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「もやもやクルマ選び」第2回 フォルクスワーゲン ゴルフR ヴァリアント


レアでマニアックなだけがクルマじゃない。新型車たちにも、世間から忘れられた中古車たちにも、クルマ好きのぼくらをワクワク「もやもや」させる悩ましい魅力を持つクルマがたくさんあります。第2回はハッチバックのベンチマークとして名高いゴルフの、しかも高性能版で、さらにワゴン・・・という欲張りなクルマ、ゴルフR ヴァリアントをお送りいたします。



◆残念な不正行為が発覚


2015年9月、残念なことにフォルクスワーゲンのディーゼルエンジンの排ガス規制に対する意図的な不正行為のニュースが駆け巡りました。対象となる車種はフォルクスワーゲンをはじめ、傘下のアウディやポルシェにまでおよびます。

今回取り上げるゴルフもその対象となる車種なのですが、一方でそのパッケージングが世界の自動車メーカーに影響を与えたのも事実です。


◆ハッチバックのベンチマーク


1974年に登場し、VW(フォルクスワーゲン)=ビートルという図式を一挙に変えただけでなく、世界の自動車界にも衝撃を与えた初代ゴルフ。以来30余年、7世代目を迎えた現在においても、世界中の自動車メーカーが目標(ベンチマーク)とする小型ハッチバックです。世代によって多少のコンセプトの違いはあるものの、一貫しているのはハッチバックとしてその時代時代において最善最良のクルマ作りを目指し、実際にそれを達成しているといえます。

現行型ゴルフ(7代目)は2012年に登場。この代から導入されたMQB(Modulare Quer Baukasten=英語で「モジュールキット」の意)という画期的なプラットフォームが話題になりました。これは、簡単に云うといままで車格に合わせて作っていたクルマの車台(プラットフォーム)を共用化してしまうという大胆なものです。


◆ワゴンボディ「ヴァリアント」+「R」のパワー


(C)izuru_endo_ variant_1280_703_2015_11(クリックで拡大)ゴルフ7には膨大なエンジンバリエーションとボディバリエーションがありますが、その中でも最強のエンジンが「R」に積まれる2リットルターボエンジンで、実に280psを発生します。そして最大のユーティリティを持つのがワゴンボディの「ヴァリアント」です。その2つのいいとこどりをしてしまったのが、ゴルフ史上最強のワゴンと呼ばれる「ゴルフRヴァリアント」なのです。

ゴルフR ヴァリアントは、ゴルフ ヴァリアントTSI Comfortlineと比べて2倍近い559万円というプライスタグがつきますが、その価格に見合うだけの高級感と性能を持ち合わせたスーパーワゴン。ぱっと見ではふつうのゴルフと大きく変わらないのも、逆に、オーナーの密かな楽しみになるのかもしれません。



【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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