TNGA化されたグローバル車 カムリ
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米国では、15年連続販売台数No.1を獲得!
日本ではあまり目にすることのないカムリは、北米を中心に開発されたグローバル車。米国では、15年連続乗用車販売台数No.1を獲得。100カ国以上の国や地域で販売され、累計1,800万台を超えたモデルだ。<関連記事>
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「前例のない変革」を開発テーマにゼロから開発・刷新
トヨタの屋台骨を支えるカムリ。販売台数が低迷すれば、トヨタの経営にも大きな影響を与える。それだけに、かなり気合の入ったフルモデルチェンジになった。 新型トヨタ カムリは、「前例のない変革」が開発テーマとなった。重要なプラットフォーム(車台)は、TNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャー)が採用された。この基本骨格をベースに、すべての部品をゼロから開発・刷新している。デザインでは「理屈抜きのかっこよさ」、走行性能面では「意のままの走り・上質な乗り味」を目指した。
「カムリでセダン復権」が難しい理由
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日本マーケットで売れるジャンルは、軽自動車にコンパクトカー、SUVにミニバン。肝心のセダンは、クラウンだけが孤軍奮闘。ほとんどが輸入車に奪われているのが現状だ。これは、セダンが売れないからと言って、日本に合ったモデルが投入されてこなかったことが原因でもある。唯一売れているセダンであるクラウンは、ほぼ日本専用車でもある。
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アルファード・ヴェルファイア以上に小回りが効かない
新型カムリも日本マーケットのことは、それほど重視されていない。例えば、最小回転半径。この数値は、狭い道や狭い駐車場などで、クルマがどれだけ小回りできて使いやすいのかを判断するための指標でもある。
日本では使いづらい大型サイズ
全幅は1,840㎜とワイド。都市部に多い立体駐車場の制限をオーバーする。立体駐車場に入らないケースも多く、狭い道、中小では扱いにくいとなると、日本マーケットで使いやすいとはいえない。駐車スペースがとにかく大きく、駐車は前向き駐車が当たり前の北米では、なんの問題にもならないかもしれないが、日本ではかなり扱いにくいクルマになる。日本のショッピングモールなどでは、何度も切り返しをしなくてはならないだろう。こうした北米志向の開発に対して、国内専用車クラウンの最小回転半径はFR(後輪駆動)ということもあるが5.2m。この数値は、プリウス並みだ。カムリよりやや全長が短いが、同じFF(前輪駆動)のフォルクスワーゲン パサートは5.4mとなっていて扱いやすい。
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新型カムリはアグレッシブで個性的なデザイン
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ワイド&ローを強調し、官能的な動感を追求
新型カムリのボディサイズは、全長4,885×全幅1,840×全高1,445㎜となった。先代となる9代目カムリのボディサイズが、全長4,850×全幅1,825×全高1,470mmなので、よりワイド&ローが強調されたスタイルになっている。デザインコンセプトは、「Sensual-Smart CONFIDENCE(センシュアルスマートコンフィデンス)」。セダンの実用性を維持しながら、 クーペの優雅さをアピールするために、「官能的な動感」を追求したという。
コックピットは優雅だが、シートはややチープなインテリア
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コックピットは、ステアリング、メーターを中心に据え、ドライバーを囲みながら横方向の広がり感を表現。 左右非対称となるセンターコンソールには、大きく湾曲する金属調加飾が加えられていて、複雑な造形なのに継目がなく優雅さと高級感を上手く表現した。
シートのカラーは定番の2色のみ
ただ、ファブリックシート生地は、やや安っぽさがを感じる。そして、残念なのはシートのカラーが少ないこと。用意されたのは、ベージュ系とブラック系の2色。選ぶ楽しさに欠けていることや、カラーも定番。この部分には斬新さはない。重心が下がり、運動性能が向上新型カムリ
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バッテリーをシート下に設置し、トランク容量を増量
この低重心のプラットフォームのパフォーマンスをさらに向上させるために、新型カムリではハイブリッドシステムで重要な役割をもつ大きくて重いリチウムイオンバッテリーをリヤシート下に設置。これで、更なる低重心化が図られ、トランク容量も増えた。低重心化した上に、重量物が後方の車軸よりやや前に設置されたことにより、重量バランスが向上している。カムリのようなFF(前輪駆動)車は、どうしてもフロントが重い。こうした配置により、新型カムリの重心はより低く、クルマの中心に近くなった。これは、クルマの基本的な運動性能を決める上でとても重要だ。
リアサスペンションもグレードアップでさらに進化!
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フロントサスペンションは、従来のストラット式を踏襲しているが、リヤサスペンションは、ストラット式から新開発のダブルウィッシュボーン式となった。リヤサスペンションをグレードアップすることで、乗り心地や操縦安定性などが大幅に進化。走りの質感を高めている。
驚愕の燃費33.4㎞/Lを達成した2.5Lハイブリッドシステム
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燃費性能は、先代の23.4㎞/Lから一気に向上し33.4㎞/Lとなった。ただ、この数値は、エントリーグレードであるXのもの。量販グレードとなるG以上では、28.4㎞/Lとなる。
燃料技術を進化させ世界トップレベル最大熱効率41%!
この進化に大きく貢献しているのが、2.5Lエンジンだ。燃焼技術を進化させ、世界トップレベルの最大熱効率41%を実現した。この優れた熱効率を誇るエンジンの存在が大きい。そして、エンジン以外では、ハイブリッドトランスアクスル、高回転モーター、パワーコントロールユニット、ハイブリットバッテリーなども進化している。 新型カムリのシステム最高出力は211ps。燃費性能を大幅にアップさせながら先代の205psからパワーアップさせた技術は、さすがトヨタというべきだろう。
高級車としては、やや物足りない安全装備
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しかし、後側方から接近する車両を検知し警告を発するブラインドスポットモニターや、後退時に接近する車両を検知し警告するリヤクロストラフィックアラートなどは、例によってオプションとなっている。
安全装備はオプション選択を忘れずに
今時、コンパクトカーのマツダ デミオでもブラインドスポットモニターは標準装備化されている時代。高級車としての標準装備は、やや物足りない。カムリを購入する場合、こうした装備をオプション選択するのを忘れないようにしたい。また、こうした安全装備の標準装備化に対して腰が引けている点も、欧州のライバルに負けている点でもある。セダン復権というのであれば、命を守るための機能をケチっていてはダメだろう。
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トヨタ カムリの選び方
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GレザーパッケージとXグレードを選択肢から外す
まず、どうしてもレザーシートが欲しい!というのでなければ、Gレザーパッケージは選択肢から外したい。このグレードは、18インチホイールを装着しているため、最小回転半径はなんと5.9mにもなる。あまりに小回りが苦手なクルマなので、道の狭い日本では使いにくいのでおすすめしない。せめて、17インチに変更できるオプションがあればよかったのだが・・・。そして、次に選択肢から外したいグレードはXグレード。日常的に使える安全装備であるブラインドスポットモニターや、リヤクロストラフィックアラート、インテリジェントクリアランスソナーが、オプションでも選ぶことができないのだ。安全面では、物足りない。
おすすめはGグレード。オプション選択は必須
残るのは、Gグレードのみとなる。もちろん、ブラインドスポットモニターや、リヤクロストラフィックアラート、インテリジェントクリアランスソナーをオプション選択することが前提だ。また、オプションでおすすめしたいのは、アクセサリーコンセント(AC100V・1500W/コンセント2/非常時給電システム付)だ。この機能があれば、外部への給電も可能となる。カムリでアウトドアに出かける人は少ないかもしれないが、クルマから電源が取れるので車内や車外で家電製品が使えるようになる。また、災害時の電力車としての価値もある。
新型カムリのリセールバリューは期待できない
先代カムリのリセールバリューは、トヨタ車の中でもあまり高いほうではなかった。新型カムリが、どれだけ人気が出るかにもよるのだが、あまり期待しないほうがいいだろう。そのため、短い期間の乗り換えには向かないクルマだ。まだ、デビューしたばかりなので値引きは厳しいだろうが、1年くらいすれば一定の値引きが引き出せるようになるだろう。
トヨタ カムリ価格
トヨタ カムリの価格は以下の通り。
・X 3,294,000円
・G 3,499,200円/G“レザーパッケージ” 4,195,800円
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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表 大岡 智彦 氏CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。
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カムリのカタログ情報
- 平成29年7月(2017年7月)〜令和5年12月(2023年12月)
- 新車時価格
- 329.4万円〜468.2万円
カムリの在庫が現在53件あります
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