マツダ3新旧比較レビュー

マツダ3の新旧比較レビュー。
2019年5月に3代目アクセラがフルモデルチェンジ、マツダ3へと改名し登場した。
「誰もが羨望するクルマ」をテーマにマツダの躍動デザインを更に深化、「新たなエレガンス」を表現している。
この記事では内装・外装、安全装備などを比較評価していく。

この記事の目次 CONTENTS
マツダ3の歴史・概要
1. コンセプト&外装デザイン
2. 内装&装備
3. 走り、メカニズム
おすすめはマツダ3? それとも3代目アクセラ?
新車値引き交渉のポイント
マツダ3の価格・スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

マツダ3の歴史・概要

マツダ3のルーツは、アクセラだ。
グローバルでは以前から、アクセラはマツダ3という車名で販売されていた。
日本では、3代目アクセラがフルモデルチェンジする際に、グローバルで使用されているマツダ3へと車名を変更した。

初代アクセラの登場は、2003年。
当時、フォードと資本関係があったことから、フォード フォーカスや同じグループだったボルボV40とプラットフォームを共用していた。

2代目アクセラは、2009年にデビュー。
その後の2011年のマイナーチェンジで、現在のモデルへとつながるスカイアクティブテクノロジーが投入されている。

そして、2013年に3代目アクセラが誕生する。
3代目アクセラから、マツダの魂動デザインが採用された。
パワーユニットには、CX-5に採用された2.2Lのクリーンディーゼルを搭載。
420Nmという大トルクを誇り、非常にスポーティな走りを披露。
隠れたスポーツモデルとして高く評価されている。
またセダンモデルには、トヨタとの提携によりトヨタのハイブリッドシステムをベースとしたハイブリッド車も投入されている。

そして2019年5月、本来であれば4代目アクセラとなるフルモデルチェンジ時に、マツダ3へと改名して登場した。
マツダ3には、「スカイアクティブX」エンジンを採用(2019年9月現在では未発売)。
「スカイアクティブX」エンジンは、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの長所を併せ持つ革新的な燃焼制御技術「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」を採用した、注目のエンジンだ。
その他、1.5Lと2.0Lのガソリン、1.8Lディーゼルが用意されている。
2.2Lディーゼルは用意されていない。

マツダ3のエンジン

1. コンセプト&外装デザイン

引き算の美学でシンプルなデザインを採用したマツダ3

マツダ3の開発テーマは「誰もが羨望するクルマ」。
そのため、デザインは重要な要素となった。
マツダの魂動デザインをさらに深化させたマツダ3では、日本の美意識を礎とした「新たなエレガンス」を表現。

マツダ3の外装

「引き算の美学」を考え方のベースとして、色々な要素を削ぎ落し、シンプルなフォルムを作り上げた。
全体的にヌメっとした印象が強いマツダ3は、光の当り方次第で色々な表情を見せる。
これだけユニークなデザインは数少なく、車群の中でも圧倒的な存在感を放つ。

躍動感あるフォルムの3代目アクセラ

3代目アクセラは、魂動デザインをベースとした躍動感あるスタイルが特徴だ。

3代目アクセラの外装

マツダ3と大きく異なるのは、ボディサイドなどに多くのキャラクターラインが入れられていること。
このキャラクターラインにより、力強い面表現や躍動感を生み出している。
シンプルにまとめたマツダ3に対して、3代目アクセラはコッテリとしたキャラクターラインでスタイリッシュに見せている。
3代目アクセラのデザインは、今でも古臭さを感じさせない。

マツダ3か? それとも3代目アクセラか? もはや、好みの問題といえるだろう。

2. 内装&装備

クラストップレベルの安全装備を誇るマツダ3

マツダ3は、3代目アクセラより進化した安全装備を装着している。
自動ブレーキは、夜間の歩行者と昼間の自転車を検知できるようになった。
またクルーズコントロール機能は、全車速追従式になり渋滞時の疲労軽減が可能。
後退時に左右から接近するクルマがある場合に、警報を発するリヤクロストラフィックアラートには、ブレーキ制御がプラスされより安心してバックできるようになっている。
3代目アクセラの後期モデル同様に、多くの機能が標準装備化されている。

国産ライバルメーカーの多くは、オプション設定が多い中、マツダ3、3代目アクセラ共に、すべてのグレードにこうした安全装備を標準している点は素晴らしい。
クルマは扱い方を間違うと人を傷つけてしまうことがある道具。
技術でリスクを軽減できるのであれば、そのクルマを売るメーカーは自らの責任で標準装備化し、安全を確保する社会的責任がある。
マツダ3や3代目アクセラの後期モデルは、まさに社会的責任を果たしているといえる。
3代目アクセラの前期モデルは、こうした予防安全装備が装着されていないので、中古車を購入する場合、なるべく後期モデルを選ぶと良い。

マツダ3のインパネデザインは、滑らかな曲線が組み合わされ落ち着いた雰囲気にまとめられている。
各スイッチ類は、さり気ないシンプルなデザインで、集中してレイアウトされている。
ブラインドタッチで使えるなど、使いやすさを重視し、タッチパネルはあまり使われていない。
タッチパネルは走行中揺れる車内で操作するのは難しく、指先を注視してしまい前方監視を怠ってしまうケースが多いからだ。

3代目アクセラも各部の質感は高かったが、マツダ3はさらにその上を行く。
もはや、クラスを超えた質感だ。

マツダ3の内装

未だ高いレベルにある3代目アクセラ

3代目アクセラのインパネデザインは、水平基調でワイド感がある。
オーソドックスで落ち着いた雰囲気でまとめられているのが特徴だ。
また、ブラックとシルバーの加飾の使い方も上手く、スポーティでクールな空間に仕上げている。
ただ、センターディスプレイは今となっては画面が小さく見にくい。

3代目アクセラの内装

3. 走り、メカニズム

静粛性、走行性能など、すべての面で3代目アクセラを上回ったマツダ3

マツダ3のリヤサスペンションは、マルチリンクからトーションビームに変更された。
サスペンションの仕組みとしては、グレードダウンでコストダウンした印象が強い。
一般的には、ゴツゴツ感ある乗り心地になるところだが、マツダ3では非常にしなやかにサスペンションが動く。
これは、ダンパーやタイヤの機能を最大限に発揮できるマツダ3のボディの恩恵によるものだ。
マルチリンクを使う3代目アクセラよりも乗り心地がよい。
しかも路面追従性もよく、トーションビームのネガな部分が感じられなかった。

3代目アクセラには、車両姿勢安定化制御であるGVC(Gベクタリングコントロール)が装備されていた。
GVCは滑りやすい道などでは、とくに効果を発揮し安定した姿勢での走行を可能とする。
マツダ3では、このGVCが進化しGVCプラスとなった。
この機能は、旋回中のドライバーのハンドル戻し操作に応じて外輪にわずかな制動をかける。
これにより、車両を直進状態へ戻すための復元モーメントになり車体の安定性を向上する。
高速レーンチェンジや雪道など滑りやすい道などで、とくにその効果をハッキリと体感できる。
車体の揺れ戻りが少なく、すぐに元の直進状態に戻り、非常に安定感がある。

マツダ3の1.5Lと2.0L、1.8Lディーゼルエンジン、6速ATに大きな変更は無く、3代目アクセラと大差ない。
パワーユニットに関しては、スカイアクティブXの登場を待ちたい。

また、静粛性に関しては大幅に向上。
クラストップレベルの静粛性を誇り、カーオーディオは高級車に負けないクリアなサウンドが楽しめる。
スカイアクティブXを除くエンジンとミッション関連は、3代目アクセラとそれほど変わらない。
だが、それ以外の走行性能に関しては、完全にマツダ3が3代目アクセラを上回る。
これは、テクノロジーの進化上、当然のこと。
今ところ、3代目アクセラが走行性能面で上回るのは、2.2Lディーゼルを積んでいたこと。
3代目アクセラの2.2Lのパワフルさは格別でクセになる速さだ。
マツダ3には、まだこうしたワクワクするスポーティなパワーユニットは存在しない。

3代目アクセラのエンジン

おすすめはマツダ3? それとも3代目アクセラ?

走行性能面ではマツダ3。3代目アクセラにしかない魅力も

フルモデルチェンジにより、マツダ3の走行性能は3代目アクセラを大幅に上回った。
静粛性やインテリアの質感も同様。
当然のことながら、新型車が旧型車に劣る部分はほとんどない状態といえる。

ところが、今のところ3代目アクセラにあって、マツダ3にないパワーユニットがある。
それは、ハイブリッドと2.2Lディーゼルだ。

このハイブリッドはセダンのみに設定されており、30.8㎞/L(JC08モード)という低燃費性能を誇る。
この燃費値を超えるマツダ3はない。
燃費重視というのであれば、3代目アクセラセダンという選択肢もある。
中古車価格は2014年式で110~150万円くらいが相場になっている。

そして、2.2Lディーゼルもマツダ3には、今のところ搭載されていない。
この2.2Lディーゼルは、420Nmもの大トルクを発生。
しかも車重は1,450㎏前後なので、その加速力は強烈。
アクセラにスポーツ性を求めるのであれば、3代目アクセラの2.2Lディーゼルになる。
マツダ3には、今のところ3代目アクセラの2.2Lディーゼル車を超えるパワーユニットは設定されていない。
しかも、中古車価格は高年式の2016年モデルで170万円台位から手に入る。
この価格なら、非常にコストパフォーマンスが高い。

こうしたモデルを選択するのであれば、3代目アクセラの中古車という選択も悪くない。

新車値引き交渉のポイント

マツダ3の値引きは、ほぼゼロ傾向が続く。ただし、1~3月がチャンス

マツダは多くの車種で値引きを抑えている。
マツダ3はデビュー直後の新型車なので、ほぼ値引きゼロ状態が1年くらいは続くだろう。

ただ1~3月の繁忙期だけは、値引き額は少ないかもしれないが交渉に応じてくれる可能性が高い。
1~3月は、自動車業界最大の繁忙期。
国産メーカーの多くが3月末に決算のため、1台でも多く販売するため必死になる時期。
メーカーからは、販売会社に通常インセンティブとは別のインセンティブが投入されることが多い。
例えば、年間1万台の販売で2万円/台のインセンティブといったような提示がされるのだ。
達成すれば、2億円のインセンティブになる。
この2億円がある意味、原資となり大幅値引きが飛び出すのだ。
このように1~3月は、買い手が有利。
しかも、10月には消費税増税があり、増税後しばらくは新車販売が低迷する可能性が高い。
そのため、1~3月の販売現場では、赤字覚悟で販売台数の積み上げが行われるだろう。

値引きのコツは、必ずライバル車と競合させること

マツダ3であれば、インプレッサやプリウスといったCセグメントのコンパクトカー。
輸入車であれば、フォルクスワーゲン ゴルフ、メルセデス・ベンツAクラス、BMW1シリーズなどと競合させてみてもよいだろう。
1月くらいから商談を始め、3月末の登録ができるタイミングギリギリまで引っ張りたい。
「いつになったら買ってくれるのですか?」と営業マンが痺れを切らせればしめたもの。
「大幅値引きしてくれるのなら、すぐ買うよ」でOK。
「すぐ買うよ」というワードは、営業マンの大好物だからだ。
中古車となる3代目アクセラも競合が重要。
まったく同じ中古車はないので、似たような価格や仕様の中古車同士を競合させるといい。
能力が低い営業マンは「他に商談しているお客様がいるので、早い者勝ち」など、即決を求めてくる。
こうした即決を求める営業マンには「似たようなクルマはいくらでもあるので、別にこのお店でなくてもいいんだけど、○○万円引きすることを今決めてくれれば、今日買うよ」と逆に営業マンに即決値引きを迫ってみるのもいい。
店長レベルになると、すぐに購入してくれる顧客がいれば、よりノルマの達成が読めてくるので、多少の値引きは目をつぶる可能性が高いのだ。

マツダ3の価格・スペック

マツダ3 ファストバック価格

 
  • マツダ3・15S (FF)6MT/6EC-AT:2,181,000円/6EC-AT 4WD :2,413,200円
  • 15S Touring (FF) 6MT/6EC-AT:2,273,880円/6EC-AT 4WD:2,506,080円
  • 20S PROACTIVE  (FF)6EC-AT:2,470,000円
  • 20S PROACTIVE Touring Selection  (FF)6EC-AT:2,588,800円
  • 20S L Package (FF)6EC-AT:2,649,000円
  • 20S Burgundy Selection (FF)6EC-AT:2,719,200円
  • XD PROACTIVE (FF)6EC-AT:2,740,000円/4WD  6EC-AT:2,972,200円
  • XD PROACTIVE Touring Selection (FF)6EC-AT:2,858,800円/4WD  6EC-AT:3,091,000円
  • XD L Package  (FF)6EC-AT:2,919,000円 /4WD  6EC-AT:3,151,200円
  • XD Burgundy Selection  (FF)6EC-AT:2,989,200円 /4WD 6EC-AT:3,221,400円
  • X PROACTIVE  (FF)6EC-AT/6MT:3,140,000円/ 4WD 6EC-AT/6MT:3,372,200円
  • X PROACTIVE Touring Selection (FF) 6EC-AT/6MT:3,258,800円/4WD  6EC-AT/6MT: 3,491,000円
  • X L Package (FF) 6EC-AT/6MT:3,319,000円/4WD  6EC-AT/6MT:3,551,200円
  • X Burgundy Selection (FF) 6EC-AT/6MT:3,389,200円/4WD 6EC-AT/6MT:3,621,400円

マツダ3 セダン価格

 
  • マツダ3・20S PROACTIVE (FF) 6EC-AT:2,470,000円
  • 20S PROACTIVE Touring Selection (FF) 6EC-AT:2,588,800円
  • 20S L Package (FF) 6EC-AT:2,649,000円
  • XD PROACTIVE (FF) 6EC-AT:2,740,000円/4WD  6EC-AT:2,972,200円
  • XD PROACTIVE Touring Selection (FF) 6EC-AT:2,858,800円 /4WD  6EC-AT:3,091,000円
  • XD L Package (FF) 6EC-AT:2,919,000円 /4WD  6EC-AT:3,151,200円
  • X PROACTIVE  (FF) 6EC-AT:3,140,000円/4WD  6EC-AT:3,372,200円
  • X PROACTIVE Touring Selection (FF) 6EC-AT:3,258,800円/4WD  6EC-AT:3,491,000円
  • X L Package (FF) 6EC-AT:3,319,000円/4WD (FF) 6EC-AT:3,551,200円
代表グレード マツダ3 ファストバック XD PROACTIVE(FF)
全長×全幅×全高 4,460×1,795×1,440mm
ホイールベース 2,725mm
車両重量 1,410kg
総排気量 1,756cc
最高出力[kw(ps)/rpm] 85(116)/4,000
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 270(27.5)/1,600-2,600
燃料 軽油
ミッション 6速AT
WLTCモード燃費 19.8㎞/L