フォルクスワーゲンの最小SUVがTクロス
フォルクスワーゲンは、ラインアップの中で最も小さなSUVである Tクロス(T-Cross)の発売を開始した。
Tクロスは、BセグメントのコンパクトカーであるポロをベースとしたSUV。ボディサイズは全長4,115×全幅1,760×全高1,580mm。マツダCX-3のボディサイズが、全長4,275×全幅1,765×全高1,550mmなので、比較的近いボディサイズをもつ。
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狭い道が多い日本において、全幅が1,800mm以下に抑えられたのは大きなメリット。ただ、全高は1,550mmをオーバーしているので、都市部に多い立体駐車場の全高制限以上になっているのは残念だ。
そして、狭い道や駐車場での扱いやすさの指標にある最小回転半径は5.1m。これはなかなか優秀な数値。CX-3などの国産SUVの相場は5.3mだからだ。こうした実用性の高さは、さすがフォルクスワーゲン車だ。
想像を超えた広い室内と荷室
Tクロスは、ベースがポロということもあり、十分な室内空間が確保されている。
ラゲッジスペース容量は標準状態で4,55Lを確保。後席のシートバックを倒せば最大で1,281Lの容量になる。アウトドア用品なども十分に積載可能な収納能力を誇る。こういった実用性も、さすがフォルクスワーゲン車といったところで、文句のないレベルとなった。
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さらに、用途に合わせてさまざまな車内レイアウトが可能だ。
リヤシートは、最大で140mmも前後にスライドする。背もたれは60:40の分割可倒式。
乗員数や荷物に合わせて、シートアレンジが可能だ。
スキのない完成度の高いデザイン
Tクロスの外観デザインは、ひと目でフォルクスワーゲン車と分かるものとなった。
色使いで遊び心やカジュアル感をアピールするものの、基本的なデザインは精緻でマジメ。相変わらずエモーショナルな印象はないものの、多くの人が高い好感度となるものだ。
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ヘッドライトと一体化したワイドなラジエーターグリルや、リヤエンドの横幅一杯に広がるブラックトリムフレームを備えたリフレクターバンドにより、視覚的ワイド感を強調。小さなボディサイズながら、大きく感じさせるデザイン手法が使われている。
Tクロスは、SUVらしい高めの着座位置とAピラーなどの工夫ににより、前方視界がよく運転しやすいデザインとなった。アクセントカラーを採用することで、カジュアルでオシャレな印象を与えている。
また、水平基調で力強いデザインとすることで、SUV感を表現した。
好みのカラーが選べる特別仕様車
導入初期に用意された特別仕様車となる「1st Plus」では、内外装のカラーを個性的に彩る3色のデザインパッケージを標準設定。ドアミラーやアルミホイールに加え、インテリアカラーも「ブラック」「オレンジ」「グリーン」の3色から選択できる。
Tクロスの外板色はは、新色マケナターコイズメタリックやダークペトロールをはじめ、全8色を用意。デザインパッケージとの組み合わせによって合計21種類のバリエ―ションの中から、自分の好みに合った1台を選べるので満足感は高い。
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やや物足りない予防安全装備
日本マーケットは、歩行者検知式自動ブレーキなど予防安全装備が非常に重要視される。
Tクロス導入記念特別仕様車「T-Cross TSI 1st」、「T-Cross TSI 1st Plus」には、先行車を完全停止状態まで自動追従して走行するアダプティブクルーズコントロール"ACC" (全車速追従機能付)、プリクラッシュブレーキシステム"Front Assist"(歩行者検知対応シティエマージェンシーブレーキ機能付)、駐車支援システム"Park Assist"、車両後方の死角を監視してドライバーに警告を発するブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)などを標準装備した。
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一定レベルにはある予防安全装備だが、日本ではやや物足りない印象だ。
自動ブレーキは、今や歩行者だけでなく、自転車などへの対応も求められている。Tクロスの価格が300万円オーバーであることを考えると、もう少し高性能な安全装備が欲しい。
また、フォルクスワーゲンだけではないが、輸入車全般はドライバーの操作を重視する。そのため、国産車のようなアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置は用意されていない。
高齢者でこうした装備が必要と考えるのであれば注意が必要だ。
快適装備関連では、ナビゲーション機能やオーディオシステムに加え、コネクテッドカーとしてフォルクスワーゲン純正インフォテイメントシステム"Discover Pro"、スマートエントリー&スタートシステム"Keyless Access"、ケーブルに接続せずにスマートフォンを充電できるスマートフォンワイヤレスチャージングなど標準装備されている。
ポロよりややパワーアップした直3 1.0Lエンジンを搭載
Tクロスは、ポロベースのSUVということもあり、ポロと同じ直3 1.0LターボのTSIエンジンが搭載されている。ただし、SUVで車重が重くなっていることもあり、セッティングを変更し、大幅にパワーアップされている。
Tクロスの最高出力 85kW(116PS)、最大トルク 200Nm をアウトプット。7速DSGと組み合わされた。ポロの出力が、70kW(95PS)&175Nなので、なかなか力強い走りが期待できる。
そして、Tクロスの燃費は、16.9㎞/L(WLTC モード)となった。燃費面では優秀だが、輸入車なので燃料にハイオクガソリンを使用する。そのため、燃費は良くてもガソリン代は高めになる。
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フォルクスワーゲン Tクロス価格、スペック
■価格
T-Cross TSI 1st:2,999,000円
T-Cross TSI 1st Plus:3,359,000円
■フォルクスワーゲン Tクロス スペック
代表グレード T-Cross TSI 1st Plus
・全長X全幅X全高:4,115 x 1,760 x 1,580 mm
・ホイールベース:2,550mm
・車両重量:1,270kg
・最小回転半径:5.1m
・燃費:19.3km/L(JC08モード)/ 16.9km/L(WLTCモード)
・総排気量:999cc
・最高出力:85kW(116PS)/5,000rpm~5,500rpm
・最大トルク:200Nm(20.4kgm)/2,000rpm~3,500rpm
・トランスミッション:7速DSG
・タイヤサイズ:215/45 R18
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