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ガソリン車と比べると価格は高価だが、圧倒的な燃費性能を誇るハイブリッド車。価格差と同等以上の
魅力があるのかどうか? また、ガソリン車とハイブリッド車、どちらを選ぶといいのか評価した。

  1. レビューをまとめると…
  2. ハイブリッドの燃費26.0㎞/Lに対して、ガソリン車は14.0㎞/L。燃費差は歴然! ただし、燃料費差で価格差を回収するのはむずかしい
  3. 静粛性や乗り心地は、ハイブリッド車が勝る
  4. しばらくの間、ハイブリッドの値引きは渋い。値引き額の大きいガソリン車とハイブリッド車の支払総額差は、さらに拡大。
    予算重視ならガソリン車

概要

ガソリン車、ハイブリッド車とも低床・低重心設計がされているため、乗り降りのしやすさや操縦安定性などは、高いレベルにある。ガソリン車のアブソルートは2.4Lガソリンエンジンで190psというハイパワーを誇る。ハイブリッド車は、ガソリン車を上回るパワーを誇るが、車重が重いので高回転域の加速感は同等レベル。大きな差となるのは、ハイブリッド車の燃費と静粛性だ。

コンセプト・エクステリア

低床・低重心で高い操縦安定性を確保しながら、高級ミニバンとして広い室内をもち、高い環境性能も有するというホンダの目指すミニバンのあるべき姿を具現化。燃費性能では、独自のハイブリッドシステムでクラストップレベルの実力。また、不必要に全高を高くせず低重心化することで、トップクラスの高い操縦安定性をもつミニバンに仕上がっている。

ガソリン車に関しては、標準車とアブソルートで仕様が異なる。アブソルートは、専用エアロパーツ類でスポーティなルックスにまとめられ、2.4L自然吸気エンジンも190psと高出力化されている。このスポーティなルックスが人気で、ハイブリッド車も含め全体の90%以上がアブソルートを選択肢しているほどの人気。外観の違いもほとんどなく、エンブレムやホイールのデザインが違う程度だ。ただ、ハイブリッドの標準車は、外観がよりアブソルートに近いものとなっている。

インテリア・装備

ガソリン車とハイブリッド車では、インテリアの違いもとても小さい。すぐに気が付くのは、メーター程度。ハイブリッド車は、走行モードがひと目で分かるモニターがプラスされているなど、違うデザインのものが採用されている。

また、ハイブリッド車は大きなリチウムイオン電池がフロントシート下に搭載されているが、室内空間に影響は無い。シートの形状や使い勝手を含め、ガソリン車とハイブリッド車は同等だ。

ガソリン車は、モデル途中でホンダの歩行者検知式自動ブレーキである「ホンダセンシング」標準装備化を進めた。現在では、ハイブリッドと同様に一部のエントリーグレードを除き標準装備されている。また、サイドエアバッグ&カーテンエアバッグもエントリーグレードを除き標準装備化されているのも高く評価できる。ただし、ガソリン車のアブソルート(エントリーグレード)には、オプションでも装備することができない。

装備や使い勝手面で、ガソリン車とハイブリッド車との差はほとんどない。大きく違うのは静粛性。ハイブリッド車は高価になることもあり、またEV走行時の静粛性をより高め高級感を出している。これは、もはやまったく異なるというレベル。ハイブリッド車は、非常に静かな車内が魅力だ。また、ガソリン車は3列目シートに座ると、後輪が近いことからかなり騒がしい音が入ってきたが、ハイブリッド車ではシッカリと遮音されており、どのシートに座っても静かな印象が強い。

走り・メカニズム

ガソリン車は、標準車とアブソルートにそれぞれスペックの違う2.4Lガソリンエンジンを使っている。アブソルートは190ps、標準車は175psでどちらもレギュラーガソリン仕様だ。燃費は最もよいアブソルートが14.0㎞/L。

ハイブリッド車は、アコードハイブリッドをベースとした2モーター式のスポーツハイブリッドi-MMDを搭載。EV、ハイブリッド、エンジンと3つのモードを使い分け26.0㎞/Lを誇る。

実際の走行では、街中走行のようなストップ&ゴーを繰り返すシーンでは、ハイブリッド車が力強い印象を受けた。ハイブリッド車は、アクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを出しクルマを前に進める。そのため、アクセルを踏んだり放したりを繰り返す市街地などでは、アクセルを踏んだ瞬間にクルマが反応するので力強さを感じるのだ。ただ、高回転域の全開加速のようなシーンでは、ガソリン車との差はそれほど感じなかった。
燃費性能では、ハイブリッド車が圧倒している。ただし、価格は50万円ほど高価になっている。この価格差を燃費差による燃料費で元を取るには非常に難しい。
装備や使い勝手面でも差が無い。つまり、ガソリン車かハイブリッド車かという選択は、燃費性能と静粛性、街中での力強さの3点が50万円という価格差に対して価値があるかどうかということになる。このあたりは、個人的な好みもあるので試乗して決めるといいだろう。

お勧めグレード

ガソリン車とハイブリッド車の価格差は約50万円。約400万円という価格帯になってくる高級ミニバンであるということを考えると、やはりオデッセイはハイブリッド車をお勧めしたい。燃費や静粛性、走行性能の面でも満足度は高い。

また、短期から中期での乗り換えを考えているのなら、尚更ハイブリッド車がお勧めだ。もはや、新車ではハイブリッド車でないと売れないくらいの人気になっている。当然、中古車でもそうした流れになっていて、ミニバンもハイブリッド車のリセールバリューが高くなると予想できるからだ。当然、燃費で劣るガソリン車とのリセールバリューは下がっていくため、次にクルマを購入するときの下取りや買取価格に大きな差になると思われるからだ。仮に5年後にオデッセイハイブリッドを売却した場合に、同程度のガソリン車より50万円高ければ元が取れた計算になるどころか、燃費に優れる分ハイブリッド車がお得という判断になるからだ。

ハイブリッド車のお勧めグレードは、アブソルートEXパッケージ。このグレードにしか装備されない車線変更時に後側方の車両を検知し警報を出すブラインドスポットインフォメーションは、死角の多いミニバンでは便利で安心な装備。また、100V AC電源(1500W)も同様で、アウトドアレジャーでは家電製品がクルマで使えるようになる。さらに、災害時に電源車として使うことも可能だ。

ガソリン車はアブソルートのEXホンダセンシングがお勧め。装備が充実しているだけでなく、ブラインドスポットインフォメーションが装備されているのは、このグレードのみだ。

繰り返しになるが、ガソリン車もアブソルートを選んだ方がよい。90%以上アブソルートが売れている状況を考えると、リセールバリューは確実にアブソルートが高くなる。
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新車値引き

しばらくの間、オデッセイハイブリッドの値引きはゼロに近いと考えていいだろう。逆に、ガソリン車は今まであまり売れていなかった経緯もあり、一定の値引き額が出る。こうなると、ガソリン車とハイブリッド車の支払総額差は、価格差の約50万円以上となる。となると、予算重視ならばガソリン車という選択になる。

ガソリン車の場合、より多くの値引きを引き出すには、多くのクルマと競合させることだ。
オデッセイの場合、300万円を超えなかなか微妙な価格帯にある。そのため、競合させるモデルは、トヨタのノア/ヴォクシー/エスクァイアのハイブリッド車、そしてアルファード/ヴェルファイアのガソリン車などが価格的に有効だろう。ます、トヨタ系は、全部で5車種もあるので、まず複数の見積書をもって商談に望みたい。先にトヨタ系の見積書があれば、トヨタには負けないというホンダの闘争心に火が付くというもの。販売台数面では、トヨタ系が勝っているので尚更値引き対応することになるはずだ。

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自動車評論家 松下 宏(まつした ひろし)

自動車評論家 松下 宏(まつした ひろし)

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。
誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。
そのため、大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。