BMW 1シリーズとメルセデス・ベンツ Aクラスを徹底比較。
燃費性能、価格、デザイン、車内空間、安全装備、走行性能などさまざまな角度から調査した。
しなやかな走りの質にこだわるなら1シリーズ、インテリアの質感を重視するならAシリーズクラスがおすすめだ。
- この記事の目次 CONTENTS
- BMW 1シリーズの特徴
- メルセデス・ベンツ Aクラスの特徴
- 1.燃費比較
- 2.価格比較
- 3.購入時の値引き術
- 4.デザイン比較
- 5.室内空間と使い勝手
- 6.安全装備の比較
- 7.走行性能の比較
- 8.リセールバリュー比較
- 9.まとめ・総合評価
BMW 1シリーズは2019年8月に発表、3代目となった。
2代目1シリーズは、Cセグメントのコンパクトカーで唯一のFR(後輪駆動)をウリに、走りの楽しさをアピールしていた。
しかしマーケットの要望は、FRらしい走りよりも居住性など実用面。
そのため、3代目1シリーズは一気に方向転換し、FRからFF(前輪駆動)へと駆動方式を変更した。
この駆動方式の変更で3代目1シリーズは、弱点だった居住性などを大幅に改善。
走行性能面では、FFとなってもBMWらしい走りは健在で、Cセグメントのコンパクトカーにおいて最もスポーティな走りを得ている。
BMW 1シリーズの特徴
3代目1シリーズは、スペース効率を求めてFF化された。
FF化により、弱点だった室内スペースは広くなり、居住性は大幅に向上されている。
FF化により心配されたのが走行性能だったが、BMWは別ブランドの「ミニ」でFFの走りを磨いてきたこともあり、BMWらしい走りは健在だ。
とくに2.0Lターボを搭載し306psを発揮するM135iは、4WDと組み合わせることで大パワーをしっかりと駆動力に変えている。
メルセデス・ベンツ Aクラスの特徴
4代目Aクラスのデザインは、先代モデルのアクが強いデザインからスッキリとしたクリーンなものとなった。
インテリアの質感も大きく向上。10.25インチの高精細ワイドスクリーンは、4代目Aクラスを象徴する装備で、視認性や質感ともにクラストップレベルだ。
さらに、フラッグシップのSクラスと同等の予防安全装備を用意。オプション設定となっているのは残念だが、優れた安全性能となった。
1.燃費比較
1シリーズの評価は3点
Aクラスの評価は4点
ディーゼルの設定もあり、燃費面ではやや有利なAクラス
1シリーズのエンジンラインナップは、今のところ2タイプのガソリンタイプが用意されている。
118iに搭載されるのは1.5L直3ターボで、燃費は13.7㎞/L(WLTCモード)。
2.0L直4ターボを搭載するM135i xDriveは、12.0㎞/Lとなった。
2.価格比較
1シリーズの評価は2.5点
Aクラスの評価は2.5点
エントリーグレードは、安く見せる工夫が満載
1シリーズの価格は、エントリーグレードの118iで3,340,000円。
AクラスのエントリーグレードであるA180も3,340,000円と、まったく同じだ。
一見、安価に感じるが、今や日本では軽自動車でもほぼ標準装備化されている歩行者検知式自動ブレーキなどを含む予防安全装備が装備されていない。
両車のエントリーグレードは、顧客に安いと思わせて店舗に誘引するための「オトリグレード」。
1シリーズなら3,750,000円の118i play、Aクラスなら3,760,000円のA180スタイルからが実際のエントリーグレードとなる。
しかも1シリーズの118i playには歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備パッケージは標準装備化されているものの、全車速追従式クルーズコントロールがオプションだ。
ナビ関連が約25万円、全車速追従式クルーズコントロールを含むセットオプションが約19万円となる。こうなると1シリーズの価格は約420万円程度になってしまう。
Aクラスについても、A180スタイルでも歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備であるレーダーセーフティパッケージがオプションだ。
価格は約25万円のプラスで、ナビをプラスすると約18万円アップとなる。
こうなると、Aクラスの価格も約420万円からということになる。
両車ともに、ほぼ互角の価格設定だ。
3.購入時の値引き術
1シリーズの評価は2.5点
Aクラスの評価は3.5点
1シリーズの値引きは期待薄。Aクラスは、値引き拡大傾向
1シリーズはまだデビュー直後ということもあり、値引きは期待できない。
ただ長期在庫車を狙えば、一定の値引きの可能性が出てくる。
というのも、輸入車の場合、海外で生産されて長い時間をかけて日本に輸入されるため、インポーターは一定数を見込みで発注する。
見込み通り売れれば問題ないが、これがたまに外れて長期在庫になることがあるのだ。
長期在庫は値引き販売されるケースが多い。
1シリーズも、もう少しすると長期在庫のモデルが発生することが予想できるのだ。
Aクラスについても同様だ。
Aクラスの国内販売は好調で、2019年は約1.1万台を売り車種別輸入車販売台数ランキングで4位になっている。
これだけ売れたということは、大量にクルマが日本に輸入されているということだ。
常に在庫車が一定数確保されているということだ。
ましてAクラスは、そろそろ新型車効果が無くなってくる時期。
そうなれば、値引き額は拡大傾向になる。
ただし、漫然とディーラーに行って商談をしても、大幅値引きは引き出せない。
価格面でかなりAクラスを意識している、1シリーズの見積りを先に取って商談に向かいたい。
もし在庫車があれば、納期が長い1シリーズに対して、「すぐ乗れる」などとメリットを主張してくるだろう。
そこで、しっかりと「すぐ乗れるということより、予算が重要」として、値引きを要求すると良い。
4.デザイン比較
1シリーズの評価は4点
Aクラスの評価は4点
迫力あるスポーティさが魅力の1シリーズ、洗練された上質感あふれるデザインのAクラス
1シリーズの外観デザインは、なかなかアグレッシブでBMWらしいスポーティなものとなった。
フロントフェイスには、中央部が連結した新世代デザインのキドニー・グリルを装備。
立体感があり、押し出し感の強い迫力あるフェイスだ。
そこにシャープな4灯ヘキサゴナルLEDヘッドライトを装着。
低く睨みの効いた、スポーティなデザインとしている。
5.室内空間と使い勝手
1シリーズの評価は4点
Aクラスの評価は4点
便利な運転支援機能リバースアシストのある1シリーズ、小回りの効くAシリーズ
FF化されたことで、先代1シリーズとは比べものにならないくらい、室内空間と使い勝手が向上した新型1シリーズ。
ボディサイズは、全長4,355×全幅1,800×1,465mm、ホイールベースは2,670mmとなった。
Aクラスのボディサイズは、全長4,420×全幅1,800×全高1,420mm、ホイールベースは2,730mmだ。
1シリーズは、Aクラスに対して全長-65mm、全幅は同じ、全高は+45mm、ホイールベース-60mm。
1シリーズは、やや小さいボディサイズということもあり、後席の居住性などは若干Aクラスの方が広く感じる。

また、両車共にAIを活用し、会話で車両操作が可能な対話型インフォテインメントシステムを搭載している。
1シリーズは「OK、BMW」、Aクラスは「ハイ、メルセデス」という発話でシステムが起動する。
BMWについては、起動コマンドを自由に設定できる。
どちらも、使い勝手面では同等レベル。多少の慣れとAIの学習が必要だ。
1シリーズについては、使う頻度は少ないかもしれないが、運転支援機能リバースアシストが便利だ。
狭い路地や行き止まりの道や駐車場で、バックで戻らなければならない状況になった場合、直近50mの走行軌跡をクルマが記憶しているので、自動でステアリングを操作し走行軌跡通りにバックしてくれる。
バックが苦手な人は重宝するだろう。
そんな便利な機能をもつ1シリーズだが、コンパクトカーなのに小回りは苦手。
最小回転半径は5.4mもある。5ナンバーミニバンに近い数値だ。
対してAクラスは5mと小回りが得意。狭い道や駐車場では、Aクラスの方が扱いやすいということになる。
6.安全装備の比較
1シリーズの評価は3点
Aクラスの評価は4点
今時、自動ブレーキがオプションという物足りない設定
1シリーズ、Aクラス共に、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備が全車標準装備化されていない。
日本では軽自動車でも、ほぼ標準装備化されている機能だ。
日本マーケットは、世界でも予防安全装備に関して、トップレベルの感度をもっている。
しかも、BMWやメルセデス・ベンツは、高級車ブランドとして認知されている。
それなのに、今時、自動ブレーキなどが全車標準装備化されないようでは、ブランド価値が下がるというものだ。
1シリーズは、とくに物足りない仕様になった。
エントリーグレードの118iには、オプションでも自動ブレーキなどの予防安全装備が選択できない。
Aクラスは、オプションながら選択が可能だ。
1シリーズの118iは、選択肢から外して購入を考える必要がある。
Aクラスには、Sクラスとほぼ同じ機能と性能をもつ、レーダーセーフティパッケージが用意されている。
Cセグメントのコンパクトカーでありながら、高速道路でウインカーを点灯させ、後方から接近車がいない場合、ステアリング操作をアシストして、ほぼ自動で車線変更できる機能も装備されている。
7.走行性能の比較
1シリーズの評価は4.5点
Aクラスの評価は3点
しなやかさでAクラスを上回る乗り心地を誇る1シリーズ
BMWは、ミニでかなりFFモデルのノウハウを得ている。
そのノウハウが、1シリーズでさらに昇華したといえる。
もはや一般道や高速道路などでは、FF化のネガティブ要素を感じさせない。
特に驚いたのはハンドリングだ。
FRモデルと同等とまではいかないまでも、機敏さと正確さは「まさにBMW」といえるもの。
基幹部品などは一部ミニと共通化しているものの、ミニとはまったく異なるハンドリング性能をもつ。
118i系は、ツインクラッチの7速DCT。
スパスパとダイレクト感ある気持ちよいシフトフィールもあり、140ps&220Nmという出力でもキビキビ感は際立っている。

乗り心地は、BMWらしくやや硬め。
サスペンション形式は、フロントがストラット、リヤがマルチリンクだ。
硬めとはいえ、しなやかなので路面の凹凸はスッキリと見事に抑え込んでいる。
よいクルマだなぁ、と素直に誰もが感じるだろう。
さらに306ps&450Nmという大出力を誇る2.0Lターボを搭載するM135i xDriveは、同じ1シリーズとは思えないくらい異次元の走りを披露する。
ガッチリとかためられた足回りだが、路面追従性がよいため、意外なほど乗り心地はよい。
xDrive(4WD)機能との組み合わせにより、カーブではアクセルを踏んでもグリグリと曲がっていく。
アクセルオンで外側に膨らんでいく現象を抑制するARBと呼ばれる機能がしっかりと働いている証拠だ。
価格は高いが、走りはかなり楽しい。
Aクラスも1シリーズほどではないものの、良く曲がる。
ただAクラスのサスペンション形式は、フロントがストラット、リヤがトーションビーム。
リヤサスの形式差がそのまま乗り心地に影響していて、Aクラスのリヤサスは常時ゴトゴトとした乗り味になっている。
ガソリン車は直進安定性も少々物足りなく、路面のアンジュレーションにより、ややフラフラとして落ち着かない印象だった。
この傾向は、ディーゼル車でも基本は同じだが、ガソリン車よりは良くなっている。
オプションを装着すると400万円を超えるモデルで、この乗り味はちょっとコストパフォーマンスが悪く感じる。
8.リセールバリュー比較
1シリーズの評価は2.5点
Aクラスの評価は2.5点
両車共に安定したリセールバリュー
1シリーズは発売直後の新型車のため、中古車はほとんど流通していない。
そのため今のところリセールバリューは不明だが、先代モデルの傾向から判断すると、このクラスの平均、といったところだ。
先代1シリーズの2015年式では120万円くらいから、一般的な程度の車両が手に入る。
これくらいまで価格が落ちると、なかなかお買い得感がある。
2017年式だと、200万円台くらいから程度のよい中古車が手に入る。
これは新車価格の半額程度なので、お買い得感がある。
1シリーズの場合、スポーティな内外装をもつMスポーツが、より高いリセールバリューとなる。
Aクラスは、もう多くの中古車が流通している。
2018年式の場合、300万円台から程度のよい車両が手に入る。
新車価格より、100万円前後安い印象なので、まずまずといったリセールバリューだろう。
Aクラスの場合もスポーティな内外装となるAMGラインが、より高いリセールバリューとなる傾向だ。
1シリーズ、Aクラス共に平均的なリセールバリューは維持しているものの、今後懸念されるのは未使用車の存在だ。
未使用車とは、ディーラーやインポーターの都合で、買い手がいないのに自社名義で登録してしまった車両。
ほぼ新車コンディションなのだが、一度登録すると中古車扱いになる。
こうした車両は新車より大幅に安く販売されるため、高年式の中古車は価格を下げるしかなくなる。
結果的にリセールバリューも低くなる。
こうした未使用車が多く出てくるようであれば、売り時でもある。
9.まとめ・総合評価
1シリーズの総合点は26点/40点
Aクラスの総合点は27.5点/40点
走りの質なら1シリーズ、インテリアの質感やディーゼルの経済性ならAクラス
1シリーズとAクラスの大きな差となっているのが、リヤサスペンションの形式だ。
1シリーズはマルチリンク、Aクラスはトーションビームだ。
物理的にマルチリンクの方が高性能とされている。
そのため、乗り心地面では、明確な差となった。
Aクラスは、ゴトゴトとしたリヤサスの乗り心地がやや気になったが、1シリーズは少し硬めではあるもののしなやかさが際立っていた。
乗り心地など、走りの質感は1シリーズが上だろう。
関連ページ
1シリーズのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和1年11月(2019年11月)〜現在
- 新車時価格
- 334.0万円〜698.0万円
1シリーズの在庫が現在57件あります
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