シトロエンC4ピカソ

<ナビ&電動式テールゲートなど30万円相当の装備を標準装備した特別仕様車「エクスクルーシブプラス」は買いか? 否か?>

シトロエンC4ピカソシトロエンは、MPVで7人乗りのグランドC4ピカソと5人乗りのC4ピカソに特別仕様車「C4ピカソ Exclusive Plus(エクスクルーシブプラス)」を設定し発売を開始した。

現行のシトロエンC4ピカソシリーズは、2014年にデビューした。先代のC4ピカソは、7人乗りのMPVのみだったが、現行モデルから2つのモデルに分けられた。フルモデルチェンジでC4ピカソは、5人乗りになり、7人乗りがグランドC4ピカソと呼ばれるようになった。日本マーケットでは、スライドドアが好まれるが、C4ピカソシリーズはヒンジ式のドアのままだ。

C4ピカソシリーズに共通する最大の特徴はデザイン。このデザインは、とにかくオリジナリティにあふれている。初めて見るような何にも似ていないデザインは新鮮だ。この宇宙船のようなデザインは、近未来を感じさせる先進性あふれるものとなっている。また、インテリアはとにかく解放感がある。クラス最大級のパノラミックガラスルーフが装着されていて、車内から上部を見るとほとんど全面ガラス張りといった印象だ。

シトロエンC4ピカソインパネ周りのデザインも個性的だ。ダッシュボードセンター上部には、フルデジタルの12インチパノラミックスクリーン、下部には7インチタッチスクリーンが設置されている。視認性に優れたスクリーンは、さまざまなコントロール機能をステアリングに設置されたスイッチでコントロール可能。こうしたインパネの機能も、なぜか宇宙船のイメージだ。

C4ピカソシリーズに用意されたパワーユニットは、1.6Lのダウンサイジングターボのみ。165ps&240Nmを発揮する。燃費はC4ピカソが15.1㎞/L。グランドC4ピカソが14.6㎞/Lになっている。燃費、パワーともそれほど優れたものではないが、必要十分なスペックになっている。

車名が2つに分けられたこともあり、グランドC4ピカソとC4ピカソは、似たようなデザインだがよく見ると細部が異なる。デザインだけでなく、ボディサイズも違う。グランドC4ピカソが4600㎜という全長なのに対して、C4ピカソの全長は4430㎜とやや短く、ホイールベースも短くなっている。

7人乗りのグランドC4ピカソの特徴は、7人定員分の独立したシートが用意されていること。それぞれが、スライドやリクライニングさせることが可能。ボディサイズがそれほど大きくないので、広いとは言えないものの子供なら3列目シートでも使える。

C4ピカソシリーズの売れ筋は、やはり7人乗りでミニバンとしても使えるグランドC4ピカソ。スライドドアではないことが、日本では少々マイナス要因になるものの、たまに多人数乗車するという程度なら十分ともいえる。また、国産ミニバンはありきたりでイヤという個性を重視する顧客に支持されている。C4ピカソは、MPVとしては少々中途半端な印象を受けるが、やや背が高く視界も良い5ドアHBと割り切れれば、荷物もたくさん積めるなど、非常によい選択になる。

今回、用意された特別仕様車「C4ピカソ エクスクルーシブプラス」は、その名の通り、上級グレードの エクスクルーシブをベースに特別装備がプラスされたモデルだ。

特別装備として、電動式のテールゲートが用意されたた。キーレスエントリーと連動し、荷物をもったままでもワンタッチで荷室の開閉ができる便利機能だ。。国産ミニバンほどではないが、テールゲートは、かなり上部まで開く。そのため、背の低く力の無い女性などは、テールゲートの開け閉めも苦労する。こうしたことなが無くなるので、電動式テールゲートは便利といえる。また、C4ピカソの価格は400万に近い価格帯。高級輸入車として考えると、必要な装備ともいえる。

シトロエンC4ピカソそして、さらに専用ナビゲーションシステムも標準装備された。これだけの高級車なのだから、今まで標準装備じゃなかったことのほうが疑問でもある。ナビは、最新のカーコネクト機能は無いが、ダッシュボードにビルトインされた7インチタッチスクリーンで操作が可能だ。ただ、タッチスクリーン式は、あまりおすすめできない。動く車内で、指先で的確に操作するのは難しい。そのため、ドライバーは指先を注視してしまうことから、安全面では少々微妙だからだ。また、5人乗りのC4ピカソには、17インチアロイホイールにアップグレードした。

この特別仕様車C4ピカソ エクスクルーシブプラスの価格は3,641,000からで、グランドC4ピカソ エクスクルーシブプラスの価格は3,856,000円からとなっている。両グレードとも、なんと30万円相当の装備をプラスしながら価格は据え置き。これは、なかなかお買い得だ。

さて、この特別仕様車は買いなのか否か。条件付きで買いだ。気をつけたいポイントは、値引き額。こうしたお買い得な特別仕様車は「元々お買い得なので値引きはできない」というセンスの無い営業マンが多くいる。そもそも、こうしたお買い得車が出るというのには意味がある。つまり、シトロエンが思うほど売れていないということになる。そうなると買い手が有利。あくまで、この特別仕様車は本命ではなく3番、4番目くらいの候補という姿勢でじっくりと商談したい。価格的には、アルファードやヴェルファイアのガソリン車やオデッセイ、エルグランドなど本格派ミニバンが買える価格帯なので、こうしたモデルと競合させたい。あくまで予算重視という姿勢がポイントだ。「輸入車はハイオク仕様なので、ガソリン代もかかるから値引き次第かなぁ」、「スライドドアじゃないとなぁ」くらいのトークも有効だ。大幅値引きさえ得られれば、かなり魅力的なクルマとなる。また、流通量は極めて少ないのだが、登録済み未使用車や高年式の中古車が安いので、こうしたモデルと競合させてみるのもいい。

ただ、中古車価格が安いということは、C4ピカソシリーズのリセールバリューはあまり期待できないということにもなる。そのため、C4ピカソシリーズは、短期で乗り換えにはあまり向かない。乗り潰すつもりで購入するといいだろう。

■シトロエンC4ピカソ エクスクルーシブプラス価格

・C4 PICASSO Exclusive Plus 5人乗り ファブリック(ブラック/グレー) 3,641,000円/ナッパレザー
(ブラック/シャンパン) 4,001,000円
・GRAND C4 PICASSO Exclusive Plus 7人乗り ファブリック(ブラック/グレー) 3,856,000円/ナッパレザー
(ブラック/シャンパン) 4,256,000円