• 新型ステップワゴン(2015年・平成27年~)

  • REPORT 試乗レポート

ハイブリッド車は用意されなかったものの、ホンダ初となる1.5Lダウンサイジングターボエンジンを搭載。
排気量が1.5Lになったことで、出力や低燃費性能の他にライバルに比べ自動車税が年間5,000円軽減。
新たな魅力を徹底評価する!

  1. レポートをまとめると…
  2. 縦に開き、利便性が増したユニークなわくわくゲート
  3. 低速域では2.4L車並みのトルクを誇る低燃費な1.5Lダウンサイジングターボエンジン
  4. 歩行者を検知する自動ブレーキ関連の安全装備「ホンダセンシング」がオプション設定

モデル概要

ライバルに無い、ユニークな1.5Lダウンサイジングターボエンジンとわくわくゲート

モデル概要イメージ
新型、すなわち5代目となるステップワゴンでは画期的なクルマ作りがなされている。後部ドアに縦開きのほかに横開きも可能にしたわくわくゲートを採用したのが大きなポイントで、小さな手荷物の積み下ろしが楽になるほか、3列目シートの床下収納によって後方からの乗り降りも可能としたからだ。後方にリヤゲートを上げるスペースの無い駐車場や、背が低く力がない女性などに大きなメリットとなる。
また、搭載エンジンをダウンサイジング直噴ターボの1.5Lターボとしたのもポイント。低回転域では、2.4L並みのトルクで力強く低燃費化されているのが特徴だ。1.5Lになったことで、従来の2.0L車に比べ自動車税が年間5,000円節税できるメリットがある。

デザイン・パッケージング

低床・低重心のパッケージングはそのままに、全高をやや上げ室内の広さをアピール

デザイン・パッケージングイメージ
低床・低重心パッケージを採用するのは変わらないが、今回のモデルでは全高をやや高くした。低全高のミニバンは操縦安定性などで有利だが、小さく見えるのが弱点とされてきた。今回のモデルでは方針を転換し、見た目も実際の室内空間も大きくしたのが特徴だ。

後方から見ると、わくわくゲートを備えたバックドアが左右非対称にデザインされている。これまでにない感覚のモダンなデザインだ。標準仕様とスポーティなスパーダという2種類の外観デザインを持つのは従来と変わらないが、これまでのモデルに比べると標準車とスパーダの違いが小さくなったように見える。フロント回りのデザインに違いはあるが、標準車も十分にカッコ良い。

燃費

トヨタのハイブリッド車並みの燃費には手が届かないが、ガソリン車の中ではトップレベルの燃費性能をもつ

燃費イメージ
新開発の1.5L直噴ターボの搭載で燃費性能も向上した。最も燃費の良い仕様は17.0km/L、売れ筋グレードで16.2km/Lだから、BOX系ミニバンの中でも最も良い数値であり、従来のモデルに対して確実に向上している。

ノア/ヴォククシー/エスクァイアのハイブリッド車には及ばないが、ガソリン車に対しては同等以上の燃費性能で、十分に優れた数値と言っていい。ダウンサイジングターボらしく、低回転のトルクは2.4L車並み。力強さも兼ね備えている。

室内の広さ&インテリア

フロア下に収納できるマジックシートをもつのは、ステップワゴンのみ

低床・低重心パッケージングをベースに、今回のモデルでは全高を高くし、ホイールベースを延長している。これによって室内空間はグンと広くなった。室内高は+30mmと全高を高くした分以上に高くなっているし、1列目と3列目の間のタンデムディスタンスはホイールベースの延長分よりも拡大され40mm広くなった。全席で大人快適に座れる空間が確保された。

室内の広さ&インテリアイメージ
それ以上に注目されるのが、左右非対称に分割して床下に収納できる3列目のマジックシートで、これによって後方のわくわくゲートからの乗り降りを可能にした。乗車定員は2列目にキャプテンシートを採用した2名-2名-3名の7人乗りが基本。オプションで2列目に6:4分割ベンチシートが全グレードにオプション設定されており、これを装着すると8人乗りになる。

インテリアデザインは、機能性と美しさの両立を狙ったもので、標準車は明るいツートーンでまとめられ、さらに明るいアイボリーの内装色もオプションで用意される。スパーダはスポーティなブラックでまとめられているのが特徴だ。

走り

ダウンサイジングターボの利点を生かし、低回転域では2.4L級の余裕ある走りが楽しめる

走りイメージ
直噴ターボ仕様とはいえ、1.5Lではどうなるかと心配する人がいるかも知れないが、想像以上に良く走る。1.5L直噴ターボの実力は2.0Lの自然吸気エンジン並みの実力であり、しかも低回転域での過渡的な実力は2.4Lエンジンに相当するトルクを発生するから、余裕ある走りが味わえる。

直噴ターボの良さが感じられるのは加速時だ。自然吸気エンジンだとアクセルを踏み込んでエンジン回転を高めないと力強い加速が得られないが、直噴ターボでは低回転域からトルクが働くので、より静かでスムーズな加速が得られるのだ。

ボディ剛性の強化やサスペンションのセッティングが煮詰められたことで、操縦安定性のレベルは確実に向上している。電子制御パワーステアリングも切り始めの段階から滑らかですっきりしたステアフィールを実現している。これらを合わせて高速でもふらつきの少ない安定した走りが可能である。全高をやや高くしたものの、重心高はほとんど高くなっていないので、コーナーでのロール感も従来のモデルと変わらない印象だ。

装備

自動ブレーキ関連の安全装備「ホンダセンシング」はオプションなので、必ず選びたい!

装備イメージ
新型ステップワゴンには、自動ブレーキ含んだ最新の安全装備であるホンダセンシングが設定されている。ただし、全車にオプション設定であり、標準車ではサイド&カーテンエアバッグもオプション設定とされている。購入時にはこれらの装着を忘れないようにしたい。中古車マーケットでも、自動ブレーキを装備しているクルマは人気なので、こうしたオプションを選ばないとリセールバリューも低くなると予想できる。

ホンダインターナビ+リンクアップフリーはベースグレードを除く全車にオプション設定。マルチビューカメラなどとセットで装着することになる。これらの必須ともいえるオプションを装着すると、車両価格はかなり高くなる。それを計算に入れて購入予算を組みたい。

お勧めグレード

予算が必要だが、選ぶならスパーダ

標準車にするかスパーダにするかが難しいところ。標準車の方が、価格は安めの設定になっているが、装備もそれなり。一定水準の装備を求めるのなら、やはりスパーダという選択になる。ステップワゴンの発表後、約1か月後の受注状況では、約70%もの多くの顧客がスパーダを選択している。3~5年程度で乗り換えるつもりなら、リセールバリューの面で有利になるのもスパーダだ。装備がよいスパーダでも、右側パワースライドドアがオプションだったりする。装備を充実させると、車両価格で300万円を超える水準に達するので、それなりの予算が必要なクルマではある。

新型ステップワゴン ギャラリー
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中古車の価格帯(2015年5月時点)
  1. 新型ステップワゴン

    250~370万円

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ホンダ ステップワゴン スパーダ Cool Spirit
ボディサイズ
(全長×全幅×全高)
4735×1695×1840mm
ホイールベース 2890mm
車両重量 1700kg
排気量 1496cc
最高出力 110kW(150ps)/5500rpm
最大トルク 203 N・m(20.7㎏-m)/ 1600~5000
トランスミッション CVT(無段変速機)
燃費(JC08モード) 15.4㎞/L
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自動車評論家 松下 宏(まつした ひろし)

自動車評論家
松下 宏(まつした ひろし)

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。
誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。
そのため、大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。