この記事の目次 CONTENTS
ハンガリーから輸入されているコンパクトSUV、SX4 S-CROSS安全装備を強化
2017年に大幅なマイナーチェンジを行ったSX4 S-CROSS
安全装備の充実が課題だったSX4 S-CROSS
スズキSX4 S-CROSSの選び方
スズキSX4 S-CROSS(エスクロス)価格、スペックなど

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

ハンガリーから輸入されているコンパクトSUV、SX4 S-CROSS安全装備を強化

スズキは、コンパクトSUVのSX4 S-CROSS(エスクロス)を一部改良し発売を開始。
今回の改良で安全装備を見直したことで、安全性能を向上させている。

スズキSX4 S-CROSS(エスクロス)は、2015年にデビュー。
全長4,300×全幅1,785×全高1,595mmというコンパクトなボディを持ち、日本の狭い道でも扱いやすいサイズをもつSUVだ。
こうしたコンパクトSUVの人気は、非常に高い。
ホンダ ヴェゼルやマツダCX-3などがライバル車で、よく売れている。

スズキも本来なら積極的に売りたい車種なのだが、SX4 S-CROSS(エスクロス)の販売目標台数は1,200台/年と非常に少ない。月換算すると100台/月になる。

売れるはずのコンパクトSUVで、どうしてこのような販売目標になるかというと、このSX4 S-CROSSは、ハンガリーのマジャールスズキ社で生産され、日本に輸入されているモデルだからだ。

SX4 S-CROSSはスズキの世界戦略車でもあり、欧州や中南米、大洋州、アフリカ等へ輸出されている。
そのため、台数の少ない日本仕様をわざわざ生産し輸入するのは簡単なことではない。

しかも、売れると思った仕様が全く売れないと、大量の在庫車をかかけることになる。
スズキもそうしたリスクを避けたという意識が強く、SX4 S-CROSSは1グレード設定で、2WDか4WDの選択しかできない。

2017年に大幅なマイナーチェンジを行ったSX4 S-CROSS

SX4 S-CROSSは、2015年にデビューし2017年に初のマイナーチェンジを行った。
まず外観デザインを大幅に変更。
ヘッドランプ、フロントバンパー、フロントグリル、フロントボンネットフードのデザインを変え、押し出し感のあるグリルと、睨みの効いたツリ目のヘッドライトを組み合わせた。

このデザイン変更により、従来のスッキリしたものから、迫力系デザインになった。
もはや、別のクルマかと感じるほど大きくフロントフェイスは変更されている。
この押し出し感重視の迫力系デザインは、全世界的に人気が高かったからだ。

さらに、外観デザインの変更だけではなくミッションも変更。
CVTから6速ATへの変更されている。

マイナーチェンジでミッション変更といのは、なかなか珍しいことだ。
しかも、燃費効率の良いCVTを捨て、あえて6速ATを選んだ。
当然、燃費性能は下がり、FF(前輪駆動)車で18.2㎞/L(JC08モード)だったものが、16.2㎞/Lになってしまった。

燃費性能を捨ててまで、6速ATを選択した理由のひとつに上げられているのが、欧州を中心としたCVT嫌いが原因と言われている。
CVT特有のラバーバンドフィールが、欧州などでは嫌われる傾向にあるからだ。

安全装備の充実が課題だったSX4 S-CROSS

かなり大胆なマイナーチェンジが行われたSX4 S-CROSSだったが、非常に物足りない部分があった。
それは安全装備だ。

当時の日本では、軽自動車でも歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備が充実していた。
しかし、SX4 S-CROSSには、自動ブレーキも無ければ、サイド&カーテンエアバッグさえも装着されていなかったのだ。

スズキは、車両価格が高くなることを嫌う傾向にある。
特にSX4 S-CROSSはハンガリーから輸入していることもあり、価格はやや高めになりやすい。
そのため、安全装備を外して、価格を安く見せたいという営業側の意識が強く働いたようだ。

オプション設定という選択肢もあるが、コストアップや納期が長くなることから用意されていない。

安全装備は向上したものの、歩行者検知式自動ブレーキの装着は見送り

日本では、安全装備の有無がより重視されている。
そんななか、自動ブレーキもサイド&カーテンエアバッグもないという状態では、非常に少ない販売目標ながらそれすら難しくなる。

そこで今回の改良では、対車両の自動ブレーキやサイド&カーテンエアバッグなどが標準装備化された。
しかし残念ながら、歩行者検知式自動ブレーキの装着は見送られた。

追加装備された安全装備は、ミリ波レーダー方式の衝突被害軽減ブレーキ「レーダーブレーキサポートII」だ。
フロントシートサイドエアバッグ、カーテンエアバッグも装備した。

ミリ波レーダーによる「レーダーブレーキサポートII」の装備により、アダプティブクルーズコントロール(作動速度域は約40km/h~)機能も追加されている。
さらに、助手席シートベルトリマインダー、エマージェンシーストップシグナルも装備された。

その他にフロント2ツイーター&リヤ2スピーカーも装着。
歩行者検知式自動ブレーキこそないものの、改良前のモデルと比べれば、安全性能は大きく向上している。

スズキSX4 S-CROSSの選び方

スズキSX4 S-CROSSの選び方は簡単。
1グレードのみの割り切った設定だからだ。

選択できるのは、FF(前輪駆動)か4WDかということのみになる。

4WD車には新世代四輪制御システム「ALLGRIP(オールグリップ)」を採用した。

「AUTO」「SPORT」「SNOW」「LOCK」の4つのドライビングモードを設定。
走行状況や路面状況により、ドライバーが自らの意志で自由に選択することができる。

この4WD車を選択すると、FF車に対して約22万円価格がアップする。

スズキSX4 S-CROSS(エスクロス)価格、スペックなど

価格とスペックは以下の通り。

スズキSX4 S-CROSS 2WD 2,140,560円
スズキSX4 S-CROSS 4WD 2,356,560円

代表グレードはスズキ SX4 S-Cross(エスクロス)4WD

  • ボディサイズ[mm]・・・(全長×全幅×全高) 4,300×1,785×1,595mm
  • ホイールベース[mm]・・・2,600mm
  • 車両重量[kg]・・・1,220kg
  • 総排気量[cc]・・・1.586cc
  • エンジン最高出力[kW(PS)/rpm]・・・86(117PS)/6,000rpm
  • エンジン最大トルク[N・m/rpm]・・・151/4,400rpm
  • ミッション・・・6速AT
  • タイヤサイズ・・・215/55R17
  • JC08モード燃費・・・15.2㎞/L