この記事の目次 CONTENTS
<プリウスのSUV版ともえる新型トヨタC-HR。国内仕様の内容が一部公開!>
新型トヨタC-HRに期待が集まっていた理由
プリウスとの違いはどこにあるか
明らかに日本仕様で、使いやすい!
ハイオク仕様になるのか?
■トヨタC-HRハイブリッド車 スペック

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

<プリウスのSUV版ともえる新型トヨタC-HR。国内仕様の内容が一部公開!>

トヨタは、新型のコンパクトSUVであるC-HRの内容を一部公開した。新型C-HRは、プリウスをベースとしたコンパクトSUVと言われており、同様のハイブリッドシステムを使用する。2016年11月上旬からWebで先行商談受付を開始。2016年12月に発売を開始する

新型トヨタC-HRに期待が集まっていた理由

新型トヨタC-HRは、2014年パリモーターショーでコンセプトカーが初出展された。その後、2015年のフランクフルトモーターショーなど、欧州のモーターショーを中心に度々その姿を見せてきた。日本では、2015年の東京モーターショーに出展。全世界的にコンパクトSUV人気が高いということもあり、日本でも注目され話題となった。また、トヨタの国内ラインアップには、人気のコンパクトSUVが存在しない。そのため、新型C-HRは、販売戦略的にも非常に重要なモデルということになる。

個性的なデザインを実装

市販モデルとなった新型C-HRのデザインは、やはりコンセプトカーほどの強烈なインパクトは無くなっている。さすがに、コンセプトモデルと同じものを大量生産するのは難しいということになる。それでも、クーペのような美しいルーフラインは健在。全高は立体駐車場に駐車可能な1,550mm。このクラスのSUVとしては、やや低めの全高。そうしたこともあり、なかなかスポーティなシルエットになっている。

新型C-HRのデザインは、ダイヤモンドをモチーフとした。強く絞り込んだボディと、大きく張り出したホイールフレアの対比により、ドッシリとしたSUVらしい安定感あるフォルムとなった。ダイヤモンドのように、エッジの効いたシャープなキャラクターラインがたくさん入れられているのが特徴。かなり個性的なフォルムになった。

フロントフェイスは、トヨタ独自のデザインテーマであるキーンルックや、アンダープライオリティなどが組み合わされた。翼形状に回り込んだヘッドランプと合わせ、SUVらしいワイド感・踏ん張り感のある鋭く力強いフロントマスクを生み出した。また、内側から外側へ流れるように光る12灯のシーケンシャルLEDターンランプは、さらに個性的なフェイスに一役買っている。この装備は、トヨタブランド初採用。一部グレードにオプション設定となるが、積極的に選びたいオプションだ。

内装にも、最先端のトレンドをちりばめている

インテリアのデザインコンセプトは「センシュアル-テック」。全体的に大人っぽいデザインに仕上げ、同時に先進感を演出した。インパネからドアトリムまで、ソフトパッドが採用された。こうした触感のよい素材は、最近の流行ともいえるものだ。シートは、ホールド性に優れたものを採用。また、座面のパッド厚・硬度を最適化することで座骨への圧力を分散し、ロングドライブの疲れにくいシートに仕上げられている。

プリウスとの違いはどこにあるか

新型C-HRは、プリウスSUVと言われているが、意外と違いがみられる。サスペンションはフロントがストラット、リヤがダブルウイッシュボーンとなっているが、新設計されたものが装着されているのだ。走りの質感にも期待できる部分だ。また、ボディ接合部への構造用接着剤の使用や環状骨格構造の採用により高ボディ剛性を確保。優れた乗り心地と操縦安定性を達成した。さらに、走りの質感をより高めるためにSACHS製アブソーバーを標準装備。アッパーサポートの緩衝材には、ウレタン材をトヨタで初採用するなど、走行性能へのこだわりが強い仕様となった。単なるプリウスのSUVバージョンではないことが分かる。

明らかに日本仕様で、使いやすい!

<歩行者検知式自動ブレーキ「トヨタセーフティセンスP」が全車標準装備と高い安全性能を得た!さらに、日本でも使いやすい最小回転半径5.2m!>

小回りの良さも、駐車場問題もクリア

新型C-HRは、欧州でその存在をアピールすることが多かったが、意外なほど日本マーケットを意識した仕様となった。まず、最小回転半径は5.2m。となっている。アクアが16インチアルミホイールを装着すると5.7mという大型ミニバン並みの最小回転半径となっていた。こうしたことから、トヨタは使い勝手面を無視したクルマ造りになっている傾向があったが、新型プリウスの時から、こうした使い勝手面もしっかりと考えられている。全幅が1,800㎜にちかく、それなりにワイドなC-HR。最小回転半径が5.2mに収まったことで、それほどワイドなボディに手こずることなく使えるだろう。

また、日本独自の駐車場事情にも配慮している。ハイブリッド車の全高は1,550㎜。これは、都市部に多い立体駐車場の全高制限内のサイズ。背の高いSUVでも立体駐車場に入れるというだけでなく、購入者を選ばないというメリットがある。都市部では、全高1,550㎜という制限がある立体駐車場を使うユーザーが多くいる。マンションなどに多い。1,550㎜という制限内に全高を設定したことで、立体駐車場を車庫として使う顧客でも、SUVを買うことができる。また、全幅も1,800㎜以下なので、立体駐車場に多い全幅制限内でもある。元々、背の低いSUVというコンセプトのクルマではあるが、日本独自の駐車場事情を配慮がされたことは高く評価したい点だ。

そして、安全装備が充実!

こうした日本での使い勝手面以上に、高く評価したいのが安全装備。トヨタブランドの中では、珍しく自動ブレーキ関連の安全装備「トヨタ セーフティセンスP」が標準装備化されたことだ。このトヨタセーフティセンスPは、歩行者検知式。もしもの時に、歩行者との衝突を回避・軽減してくれる。こうした安全装備をオプション化し、クルマの安全を「顧客の財布任せ」にしてきた従来のトヨタ車とは大きく異なる点だ。クルマは、使い方を間違えれば凶器になる乗り物。いつ、どこで誰が被害者や加害者になるかは分からない。自動車メーカーは、そうした商品を売っている以上、もしもの時に人を救う技術があるのなら、積極的に標準装備化し、歩行者や乗員を全力で守る責任がある。

ハイオク仕様になるのか?

<パワーユニットは1.8Lハイブリッドと1.2Lターボの2種類?>

新型C-HRに搭載されるパワーユニットは2タイプの予定。売れ筋は、プリウスと同じ1.8Lハイブリッドと思われる。そして、もう一つはオーリスと同じ1.2Lターボ。グレード体系は、シンプルに2タイプ。ハイブリッドがGとS。ターボがG-TとS-Tとなる模様だ。ハイブリッドのシステム出力は122ps、1.2Lターボは116psとなっている。ボディサイズや安全装備では、日本マーケットに合わせたC-HRだが、この1.2Lターボエンジンがオーリスと同じならハイオク仕様になる。日本マーケットでは、もはやハイオク仕様のクルマは数少ない。その理由は、ハイオク仕様のモデルが売れないからだ。もし、ハイオク仕様のままなら、日本では売れない可能性が高い。

さて、気になる燃費や価格などは不明。プリウスの燃費が37.2㎞/L。C-HRはSUVなので、車重が大幅に増加するので、燃費も大幅に悪化すると予想できる。また、SUVは空気抵抗も悪化するので、燃費はプリウスに比べ大幅ダウンとなる可能性が高い。とはいえ、30.0㎞/L台という燃費は販売戦略上、維持したい数値。そうなると、C-HRの燃費は30.0㎞/L前後がひとつの目安となるだろう。

■トヨタC-HRハイブリッド車 スペック

全長(mm)/全幅(mm)/全高(mm) 4,360/1,795/1,550
ホイールベース(mm) 2,640
エンジン 直列4気筒DOHC
総排気量(L) 1.797
最高出力(kW[PS]/rpm) 72(98)/5,200
最大トルク(N・m[kgf.m]/rpm) 142(14.5)/3,600
駆動方式 2WD(FF)
室内長(mm)/室内幅(mm)/室内高(mm) 1,800/1,455/1,210
サスペンション フロント ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付)
リヤ ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング(スタビライザー付)
ブレーキ フロント ベンチレーテッドディスク リヤ ディスク
乗車定員(名) 5