この記事の目次 CONTENTS
インフィニティから日産ブランドへ! 3.0Lターボも追加
ハンズオフが可能になった、自動運転時代を感じさせる先進技術「プロパイロット2.0」
スイッチひとつで、車線変更も可能
V6 3.0Lターボ車には、405psをアウトプットする400Rを投入
歩行者検知式自動ブレーキが装備されていないガソリン車
日産スカイラインの選び方
日産スカイライン価格
日産スカイラインのスペック・仕様

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

日産は、高級スポーツセダンのスカイラインをマイナーチェンジし発売を開始した。

インフィニティから日産ブランドへ! 3.0Lターボも追加

今回のマイナーチェンジでは、世界初となる運転支援技術「プロパイロット2.0」を搭載した。
同時に2.0Lターボを廃止し、V6 3.0Lツインターボモデルを投入。
このV6 3.0Lターボモデルの中には、405psという大出力を誇るスポーツモデル「400R」も投入されている。

V37型と呼ばれる現行のスカイラインは13代目で、デビューは2014年。
13代目スカイラインは、北米を中心とした高級車ブランドであるインフィニティQ50とほぼ同じクルマだ。
デビュー当時、グリルなどに日産エンブレムはなく、インフィニティエンブレムがいたる所に装着されていた。

当時搭載されたパワーユニットは、V6 3.5Lのハイブリッド。
3.5Lハイブリッドのシステム出力は364psを誇り、かなりパワフルだ。
モーターのアシストと1モーター2クラッチ式のシステムにより、ダイレクト感のある、アクセルレスポンスに優れた走りは、かなり気持ちがよい。
そのうえ通常時はモーター走行も可能で、17.8㎞/L(JC08モード)という低燃費を誇る。

ハイブリッド車の登場から、やや遅れて直4 2.0Lターボモデルも登場。
211ps&350Nmを誇り、燃費は13.6㎞/Lとなった。
このエンジンは、メルセデス・ベンツ製だ。

そして世界初の技術として搭載されたのが、電気信号で前輪を操舵する「DAS」だ。
この機能は、前輪とステアリングが機械的につながっていない。
ステアリング操作は電気信号に置き換えられ、ステアリングアングルアクチュエーターを作動させてタイヤを操舵する。
前輪がステアリングと機械的な接続がないため、荒い路面状態で起きるキックバックや路面のうねりなどがない。
しっかりと直進状態を維持してくれるため、直進安定性も非常に高い。
修正舵が非常に少なくなるのが特徴で、ロングツーリングなどでは疲労軽減にも役立つ。

今回のマイナーチェンジではインフィニティエンブレムが外され、日産エンブレムへ変更されている。
これは「プロパイロット2.0」という先進技術をスカイラインに搭載する以上、インフィニティブランドでは都合が悪かったからだ。
日産としては「プロパイロット2.0」は、あくまで日産ブランドでアピールしたい。
そんな日産の都合でスカイランは日産エンブレムとなり、若干デザインも変更されてる。

またスカイラインの外観デザインは、日産のデザインアイコンでもあるVモーショングリルを装着。
他のモデルのように太いV字のグリルではなく、線の細いシャープでスポーティなVモーショングリルになった。
線は細いものの奥行きのあるデザインで、彫りの深い顔になり、同時にスピード感も手に入れている。
またリヤコンビネーションランプは、スカイライン伝統の4灯式とした。

ハンズオフが可能になった、自動運転時代を感じさせる先進技術「プロパイロット2.0」

マイナーチェンジの目玉は、高速道路などでハンズオフが可能になった「プロパイロット2.0」だ。
世界初の先進運転支援技術である。
この「プロパイロット2.0」は、スカイラインハイブリッドのみに搭載されている。

「プロパイロット 2.0」のポイントは、ナビゲーションシステムと連動させている点。
高精度な3D地図データとGPS、周囲360°のセンシングなどにより可能となった運転支援機能だ。
360°センシングを可能にするために、前方用3眼カメラの他、トータルで7個のカメラ、5個のレーダー、12個のソナーが装備されている。

※自動運転の機能を過信せず、責任を持って安全運転を心がけましょう。

「プロパイロット2.0」を作動するには、まずナビゲーションで目的地を設定、ルート上にある高速道路に入り、「プロパイロット2.0」のスイッチをONにする。
制限速度の+10㎞/hがプロパイロット2.0の作動条件。
従来のプロパイロット機能は、+10㎞/h以上でも作動する。

「プロパイロット2.0」が機能すると、メーター内のモニターがブルーに変化する。
この状態であれば、同一車線内でハンズオフが可能。
ハンズオフは可能だが、ドライバーは常に前方に注意し、機能が停止した場合や交通状況の変化に対応できるようにしておく必要がある。
すぐにハンドル・ブレーキ操作が可能な状態にしておきたい。

スイッチひとつで、車線変更も可能

前方に遅いクルマなどがいた場合には、車両側から車線変更の提案がメーター上に表示される。
ドライバーが車線変更の提案を受け入れた場合、ステアリングホイール右端上方の専用スイッチを押す。
すると、車両は後方の安全を確認した後に車線変更を開始する。
ただし車線変更時、ドライバーはステアリングに手を添える必要がある。
手を添えていないと車線変更は行われない。

こうした車線変更の提案は、ジャンクションや高速道路の出口などでも行われる。
ドライバーはその都度確認し、ステアリングに手を添えて車線変更することになる。

よそ見や居眠りなど、ドライバーが前方監視を怠っている場合には、ドライバーモニターが検知し警報を発する。
またこの機能は、ドライバーが何らかの異常事態で警報に反応しない場合、ハザードランプを自動点灯する。
そして徐々に減速させて、自動停止する。
その後、車載のSOSコールを使い専用オペレーターに自動接続。
状況に合わせ、救急車の要請などが行われる。
「もしもの時」の対応も万全だ。

この「プロパイロット2.0」のメリットは、とても大きい。
高速道路での長距離移動では、非常にドライバーの疲労軽減に役立つ。
疲労軽減は事故のリスクを軽減するため、安全面でのメリットも大きい。

また、心理的なメリットもある。
クルマ側が自動で減速や加速、車線維持を行ってくれるので、先行車に対してイライラする頻度は非常に少なくなる。
また運転が苦手な人にとっては、強度な緊張から解き放たれて、安心して移動できるようになる。

ただ、「プロパイロット2.0」はあくまで運転支援機能という認識をしっかりと持つことが大切だ。
長いトンネル内や地図情報が更新されていない道路など、状況によってはシステムが解除されることもある。
このようなときには、すぐに対応できる準備が必要だ。
また、周囲の車両が勝手に衝突してくるような状況では、ドライバーが自ら回避する必要もある。

V6 3.0Lターボ車には、405psをアウトプットする400Rを投入

スカイラインがスポーツセダンであることをより鮮明にしたのが、V6 3.0Lターボを搭載したガソリン車だ。
とくに400Rと名付けられたグレードは、405ps&475Nmという大出力を誇る。
燃費性能は10.0㎞/L(WLTCモード)。

この400Rのエンジンは、通常モデルのエンジンを単に過給圧アップでハイパワー化しているのではなく、ターボ回転センサーなどを採用している。
エンジンのもつパフォーマンスをより効率的に引き上げているのが特徴だ。
6,400回転と、大排気量ターボながら少し高回転型。
高回転でパンチのある加速力が楽しめそうだ。

そして通常のV6 3.0Lターボモデルは、304ps&400Nmの出力で、燃費性能は10.0㎞/L(WLTCモード)となった。
400Rも同様だが、燃料にはハイオクガソリンを使用する。
基本的に北米マーケット向けに投入されていたエンジンのため、燃費などは二の次といった印象だ。
燃料タンクも大きく、容量は80Lとなっている。

歩行者検知式自動ブレーキが装備されていないガソリン車

ターボでハイパワーなガソリン車という点は旧態依然とした内容だが、ハイパワーなFR(後輪駆動)車が好きなクルマ好きにとっては魅力的といえる。

ただ残念なのは、このガソリン車には歩行者検知式自動ブレーキが装備されていない。
日本のマーケットは、安全装備には敏感だ。
それは、軽自動車にも歩行者検知式自動ブレーキが標準装備化されているほど。
高級車でもあるスカイラインに装備されていないというのは、かなり物足りない。
安全に対する考え方が甘い。
クルマは人を傷つけてしまう可能性のある道具であることを、再確認する必要がある。

ハイブリッド車には先進技術である「プロパイロット2.0」が搭載されており、未来を感じさせるモデルとなっているだけに、ガソリン車は安全装備に手を抜きすぎという印象が強い。
こうなると、今時、顧客の選択肢から外れる可能性も高くなる。

日産スカイラインの選び方

日産スカイラインには、ガソリン車とハイブリッド車がある。
どちらを選ぶか。
当然、ハイブリッド車だろう。
ガソリン車には「プロパイロット2.0」も無ければ、歩行者検知式自動ブレーキも装備されていないからだ。

ハイブリッド車のグレードは3タイプ。
エントリーグレード、タイプP、タイプSPとなる。
エントリーグレードの装備は、高級車としてはやや貧弱。
助手席パワーシート、ハイビームアシスト、アクティブAFS、本革シートなどの装備も装着されていない。
肝心の「プロパイロット2.0」は装備されているので、豪華な装備など無くても気にならないというのであれば、エントリーグレードでも十分だ。

タイプPは本革シートなどが装備されており、装備は十分。
しかしエアロタイプのバンパーや19インチタイヤなどは、タイプSPの専用装備となる。
やはり、おすすめはスポーティな外観となっているタイプSPだ。

どうしてもガソリン車というのであれば、405psを発揮する400Rがおすすめだ。
4輪アルミレッドキャリパー対向ピストンブレーキに加え、インテリジェント ダイナミックサスペンションを装備。
特別感は際立っている。
他のターボ車と比べると70万円程度高価だが、走りの質を求めてガソリン車を買うなら、やはり400Rの方が満足度は高くなる。

日産スカイライン価格

価格は以下の通り。

2WD(後輪駆動)

  • GT Type SP [HYBRID]:6,048,000円
  • GT Type P [HYBRID]:5,711,040円
  • GT [HYBRID]:5,474,520円
  • GT Type SP [V6 TURBO]:4,818,960円
  • GT Type P [V6 TURBO]:4,554,360円
  • GT [V6 TURBO]:4,274,640円
  • 400R[V6 TURBO]:5,523,120円

4WD

  • GT Type SP[HYBRID]:6,327,720円
  • GT Type P[HYBRID]:5,990,760円
  • GT[HYBRID]:5,754,240円

日産スカイラインのスペック・仕様

代表グレード 日産スカイライン 350GT HYBRID Type SP
全長×全幅×全高 4,800×1,820×1,440mm
ホイールベース 2,850mm
車両重量 1,840kg
エンジン型式 VQ35HR
総排気量 3,498cc
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 225〈306〉/6,800
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 350〈35.7〉/5,000
モーター最大出力[kw(ps)] 50〈68〉
モーター最大トルク[N・m(kg-m)] 290〈29.6〉
ミッション 7AT
タイヤサイズ 245/40RF19
JC08モード燃費 14.4km/L
定員 5人