<装備向上した仕様変更。大幅値引きも含め、高価なアルファード&ヴェルファイアよりも優れたコストパフォーマンス>

現行の日産エルグランドは、2010年にデビューしたモデルで、これが3代目となっている。今ではアルファード&ヴェルファイアに販売台数面で大きく差を付けられてしまっているが、このクラスのミニバンと言われるジャンルを創り上げたパイオニア的存在でもある。

3代目エルグランドは、従来の商用車ベースのプラットフォームから決別しFF乗用車系のプラットフォームが採用された。それまでのエルグランドのFRプラットフォームでは、フロア高が高くなり乗降性も悪い。フロア高が高くなると、重心位置が高くなり必要以上にカーブでクルマが傾いたり、フラフラとしたボディの揺れも起きたりする。すでに、このクラスは高級ミニバンとして位置付けられていることから、そうした運動性能では高級車と呼ぶには程遠いものになる。また、コストや室内スペース面でもデメリットが多かった。

そこで、3代目エルグランドは、低床・低重心のプラットフォームが採用された。低重心化されたことで、従来モデルとは大きく異なる運動性能を得た。さらに、このクラスでは同時珍しい高級なマルチリンクリヤサスペンションを採用。さらに、低床のプラットフォームを採用することで、室内スペースの効率は高まり、無駄に全高を上げる必要もなくなった。そこで、全高をイッキ下げたデザインが採用される。全高が下がれば、さらに重心高が下がり、乗り心地や運動性能は飛躍的に向上した。

3代目エルグランドは、そうした設計の恩恵で質の高いミニバンとなったのだが、販売面で不振となる。日産側も全高を下げることに関しては不安があったようだが、まさに全高を下げたことが仇となった。マーケットでは、乗り降りがしにくく、価格の割には乗り心地が悪く、カーブで不安定になっても、背が高く大きく威圧感のあるデザインをもつモデルが好まれたのだ。確かにシートアレンジや使い勝手面では、ライバル車に対してやや物足りない部分はあったのも確かだが、クルマの基本性能はほとんど評価されなかったのだ。現在、エルグランドは、モデル末期に入ってきたこともあり500台を売るの難しい月も出てきているほどだ。

それでも、その昔はキング・オブ・ミニバンと絶賛されたモデルだ。2014年には、ビッグマイナーチェンジ。室内スペースを拡大し、使い勝手も向上させた。2015年には、実質価格を20万円程度実質引き下げた特別仕様車を設定した。

そして、今回は軽めの一部仕様変更を行った。「250ハイウェイスタープレミアム」に人気の装備である運転席側ワンタッチオートスライドドアおよび、リモコンオートバックドアを標準装備とするとともに、「250 ハイウェイスタープレミアム アーバンクロム」にリモコンオートバックドアを標準装備し、利便性を向上させている。

この仕様変更で、日産エルグランド250ハイウェイスタープレミアムの価格は4,136,400円となった。仕様変更前より、約14万円価格がアップしている。これは、装備向上分相当といったところ。割安感は無い。250ハイウェイスタープレミアム アーバンクロムも同様だ。お買い得感ということなら、250ハイウェイスター Sの3,395,520円ということになる。

ただし、それでもライバル車であるアルファード/ヴェルファイアと比較すると、250ハイウェイスタープレミアムの価格4,136,400円でも割安感がある。アルファード/ヴェルファイアは、250ハイウェイスタープレミアムと同等グレードであるアルファードS C パッケージ 7人乗りを250ハイウェイスタープレミアムと同じ本革シートにすると450万円程度の価格となる。装備類がほぼ同等と考えると、エルグランドの割安感が出てくる価格設定になっている。

アルファード/ヴェルファイアは、旧型があまりに売れていたため、新型はかなり強気な価格設定になった。あまりに高額な価格設定だったため、本来売れ筋になると見られていたハイブリッド車の初期販売比率は約26%と低い。人気の中心は、価格の安い2.5Lとなったのだ。ハイブリッド車の無いエルグランドは、そもそも競合しない。しかし、ライバル車の売れ筋が2.5L車なら、価格次第では戦える。エントリグレードでは、割安感をアピールしたエルグランドだったが、今回の仕様変更では、上級グレードでも価格の安さをアピールする戦術に出たようだ。

実際の販売価格という面でも大きな価格差となり、リーズナブルさをアピールするエルグランド。実際のセールス現場では、もっと価格差が広がる。アルファード/ヴェルファイアは、人気モデルということもあり、値引きもかなり渋い。対して、エルグランドは、ライバルに負けじと大幅値引き中だ。この差は大きく、支払総額差は想像以上に大きくなる。

もちろん、大幅値引きを引き出すにはコツがいる。まず、アルファード/ヴェルファイアの見積りを取り、その後エルグランドの商談に入るといい。本命はアルファード/ヴェルファイア。エルグランドは、ついでに見に来た程度で商談するといいだろう。そして軽くアルファード/ヴェルファイアの納期が長く価格も不満だということを、何気なく伝えてみよう。「エルグランドならすぐ乗れます! 値引きも頑張ります!」と食いついてくるだろう。さらに、オデッセイとも競合させれば、より有利に商談が進められる。

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とにかく、アルファード/ヴェルファイアでなくてはダメ、という人でなければ、日産エルグランドは、走行性能や装備面などで大きく負けている部分が無いので、大幅値引きしてくれたのならお勧めミニバンとなる。リセールバリューは、アルファード/ヴェルファイアとは勝負にならないので、乗り潰すことが前提だ。同じ予算なら、エルグランドではより上級グレードや上級装備が装着できるし、何よりも予算も少なくなるので、コストパフォーマンスで考えれば日産エルグランドという選択も面白い。

日産エルグランド価格

■2WD
・250ハイウェイスタープレミアム 4,136,400円
・250ハイウェイスタープレミアムアーバンクロム 4,341,600円
■4WD
・250ハイウェイスタープレミアム 4,428,000円
・250ハイウェイスタープレミアムアーバンクロム 4,633,200円

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