(最終更新日:2016年12月28日)

フォルクスワーゲンゴルフGTIフォルクスワーゲンは、主力車ゴルフのスポーツモデルであるGTIに400台の限定車となる「ゴルフGTI Clubsport Track Edition(クラブスポーツ トラック エディション)」の発売を開始した。この限定車クラブスポーツトラックエディションは、GTI生誕40周年を記念したモデル。スポーツモデルであるGTIを、さらにハイパフォーマンス化しているのが特徴だ。

‖オーバーブースト機能で一時的に290psへ! GTI生誕40周年を記念した400台の限定車が「クラブスポーツ トラック エディション」

現行のゴルフGTIは、2013年に登場した。出力は220ps&350Nmと、小さなボディながらV6 3.5Lクラスの最大トルクを誇る。しばらくの間は、ゴルフシリーズ中、最速モデルであったが、280ps&380Nmというパワーを誇る4WDのゴルフRが登場した。最速ゴルフの座は譲ったものの、3,999,000円という買い得感のある価格であったことから、現在でも高い人気を誇る。また、日本マーケットは、こうしたスポーツモデルを好むこともあり、GTIはゴルフシリーズの中でも高い構成比を誇る。

そんなゴルフGTIをベースとした限定車ゴルフGTIクラブスポーツ トラックエディションは、その名の通り、サーキット走行などにも対応するため、走りの質を高めたモデルになっている。エンジンは、現行ゴルフRの2.0Lをベースに改良が加えられている。現行ゴルフGTIと比較すると、45PSアップの265PSへ向上。最大トルクは、同じ350Nmだ。このパワーユニットと組み合わされているミッションは6速DSGとなっている。

単なるパワーアップだけでなく、ターボエンジンの特徴を生かし、エンジンにはブースト機能がプラスされている。一定の条件下で、約10秒間最高出力が290PS、最大トルクが380Nmを発生する。なんと25psものパワーがプラスされるのだ。これはなかなか刺激的。かなりホットな走りが可能だ。こうした機能などもあり、クラブスポーツトラックエディションは、0~100km/h を5.9 秒で加速し、最高速度は250km/hにも及ぶ。もはや、中途半端なスポーツカーでは歯が立たない状況。まさに、GTIブランドを象徴するモデルといってもいいだろう。

フォルクスワーゲンゴルフGTIこれだけのパワーをしっかりと路面に伝えるために、電子制御油圧式フロント ディファレンシャル ロックを装備。ゴルフRのように4WDではないので、電子制御油圧式フロントディファレンシャルロックは、しっかりとパワーを路面に伝えるための重要な役目をもつ。この機能は、コーナー内側のタイヤの空転を検知すると、ディファレンシャル内部のクラッチを締結させ、駆動トルクを内側から外側のホイールに再配分する。左右輪のトルクの配分は、ホイールの回転数や車速などの状況に応じて、0~100%の範囲で最適化。エンジンのパワーを100%無駄なく路面に伝えると同時に、理想の走行ラインをニュートラルにトレースすることができ、コーナリングスピードや脱出時の加速も向上する。タイヤ&ホイールもより大径化され、225/35R19を履く。この大径ホイール&タイヤが確実に路面を捉える。

標準GTIモデルは17インチ、オプションのDCCパッケージ装着車でも225/40R18となっている。さらなるメカニカルグリップやハンドリング性能の向上のため225/35R19タイヤ&ホイールが装着されている。従来型のアルミホイールより、1本あたり3kgも軽量化されているのもポイントだ。FFである以上、これだけの大パワーを受け止めるためには、こうした大径タイヤ&ホイールが必要なのだ。

こうした大パワー化に対応して、ブレーキも強化された。標準仕様のブレーキディスクサイズは、フロント312x25mm、リヤ300x12mmから、Iクラブスポーツ トラック エディションは、フロント340x30mm、リヤ312x22mmに大径化されている。さらに、標準仕様では前輪ベンチレーテッドディスク、後輪ソリッドディスクであるのに対して、前後輪ともベンチレーテッドディスクとなっていて、放熱性も高められ、サーキット走行などでもより高いパフォーマンスを発揮できるようになっている。

フォルクスワーゲンゴルフGTI外観デザインも標準GTIとは差別化されている。ひと目で違いが分かるほどではないが、フロントエンドは、光沢ブラックに仕上げられエアディフレクターを兼ね備えたフロントバンパーが、エンジンへの空気の吸気量を向上させ、フロントの空力性能とダウンフォースを引き上げている。また、リヤスポイラーは、現行のGTIに搭載されているスポイラーよりも大型化。リヤアクスルのダウンフォースを最適化されている。こうした空力ボディも、まさにトラックエディションという名に相応しいものとなった。

インテリアも専用装備がプラスされた。古典的だが赤いセンターポジションマークを配したGTIロゴ付アルカンターラ巻き専用ステアリングホイールなどが装着され、レーシーなイメージにまとめられている。とくに、シートがグレードアップしている。専用ファブリック&アルカンターラ レカロスポーツシートを装備。このレカロスポーツシートにも、GTIでお馴染みのタータン柄が使われている。

これだけ大幅にパフォーマンスが向上したゴルフGTIクラブスポーツ トラック エディションの価格は、4,699,000円。標準GTIが3,999,000円なので、70万円アップ。専用装備やパフォーマンス向上分を考えると、安くはないが納得できる範囲の価格アップだ。70万円という価格差はあるものの、標準GTIと比較すると、その差は大きくトラックエディションはかなり魅力的だ。スポーティな走りを重視するのであれば、多少高価でもトラックエディションを選択したほうが、後々の満足度は高いだろう。トラックエディションは、限定車であることも満足度を高める理由のひとつ。さらに、70万円高価でもトラックエディションは、リセールバリューも高くなると十分に予想できる。次の乗り換えの時も有利になり、70万円という価格差も縮まるだろう。

ゴルフGTIを最大限に値引く方法は?ゴルフGTIの新車値引き攻略の特集記事はこちら▶︎▶︎


ただ、難しいのは標準GTIが値引きするのに対して、トラックエディションは、恐らく値引きゼロでの販売になる点だ。フォルクスワーゲンは、北米での排ガス不正の影響で、未だ国内販売も厳しい状況。そのため、標準車GTIは、一定の値引きは引き出せる。プジョー308GTIやルノー メガーヌRSなどと競合させれば、かなりの値引き対応をしてくるだろう。そうなると、実際の支払い価格差は100万円近くになる可能性が高い。これだけ差があると、ちょっと無理して買うという範囲ではなくなってくる。予算重視か、満足度重視か非常に難しい決断になるだろう。


‖フォルクスワーゲン ゴルフGTI クラブスポーツ トラックエディション、価格、スペック、燃費など

全長 4,275mm
全幅 1,800mm
全高 1,470mm
ホイールベース 2,635mm
車両重量 1,430kg
乗車定員 5 名
燃料消費率(JC08 モード) 14.7km/L
エンジン 種類 直列 4 気筒 DOHC インタークーラー付ターボ(4 バルブ)
総排気量 1,984cc
最高出力 195kW(265PS)/ 5,350-6,600rpm
最大トルク 350Nm(35.7kgm)/ 1,700-5,300rpm
トランスミッション 6 速 DSG
フロントサスペンション マクファーソンストラット(スタビライザー付)
リヤサスペンション 4 リンク(スタビライザー付)
使用タイヤサイズ 225/35 R19
価格(税込) ¥4,699,000