ホンダフリード

 

<ベースのフィットがフルモデルチェンジした現在、慌てて買うモデルかどうか要検討したい>

ホンダフリードホンダは、コンパクトカーでスライドアをもつフリードをマイナーチェンジし発売を開始した。

フリード は、2008年5月にデビューしたモデルで、コンパクトなボディサイズでありながら、デビュー当時は8人乗りまで用意されていて、ミニバン的な使い方ができる3列シート車だ。その姉妹車として、多人数乗車ではなく荷室スペースにゆとりをもたせた5人乗りフリード スパイクもある。モデル途中からは、ハイブリッドモデルも投入された。

フリードは、プラットフォームなど、主要部分は先代フィットと共用している。低床・低重心、マンマキシマム・メカミニマムをコンセプトに、高効率パッケージングが特徴だ。

ミニバン人気ということもあり、価格はやや高めの設定だったが、フリードには、直接的なライバルがいないユニークな存在だったため、人気モデルとなる。多くのコンパクトカーが、エコカー減税免税対象となっていないと売れない時代なのに、ハイブリッド車のみが免税でガソリン車は免税では無いものの、販売台数はモデル末期を迎えているのにもかかわらず未だ好調だ。ホンダのライナップの中でも、貴重なロングセラーモデルとなっている。

今回のマイナーチェンジは、スーパーUVカット・フロントドアガラスや、アレルクリーンシート、プラズマクラスター技術を搭載したフルオート・エアコンなどの快適装備が追加された。ボディやサスペンションといった走行性能部分には手が入っていないようだ。全体的に、エクステリア、インテリアデザインをリファインし、装備を向上させながらお買い得感のある価格設定としている。マイナーチェンジというよりは、お買い得な特別仕様車のようなものだ。

ロングセラーとなった人気モデルが、装備充実で価格抑えめというと、良い買い物のように思えるが、そうはいかないのがクルマ選びの難しいところ。それは、基幹部分を共有するフィット がすでにフルモデルチェンジしているからだ。つまり、現在のフリードは一世代昔のフィットがベースなのだ。これが何を意味しているかというと、フリードも近い将来フルモデルチェンジされる可能性が非常に高いといえる。

つまり、今回お買い得だからとフリードを買ってしまったら、1年も経たずに旧型になることがあるということだ。クルマは安い買い物ではないので、当然慎重に選びたい。

ホンダフリードベースとなるフィットは、2013年9月にフルモデルチェンジし、革新的なスポーツハイブリッドi-DCDや低燃費な新ガソリンエンジンなどが搭載されている。すべてが新しくなっているので、その技術がさらに進化した形でフリードに応用されれば、フリードは劇的に進化する。それが近い将来あるという前提では、少々お買い得になったからといって、あえて今、モデル末期のフリードを選ぶというのは、何らかの大きな理由が必要。今回のマイナーチェンジでは、その大きな理由が無いのこともあり、悩みどころとなる。

フリードは価格設定が高く、ハイブリッド・ジャストセレクション7人乗りを選ぶと2,392,400円。この価格は、ひと回り大きく同じ7人乗りでスライドドアをもつマツダ プレマシー 20sスカイアクティブの2,268,000円よりも高価だったりする。ガソリン車だと、Gジャストセレクション7人乗りが2,012,400円。価格差は25万円と大きいが、プレマシーはカーテンエアバッグが標準装備なので、価格差は若干縮まる。

しかし、フリードが1.5Lに対して、プレマシーは2.0L。当然、パワーやトルクは上回る。困ったことに、プレマシーの燃費は2.0Lで16.2㎞/Lなのに対し、フリードは1.5Lなのに16.0㎞/Lとプレマシーより燃費が悪いのもフリードにとって分が悪い結果に。

ボディサイズや細かい装備差を無視して、価格軸だけで見るとフリードのライバルは、ひとクラス上のプレマシーだったりするほどフリードは高価なのだ。

こうなると、あえて現行フリードを今購入する理由があまりなく、大幅値引きが前提の価格勝負ということぐらいが購入理由だろうか。大幅値引きをしてもらうためには、プレマシーやプレマシーのOEM車である日産 ラフェスタハイウェイスター などと競合させることが最低条件。20万円程度の値引きだったら、新型を待ったほうがよい。少なくても30万円以上の値引きは必須。新型がでれば、現行フリードのリセールバリューも一気に下がるので、30万円の値引きでも少ないくらいだろう。また、短期で乗り換えるなら、リセールバリューが高いハイブリッドをお勧めする。

■フリード価格:G 6人乗り CVT FF 1,746,000円~ ハイブリッド・ジャストセレクション 7人乗り 2,392,400円