この記事の目次 CONTENTS
稀にみる超激戦となった理由とは?
1位はボルボXC60、2位以下も僅差
カー・オブ・ザ・イヤー授賞「ボルボXC60」
イノベーション部門賞「トヨタ プリウスPHV」
エモーショナル部門賞「レクサスLC」
スモールモビリティ部門賞「ホンダN-BOX」
特別賞にハイブリッド車を1000万台を販売したトヨタ
実行委員会特別賞に佐藤 琢磨さん

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

稀にみる超激戦となった理由とは?

日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会は、2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤーに「ボルボXC60」を選出した。ボルボ車として、初の受賞となる。2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤーは、近年稀にみる超激戦となった。

その理由のひとつは、日産とスバルのエントリー辞退。この両社は、完成検査不正問題を受けてのエントリー辞退となった。とくに、日産からは、日本カー・オブ・ザ・イヤーを争う有力候補の一角とされていた。選考会では、選考委員が25点の持ち点を最も高い評価となるクルマに10点。その他残りの4台に15点を分配する。まず、この10点の行方が、有力車だったリーフが辞退したことで分散した。

また、今年は圧倒的な実力車というモデルがなかったことも、さらに混戦状態と生み出した。10ベストカーすべてが、高いレベルにまとめられていたのだ。

1位はボルボXC60、2位以下も僅差

大混戦の選考会を制したのがボルボXC60だ。獲得得点は、294点となった。この獲得得点は、非常に少ない。前年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したスバル インプレッサは、420点を獲得していることからも分かる。昨年2位のトヨタ プリウスでさえ371点を獲得していて300点を楽々オーバー。このことからも、いかに今年は多くの車種に点が分散し激戦だったかが分かる。

そんな激戦の中、惜敗したモデルを紹介しておくと、2位はBMW5シリーズが、242点。3位のトヨタ カムリが232点。4位のスズキ スイフトが210点となった。1位から4位まで、すべてのクルマが200点台という超接戦だった。

カー・オブ・ザ・イヤー授賞「ボルボXC60」

2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー授賞

<授賞理由>
扱いやすい手頃なサイズのボディに現代のSUVに求められる快適性、機能性、運転の楽しさなどの要素を高い次元でバランスさせた。そして、いかにも北欧デザインと感じさせる美しい内外装と、そのクオリティの高さは見事。さらにボルボらしい安全装備の充実ぶりも素晴らしい。また、プラグインハイブリッドを含む豊富なパワートレーンを用意したことも高く評価した。

<得点傾向>
最高得点の10点を得た人数は、カムリより少ない。しかし、多くの選考委員から高得点を積み上げた結果がナンバー1になった理由。0点を付けた選考委員も少ないのナンバー1になった理由のひとつだ。

イノベーション部門賞「トヨタ プリウスPHV」

イノベーション部門賞

<授賞理由>
クルマの電動化という流れの中で、PHVのメリットを最大限に実現した。多くのメーカーによるPHVが1モーターであるのに対してプリウスPHVは2モーターを採用し、それを巧みに制御することであらゆる領域で低燃費を維持する。さらに、ソーラー充電の本格的な実用化などもイノベーティブであると判断した。

<得点傾向>

プリウスPHVは、206点を獲得し圧勝。2位にはメルセデス・ベンツSクラスが90点を獲得している。Sクラスは、1,000万円を超える高額車ということもあり、最新の優れたテクノロジーが採用されるのは、ある意味当然。プリウスPHVは、より多くの人が先進技術体感できる庶民性も評価されたようだ。

エモーショナル部門賞「レクサスLC」

エモーショナル部門賞

<授賞理由>
見る者に大きなインパクトを与えるダイナミックで美しく独創的なスタイリング。さらに、マルチステージハイブリッド車、5L V8エンジン車ともにドライビングの楽しさに満ちあふれている点などから、レクサスブランドを牽引するにふさわしい、もっともエモーショナルなモデルであると高く評価した。

<得点傾向>

レクサスLCは288点を獲得した。2位のアルファロメ ジュリアは193点となっており、ジュリアの猛追を受けながらLCが逃げ切った印象だ。エモーショナルという賞の名前からイメージすると、やはり流麗なクーペのLCがやや有利となった。セダンという保守的なジャンルだったためか、ジュリアはやや不利だったようだ。

スモールモビリティ部門賞「ホンダN-BOX」

スモールモビリティ部門賞

<授賞理由>
プラットフォームとパワートレーンを一新するなどで、軽自動車規格の中で最大級のキャビンを確保、機能的で使い勝手のいいスペースを実現。また、走りは軽快で上質なハンドリングには安心感がある。さらに安全運転支援システムの“ホンダセンシング”を全グレードに標準装備した点も大いに評価した。

<得点傾向>

ホンダN-BOXは、圧倒的な強さをみせつけ467点という高得点を獲得。2位のミラ イースは77点、軽自動車のスタンダードともいえるワゴンRでさえ46点しか獲得できなかった。これは、走行性能だけでなく、このクラス唯一、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備「ホンダセンシング」が全車に標準装備化されていることなども高く評価されている。

特別賞にハイブリッド車を1000万台を販売したトヨタ

日本カー・オブ・ザ・イヤー 事項委員会特別賞

<授賞理由>
トヨタ自動車は1997年に世界初の量産ハイブリッド車であるプリウスを発売して以来、2017年1月までの約20年間に世界で累計1000万台のハイブリッド車を販売。これによる地球環境改善への貢献は大きく、さらに世界の自動車メーカーへ影響を与えて環境対応車の普及を促した。以上の点を高く評価した。

実行委員会特別賞に佐藤 琢磨さん

日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会特別賞

<授賞理由>
2017年5月、世界三大レースのひとつに数えられる「インディアナポリス500マイルレース」にアンドレッティオートスポーツからエントリー。ダラーラDW12ホンダを駆って、日本人初の優勝という快挙を成し遂げた。この偉業を高く評価して、日本の自動車史に大きく記録しておくべきであると判断した。