デザイン重視のCLAをベースとしたメルセデスAMG CLA 45 4MATIC


メルセデスAMG CLA45 4MATIC Racing Editionメルセデス・ベンツは、4ドアクーペの「CLA」に、限定車「メルセデスAMG CLA 45 4MATIC Racing Edition」を設定し発売を開始した。このメルセデスAMG CLA 45 4MATIC Racing Editionは、全国合計90台の限定車だ。

メルセデスAMG CLA 45 4MATIC Racing Editionのベース車となったCLAは、2013年に日本デビューした。CLAは、すでに投入されていたAクラスやBクラスといったFF(前輪駆動)モデルと基本的な骨格部分を共有したモデルだ。

4ドアクーペとは?日本では1980-90年代にヒットしたカテゴリー

4ドアクーペというと、セダンなのかクーペなのか分からないような気がするが、基本的に4ドアセダンと理解するといいだろう。4ドアクーペは、デザイン重視でAピラーをクーペのように傾斜させ、居住性よりスタイリッシュさを求めた形状になっている。

こうしたデザインは、すでに、日本で1980年台から1990年台に大ヒットしたカテゴリー。当時は4ドアハードトップなどと呼ばれ、トヨタ カリーナEDや日産プレセア、マツダ ペルソナといったクルマが売れた。メルセデス・ベンツは、2004年にCLSクラスで世界に先駆けて「4ドアクーペ」という新たなカテゴリーを生み出したとしている。しかし、同様のコンセプトのクルマは、日本では1980年台に登場していたのだ。

流麗なデザインが空気抵抗を大幅に削減


デザイン重視ということで、CLAのエクステリアは、とにかくアグレッシブだ。大きく傾斜したAピラーから流れるようなルーフライン。さらに、ボディサイドにはダイナミックな3本のキャラクターラインが入れられスポーティさを際立たせている。

CLAは、こうした流麗なデザインが採用されたこともあり、空気抵抗はなんとCd値0.23! 最高水準のエアロダイナミクスを実現し、燃費性能や室内の静粛性の向上にも寄与している。単に美しいということだけでなく、デザインを機能の一部としている点は、さすがメルセデス・ベンツといったところだ。
 

超パワフルな直4 2.0Lターボ搭載!381ps&475Nmという大パワーを誇るメルセデスAMG CLA 45 4MATIC


限定車である CLA 45 4MATIC Racing Editionのボディサイズは、意外と大きい。全長4,670×全幅1,780×全高1,430㎜。コンパクトモデルとしながらも、1クラス上のCクラスと比べわずかに小さい程度だ。実物もなかなか大きく見える。

CLA 45 4MATICの瞬発力はスーパーカー並み!


搭載されるエンジンは、ベース車と同じ、量産2.0Lエンジン最強とも言われている直4 2.0Lターボエンジン。なんと381ps&475Nmという出力を誇る。これだけの大パワーを誇るモデルなので、当然、 4MATIC(4WD)が採用されている。4WD化することで、効率よく路面に大パワー伝えることができる。その結果、0-100㎞/h加速4.2秒とセグメントトップレベルという、超強力な加速力を誇る。この瞬発力は、スーパーカー並みだ。
 

ベース車に対して109万円安というお買い得感を出した限定車Racing Edition


限定車メルセデスAMG CLA 45 4MATIC Racing Editionの価格は6,640,000円。AMGモデルとしては最安値ということになるが、安いクルマではない。ベース車の価格は7,730,000円なので、109万円安い価格設定となっている。

この価格設定は、ベース車の装備が簡素化されたことによるものだ。簡素化された装備は、シート素材がレザー/パワーシートから、レザーDINAMICA/マニュアルシートに変更。COMANDナビゲーション&TVチューナー、キーレスゴー、リアアームレストなどが簡素化されている。

驚きなのは、簡素化された装備以上に割安感があることだ。これくらいで109万円も安くなるのか? と、いった印象ある。メルセデス・ベンツ自ら戦略的価格とアピールしているのも納得できる。

CLAなどのFF系のモデルは、安全運転支援システムである「レーダーセーフティ」とFR系モデルと同じ名前となっている。しかし、機能や性能はまったく異なる。大きなところでは、FF系のレーダーセーフティには歩行者検知式機能がないのだ。世界最高レベルにあるFR系のレーダーセーフティと比べると、性能面では世代が古いので、物足りない仕様となっている。FR車系のレーダーセーフティに早くバージョンアップしてほしいものだ。ただ、色々な装備を簡素化した限定車だが、価格をより安くするためにこうした安全装備を簡素化しなかった点は高く評価できる。
 

高級車を楽しむというより、純粋に走行性能を楽しむ限定車


メルセデス・ベンツは、今回の限定車をAMGブランドのエントリーモデルとして最適な特別仕様車している。確かに、安価にAMGモデルの走りを楽しめるのは良いことだ。ただし、今時600万円を超えるナビなど、もはや当たり前の装備がないというのも・・・。純粋に予算を抑えてAMGの走りを楽しみたいという人には向く。ただ、そもそもこれほどの高級車が買える顧客が、こうした装備まで抑えた限定車が欲しいと思うのかどうかという点は少々疑問だ。装備を落とさず価格引き下げで良いのではないだろうか。

また、限定車名には「Racing Edition」とあるが、特にレーシングな部分を感じる装備が見当たらないというのも微妙な部分でもある。

ライバルは、5,900,000円のBMW M140i

この限定車のライバルになりそうなのは、BMW M140i。直6 3.0Lターボを搭載し、340ps&500Nmという出力を誇る。そして、さらにCLA 45 4MATIC Racing Editionより、さらにリーズナブルな5,900,000円という価格設定がされている。ただ、M140iはFR(後輪駆動)のみ。CLA 45 4MATIC Racing Editionは4WDなので、走りの感覚などはやや異なる。

価格と概要


メルセデスAMG CLA 45 4MATIC Racing Editionの価格と概要は以下の通り。

外装色(販売台数)

カルサイトホワイト(51台)
コスモスブラック(39台)

内装色

ブラック(レザーDINAMICA)

スリム化した装備

シート素材(レザー/パワーシート→レザーDINAMICA/マニュアルシート)
COMANDナビゲーション&TVチューナー
キーレスゴー
リアアームレスト等

価格

 6,640,000円

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

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