ミニ クラブマン

<ボディサイズを大幅アップし、5人がシッカリと乗れるコンパクトカーへ! 新たなミニの価値を提案する>

ミニクラブマンBMWは、ワゴンのようなボディスタイルをもち、英国で狩猟などに使われていたシューティングブレークとも呼ばれるミニ クラブマン をモデルチェンジし発売を開始した。

今回のモデルチェンジで、ミニ クラブマンは大きく方向性を変えている。先代のクラブマンは、基本的に3ドアに見えリヤドアと右側ドアが観音開きになるユニークなモデルだった。ボディサイズは、全長3980×全幅1685×全高1440mmと全長は4m未満。欧州では、Bセグメントと呼ばれるクラスに属するコンパクトカーだ。こnBセグメントカーには、フォルクスワーゲン ポロやアウディA1などが属する。それでも、3ドアHBのミニに比べれば、ボディサイズは大型化されていた。乗車定員は、4人乗りだったが3ドアのミニと比べれば、シッカリと座れることもあり、新たなミニの顧客を獲得したモデルでもある。

ミニクラブマン新たな顧客を獲得する使命があったクラブマンは、モデルチェンジにより、さらにボディを大型化した。クラブマンのボディサイズは全長4,270×全幅1,800×全高1,470mm。全長を290mm、全幅を115mmも拡大している。このボディサイズは、もはやBセグメントではなく、Cセグメントといえるサイズ。ライバルは、今までより1クラス上となるフォルクスワーゲン ゴルフ やメルセデス・ベンツAクラスになった。

もはや、ボディサイズ的にはミニではなくなったクラブマン。こうしたボディサイズのアップは、非常に戦略的に行われている。従来のクラブマンの役割は、新規顧客層の取り込み。従来のミニでは、サイズ的に不便で購入を断念してきた顧客を取り込んだ。そこで、さらにひとクラス上のボディサイズとすることで、また新たな顧客層の開拓を狙う。ミニ側も「ひと回り大きいプレミアム・コンパクト・セグメントにおいて、唯一無二のデザインを採用した新風を巻き起こすモデルである」と、アピールしているほどだ。

ミニブランドは、クラブマンだけでなく派生車をドンドンと増やし、新たな顧客層を取り込みブランド力をより幅広く強化した。しかし、ミニとう名の通り、Bセグメント内に収めてきた。着実にブランド力がアップしたことを見計らって、今回のクラブマンで、ついにBセグメントの壁を超え、Cセグメントにチャレンジすることになる。ミニブランドの更なる成長を目指す第2段階といってもいいだろう。

ミニブランドは、こうした緻密な戦略が功を奏し全世界的に絶好調。日本では、2015年度上期で約9,700台を販売。前年対比で約122%増と好調。輸入車の中でも、トップクラスの伸び率を維持している。

ボディが拡大されたミニ クラブマンだが、ボディサイズ以外はミニらしさは失っていない。ミニのデザインアイコンである丸型ヘッドライト、六角形のフロント・グリルは当然継承された。遠めに見ると、いかにもミニだが、昔からのミニを知っている人にとっては、遠めからでも大きさを感じる。また、元々ミニはプレミアムコンパクトということで、質感は高かったが、ひとクラス上となったことから、エクステリアの随所にクロームを用いるなどしより高級感をアピールしている。外観上では、リヤドアは、一般的なヒンジドアになった。このあたりは、クラブマンのユニークさが減少し、まぁ、普通のクルマ的になったともいえる。

ミニクラブマンインテリアデザインは、1クラス上になったことで全く新しいデザインが採用されている。ただ、基本的には円をモチーフにしたセンターコンソールのデザインやメーターなど、ミニブランドのテイストはしっかりと残されている。新しいデザインというよりは、派手目のデコレーションが控えめになり、少しシックで高級感が出た印象だ。

ボディサイズが大きくなったことで、当然、実用性もアップしている。ラゲッジスペースの容量は360L。このクラスの人気モデルであるゴルフ のラゲッジスペース容量が380L、Aクラスが341Lなので、ミニなのにかなり実用的といえるレベルになっている。

搭載されるパワーユニットは、1.5L直3ターボと2.0L直4ターボ。出力は1.5Lが136ps&220Nmで6速ATとの組み合わせられ、燃費は17.1㎞/L。2.0Lが192ps&280Nmで8速ATの組み合わせとなっており、燃費は16.6㎞/L。残念ながら、クリーンディーゼルエンジン は用意されていない。ただし、今後クリーンディーゼル車も投入されることもあるだろう。両モデルとも、「平成27年度燃費基準+10%」および「平成17年排出ガス基準75%低減レベル(★★★★低排出ガス車)」を達成し、エコカー減税の対象。自動車取得税が40%減税、重量税が25%減税、翌年度の自動車税は50%減税となる。クラブマンは、ガソリン車のみだがエコカー減税により、一定の顧客メリットを提示できている。

ミニクラブマン問題は、クラブマンの価格だ。1.5Lターボのミニ クーパー クラブマンが3,440,000円から。ミニの場合、オプションが多数存在するので、色々付けると100万円プラスとなることはよくあるとこと。そうなると、随分高価なクルマとなる。その上、ミニの販売は基本値引き「0(ゼロ)」。他のライバルは、シッカリと値引きしてくれるので、想像以上に支払金額に差がでることは確実だ。それでもミニは、とても売れているのだから、日本におけるミニブランドは他メーカーを圧倒しているといえる。

■ミニ クラブマン(MINI CLUBMAN)価格

・ミニ クーパー クラブマン 3,440,000円
・ミニ クーパーS クラブマン 3,840,000円