トヨタ ヤリスvs マツダ2徹底比較!走行性能が魅力のコンパクトカー対決

トヨタ自慢のハイブリッドシステムにより、世界トップレベルの燃費値を達成したヤリス。
独自のディーゼルエンジンにより、低燃費と力強さを両立したマツダ2。
どちらも、走行性能にこだわったBセグメントのコンパクトカーだ。

そんな2つのクルマを燃費性能、価格、デザイン、車内空間、安全装備、走行性能などさまざまな角度から比較した。

この記事の目次 CONTENTS
ヤリスの特徴
マツダ2の特徴
1.燃費比較
2.価格比較
3.購入時の値引き術
4.デザイン比較
5.室内空間と使い勝手
6.安全装備の比較
7.走行性能の比較
8.リセールバリュー比較
9.まとめ・総合評価

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

トヨタ ヴィッツは、4代目となるフルモデルチェンジのタイミングで、車名をヤリスに変更した。
もともと欧州などでは、ヴィッツはヤリスという車名で販売されていた。
そのため、フルモデルチェンジで欧州名であるヤリスに統一されたことになる。

新型ヤリス 新型ヤリス

そんな新型ヤリスは、プラットフォーム(車台)、エンジン、ハイブリッドシステムなどを一新。
トヨタの設計思想であるTNGA(Toyota New Global Architecture)に基づき開発された、最新のGA-Bプラットフォームが採用された。
このプラットフォームは、低重心で軽量・高剛性がウリ。
従来モデルから飛躍的に運動性能を高めている。
同時に、パワーユニットやハイブリッドシステムも新開発。
これによりハイブリッド車は、36.0km/L(WLTCモード)というクラストップレベルの低燃費を達成した。
この燃費値は、世界の自動車メーカーが驚愕するほどだ。

マツダ2もヤリスと同様、2019年7月に改名した。
従来、デミオという車名で売られていたクルマが、欧州車名であるマツダ2に統一されたのだ。
デミオとしては、4世代目のモデルとなっている。

マツダ2 マツダ2

マツダ2のユニークなポイントは、やはり国内唯一のクリーンディーゼルエンジンを搭載していること。
1.5Lのディーゼルエンジンを搭載し、250Nmという大トルクを発揮しながら、燃費は21.8km/L(WLTCモード)と低燃費。
燃費値だけなら新型ヤリスには敵わないが、ディーゼルエンジンなので燃料に軽油を使う。
軽油は、レギュラーガソリンより20円/L前後も安価だ。
燃料費視点では、新型ヤリスに近いレベルになる。

ヤリスの特徴

世界トップレベルの燃費と、クラスを超えた先進予防安全装備

新型ヤリスのエンジンは、従来通り、1.5Lのハイブリッドだ。
しかし、その性能やハイブリッドシステムを一新。
システム出力をアップしながら、燃費値は36.0km/L(WLTCモード)という超低燃費を実現した。
同時期にフルモデルチェンジしたホンダ フィットハイブリッドの燃費は29.4km/L。
この結果から、もはやトヨタのハイブリッド車と肩を並べる自動車メーカーは無くなったともいえる。

ヤリスの外観 新型ヤリス

新型ヤリスでは、こうした最新のハイブリッドシステムだけでなく、予防安全装備にも惜しみなく最新テクノロジーが投入されている。
昼夜対応の歩行者検知式自動ブレーキの他に、交差点右折時の対向直進車、右左折時の対向方向から来る横断歩行者検知機能もプラスされた。
これは、一部の高級車のみに装備されていた機能だ。
Bセグメントのコンパクトカーとしては、予防安全装備においても世界トップレベルといえる。

マツダ2の特徴

小さいボディながら躍動感あるデザインと、ドライビングポジションへのこだわり

マツダ2(デミオ)は2014年に登場したモデルで、すでにモデル後期に入っている。
マツダ2の特徴は、やはりデザインだ。
マツダのデザインテーマである「魂動デザイン」を採用、小さいボディながらも躍動感を感じさせる。
特徴的なカラーを使った特別仕様車も多く投入されており、こだわり派の顧客の満足させている。

マツダ2の外観 マツダ2

また、ドライビングポジションにもこだわっている点も魅力のひとつ。
ドライビングポジションを適正にすれば、疲労が少なくなるだけでなく、アクセルとブレーキの踏み間違えも大幅に減る。
そのこだわりは、室内スペースを広くすることよりも、ドライビングポジションを重視したほどだ。

1.燃費比較

ヤリスの評価は4.5点
マツダ2の評価は3.5点

ハイブリッドとクリーンディーゼル、アプローチは異なるが優れた経済性と環境性能

新型ヤリスハイブリッドの燃費値は36.0km/L(WLTCモード)。
対して、マツダ2のクリーンディーゼル車は、21.8kmkm/L(WLTCモード)。
数値だけなら、新型ヤリスハイブリッドの圧勝だ。
モデル後期に入っているとはいえ、マツダ2の燃費値は少々物足りなく感じる。

ところが「燃料費」という点では、マツダ2も新型ヤリスハイブリッドに「圧勝」とまでは言えない価格になってくる。
クリーンディーゼルは、レギュラーガソリンより20円/L程度安いからだ。

例えば100km走行した場合、新型ヤリスハイブリッドだとレギュラーガソリン125円/Lで、約2.8L使い、燃料費は約350円。
一方、マツダ2は軽油なので105円/Lで4.6L使用し、燃料費は約483円となる。
約133円の差だ。

また、新型ヤリスの1.5Lガソリン車は21.6km/Lなので、同様の計算をすると約575円。
マツダ2の1.5Lガソリン車は19.0km/Lなので、約663円。
約88円の差となる。

マツダ2はアイドリングストップ付きだが、新型ヤリスは装備されていないことも含めれば、マツダ2も決して悪い数値ではない。

2.価格比較

ヤリスの評価は3点
マツダ2の評価は3.5点

ほぼ同等の価格。しかし、質感を含めるとマツダ2が上回る?

ヤリスの上級グレードであるハイブリッドZの価格は、2,295,000円。
マツダ2クリーンディーゼル車の上級グレードであるXD Lパッケージの価格は、2,458,500円となっている。
価格差は約16万円と、やや大きい。

ただマツダ2のシートは、レザーとグランリュクスの上質なコンビシートになる。
さらにホイールも、ヤリスは15インチスチールホイールだが、マツダ2は16インチアルミホイール。
装備面ではマツダ2が上回っている。
装備を含んで考えると、上級グレードではほぼ同等といえるだろう。
むしろインテリアの質感などを含めると、ややマツダ2のコストパフォーマンスが優れているような印象だ。

3.購入時の値引き術

ヤリスの評価は3点
マツダ2の評価は3点

値引きは厳しい。だが、新型コロナウイルス不況で、交渉次第では可能

ヤリスは、2020年2月に登場した新型車。
一方、マツダ2はモデル後期だが、マツダは値引き抑制戦略をとっている。
そのため、両車共に値引きを引き出すのはなかなか困難だ。

しかし、新型コロナ不況や消費税増税の影響、ライバル車であるホンダ フィットがヤリスとほぼ同時期にフルモデルチェンジしたことなどから、顧客を奪い合う非常に厳しいマーケットになっている。
買い手が有利な状況になっているので、上手く交渉すれば、大幅値引きとはいかないまでもそこそこの値引きを引き出すことが可能だろう。

大切なのは、ライバル車と競合させることだ。
ヤリスは、発売時期が同時期となった新型フィットと競合させること。
マツダ2は、ヤリスだけでなくフィット、ノートと同じセグメントのライバル車と競合させることが重要だ。

まず、本命車種の商談時前に、事前にライバル車の見積りを取っておこう。
「冷やかしの客ではない」と明確にアピールすることで、最初から値引きを引き出しやすい環境にするのだ。
営業マンを、最初から緊張感ある状態にできる。
そして、あくまで購入時の最優先事項は「支払総額」とアピールすれば、値引きが必須という雰囲気になる。
とはいえ、すぐに大きな値引き額は提示されないだろう。
じっくりと何回も商談し、ジリジリと値引き額を引き上げていくとよい。
営業マン側から「いつ買ってくれるのか?」と、詰め寄られるくらいがちょうどよい。

4.デザイン比較

ヤリスの評価は3.5点
マツダ2の評価は4点

コッテリ系のヤリス、シンプル系のマツダ2。方向性がまったく異なる外観デザイン

ヤリスのデザインコンセプトは「B-Dash!」。
「大胆(BOLD)に、活発(BRISK)に、そして美しく(BEAUTY)。鋭い加速で、弾丸のようにダッシュ!」だ。
このコンセプト通り、弾けるようなホットハッチ的デザインに仕上げられている。
やや張り出したブリースターフェンダー風デザインとなったリヤフェンダー、ワイドに開いたフロントバンパー。
そして上部に向けてやや絞り込んだボディは、ボトムに重心が置かれ、小さいながらも安定したシルエットを生み出している。

ヤリスの外装 新型ヤリスの外装

対するマツダ2は、マツダのデザインコンセプト「魂動デザイン」を採用。
躍動感ある基本デザインをベースに、幾度か改良が施されている。
最新のマツダ2は、シンプルで豊かな面表現や水平基調、低重心のキャラクターを強調したスタイリングを実現。
デザイン要素を削ぎ落とすことで生まれる「ワイド感、安定感、エレガントさ」を徹底的に追求した。
その結果、スッキリとしたデザインとなっていて、クラスを超えた上質感あるコンパクトカーとなっている。

ヤリスのフロントフェイス マツダ2のフロントフェイス

ヤリスとマツダ2のデザインは、まったく異なるテイストだ。
ヤリスは、多くのデザイン要素が組み合わされていて、コッテリなスポーツ系。
マツダ2は、スッキリ感のある上質な正統派コンパクトカーといった印象だ。
デビューが古いマツダ2だが、古臭さを感じさせないデザイン力はさすがだ。

5.室内空間と使い勝手

ヤリスの評価は3.5点
マツダ2の評価は3点

ほぼ互角の室内空間

ヤリスのボディサイズは、全長3,940×全幅1,695×全高1,500mm、ホイールベース2,550mm。
対するマツダ2は、全長4,065×全幅1,695×全高1,500mm、ホイールベース2,570mmとなっている。
マツダ2は、ヤリスに対して全長が+125mm、ホイールベースが+20mm、それぞれ長くなっている。

室内の広さは、ほとんど互角。大きな差はない。
ただ、リヤシートの頭上スペースは僅かだが、マツダ2の方が開放感がある。

ヤリスの後席 ヤリスの後席
マツダ2の後席

また、荷室もマツダ2の方が僅かだが広い印象を受ける。
どちらもリヤシートの居住性は、それほど重視されていない印象だ。

ヤリスの荷室 ヤリスの荷室
マツダ2の荷室

車載モニターの大きさは、ヤリスが7インチもしくは8インチ、マツダ2は7インチになる。
7インチモニターだと、やや小さく視認性は少々物足りない印象だ。
ただ、マツダ2のモニター設置位置はダッシュボード中央付近のため、視線移動が少なく安全運転面でメリットがある。

ナビの操作系は、ヤリスはタッチディスプレイになるのに対し、マツダ2はシフトレバー手前に設置されたダイヤル式のコントローラーで行う。
タッチディスプレイは一見、使いやすいように感じるが、揺れる車内で的確に操作するには不向き。
指先を注視するので、どうしても前方監視が疎かになる。
ダイヤル式ならブラインド操作が可能だ。安全面で考えると、マツダ2のダイヤル式がよい。

ヤリスのインパネデザイン ヤリスのインパネデザイン
マツダ2のインパネデザイン マツダ2のインパネデザイン

装備面で優れているのは、ヤリスハイブリッドにオプション設定されている100V・1500Wのアクセサリーコンセントだ。
ハイブリッド用の大容量バッテリーを活用しており、台風・地震などによる停電時に役立つ。
1500Wまでの家電を複数使うことができ、電力が無くなればエンジンを始動させて発電できる。
ガソリンさえあれば、電源車として長時間発電できるので、もしもの非常に価値がある。
もちろん、キャンプなどのレジャーでも活用できる。

6.安全装備の比較

ヤリスの評価は4.5点
マツダ2の評価は3.5点

クラスを超えた予防安全装備を得たヤリス。バランスの取れたマツダ2

ヤリスの予防安全装備は、高級車並みの高いレベルになっている。
例えば、トヨタの予防安全装備パッケージである「トヨタ セーフティセンス」は従来通りのミリ波レーダー+単眼カメラ方式だが、センサーの検知能力が大幅に向上している。
これにより、基本となる自動ブレーキの性能が格段に進化、昼夜の歩行者と昼間の自転車を検知する。
このレベルでも、クラストップレベルどころかクラスを超えた性能だが、加えて交差点右折時の対向直進車、右左折時の対向方向から来る横断歩行者も検知して衝突を回避、被害軽減が可能となった。
慌てて右折して、前方の歩行者に気がつかず衝突といった、リアルな交通事故リスクを軽減してくれる。

こうした新機能は、トヨタ車として初となる装備。
本来、車種のヒエラルキーを考えるのであれば、まずはクラウンなどの高級車から装備するのが普通だ。
しかしそれでは、装備が遅れるという弊害がある。
そこで車格ヒエラルキーを無視し、なるべく早く、より安全な機能を付加したという選択は素晴らしい。
ただ、ヤリスは一部のグレードに「トヨタ セーフティセンス」が装備されていない。
これは物足りないし、ブランド的にもマイナスだ。
交通死亡事故は、社会的に大きな問題。
交通死亡事故の要因であるクルマを販売して利益を上げている自動車メーカーは、技術で人の命が救えるのなら、積極的に開発し標準装備化を進め、社会的な責任を果たす義務がある。

対するマツダ2の予防安全装備は、ヤリスほど高機能ではないものの高いレベルでまとまっている。
例えば、昼夜の歩行者を検知する自動ブレーキを全車標準装備化している。
自転車検知機能はないものの、夜間の歩行者検知ができるコンパクトカーはまだ少ない。
また、後側方車両接近警報や、後退時車両接近警報といった車線変更時やバック時の接触リスクを軽減する装備が全車標準装備されている。
これらの機能は、ヤリスではオプション設定だ。
マツダ2はエントリーグレードでも、一定レベルの安全装備を標準装備化しており、高く評価できる。
ただ、全車速追従式クルーズコントロールに関しては装備できないグレードがあり、またオプション設定となるグレードが多い。
全車速追従式クルーズコントロールは、軽自動車でも標準装備化が進んでいるため、物足りないと言える。

7.走行性能の比較

ヤリスの評価は4.5点
マツダ2の評価は4点

スポーティさにこだわったヤリス。自然なフィールのマツダ2

ヤリスの運動性能を支えるのは、新開発されたGA-Bプラットフォームだ。
このプラットフォームは軽量・低重心化が図られている点が特徴で、走行性を飛躍的に向上している。
とくに、気持ちの良い走りを披露したのがハイブリッド車だ。
一般的にFF(前輪駆動)車は前方が重くなるため、前後の重量バランスがよいとはいえない。
しかし、ヤリスハイブリッドでは、重いリチウムイオンバッテリーをリヤシート下に設置したことで、前後の重量バランスが向上。
しかも低い場所に設置したことから、さらに低重心化にも貢献している。
低重心化と前後重量バランスの向上により、走りは爽快。
シャープな味付けのハンドリング特性もあり、とにかくよく曲がる。
カーブでの安定感も抜群だ。
また、ヤリスハイブリッドのシステム出力は116psとなっていて、ヴィッツハイブリッドの100psから16psもパワーアップした。とても力強く走る。

新開発されたハイブリッドシステムは、よりモーターの存在感が強いフィーリングだ。
ニッケル水素からリチウムイオンにバッテリーを変更。
電気の出し入れがよりスピーディに、効率も良くなった。
とにかくヤリスハイブリッドは、エンジンが良く止まり、出来る限りモーターで走ろうとする。
試乗時には、40km/L以上の燃費値を余裕で達成したシーンが多くあった。

新開発の1.5L直3エンジンについては、出力は120ps&145Nmと平均的。
直3でアイドリングストップ機能も無いため、信号待ちではわずかに振動を感じた。
このエンジン、レヴリミットが6,600回転とやや高めの設定だ。
今時のエンジンとしては、かなり高回転型。
エンジンの回転フィールは、やや眠たい感じとなっている。
もう少し気持ちよく伸びていくエンジンフィールなら、面白いと感じた。

ヤリスのエンジン ヤリスのエンジン

出力的には平均的だが、ガソリン車はハイブリッド車より車重が60~70㎏程度軽い。
この軽さが1.5Lガソリン車の魅力。軽快感があり、キビキビ走る。

ヤリスの乗り心地は、スポーツコンパクトというキャラクター通り、やや硬め。
ただ、ある程度速度が出ると路面追従性は良好になり、不快さは感じない。
ハイブリッド車の静粛性は極めて高いが、ガソリン車にはアイドリングストップ機能がないので、信号待ちなどではとくに賑やかだ。

ヤリスの後席 ヤリスの運転席

対するマツダ2の1.5Lディーゼルは、105ps&250Nmの出力を持つ。
250Nmという大トルクは、自然吸気の2.5Lガソリンエンジン並み。
コンパクトカーなので、これだけの大トルクがあれば非常に力強い走り可能だ。
高速道路などでも余裕があり、ロングツーリングでも疲労は少ない。

ガソリン車の出力は、110ps&141Nm。
可もなく不可もない、あまり個性を主張しないエンジンだ。

マツダ2のエンジン マツダ2のエンジン

マツダ2は、デミオ時代からこまめに改良を加えてきたため、モデル後期である現在、熟成された完成度の高さが魅力だ。
乗り心地や走行性面では、古さを感じさせない。
それどころか、最新モデルと比べても遜色ない走りをみせる。

乗り心地は、マツダ2に改名した時の改良でサスペンションやシートを変更。
従来、やや突き上げ感があったリヤサスペンションだったが、随分上質な乗り心地になった。
しっとりとした大人の乗り味といえる。静粛性も高い。

ハンドリング性能については、ヤリスのようなシャープさは感じないが、ドライバーの操作には、しっかりと反応する。
こうした味付けは、好みの問題だ。
フロントの重量が軽いガソリン車の方が、やや軽快感がある。

マツダ2の運転席 マツダ2の運転席

ヤリスとマツダ2とでは、デザインの方向性同様、走行性能面でも方向性が異なる。
ヤリスは、徹底的に低重心でシャープなハンドリングを意識。
マツダ2は、日常的な使い方でも自然で気持ちよいフィーリングを重視している。
自ら試乗してどちらが好みか判断するといいだろう。

8.リセールバリュー比較

ヤリスの評価は4点
マツダ2の評価は4点

数年間は高値維持確実のヤリス。意外なほど高値を維持しているマツダ2

ヤリスは人気も高く、トヨタ車ということもあり、しばらく高値維持は確実だろう。
ただし、需要より供給量が上回った場合、中古車価格が徐々に下落する可能性もある。
というのも、同じセグメントのコンパクトカーであるアクアと同じパターンになる可能性があるからだ。

アクアは発売当時、人気が高くよく売れた。
結果、発売から数年後、中古車マーケットには大量のアクアが流通した。
もちろん中古車でも人気モデルだったが、需要より供給量が多くなってしまい、中古車価格が徐々に落ちてきたのだ。

ヤリスも爆発的なヒットモデルになると、このようなことが起こる可能性がある。
注意が必要だ。

なお、ガソリン車とハイブリッド車では、ハイブリッド車の方がリセールバリューは高い。

一方、マツダ2は、値引き抑制戦略が効いて高いリセールバリューを維持している。
これは、国内モデルクラス唯一のクリーンディーゼル車であることや、販売台数が少なく中古車流通量が少ないことが影響している。
今後も高値維持が予想できるだろう。

ここ数年は、ヤリスハイブリッドのリセールバリューはマツダ2を上回ると予想できる。
ただし、ガソリン車のリセールバリューは、マツダ2が上回る可能性が高い。

9.まとめ・総合評価

ヤリスの総合点は30.5点/40点
フィットの総合点は28.5点/40点

とにかく走りにこだわるヤリス。日常使いの気持ちよさ重視で熟成極まったマツダ2

ヤリスの低重心でキレのあるハンドリングは、爽快感あるドライブフィールを誇る。
対するマツダ2は、2014年に登場したモデルでモデル後期に入っている。
しかし、何度も改良が施されており、走行性能面では未だトップレベルで「熟成極まった」という印象。

この2台は目指す方向性が違う。
ヤリスは、とにかくスポーティさにこだわっている。
マツダ2は、ドライバーの意思に忠実な気持ちよい走りを重視している。
どちらが良いか?というのは難しい。
味噌ラーメンと醬油ラーメン、どちらが優れているか?と問われているようなもの。好みの問題だ。
ヤリスとマツダ2、共に積極的に試乗して決めたいモデルといえる。