この記事の目次 CONTENTS
新しいBクラスは背の高いAクラス?
上質感と先進性が融合したインテリア(内装)
荷室の広さが新型Bクラスのウリ
AIを駆使した話題のMBUXも採用
2タイプのエンジンを用意
まさかのレーダーセーフティパッケージがオプション設定
メルセデス・ベンツBクラス価格
メルセデス・ベンツBクラスのスペック・仕様

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

メルセデス・ベンツは、マルチパーパスモデルであるBクラスを7年振りにフルモデルチェンジし発売を開始した。

新しいBクラスは背の高いAクラス?

新型メルセデス・ベンツBクラスは、メーカー側にとって非常に効率的といえるようなモデルになった。
新型Bクラスのボディサイズは、全長4419×全幅1796×全高1562mm。
これに対して、すでに発売されているAクラスのボディサイズが、全長4419×全幅1796×全高1440mmだ。

なんと、BクラスとAクラスの全長と全幅、ホイールベースは全く同じなのだ。
全高が若干異なるくらいで、Bクラスの方がやや高くなっている。

Bクラスの全高は1562mmなのだが、これがまた微妙で、都市部に多い立体駐車場の全高制限1550mmをわずかに超えてしまっている。
1550mm制限の立体駐車場を使っている人は車庫証明を取れないことから、Bクラスの購入ができない。
マルチパーパス系とはいえ、顧客を選ぶことはマイナス要因のひとつだ。

ただ面白いのは、オプション設定されているAMGラインを装着すると、専用サスペンションによりローダウンされ、全高が1541mmになることだ。
これなら1550mm制限の立体駐車場利用も可能になる。
1550mm制限の立体駐車場を使いたい人にとって、AMGラインは必須だ。

新型Bクラスの外装・デザイン

新型メルセデス・ベンツBクラスの外観デザインは、ヘッドライトが異なる程度でほとんどAクラスと同じだ。
よくここまで割り切れたなぁ、と思うくらいだ。

全体的な印象は、先代Bクラスのコッテリとした顔から、随分スッキリサッパリ系に変身した。
先代Bクラスにあった強烈なキャラクターラインも、新型では随分控えめになっている。

こうしたスッキリ系デザインは、先代のコッテリ系Bクラスを好んでいた人にとって少々物足りないかもしれない。
ただ、全体的に隙のないデザインで、完成度も高い。
味気ないがカッチリとまとまっているフォルクスワーゲン ゴルフ系のデザインテイストを感じる。

そうは言っても、グリル内に大きく入れられたスリーポインテッドスターの存在感は強烈だ。
また空気抵抗を表すCd値が0.24と小さいのは、Bクラスのデザインが機能面でも優れている証拠だろう。

上質感と先進性が融合したインテリア(内装)

新型Bクラスの内装もほとんどAクラスと同じだ。
ダッシュボードは、インパネ・クラスター上方のカウルを廃止した。
ダッシュボード上部にワイドスクリーンのディスプレーを配置し独特の先進感を生み出している。
視認性も良いのが特徴だ。

そして、エアコンのダクトは、CLSあたりから採用されているジェットエンジンのタービンを連想させるデザインを採用した。
一般的に、こうしたエアコンのダクトは存在感を主張しないクルマが多い。
しかし、新型Bクラスは操作系のスイッチより、存在感を主張している。

そして、室内を独特な雰囲気にしてくれるアンビエントライト(オプション設定)を用意した。
全64色の設定が可能で、先代モデルの5倍に相当する。

荷室の広さが新型Bクラスのウリ

新型メルセデス・ベンツBクラスでは、先代よりも室内スペースが拡大された。
先代モデル同様に大人4人が快適に過ごせる広い室内空間を目指し、前席の室内幅は33mm拡大されて1456mmとなった。
フロントのヘッドルームも5mm拡大されて1052mmになっている。
リヤシートのバックレストは、4:2:4分割可倒式を採用した。

また、ほとんどAクラス感がある新型Bクラスだが、もっともユニークなポイントは荷室だ。
荷室容量は通常時455Lを確保され、Aクラスの370Lと比べるとかなり大きくなっている。
このクラスではトップレベルの荷室容量だ。

また、テールゲートを自動で開閉できる「フットトランクオープナー」の使い勝手もよい。

AIを駆使した話題のMBUXも採用

新型メルセデス・ベンツBクラスには、Aクラスで話題になった対話型インフォテインメントシステムMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)も装備されている。
「ハイ・メルセデス」でシステムが起動し、発話による各操作を可能にする。
たとえば、「暑い」という曖昧な言葉でも理解してエアコンの温度を下げてくれる。

MBUXは、AIを使った学習機能を持っているのが特徴で、オーナーの特性に合わせて進化していくため、使い込むほど使い勝手が良くなる。

2タイプのエンジンを用意

新型メルセデス・ベンツBクラスには2タイプのエンジンが用意された。
B180は1.3Lのガソリン直4ターボエンジンで、136ps&200Nmを発揮する。
このエンジンは、7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)と組み合わされる。

そして、B200dには直4のディーゼルターボが搭載される。
150ps&320Nmという出力を誇り、8速DCTと組み合わされている。
全車FF(前輪駆動)の設定で4WDはない。

まさかのレーダーセーフティパッケージがオプション設定

新型メルセデス・ベンツBクラスには、自動運転を見据えた、先進の予防安全装備が用意された。

レーダーセーフティパッケージと呼ばれる運転支援システムは、Sクラスとほぼ同等レベルのものが装備される。
歩行者検知式自動ブレーキなど各種予防安全装備に加え、高速道路でウインカーを出すと後続車がいないことをシステムが確認したあと、車線変更支援を行う機能もある。
さらに、走行中にドライバーが気を失った場合などには、自動的に車線を維持しながら緩やかに減速・停止する「アクティブエマージェンシーストップアシスト」も搭載している。

こうした機能は世界トップレベルだが、予防安全装備「レーダーセーフティパッケージ」をオプション設定としているところは残念だ。

しかも、メルセデス・ベンツは高級ブランドで安全性をウリにしているメーカーのひとつでもある。
これでは、メルセデス・ベンツの看板に泥を塗るようなものだろう。

輸入元のメルセデス・ベンツ・ジャパンは、仕様を考え直す必要がある。
とくに、日本は軽自動車にも歩行者検知式自動ブレーキの標準装備化が進んでいる国だ。

メルセデス・ベンツBクラス価格

価格は以下の通り。

  • B180:3,840,000円
  • B200d:4,220,000円

メルセデス・ベンツBクラスのスペック・仕様

代表グレードはメルセデス・ベンツBクラス B200dだ。

ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4419×1796×1562
ホイールベース[mm] 2729
エンジン総排気量[cc] 1,756
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 110(150)/3400~4400rpm
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 320(32.6)/1400~3200rpm
燃料 軽油
ミッション 8速AT
WLTCモード燃費 -
定員[人] 5