トヨタ カローラスポーツvsトヨタ 50系プリウス徹底比較

この記事では、トヨタのカローラスポーツと50系プリウスの燃費性能や安全性能、リセールバリューなどの計8項目で点数をつけ、比較、解説している。今、買うべきはどちらのクルマか。新車を購入するときには、どんな点を比較したらいいか。コンパクトなボディで小回りが利く、シートアレンジ次第で大きな荷物の持ち運びもできる、そんな機能性抜群のクルマが5ドアハッチバック。購入を検討している方は、ぜひ参考にしてほしい。

この記事の目次 CONTENTS
1.姉妹関係にあるカローラスポーツと50系プリウス
2.燃費比較
3.価格比較
4. 購入時の値引き額比較
5.デザイン比較
6.室内空間と使い勝手
7.安全装備の比較
8.走行性能の比較
9.リセールバリュー比較
10.まとめ・総合評価
11.今のクルマを高く売る方法

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

1.姉妹関係にあるカローラスポーツと50系プリウス

トヨタのカローラスポーツと50系プリウスは、共通のGA-Cプラットフォーム(車台)を使用している。
5ドアハッチバックという形状も同じであり、パワーユニットである1.8Lハイブリッドシステムも共通しているため、姉妹関係にあたる。

カローラスポーツは2018年に発売開始、50系プリウスはその3年前である2015年から発売されているため、カローラスポーツは新車、50系プリウスは中古車としての扱いになる。

今回は2台の「新車と中古車」という違いも含めて比較

限りなく同じクルマに近い2台だが、50系プリウスはデビューからすでに3年が経った。
マイナーチェンジも行われ、前期モデルの中古車価格も下がっているため、買い得感が大幅アップしている。
中古車の50系プリウスのコストパフォーマンスも急上昇している。

今回は、新車のカローラスポーツと中古車の50系プリウス、今買うならどちらかを比較してみたい。

トヨタ カローラスポーツ
トヨタ 50系プリウス

2.燃費比較

クルマのキャラクター(個性)が異なるため一概には言えないものの、燃費性能は50系プリウスが圧倒。

ハイブリッドシステムや車重は同じだが、燃費は異なる

カローラスポーツと50系プリウスは、基本的に同じ1.8Lのハイブリッドシステム「THS-II」を採用している。
車重もほぼ似たようなものなのだが、クルマのキャラクター(個性)が異なるため、燃費も若干異なる。
クルマを買う側も、こうしたクルマの個性を意識して選ぶといい。

燃費より走り重視のカローラスポーツ

カローラスポーツの燃費(JC08)は34.2㎞/Lだ。

カローラスポーツは、その車名から分かるように、走りを楽しめるような仕様となっている。
言い方を変えると、若干燃費を捨ててでも走りの良さを際立たせる仕様ということだ。

カローラスポーツには、50系プリウスには無い1.2Lターボエンジンを搭載したモデルが用意されている。
この1.2Lターボエンジン搭載車は、最も燃費が良いグレードで19.6㎞/Lの燃費値となっている。
1.2Lダウンサイジングターボなのだが、燃費性能は標準的だ。

トヨタ カローラスポーツ

世界トップレベルの燃費を誇る50系プリウス

50系プリウスの燃費は37.2㎞/Lだ。

50系プリウスは、世界トップレベルを狙う燃費スペシャルモデルでもある。
現行モデルということもあり、中古車であろうとも世界トップレベルだ。
カローラスポーツは燃費を重要視したクルマではないものの、燃費に差がついた形だ。

トヨタ 50系プリウス

カローラスポーツの燃費評価

4点

50系プリウスの燃費評価

5点

3.価格比較

新車で売れすぎた? 50系プリウスの中古車は、買い得感ある価格になっている。

特定のユーザーを狙った価格設定のカローラスポーツ

カローラスポーツハイブリッド車の価格帯は、2,419,200~2,689,200円。
若年層ユーザーを増やしたいというメーカー側の思惑もあり、価格はやや安価な設定になっている。

トヨタ カローラスポーツ

50系プリウスは中古車の購入がおすすめ

50系プリウスの新車価格は2,429,018~3,394,145円。
しかし、中古車の50系プリウスになると価格はイッキに安くなる。

2016年式という高年式で、価格は180~220万円程度がボリュームゾーンだ。新車と比べると、60~120万円程度安く買えることになる。
新車のカローラスポーツの、エントリーグレード(低価格モデル)よりも安くなっている。

トヨタ 50系プリウス

買い得感、装備ともに満足の50系プリウスの中古車

仮に、250万円が予算だとして計算してみよう。
250万円の予算で新車を買おうとすると、カローラスポーツや50系プリウスでは、装備が貧弱なエントリーグレードしか買えない。
しかし、中古車の50系プリウスなら、装備が充実した最上級グレードが選べる。

しかも、50系プリウスは2018年12月にマイナーチェンジをおこなった。
マイナーチェンジ後は、前期型の価格がさらに下がる。そのため、ますます中古車の買い得感はアップする。
とくに、50系プリウスは現行モデルなので古さも感じさせない。

カローラスポーツの価格評価

3点

50系プリウスの価格評価

5点

4. 購入時の値引き額比較

カローラスポーツはほぼ値引きゼロ。中古車50系プリウスは値引きへの期待が大きい。

大幅値引きを狙うには2年ほど必要なカローラスポーツ

カローラスポーツは新型車ということもあり、多くのバックオーダー(入荷待ちの顧客)を抱えている。
そのため、値引きは限りなくゼロに近い。
徐々に値引き額は拡大していくが、大幅値引きになるまでは2年くらい必要だろう。

中古車店同士の競合で値引き期待の50系プリウス

中古車には、一般的に新車のような大幅な値引きは期待できない。
しかし、商談次第で一定の値引き額は提示される。

とくに、50系プリウスのように売れた車種は、ほとんどの中古車店で扱っている。クルマ同士ではなく、中古車店同士を競合させれば、値引きを引き出すことができる。
もともと、50系プリウスの中古車は随分安くなってきている。その上、値引きが加われば、買い得感はかなりアップする。

カローラスポーツの値引き額評価

2点

50系プリウスの値引き額評価

4点

5.デザイン比較

インテリアデザインは大きく異なるが、外観デザインはどちらも存在感がある。とても同じプラットフォーム(車台)をもつクルマには見えない。

安心感のあるデザインのカローラスポーツ

カローラスポーツには、キーンルックと呼ばれるトヨタ独自のデザイン手法が使われている。
ツリ目のヘッドライトが選択され、丸みを帯びた曲線と、シャープなキャラクターラインが上手く組み合わせられている。

インテリアは、オーソドックスで安心感があるデザインだ。
センターコンソール最上部に設置されたモニターは見やすく、視線移動が少ないので安全運転にも役立つ。

トヨタ カローラスポーツ

近未来感を出したデザインの50系プリウス

50系プリウスのデザインは、良くも悪くも好き嫌いが明確に出そうだ。

インテリアは、近未来感を出すことを重要視したデザインだ。
センターメーターを採用し、柔らかく広がり感のあるダッシュボードデザインは、なかなか優秀だ。
未来感があるため、オーソドックスなデザインであるカローラスポーツより、新鮮な印象がある。

トヨタ 50系プリウス

カローラスポーツのデザイン評価

3点

50系プリウスのデザイン評価

4点

6.室内空間と使い勝手

カローラスポーツと50系プリウスは、同じGA-Cプラットフォーム(車台)を使ってはいるが、室内空間が大きく異なる。

ユニークな装備が利用できるカローラスポーツ

カローラスポーツの全長は、2,640㎜だ。同じプラットフォーム(車台)でも、若干ホイールベースが短くなっているため、50系プリウスに比べ全長が短い。
全長が短いため、室内長は1,795㎜となった。50系プリウスと比べ、315㎜も短い。
さらに、荷室容量は352L。50系プリウスとの差は大きい。

カローラスポーツのユニークな装備は、コネクティッドサービスだ。
全車に標準装備化されており、LINEが使えるほか、事故時に自動通報してくれるヘルプネットや、オペレーターサービスも利用できる。

トヨタ カローラスポーツ

室内、荷室の広さで圧倒した50系プリウス

50系プリウスの全長は、2,700㎜だ。
カローラスポーツよりも全長が長いため、50系プリウスの方がリヤシートが広い。後席を使うことが多い人は、50系プリウスがおススメだ。
荷室容量は502Lと、カローラスポーツに大きな差をつけている。

トヨタ 50系プリウス

カローラスポーツの室内空間と使い勝手評価

3.5点

50系プリウスの室内空間と使い勝手評価

4点

7.安全装備の比較

カローラスポーツは、優れた安全装備をもつ。50系プリウス選びは「トヨタ セーフティセンスP」装着車を選ぼう。

高性能の予防安全装備がついたカローラスポーツ

カローラスポーツには、歩行者検知式自動ブレーキなどを含む先進予防安全装備「トヨタ セーフティセンス」が、全車に標準装備されている。
このトヨタ セーフティセンスは最新バージョンで、夜間の歩行者や昼間の自転車を検知できる高性能タイプだ。

トヨタ カローラスポーツ

一世代前の予防安全装備がついた50系プリウス

50系プリウスには、一世代前のトヨタ セーフティセンスPが装備されていた。セーフティセンスPでは、夜間の歩行者や昼間の自転車検知はできない。
さらに、全車標準装備はされていない。予防安全性能という面では、カローラスポーツの方が圧倒的に優秀だ。

中古車の50系プリウスを買う場合は、必ずトヨタ セーフティセンスPが装備されているものを選ぶことだ。

トヨタ 50系プリウス

カローラスポーツの安全装備評価

4.5点

50系プリウスの安全装備評価

3点

8.走行性能の比較

カローラスポーツは名に恥じない爽快な走りを披露。50系プリウスはそつないオールマイティな走り。

GL-Cプラットフォームを成熟させてきたトヨタ

GL-Cプラットフォームを採用した50系プリウスが登場したのは、2015年だ。
カローラスポーツは、3年後の2018年に登場した。

この3年間の間に、GL-Cプラットフォームをベースとしたモデルが続々と登場している。トヨタもこのGL-Cプラットフォームを熟成させてきた。

走行性能面ではカローラスポーツが有利

当然、後から登場したカローラスポーツの方が、走行性能面は勝っている。
GL-Cプラットフォームの基本部分は両車とも同じとはいえ、ホイールベースが違う。カローラスポーツと50系プリウスは、異なる部分が多い。

走りはスポーティかつ乗り心地はいいカローラスポーツ

カローラスポーツは、かなりスポーティな走りができる。
サスペンションの路面追従性が高く、しっかりと路面を掴んでくれる。
サスペンションも低速域での乗り心地を徹底して向上させており、スポーティなモデルだからといって、乗り心地が悪いということはない。

トヨタ カローラスポーツ

市街地での走行性能は十分満足な50系プリウス

50系プリウスの走りに、スポーティさを感じるという人は少ないだろう。
しかし、先代となる30系プリウスとは比較にならないほど、乗り心地や操縦安定性がアップしている。

ハイスピード領域や、カーブの多い山道では、カローラスポーツが勝る。しかし、市街地ではカローラスポーツと同等程度といった印象だ。
走行性能にそれほどこだわらないのであれば、50系プリウスでも十分満足できる。

トヨタ 50系プリウス

カローラスポーツの走行性能評価

4点

50系プリウスの走行性能評価

3点

9.リセールバリュー比較

カローラスポーツ、50系プリウスのリセールバリューは、やや高めと予想できる。

カローラスポーツの売却は需要が落ち着いてから

カローラスポーツはまだ発売されたばかりのモデルなため、リセールバリューは安定していない。人気が高いが、プリウスほど販売台数が多くないためだ。

リセールバリューは、中古車マーケットでの需要と供給のバランスで決まる。カローラスポーツに関しては、しばらくの間、需要の方が多いと予想できる。
そうなると、カローラスポーツのリセールバリューは、しばらくの間高価になるだろう。
ただし、3年くらいすればプリウス並みに落ち着いてくるだろう。

トヨタ カローラスポーツ

50系プリウスは早期売却をすすめたいモデル

50系プリウスは、トヨタ車ということもあり、リセールバリューはやや高めだ。
50系プリウスは人気だったため、販売台数が非常に多い。中古車として流通している台数も、かなり豊富だ。

中古車でも人気のクルマだが、中古車マーケットではやや飽和状態といえる。そのため、中古車価格は徐々に安くなっている。
2018年12月にマイナーチェンジしたこともあり、前期モデルのリセールバリューはさらに下がっていくと予想できる。早期売却をすすめたいモデルだ。

トヨタ 50系プリウス

カローラスポーツのリセールバリュー評価

4点

50系プリウスのリセールバリュー評価

3.5点

10.まとめ・総合評価

走りにこだわるなら、おススメはカローラスポーツ

カローラスポーツは、走行性能面で50系プリウスを上回る。
走りにこだわりたいというのであれば、カローラスポーツがオススメだ。

トヨタ カローラスポーツ
トヨタ 50系プリウス

燃費や買い得感を含めて、おすすめは中古車50系プリウス

通勤や送迎、休日の買い物やドライブといった、一般的な使い方をするのであれば、中古車の50系プリウスがおすすめだ。
燃費性能、室内や荷室の広さ、使い勝手といった点で、カローラスポーツを超える。
しかも、中古車50系プリウスなら、購入価格も大幅に安く、コストパフォーマンスにも優れている。現行モデルなので見栄えも良い。

プリウスは、2018年12月にマイナーチェンジしている。
今後、前期50系プリウスの中古車価格は徐々に下がっていくだろう。こうなると、中古車として、より魅力的だ。

カローラスポーツ(新車)の総合点

28点/40点

50系プリウス(中古車)の総合点

31.5点/40点

11.今のクルマを高く売る方法

高価買取のコツは、自動車販売業界、最大の繁忙期に売却すること!

愛車の売却は買取専門店で

クルマの乗り換え時に大切なのは、愛車の売却方法だ。
一般的に、売却方法はディーラー下取りか、買取りの2パターンがある。
ディーラー下取りと買取り、どちらが得かという問いの答えは、「買取りがお得」だ。

そもそも、買取専門店がディーラー下取り価格に負けているようでは、ビジネスとして成り立たない。
多くの買取専門店があるということは、下取り価格より高いからと認識しておくといいだろう。

トヨタ カローラスポーツ
トヨタ 50系プリウス

高価買取のカギは2店以上で査定すること

高価買取を希望するなら、2店以上の買取店で査定することだ。
買取店も競争なので、比べられるとギリギリまで買取価格をアップし、競い合う。この競争原理を利用しよう。

買取店の中には、中古車販売も同時に行っていることが多い。
中古車購入の場合、買取店では中古車販売と買取りの両方で利益が出る。客にとっては、中古車の値引きや買取価格のアップを、十分に狙えるということだ。

中古車の50系プリウスは豊富にあるため、ディーラー系中古車店だけでなく、買取店でも中古車の見積りを取るのをおススメする。

売却は最も高値がつく1~2月がおすすめ

自動車販売業界最大の繁忙期は2~3月だ。
買取りの場合、1~2月が最も高値を付けることができる時期になる。
この時期は、多くの会社で決算直前となるため、クルマを売却する側がとくに有利だ。あせらずじっくりと数店舗を競合させて売却したい。