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予算を決める際におさえたいのはガソリン代、車検時にかかる費用と税金、保険の3つ
ランニングコストを加味したうえで、予算を決める

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

予算を決める際におさえたいのはガソリン代、車検時にかかる費用と税金、保険の3つ

中古車を購入する際、最初に決めるべきなのが予算だ。
クルマの購入時は気分がハイになり、冷静に判断ができないことも多い。
とにかく欲しいクルマを買ったものの、ローンの支払いが厳しくなり泣く泣く売却…といったことは、よくある典型的な失敗例だ。

このように中古車選びで失敗しないためには、無理のない予算を決めておくことがとても大切なのだ。
これは中古車だけでなく、新車でも同様だ。

では、無理のない予算とはどれくらいなのか。
車両価格以外にかかる費用を、シミュレーションしてみる必要がある。
おさえておきたいのが、ガソリン代、車検時にかかる費用と税金、保険の3つ。
ここから順番に見ていこう。

【①ガソリン代】ひと月のガソリン代をイメージする

通勤や送迎、買い物や週末のドライブなど、クルマの使い方は色々だ。
使い方によって、ひと月あたりの走行距離は大きく異なる。
まず、クルマを買ったら、ひと月にどれくらい走行するのかをイメージしてほしい。

仮にそれなりにクルマを使うと、1,000㎞/月も走行する人もいると思う。
1,000㎞/月走ると、実燃費が20㎞/Lのクルマなら50Lの燃料を使用する。
ガソリン代を130円/Lとすると、6,500円かかる計算だ。

ところが、排気量が大きいクルマの場合、燃費が悪くなる。
また、中古車の場合は年式が古ければ古いほど、燃費が悪くなる傾向にある。
仮に、実燃費が10㎞/Lのクルマなら、ガソリン代は倍の13,000円にもなる。

実燃費は「車種名+実燃費」で検索すると出てくるので、買いたいと思っている車種があれば、事前に調べておくと良い。
とくに決まった車種がなければ、ハイブリッドやディーゼルなどのパワーユニットを搭載したモデルが低燃費なのでおすすめだ。
またガソリン車の場合も、コンパクトカーや軽自動車なら低燃費だ。

月にどれくらいの走行距離になりそうかを事前にイメージし、ガソリン代をシミュレーションしておくと良いだろう。

【②車検時にかかる費用と税金】年に1度の自動車税や車検時の重量税、車検費用を想定する

クルマにかかる税金は多い。

購入時には自動車税と環境性能割、中古車の場合、車検が切れていれば重量税などを支払う。
初年度の税金は購入時に支払ってしまうので問題ないが、翌年度以降からは自動車税を毎年支払う必要がある。

自動車税は、一般的な乗用車の場合、自軽自動車なのか登録車なのかで金額が異なる。
乗用軽自動車の自動車税は一律10,800円だ。
軽自動車以外は登録車に分類され、自動車税は排気量によって異なる。
排気量が多くなるほど税金も高くなる。
例えば2.0Lなら36,000円。1.5Lなら30,500円だ。

さらに、車検時には車検費用に加えて、重量税がかかる。
たとえばエコカー減税対象外の1.5トン以下のクルマの場合、2年分で24,600円、2トン以下なら32,800円となる。
排気量が大きく新車時の価格が高いモデルほど、高額になる傾向だ。
点検内容や修理、交換部品などによって異なるが、車検費用と重量税を合計すると1.5Lクラスでも10万円を超えることも珍しくない。

さらに、2年分の自賠責保険料も加わる。
いわゆる強制保険とも呼ばれるものだ。
こちらは、自家用乗用自動車で21,550円、軽自動車が21,140円となる。

たとえば、ざっくりと計算すると車検代が12万円かかったとする。
車検は2年に1回なので、24ヶ月分。
12万円を24ヶ月で割ると、月5,000円ほどの支払いになっていることになる。
これに、自動車税が1年間で36,000円だとすると、1ヶ月あたり3,000円。
つまり、車検費用と税金だけで、毎月8,000円支払うことになるのだ。

【③保険】自動車保険費用もシミュレーションする

任意保険と呼ばれる自動車保険にも加入する必要がある。
任意保険は、運転者の年齢や月間の走行距離、補償内容などにより金額が異なる。
仕組みが複雑なので、一概に価格が出せない。
ただ、初めて自動車保険に入るのであればやや高め。
8万円前後/年はかかると思っていてよい。
年間8万円だと、月に7,000円程度かかる計算だ。

車両価格以外にかかる費用は合計でどれくらい?

こうした費用をざっくり足すと、車検・税金・任意保険などで15,000円/月ほどの出費となる。
ガソリン代が月5,000円だとすると、20,000円/月程度の支出になる。
さらに自宅に駐車場があればよいが、月極駐車場などを借りるのであれば、駐車場代もプラスされる。

ランニングコストを加味したうえで、予算を決める

クルマを購入した場合、このようにさまざまなランニングコストがかかる。
クルマを現金一括支払いで購入するならそれほど問題にならないが、ほとんどの人がローンを使う。
ローンの場合、ローンにランニングコストを加えた金額が、月々のクルマに関する支払額となるので注意が必要だ。
たとえば残金200万円でローンを組み、金利が3%で60回払いだと、月額約36,000円の支払いになる。
上記のランニングコストがざっくり20,000円だったので、合計で月に56,000円支払うイメージをもつ必要があるのだ。

駐車場を借りるのであれば、これに駐車場代もプラスされる。
税金関連は分割支払いできないが、月あたりいくら払っているか理解し、毎月積み立てるイメージを持っておけば、税金や車検代などの大きな支払いに慌てることがない。

こうした月額の支払いイメージを立てた上で、毎月いくらなら支払えるかを検討するといいだろう。
また、中古車の場合、保証期間が短いケース多い。
できれば故障したときの修理代などのために、ある程度の現金を確保しておくとよい。