クルマ購入時に価格を重視する方も多いだろう。
今回はフォルクスワーゲン パサートを例に、コストパフォーマンスに優れたクルマを購入したい方に向けて、あえて中古車を選択することのメリットについて詳しく解説した。
また、パサートの歴史や走行性能、中古車価格といった点にも触れている。

この記事の目次 CONTENTS
1.人気によって価格が変動する中古車マーケット
2.コスパ最高モデル、フォルクスワーゲン パサート
3.完成度は高くても販売が低迷したパサート
4.あえて隠れた中古の名車に乗る選択肢も

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

1.人気によって価格が変動する中古車マーケット

新車価格は人気の有無に関係なく一定だ。
ところが、中古車は人気の有無が価格に大きな影響を与える。
人気のあるクルマは価格が高く、人気の無いクルマの価格は低くなる。
中古車マーケットは、かなりシビアだ。

良い性能を持っていても人気がないモデルも

重要なのは、人気=クルマの性能ではないということ。
必ずしも良いクルマだから人気があり、ダメなクルマなので人気が無いということにならないのだ。
逆に言えば、ダメなクルマなのに人気があるというモデルも存在している。

新車で後悔するよりコスパ抜群の中古車がおすすめ

冒頭にもあったように、中古車価格はマーケットでの人気で決まる。
クルマの性能は超一流であったとしても、人気が無ければ中古車価格は下がってしまうのだ。
裏を返せば、性能は超一級のクルマを安く手に入れられるので、コストパフォーマンスは抜群ということになる。

このようなクルマを探すのは、まさに中古車選びの醍醐味だ。
クルマ好きの中には、あえてこうしたクルマを積極的に選ぶ人もいる。

2.コスパ最高モデル、フォルクスワーゲン パサート

今回ピックアップしたコスパ最高といえるモデルは、フォルクスワーゲン パサートだ。
現行モデルは、2015年に登場。8世代目となった歴史あるモデルである。
メルセデス・ベンツCクラスやBMW 3シリーズ、アウディA4などと同じクラスに属する高級車だ。

ダウンサイジングターボエンジンで低燃費を実現

パサートには、1.4Lのダウンサイジングターボエンジンが搭載されてあり、自然吸気2.5Lエンジン並みの250Nmというトルクを発揮。
最高出力は150psだった。

このダウンサイジングターボエンジンにより、20.4㎞/Lという低燃費を得ている。
そして、その後パワフル&スポーティな2.0Lターボエンジンを投入。
こちらは、220ps&350Nmを発揮。燃費は15.6㎞/Lとなっている。

2016年にはPHEVとなるパサートGTEも投入。
さらに、2018年には待望の2.0ディーゼルターボエンジンを搭載、190ps&400Nmを発揮。
燃費は20.6㎞/Lを達成している。

3.完成度は高くても販売が低迷したパサート

歴代パサートは、非常に質実剛健といった印象が強いモデル。
そして、世界的な人気モデルで完成度も非常に高い。

しかし日本の市場では、人気モデルであるゴルフの販売に軸足を置きすぎたこともあり、営業面では忘れられた存在だった。
また、クラス的にライバル車がCクラスや3シリーズという強力なライバルがあったため販売は低迷する。
デザインが若干地味だったのも売れない理由のひとつだった。

超一流の性能と使い勝手のいい荷室をもつ8代目

8代目パサートは、ライバルに負けることのない押し出し感の強さとスタイリッシュさをもつ。
クルマの性能面でも、歴代パサート同様に超一流といえるレベル。

しなやかなフットワークや、安心感を与える優れた直進安定性といった走行性能は、ケチを付けるのが難しいほど高い完成度を誇る。
しかも、パサートは広い後席とトランクを持ち、日常の使い勝手面ではライバルを凌駕する。
売れない理由が見つからないほどだ。
ところが歴代パサートのイメージもあるのか、やはり販売は低迷中だ。

わずか3年落ちで170万円から手に入る

8代目パサートがデビューした2015年当時の価格は、約329~461万円だ。
3年落ちの2016年式の中古車価格を見てみると、170万円台から手に入る。
わずか3年落ちで価格が50%ほどになっているのだ。

中古車パサートは実質50%以上の値引き!?

新車で買った人にとって、リセールバリュー面でかなり頭が痛くなる。
しかし、中古車で買うというのであれば、パサートという高級車がわずか3年落ちで50%引き。
多くのモデルがなんらかのオプションが装着されていることを考えると、実質50%引き以上になり、かなりコストパフォーマンスが高い。

ハイブリッドの新車を購入するよりもお得な中古パサート

仮に8代目パサート2016年式の価格を180万円としよう。
この予算では、アクアやノートe-POWERといったBセグメントのハイブリッド車も、新車では買えない価格帯になる。
Bセグメントのハイブリッド車は、200万円くらいの予算が必要となる。

この予算で購入できる新車となると、Bセグメントのコンパクトカーならばガソリン車にオプションを装着して、予算が少し余る程度だろう。
もしくは、N-BOXなどのスーパーハイト系軽自動車にオプションをプラスした金額だ。

4.あえて隠れた中古の名車に乗る選択肢も

パサートのように、中古車ならではの掘り出し物を上手く見つけることができれば、スーパーハイト系軽自動車並みの予算で、欧州を代表するような高級車が手に入るのだ。
税金こそ異なるが、同じ予算ながら見栄えや走行性能・安全性・満足度といった面で、同じ予算で買える新車を大きく上回ることは確実。

新車にこだわらず、少し視点を変えるだけでさまざまな選択肢が増える中古車。
あえて、コスパ最高の隠れた中古の名車に乗ってみるのはいかがだろうか?