アバルト595

<ブレンボのキャリパーなども追加され、価格アップは9万円とコスパもアップ!>

フィアット595フィアットは「アバルト595コンペティツィオーネ(Abarth 595 Competizione)」をマイナーチェンジし発売を開始した。アバルト595は、フィアットの基幹車種であるコンパクトカー500をベースとしたハイパフォーマンスモデルだ。

フィアットではなく、なぜアバルトかというと、メルセデス・ベンツのAMGやBMWのMといったハイパフォーマンスブランドと同じような立ち位置としているからだ。アバルトというブランドは古くからあり、1950~1960年代にかけてレースで大活躍したチューナーの名前だ。主にフィアット車をベースにモータースポーツで大活躍。アバルトのエンブレムには、サソリを模したエンブレムが使われ高い人気を誇った。そして、数々のチューニングパーツも生産・販売していた。その後、アバルトはフィアット傘下に入る。現在では、フィアット車のハイパフォーマンスモデルを担当するブランドとなっている。

アバルト595は、2013年に登場した。ベースとなっているのは、キュートなスタイルで人気のフィアット500。この500をベースとして1.4L直4ターボを搭載。コンパクトなボディサイズながら160ps&206Nmを発揮。500のツインエアが85ps&145Nmなので、倍近いパワーアップが図られていた。また、グリル中央に入れられたエンブレムなどは、フィアットではなくアバルトのブランドを象徴するサソリをモチーフにしたエンブレムに変更されていた。フィアットとは違うブランドであることを明確に主張している。

そんなハイパフォーマンスモデルであるアバルト595は、マイナーチェンジでさらに過激さを増した。1.4L直4ターボは、160ps&206Nmから180ps&230Nmまでパワーアップされた。20ps&24Nmの向上だ。アバルト595は、全長3,655㎜という小さなボディ。このボディに160psでも十分過ぎるあり余るパワーを誇っていたのだから、180psへさらなるパワーアップが施されたのだから、その加速力は強烈。車重は1120㎏のままなのだから、まるで違うクルマになったといってもいいだろう。

フィアット595なんと、パワーウェイトレシオは、6.2kg/ps! ひとクラス上のボディサイズになるが、フォルクスワーゲン ポロGTIのパワーウェイトレシオが6.5㎏/ps。ポロGTIをも上回る加速性能をもつということになる。小さくてもひと刺しで大きな動物も毒殺できるサソリだ。

この大幅なパワーアップに伴い、ブレーキも強化された。ブレンボ製の4ポッドフロントブレーキキャリパーが装備された。これだけ小さなクルマなのに、ブレンボの4ポッドキャリパーがホイールの隙間から見える姿は、まるでレーシングカーのようだ。足元だけでも、このアバルト595がただのスポーツコンパクトではないことが分かる。

これだけパフォーマンスをアップしたこともあり、、燃費性能は5MTが14.5㎞/Lから13.8㎞/Lへとダウンしている。燃費云々のクルマではないが、パワーアップ分の代償はシッカリと払っている。テクノロジーという視点から見れば、パワーアップと低燃費を両立してほしいところだ。

その他、クルマ好きを唸らす小技も使われている。赤く塗られたシリンダーヘッドには、サソリのエンブレムが刻まれ、エンジンルームを開ける回数が増えそうだ。インテリアでは、アルミのシフトノブなどは、ハイパフォーマンスモデルとしては定番な手法とはいえ、高いデザイン性がオシャレ度をアップ。さすが、デザイン大国のイタリア車だ。それ以上にオシャレ度を上げているのがシート。ブラックとブラウンを組み合わせたアルカンターラレザーシートなどは、スポーティなだけでなくオシャレな空間を生み出しプレミアム感もある。このオシャレな感覚は、ドイツや日本車とはまったく違う魅力を放つ。走行パフォーマンスだけでなく、ライフスタイルでも乗りたくなるクルマと言える。

さて、アバルト595の価格は、マイナーチェンジで9万円の価格がアップした。5速MTで3,531,600円。この価格アップで、ブレンボのキャリパーなども装備されており、買い得感が増している。

アバルト595の上には、190psを誇るアバルト695というモデルがある。このアバルト695は、ほどんど街中を走ることができるレーシングカー。実際に街中で使うには少々不便さもある。そうした視点では、アバルト595が街中で不自由なく使える最もスポーティなモデルと言えるだろう。

フィアット595アバルト595は、かなりマニアックなモデルとなっている。こうしたモデルの場合、販売台数が少ないことから、メーカーはコストを抑えるため左ハンドルを導入する傾向が強い。しかし、アバルト595には、シッカリと右ハンドル車が用意されている。ややクセがあるもののATモード付5速シーケンシャルも用意されていて、AT免許しかない顧客にも十分対応できている。価格は、約353万円と安くはないが、かなり満足度の高いものとなっている。

■アバルト595コンペティツィオーネ(Abarth 595 Competizione)価格
・5速MT(右/左ハンドル) 3,531,600円
・ATモード付5速シーケンシャル(右ハンドル) 3,693,600円