三菱は、SUVであエクリプスクロスの発売を開始した。新型エクリプスクロスは、Cセグメントに属するコンパクトSUV。1.5Lダウンサイジングターボエンジンを搭載し、150ps&240Nmを発揮。燃費はFF車が15.0㎞/L。また、4WDシステムは三菱こだわりの車両運動統合制御システムS-AWCが搭載された。
- この記事の目次 CONTENTS
- SUVの新型エクリプスクロスが発売開始!
- 優れた4WD機能を発揮するS-AWCを搭載
- 日本仕様車はハイオクではなくレギュラーでOK
- 欧州仕様のディーゼルやPHEVも欲しいところ
- 強烈なウェッジシェイプデザインを採用!
- 外見に比べてオーソドックスなデザインのインテリア
- 標準装備は一定レベルに達しているが
- 新型エクリプスクロスの選び方
- 三菱エクリプスクロスの価格
SUVの新型エクリプスクロスが発売開始!
新型三菱エクリプスクロスは、CセグメントのSUVに属する。ボディサイズは、全長4,405×全幅1,805×1,685㎜。このクラスのSUVは、欧州を中心に激戦クラスだ。輸入車を含めると多数のライバルがあるが、国産車ではトヨタC-HRやスバルXVが同じクラスに属する。国内のライバルは少ないのだが、ボディサイズではなく同価格帯になるライバル車という視点では、マツダCX-3やホンダ ヴェゼルなどもライバル車となる。
優れた4WD機能を発揮するS-AWCを搭載
激戦マーケットに投入される新型エクリプスクロス。このクラスで勝ち抜くためには、ライバル車に対して差別化が必要だ。新型エクリプスクロスの差別化ポイントは、4WD機能だ。欧州のコンパクトSUVは、前輪駆動車のみという設定が多い。その上、三菱にとって4WDはコア技術でもある。そんなこともあり、新型エクリプスクロスの予約受注では、約7割が4WD車が占めた。
そんな新型エクリプスクロスの4WDシステムは、車両運動統合制御システムS-AWC(Super All Wheel Control)が搭載された。この4WDの前後トルク配分を行う電子制御カップリングは、アウトランダーのものから約3%軽量化されたものが使用されている。
この電子制御4WDをベースに、ブレーキを制御するアクティブヨーコントロール(AYC)に加え、アクティブスタビリティコントロール(ASC)とABSを統合制御した。数多くの車両データを元に、ドライバーの操作と車両の状態を正確に把握し制御。ドライバーの意図した走行ラインをトレースし、高い走行安定性を発揮する。
3つの走行モードからセレクト
この4WD機能には、3つの走行モードが用意された。走行モードは「AUTO」、「SNOW」、「GRAVEL」となる。
「AUTO」と「SNOW」は基本的に高い操縦安定性を維持するモード。「GRAVEL」は、より楽しい走りを提供するモードにもなる。後輪を滑られて走るようなことも可能になり、新型エクリプスクロスのファンな走りを思う存分楽しめる。モードの切り替えは、センターコンソールに配置したドライブモードセレクターで選択可能だ。
日本仕様車はハイオクではなくレギュラーでOK
新型エクリプスクロスには、1.5Lのダウンサイジング直噴ガソリンターボエンジンが搭載された。このエンジンの出力は150ps&240Nmを誇る。1.5Lなので、自動税も34,500円とコンパクトカー並みなのもメリットだ。欧州仕様はハイオク仕様だが、日本仕様ではレギュラーガソリンに変更されている。
組み合わされたミッションは、CVTの8速スポーツモード付のINVECS-III。ステップアップシフト制御が採用されていて、CVT特有の回転が先行するような吹け上がり感を低減。ダイレクト感のある走行フィーリングをもつ。
ただし残念ながらエコ減税には未対応
燃費性能は、FF(前輪駆動)車が15.0㎞/L、4WD車が14.0㎞/L。この燃費値は、1.5Lのダウンサイジングターボとしては少々物足りない数値となった。そのため、新型エクリプスクロスはエコカー減税にも対応していない。
エコカー減税に対応しないという点では、日本マーケットでは販売面で不利になるだろう。
欧州仕様のディーゼルやPHEVも欲しいところ
燃費性能が物足りない1.5Lターボエンジンひとつだけでは、今後の販売台数は伸び悩む可能性が高い。やはり、欧州仕様の2.2Lディーゼルエンジンなども欲しいところだ。このディーゼルエンジンは、欧州仕様で150ps&400Nmというスペックを誇る。400Nmという大トルクと燃料費や燃費値に優れるディーゼルは、ぜひとも導入してほしいパワーユニットだ。
新型エクリプスクロスは、開発初期にPHEVモデルも視野に入れられていた。どんなタイプのPHEVになるのかは不明だが、三菱はより早い段階でエクリプスクロスPHEVの投入も予定しているという。
このPHEVモデルは、三菱がもつコア技術のひとつでもある。ツインモーター4WDというユニークなシステムをもつアウトランダーPHEVは、日本だけでなく世界中で高く評価されている。
強烈なウェッジシェイプデザインを採用!
新型クリプスクロスの外観デザインは、三菱のデザインアイコンである「ダイナミックシールド」が採用された。全体的にシャープな印象で、薄型のLEDヘッドライトで睨みの効いたフロントフェイスとしている。
サイドビューは、強烈なウェッジシェイプ(前傾姿勢)デザインを採用。ボディサイドには、後方に跳ね上がるシャープなキャラクターラインが入れられウェッジシェイプデザインをより強調。SUVとは思えないスポーツモデル的なデザイン手法が使われている。
リヤデザインは、かなり個性的で好き嫌いが明確に出そうだ。ただ、ひと目でエクリプスクロスと分かるデザインとなった。特徴的なのは、前傾したリヤウインドウと、それを二分割するチューブ式LEDテールランプ。夜間では、その存在感をよりアピールできる。ただ、運手席からの後方視界は良好とはいえない。
外見に比べてオーソドックスなデザインのインテリア
インテリアカラーは、ブラックとシルバーを組み合わせたハイコントラストな設定になった。インパネまわりのデザインは、水平基調のデザインが採用。センターコンソールはやや太めなデザインとなっていて、タフなSUV感を表現。メーターは、ハイコントラストなシンプルな2眼タイプ。インテリアデザインは、外観ほど個性的ではなく、SUVデザインの本流ともいえるベーシックなものだ。
インパネ中央上部の一等地には、スマートフォン連携ディスプレイオーディオ(SDA)が配置された。視線移動が少なく見やすい位置ではあるものの、若干画面サイズが小さい。
またこのオーディオを操作するために搭載されたタッチパッドはあまり使い勝手はよくない。そもそも、一般的な右利きのドライバーがタッチパッドを左手で操作するのは難しい。左ハンドル車向けの装備ともいえる。利き手でない左手で操作するのなら、ダイヤル式などの方が使いやすく確実に操作できる。
広大なラゲッジスペースは使い勝手も上々
リヤシートは、なかなか使い勝手がよい。6:4分割可倒式。スライド&リクライニング機構を採用。スライド量は200mm、リクライニング角度は16°~32°の範囲で9段階のアレンジができる。
ラゲッジスペースの使い勝手も良好だ。荷室はかなり広い。リヤシートを最前端にすると、448Lの最大荷室容量を誇る。9インチのゴルフバッグを横積みで4個も積載可能だ。また、リヤシートバックを前倒しすると、荷室長が最大1569mmとなり、長尺物の収納可能となる。また、荷室床下には、大容量のラゲッジアンダーボックスが設置されていて小物の収納に便利だ。
標準装備は一定レベルに達しているが
新型エクリプスクロスの安全装備は、一定レベルに達している。先進予防安全装備であるe-Assistが用意され、以下のような装備が全て標準装備になっているのは評価できる。
・衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM]
・車線逸脱警報システム[LDW]
・オートマチックハイビーム[AHB]
・誤発進抑制機能(前進&後退時)[UMS]
・サイド&カーテンエアバッグ
・ニーエアバッグ
他方で、一部のグレードでは装備できない機能があるという点がやや気になる。高速道路などでの利便性が高いレーダークルーズコントロールシステム[ACC]や、車線変更時に安全性を高める後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)[BSW/LCA]、後退時車両検知警報システム[RCTA]は、Mグレードにはオプションでも装備できない。ドライバーの安全にかかわる装備なので、標準装備化できなのなら、せめてオプション装着できるように設定する配慮が必要だろう。
新型エクリプスクロスの選び方
新型エクリプスクロスの選び方だが、エンジンの設定が1.5Lターボしかないので、まず駆動方式の選択から。FF(前輪駆動)か4WDかという選択になる。
4WDは約22万円高価になる。予算重視であったり、街中しか走らないというのであれば、基本的にFF車で十分。ただ、新型エクリプスクロスのこだわりのひとつに4WDシステムが含まれる。より楽しい走りを演出するこだわりの4WDなので、走ることが好きなのであれば、積極的に4WDを選びたい。4WDは、雨の高速道路などでもより高い走行安定性を誇るのでお勧めだ。
次にグレード選びだがは、エクリプスクロスは3グレード構成。FF&4WD共にM、G、G Plus Packageという設定になっている。
予算重視であるのなら、Mグレードでも十分なレベルにある。ただ、安全装備の選択肢が少ないことや、LEDヘッドライトや18インチアルミホイールではないなど、装備はやや装物足りなくなる。Mグレードの価格は2,532,600円からだ。
残るG、G Plus Packageの価格差は約17万円。意外と価格差は小さく、G Plus Packageの価格は2,879,280円からだ。グレード間の大きな装備差は、スマートフォン連携ディスプレイオーディオ、後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)[BSW/LCA]、後退時車両検知警報システム[RCTA]など。
Gグレードの選択を難しくしているのが、スマートフォン連携ディスプレイオーディオをオプションで選択することができないことだ。こうなると、別途ナビを購入する必要がある。20万円前後のナビを購入するとなると、G Plus Packageの価格を超えてしまう。スマートフォンのナビで十分であるのなら、G Plus Packageの方が安全装備もよく買い得感もあるのでお勧めだ。
中古車市場も選択肢に
三菱車のリセールバリューは、総じてあまり高いとは言えない。そのため、人気のSUVとはいえライバル車と同じようなリセールバリューになる可能性は高くない。そう考えると、短期の乗り換えには向かないクルマとえそうだ。
逆に言えば、リセールバリューが高くならないのなら、中古車価格も上がらないということ。つまり、中古車で買った方が買い得感が出てくる可能性もある。まだ、出たばかりの新型車なので中古車はほとんど流通していないが、半年もすればそれなりに流通するようになる。その時の中古車価格を見て、新車にするのか中古車にするのか決めるというのもありだろう。
三菱エクリプスクロスの価格
・M 2WD 2,532,600円/4WD 2,748,600円
・G 2WD 2,706,480円/4WD 2,922,480円
・G Plus Package 2WD 2,879,280円/4WD 3,095,280円