモーターなどのパワーユニットが入らなかったのだ。
そこで、リヤ駆動を検討。
走行性能もよりスポーティになることもあり、結果、急遽リヤ駆動に設計が変更されたのだという。
先進性を感じさせるが、暖かみも感じるインテリア
ホンダeのインテリアは、コンパクトカーながらかなり先進的だ。
インパネは、世界初となる5つのスクリーンを水平配置するワイドビジョンインストルメントパネルを採用。
中央に12.3インチのスクリーンを2画面並べた「ワイドスクリーン Honda CONNECT ディスプレー」を配置し、運転席や助手席でそれぞれ表示機能を選択したり、左右のアプリを入れかえたりなど自在な操作性を実現した。
このインパクトは強烈だ。
また、クラウドAIによる音声認識と情報提供を行う「ホンダパーソナルアシスタント」も搭載。
「OK, ホンダ」でシステムが機動し、音声認識により最新の情報が提供される。
さらに、量産車としては世界初の「サイド/センターカメラミラーシステム」を標準装備している点も特徴だ。
昼夜天候を問わず安心な視界を確保できるよう、170万画素の高精細カメラを採用。
ドアミラーの代わりに設置されたこのカメラの映像を、インパネのワイドスクリーンの両サイドに設置された6インチのモニターで表示する。
こうした先進性に優れたインパネまわりだが、内装にはぬくもりを感じる自然な風合いのウッド調パネルを採用。
スイッチ類を極限まで減らすことで、シンプルなデザインと人にやさしい操作性を実現した。
ボディサイズは、全長3,895mm。
4人乗りではあるものの、コンパクトなボディながら室内空間は必要十分なスペースを確保している。
シートは、アコードのフレームを使用。
余裕ある、快適な座り心地だ。
エコなだけじゃない、優れた走行性能を誇るホンダe
ホンダeのプラットフォーム(車台)は、EV専用だ。
リヤに搭載したモーターにより、後輪を駆動する。
こうした駆動方式を選択したのは、前述した通りデザインと走りの両立のためだ。
一般的にEVは、床下に大きく重いリチウムイオンバッテリーを搭載することから、非常に低重心で運動性能に優れたクルマになる。
また、前輪駆動のでモーターの出力を上げていくと、フル加速時にはフロントが浮き気味になりトラクションがかからなくなる。
しかし、ホンダeは後輪駆動のため、加速時にしっかりとリヤにトラクションがかかる。
これにより、ホンダeはEVながら、なかなか爽快な走行性能を誇るモデルに仕上がった。
とくに、アドバンスと呼ばれる上級グレードには、ミシュラン・パイロットスポーツ4という高性能タイヤも装着され、ホンダeのポテンシャルを十分に生かしている。
航続距離を伸ばすエコタイヤを選択していない点が、ポイントだ。
エコなだけでなく、走行性能を重視したモデルと言える。
航続距離は、283㎞と十分!
ホンダeに搭載されるパワーユニットは、グレードにより2タイプが設定されている。
リヤに搭載されるモーター出力はグレードによって仕様が異なり、ベースグレードが136ps(100kW)、アドバンスでは154ps(113kW)だ。
トルクはいずれも315N・mと、パワフルなモーターが選択されている。
また、面白いのはモーターの特性だ。
ホンダeと同等レベルの出力である日産リーフのモーターは、3,283~9,795rpmで最大出力を発揮する。
一方、ホンダeは3,078 ~11,920rpmだ。
このように、ホンダeはより高回転域まで回るモーターを使用している。
高回転域での速度の伸びも、ホンダeは優れている印象だ。
搭載されるリチウムイオン電池容量は35.5kW。
日産リーフなどと比べるとやや小さいが、これはホンダeが都市型のEVで、市街地走行をメインにしたためだ。
満充電時の走行可能距離は、モーターの出力によって異なる。
ベースグレードはWLTCモードで283km、JC08モードで308km、パワフルなアドバンスはWLTCモードで259km、JC08モードで274kmと短くなる。
実際の航続距離は、おおよそ200㎞ちょっとといったところになるだろう。
やや航続距離が短いように感じるかもしれないが、200㎞の航続距離があれば、日常の使い方であればほとんど困ることはない。
最近では、急速充電器の普及が進んでいる。
そのため、急速充電器がある場所を休憩ポイントにするなどのドライブプランを立てておけば、意外と長距離移動も不便ではないのだ。
走行モードはノーマルとスポーツの2種類。
回生ブレーキを強めに効かせて、ブレーキの踏みかえを回数を大幅に減らすシングルペダルコントロールなど、ドライバーの好みやシーンに合わせたモードが選択できる。
そして、ホンダeの充電時間は、3.2kWまでのAC充電で9.6時間以上、6.0kWまでのAC充電で5.2時間以上。
CHAdeMO規格の急速充電器を用いれば、30分で80%の充電が可能だ。
また、ホンダeは後輪駆動としたことで、前輪の切れ角が大きくとれるようになった。
最小回転半径は、4.3m。
軽自動車並みの最小回転半径となり、狭い道や駐車場での使い勝手を向上させている。
さらに、建物/家屋に給電するV2H(Vehicle to Home)や、機器などの電源となるV2L(Vehicle to Load)にも対応。
日常利用だけでなく、災害時の停電など、万一の際に便利だ。
ホンダeの選び方
ホンダeのグレード設定は、ベースグレードとアドバンスの2タイプとなっている。
価格はベースグレードで451万円、パワフルなモーターを搭載したアドバンスは495万円と、やや高価だ。
アドバンスは、モーターの出力が違うほか、マルチビューカメラシステム、プレミアムサウンドシステム(8スピーカー)、パーキングパイロット、100V AC電源(1500w)、センターカメラミラーシステム、フロントガラスディアイサー、17インチアルミホイールが標準装備となる。
両グレードともに、ホンダの安全装備パッケージ「ホンダセンシング」が全車標準装備化されている。
平均レベルの予防安全性能だ。
ホンダeは、後輪駆動を採用したことで、エコだけでなく走りも楽しいEVに仕上がっている。
そうした面をより感じたいのであれば、より高出力でハイパフォーマンスタイヤを履いたアドバンスがおすすめだ。
少々、高価ではなるものの、ユニークさでは飛びぬけていて、ホンダらしいモデルといえる。
ホンダe価格、航続距離、ボディサイズなどスペック
ホンダe価格
- Honda e:4,510,000円
- Honda e Advance:4,950,000円
代表グレード | Honda e Advance |
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全長(m) / 全幅(m) / 全高(m) | 3.895 / 1.750 / 1.510 |
ホイールベース(m) | 2.530 |
車両重量(kg) | 1,540 |
乗車定員(名) | 4 |
電動機(モーター) 型式 | MCF5 |
定格出力(kW) | 60 |
最高出力(kW[PS] / rpm) | 113[154] / 3,497 -10,000 |
最大トルク(N・m[kgf・m] / rpm) | 315[32.1] / 0 -2,000 |
一充電走行距離(国土交通省審査値)WLTCモードKm | 259 |
タイヤ 前・後 | 205 / 45ZR17 88Y ・ 225 / 45ZR17 94Y |
サスペンション方式 前 / 後 | マクファーソン式 |