米カリフォルニアに本社があるテスラモーターズは、モデル3の予約注文が約40万台に達しており、この時点で100億ドル以上(約1兆1千億円以上)の売り上げが確実になっている。 まだ試作車しか公開されていない時点でこれほどの予約を集めることは、他のメーカーにはとても真似ができないだろう。
モデル3がこれほど人気を得た理由は、テスラが最初にロ-ドスターのEVを発売して以来、世界中のファンが待ち望んでいた普及タイプのEVだからである。 

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モデル3のデザイン


テスラはモデル3のために第3世代プラットフォームを開発した。BMW 3シリーズやメルセデスベンツCクラスと同様のコンパクトクラスの高級4ドアセダンとして売り出そうとしている。 そのデザインはいかにもテスラらしいイメージと同時に新しい方向性も見受けられる。

モデル3のエクステリア

フロントエンドは低くて短いフードがスマートに見える。 ガソリンエンジンやディーゼルエンジンと違ってコンパクトなモーターで駆動するのでスタイリングの制約が少ない。 ルーフは伸びやかなアーチを描きつつ高さを確保していて、5人乗車しても頭上は快適だ。バックエンドはフルサイズのモデルSやSUVのモデルXと似ているが安易な借り物ではなく個性を放っている。 ドイツ車にありがちな金太郎飴のような極端な統一感は上手に避けている。
初期の試作モデルによる公道試験が進んでいるが、インテリアを完備した量産先行車による公道試験はまだ始まっていない。

モデルS
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駆動系のスペック


全体像はまだ明らかにされていないが、航続距離はベーシックモデルで約340km、バッテリーを増大したバージョンで約480kmとされている。 モデル3はホイールベースがあまり長くないので、モデルS及びモデルXの高性能バージョンP100Dに搭載した大容量100kWhバッテリーパックは搭載できないが、高性能バッテリーの基本技術は共用している。モデル3用バッテリーパックは、ネバダ州のリノ市郊外にテスラとパナソニックが共同出資して作った車載リチウムイオンバッテリー専用工場「ギガファクトリー」で生産が始まっている。
2017年1月以降にテスラのEVを注文した顧客は、毎年400kWhの無料充電(約1600kmの走行距離に相当)が特典として付与されている。 しかし販売価格を抑えたモデル3の顧客がテスラの急速充電ステーションを無料で利用できる保証はない。 オプションとして車両本体価格に上乗せするか、定額月払いにするか、利用分の月払いにするか、いくつかの方法が検討されているようである。

モデル3のパフォ-マンス


モデル3はBMW 3シリーズに負けない実力を発揮するだろう。 0-100km/h発進加速タイムは、ベース仕様で6秒未満、ハイパワー仕様で4秒未満を達成している。 モデルSで量産車として世界最高レベルの高速性能を実現した「リディキュラス・モード」(「かっ飛びモード」、故障しない範囲で短時間の過負荷を許容)は、モデル3にも採用される。

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モデル3のインテリア


テクノロジーはテスラのこだわりであり、モデル3もその例にもれない。試作車のインテリアは斬新だ。 ダッシュボードの中央にテレビのように大きなタッチ・スクリーンが掲げられている。 様々な操作系がこの中に収められているので、一般的なスイッチは少ししか付いていない。
テスラの共同設立者であるマスクCEOは、モデル3はスクリーンが一つしかないと語っている。 モデルSやモデルXのステアリングホイールの奥に見えるデジタル・メーター・クラスターが、モデル3には付いていない。 いかにもテスラらしい新規性の演出であり、ヘッドアップディスプレイを装備するという憶測も飛び交っている。

モデル3も当然ながら自動運転を装備していて、車線変更、速度制限標識の認識、高速道路出口での進路変更、自動ブレーキなどに対応している。 もちろん、テスラ独自の無線アップデート・サービスによって機能の向上と追加が行われる。 マスクCEOはソーラー・ルーフをオプション設定することもツイッターで公開しており、エアコンの電力やバッテリーの充電を幾分か補える効果がある。

生産性を上げるための工夫


モデルXのガルウィングドア(跳ね上げ式リヤドア)は非常にユニークで人目を惹きつけるが、生産性が低いため慢性的な納車待ちで悩まされる原因にもなっている。 モデル3はこの教訓を生かして堅実なアプローチで車作りをしている。 例えば、ドアの自動開閉装置は付いていない。
そのかわり、リヤシートはワゴン車のように折りたたむことが可能で、フロントシートの背後は長さ167cmのフラットフロアになる。 この状態はキャンパー・モードと呼ばれ、寝ると少し膝を曲げた体勢になるが、エンジンの振動や騒音が皆無なのでエアコンやヒーターを使って快適な一晩を過ごせる。
トランクルームはフロントエンドとリヤエンドの両方にあって荷物を余裕で積める。 キャビンの広さもコンパクトクラスとしては最高レベルに達している。

発売はいつ?


モデル3の価格はエントリーレベルで35,000ドル(約390万円)、EVを購入すると連邦税が7,500ドル(約80万円)も控除されるので、かなりお買い得と言える。 もちろん、大容量バッテリー、リディキュラス・モード、パノラマ・サンルーフ、自動運転などをオプションで追加すると支払額は増えていく。
テスラはモデル3の発売に向けて、12億ドル(約1,300億円)を投資していて、生産ラインで量産先行車の準備を始めている。 仕上がりは市販車とほぼ同じであるが、顧客の手にはまだ渡らない。 今後のステップとしては、車両本体と生産ラインに最終調整し、テストを実施する。そして2017年7月に本格生産を開始し、その後さらに数ヶ月かけて生産台数を増やしていく。

納車は2018年以降を予定

モデル3の成否はブランドイメージが一層高まるか逆に失墜するかの分かれ目であり、テスラにとってまさにこれほど大切なモデルは他にない。 そのため発売直後はマスクCEOが創業したスペースXとテスラの従業員だけの限定販売である。 新車にありがちな初期不具合が出ても身内なら解決するまで辛抱強く待ってくれるからだ。 テスラ経営陣は、一般予約ユーザへの販売は年末前に開始すると確約しているが、大部分は2018年以降の納車となる。 納車待ちは既に長蛇の列となっているので、2019年までに入手したい顧客は今すぐ予約するように、とマスクCEOは異例のアドバイスをしている。

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