2代目プリウスの1.5Lから、1.8Lへ排気量をアップした3代目プリウス。
排気量を増やしながらも、2代目を上回る燃費38.0㎞/L(10・15モード)を達成した。
レポートをまとめると…
- 高速走行時の実燃費向上を狙い
空気抵抗を抑えた流麗なデザイン - 近未来的なインパネデザインは斬新
- 中古車では、装備の貧弱なSグレードは
選択肢から外したい
モデル概要
燃費&走行性能をさらに進化させた
3代目プリウス
排気量を1.5Lから1.8Lにアップし、より余裕のある走行性能を誇る3代目プリウス。走行性能や燃費だけでなく、ボディサイズはやや大きくなったことで居住性もアップ。ほぼすべての面で、2代目を上回るパフォーマンスをもっている。
コンセプト&エクステリア
2代目を正常進化させた
3代目プリウス
プリウスは世界初のハイブリッド乗用車として1997年に発売され、燃費の良さによる環境性能の高さによって優れたブランドイメージを確立してきた。特に2代目はモデル末期の2008年が最も良く売れた年になるなど、ユーザーの資源・環境意識の高まりに合わせて好調な売れ行きを確保してきた。
2009年に発売された3代目プリウスは、全体としてはキープコンセプトのモデルながら、トヨタ独自のハイブリッドシステムに磨きをかけ、2代目モデルを正常に進化させたモデルでもある。ハイブリッドシステムはTHS-Ⅱで従来と変わらないが、システムはより高効率化や軽量化、小型化が図られている。
外観デザインは2代目のイメージを継承。5ドアハッチバックのボディはプリウスを象徴するものとして定着していたので、基本的にこれを継承した。横から見たときにルーフの中央部分を高くした三角形デザインを強調するとともに、頂点の部分をやや後方に移動することで、室内に十分な居住空間を確保した。
また、ボディの四隅の部分を中心に空力的な煮詰めを徹底したほか、ボディの下側の空力にも配慮しており、速燃費の向上につながるデザインとしている。
インテリア&装備
視線移動の少ないセンターメーターを
採用。後席スペースも広くなった。
インテリア回りのデザインは、当時として近未来感覚の新鮮なデザインだった。メーターはドライバーの正面ではなくセンター部分に配置され、従来はカーナビと共用していたエネルギーモニターや燃費表示などもセンター部分に表示されるようになった。
センターメーターは視線移動が少なくてすむが、やや遠くなって表示が小さくなったことから、ちょっと見にくくなった感じもある。特にエネルギーモニターに表示されるエンジンの始動が確認しにくくなった。
操作系と表示系とが明確に区分けされたインテリアは、全体に見やすく扱いやすいものとされている。また底部を平らにしたステアリングホイールは乗降性に貢献するものだ。
後席の空間は十分だ。特にライバルのホンダ インサイトとの比較で語られるヘッドクリアランスは確実にプリウスのほうが広い。電池の小型化などによってラゲッジスペースの容量も拡大している。
装備は、ハイブリッド車にふさわしいプリウスならではのものがいろいろと用意されている。ステアリングホイールに設けられたスイッチに手を振れると、メーター内に操作系が表示されるタッチトレーサーディスプレーを始め、ソーラーパネル付きムーンルーフによるベンチレーションシステムやリモートエアコンなどがグレードによってオプションまたは標準装備で設定されている。
走り&メカニズム
上手に走れば、70㎞/hくらいまで
EV走行が可能
3代目プリウスは、搭載エンジンが1.5Lから1.8Lへとの排気量がアップ。モーターの出力も向上するなど、システムの高度化が図られている。搭載エンジンを大きくしたことは、高速走行などでの余裕につながるため、燃費を良くすることになるという。
プリウスでは、走行モードが4種類も用意されている。標準モードのほか、センターコンソールのスイッチを押すことで、燃費の良い走りを実現するエコモード、逆にアクセルレスポンスを良くしたパワーモード、そして電気だけで走るEVモードの4種類だ。
運転席でスターターボタンを押すと、すぐにシステムが立ち上がってREADYランプが点灯する。通常の状態では、エンジンはかからない。
シフトレバーをDレンジに入れて走り出すと、エンジンが冷えているとき以外は、たいていが電気だけで走り出す。電池が残量計の目盛りふたつ分残っていれば、電気だけで走る。ゆっくりアクセルを踏めば、よほど残量が少ないときをのぞくと、EV走行による発進になるのだ。これが、プリウスのハイブリッドシステムの大きな特徴。上手に走ると時速70kmくらいまでは電気だけで走れるという。
信号待ちでは、確実にエンジンが停止。エンジンの騒音が入ってこないため、静かな空間が広がる。とても静かクルマだ。これもまたプリウスならではの特徴だ。
徹底してEVモードやECOモードで走るには、多少の忍耐も必要で、交通状況によっては後続車からあおられるようにもなりかねない。ゆっくりと燃費の良い走りをすることは大切だが、状況によっては周囲への配慮も必要だ。
ECOモードでは、アクセルに対するエンジンの反応をやや抑えたり、あるいはエアコンの効き具合を制御したりする。そのため、やや操作に対する反応が鈍くなるが、かなり良い燃費が得られる。
パワーモードを使うと、エンジンとモーターの足し算による力強い走りが得られる。アクセルワークに対して確実なレスポンスが得られる。
騒音や振動については、グレードによる違いが大きい。走らせて良いと感じたのは、17インチタイヤを履いたツーリングセレクション。乗り心地も上々のレベルだった。ただ、ツーリングセレクションでは、タイヤサイズが大きくなるために、最小回転半径が5.5mと大きくなるのは残念なところである。
エントリーグレードのLは、乗り心地があまり良くないことに加え、振動や騒音が大きく、ステアリングのフィールも頼りないものになる。Lはデビューした当初の新車価格が205万円と安かったが、安かろう悪かろうに近い。燃費は、Lだけが38.0km/Lを達成しているのだが、燃費のため防音材などを削減するなどしているのだ。
おすすめグレード
新車なら2015年末発売予定の
新型を!中古車ならGの
ツーリングセレクションを!!
3代目プリウスを買うなら、現時点ではモデル末期の新車を買うかどうかは微妙。プリウスは、2015年末頃にフルモデルチェンジする予定だからだ。当然ながら、新型プリウスになれば自動ブレーキも装備され、燃費や走行性能は大幅に向上するからだ。確かに3代目プリウスの新車値引きも拡大しているとはいえ、フルモデルチェンジが近いだけに、あえて今、新型の発売を待たずに、新車を選ぶ選択肢は必ずしも正しいとはいえない。新車の購入を考えているユーザーは、次期モデルを待ったほうが良いだろう。ただし、魅力がアップするだけでなく、新型プリウスは価格も大幅にアップするとされており、予算的も多めに考えておく必要がある。
3代目プリウスは人気モデルのため、流通量は豊富。さらに、新車の値引き額が大きいこともあり、価格も随分下がってきている。そんな中古車で狙うなら、S以上のグレードがおすすめだ。Gのツーリングセレクションがイチ推しとなる。Gツーリングセレクションは、最上級グレードなので、安全装備を含め装備は充実していて満足度高い。Lは、燃費・価格訴求用でクルマの質としては今ひとつ。他のグレードとは、走りの質感レベルが違うから、一般的なユーザーに勧められるグレードではない。また、今後中古車マーケットもハイブリッド車増え、人気の中心もハイブリッド車になることは確実だ。ガソリン車に比べれば、ハイブリッド車は大きくリセールバリューを下げることもないので、短期の乗り換え時でも安心して乗っていられるだろう。
トヨタ プリウス
Gツーリングセレクション
- ボディサイズ(全長×全幅×全高)
- 4,480×1,745×1,490mm
- ホイールベース
- 2,700mm
- 車両重量
- 1,490kg
- 排気量
- 1,797cc
- 最高出力
- 100kW[136PS]
- トランスミッション
- CVT(無段変速機)
- 燃費(JC08モード)
- 30.4㎞/L
- 自動車評論家
松下 宏(まつした ひろし)
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。
誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。
そのため、大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。
プリウスのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和5年1月(2023年1月)〜現在
- 新車時価格
- 275.0万円〜460.0万円
プリウスの在庫が現在638件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。