コンパクトSUVのマツダCX-3を大幅改良を施した。今回のトピックスは、1.5Lディーゼルエンジンが1.8Lに排気量アップされたこと。そして、数々の改良により乗り心地と静粛性が向上している。

また、CX-3のトップグレードで豪華仕様となる特別仕様車「エクスクルーシブ モッズ(Exclusive Mods)」を新設定し発売を開始。ディープレッドの専用ナッパレザーシートを採用している。

この記事の目次 CONTENTS
マツダ CX-3を全高を1,550㎜にした理由とは?
話題の1.5Lは、やや高価。後に、2.0Lガソリン車を投入
1.5Lから1.8Lへ排気量アップされたディーゼルエンジン
ライトサイジングってなに? 環境性能を高めるための排気量アップ!
実用燃費向上に力を入れた2.0Lガソリンエンジン
縦バネを落とした専用タイヤ投入で、乗り心地向上!さらに、静粛性もアップ
コンパクトSUVながら、高級車並みの安全性能に!
センスある高級感をもつ特別仕様「エクスクルーシブ モッズ」は、意外とお買い得
マツダCX-3の価格

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

マツダ CX-3を全高を1,550㎜にした理由とは?

2015年2月登場したマツダCX-3は、コンパクトカーのデミオとプラットフォーム(車台)などを共用している。ただ、ボディサイズはデミオより少し大きくなっていて、全長は4,275㎜だ。

CX-3の全高は、SUVとしてはやや低い1,550㎜に設定された。一般的にSUVなので迫力をアップするために、より大きく見せたいところなのだが、あえて1,550㎜に抑えたのは、立体駐車場への対応だ。

立体駐車場に入る高さを重視

コンパクトSUVは、市街地を中心に使われることが多い。市街地の立体駐車場に多いサイズ制限は、全高1,550㎜、全幅1,800㎜。背が高くなるSUVだと、この全戸制限に引っ掛かり、出先の駐車場で駐車できないといったこともある。また、自宅の駐車場が、こうした立体駐車場だと車庫証明が取れないので、CX-3が欲しくても買えないという状況にもなる。

そもそも、コンパクトSUVなので使い勝手が重要。使い勝手が悪いコンパクトSUVでは意味がない。こうした理由で、他メーカーでも一旦販売したモデルでも、後から車高を下げ1,550㎜にした仕様を用意しているくらいだ。

話題の1.5Lは、やや高価。後に、2.0Lガソリン車を投入

CX-3は、デビュー当時、デミオで話題になった1.5Lディーゼルの「SKYACTIV-D 1.5」のみが用意されていた。基本的にデミオと同じエンジン。しかし、CX-3ではやや出力が向上され270Nmという大トルクを誇った。

燃費は、FF(前輪駆動)の6AT車で23.0㎞/L。燃費ではハイブリッド車にはかなわないが、燃料がガソリンより20円/L前後安い軽油を使うため、燃料費視点ではハイブリッド車並みとなる。

だが、マツダCX-3の価格は高価だった。これは、コスト高となるディーゼルエンジンが使われているからだ。そのため、クルマの魅力に反し、販売台数は伸び悩む。そこで、マツダは2017年6月に安価な2.0Lのガソリン車を投入。ディーゼル車と比べると、かなり価格が安くなっているので、販売面でもやや復活してきている。

1.5Lから1.8Lへ排気量アップされたディーゼルエンジン

今回の大幅改良で大きなポイントとなるのが、ディーゼルエンジンの排気量アップだ。1.5Lから1.8Lへ300㏄排気量がアップされ「SKYACTIV-D 1.8」となっている。

排気量アップだけではなく、超高応答マルチホールピエゾインジェクターや可変ジオメトリー シングルターボチャージャーなどを採用。高回転域での高トルクを達成し、よりパワフルさを感じる仕様となっている。

1.8Lディーゼルの出力は、116ps&270Nm。排気量アップしているのだが、最大トルクは270Nmと1.5L同じ。しかし、パワーは11psアップしている。

ライトサイジングってなに? 環境性能を高めるための排気量アップ!

一般的に排気量をアップすれば、トルクもパワーも上がる。ところが、CX-3の最大トルクは270Nmのままだ。これには、理由がある。排気量アップの狙いは、NOx低減だ。排気量をアップし270Nm程度を維持すると、全域でEGRが可能となる。その結果、大幅にNOxを低減できるのだ。

これは、ドンドンと厳しくなっているディーゼル排ガス規制に対応するための技術だ。マツダは、こうした手法をライトサイジング(排気量適正化)と呼ぶ。

燃費については、その他の細かい技術を積み重ね、実用燃費向上を目指した。燃費値は、JC08モードからWLTCモードへと変更。そのため、単純比較はできない。CX-3の燃費は、WLTCモードで、FF(前輪駆動)の6ATで20.0㎞/Lとなった。

実用燃費向上に力を入れた2.0Lガソリンエンジン

2.0Lガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.0」も大幅改良が施された。目的は、実用燃費向上。「エッジカットピストン」や「低抵抗ピストン」、新ノズル付き拡散インジェクターなどの新技術が投入され、より素早い応答性、排出ガス中の有害物質の低減を実現した。こうした技術により、全域にわたるトルクアップを実現。実用燃費の向上を果たしている。2.0Lガソリンエンジンの出力は150ps&195Nm。従来のエンジンと比較すると、2ps&3Nmほど出力がアップした。

2.0Lガソリン車の燃費値もWLTCモードに変更。こちらも従来のモデルと単純比較できない。WLTCモードでは、FF(前輪駆動)の6ATで16.0㎞/Lとなった。

縦バネを落とした専用タイヤ投入で、乗り心地向上!さらに、静粛性もアップ

CX-3改良の歴史は、乗り心地改善の繰り返しでもあった。今回の改良では、従来以上の乗り心地改善技術が織り込まれた。ダンパーの大径化、フロントスタビライザー、コイルスプリングなど、多くの改良部品が投入され、大幅刷新といった印象だ。

タイヤのサイドウォールも改良し、細かい振動を吸収

さらに、今回の改良では、タイヤの細部まで手を入れた。タイヤのサイドウォールを若干、柔らかめに変更した。サイドウォールは、縦バネなどと呼ばれ、バネの役割をもつ。バネなので、乗り心地に影響を及ぼす。柔らかめにすれば、タイヤが細かい振動を吸収してくれるメリットがある。

しかし、柔らかくすると逆にタイヤの変形が起きやすい。変形により、ステアリング操作に対してクルマの反応が鈍くなるようになる。マツダは、こうしたデメリットを地面と接地するトレッド部分の構造とゴム部材の最適化。ステアリング操作に対する反応を維持しながら、乗り心地を向上させた。

パネルとガラス板厚をアップし、室内空間の静粛性をアップ

また、フロントとリアドアのアウターパネル、リアドアガラスの板厚をアップするなどし、より静粛性の高い室内空間とした。

コンパクトSUVながら、高級車並みの安全性能に!

CX-3の安全装備は元々高いレベルにあったが、今回の改良で安全性能はさらに引き上げられ、クラストップレベルとなった。

今回、歩行者検知式自動ブレーキは、夜間でも歩行者検知ができるようになった。夜間の歩行者事故は、昼間より圧倒的に多い。より、現実的な自動ブレーキになっている。

評価したいのは、こうした装備が全車に標準装備されていること。自動車は、使い方を間違えば、人を殺す凶器になる。自動車メーカーは、こうした商品を売って利益を出している。すでに、安価な価格でこうした安全装備が提供できるようになっている以上、メーカーは自ら顧客や歩行者の安全を守る責任がある。標準装備化されていることで、CX-3は社会的責任を果たしている。ただ、自転車などの検知はできないまま。世界トップレベルとはいえない。

レーダークルーズコントロールも採用

また、関連する機能で、 全車速追従機能付「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」を新採用。全車速対応なので、渋滞時などでのストップ&ゴーでも、運転を支援してくれるのでドライバーの疲労軽減やうっかり接触などを回避してくれる。

センスある高級感をもつ特別仕様「エクスクルーシブ モッズ」は、意外とお買い得

新投入された特別仕様車「エクスクルーシブ モッズ」は、CX-3のトップグレードに位置付けられるセンスある高級感あふれる仕様。ベース車は、「20S L Package」、「XD L Package」の6AT車となる。

シートには贅沢なレザーを採用

シートには、ディープレッドのナッパレザーが使われている。このクラスではほとんど使われることのない贅沢なレザーだ。コンパクトSUVながら、とても贅沢な空間にもったモデルとなった。その他、18インチアルミホイール(高輝度ダーク塗装)、スーパーUVカットガラス&IRカットガラス(フロントガラス・フロントドアガラス)が採用されている。

特別仕様車XD Exclusive Mods 2WDの価格は2,868,480円。ベースとなるXD L Package 2WDが2,836,080円。価格アップ約3万円程度。この価格アップでナッパレザーやその他のプラス装備を加味すると、買い得感のある特別仕様車といえる。

マツダCX-3の価格

CX-3の価格は以下の通り。

2.0Lガソリン車

・20S 2WD  2,127,600円/4WD 2,353,600円
・20S PROACTIVE 2WD 2,332,800円/4WD 2,558,800円
・20S PROACTIVE S Package 2WD 2,430,000円/4WD  2,656,000円
・20S L Package 2WD 2,566,080円/4WD 2,792,080円
・20S Exclusive Mods 2WD 2,598,480円/4WD 2,824,480円

1.8Lディーゼル車

・XD 2WD 2,436,480円/4WD 2,662,480円
・XD PROACTIVE 2WD 2,630,880円/4WD 2,856,880円
・XD PROACTIVE S Package 2WD 2,728,080円/4WD 2,954,080円
・XD L Package 2WD 2,836,080円/4WD 3,062,080円
・XD Exclusive Mods 2WD 2,868,480円/4WD 3,094,480円