• 5代目オデッセイ(H27・2015~)

  • REPORT 試乗レポート

5代目オデッセイから、大きく方向性を変更した。
ロールーフのヒンジドア式から、全高の高いミニバンスタイルとなった。
スライドドアも装備され、使い勝手は大幅に向上している。

  1. レポートをまとめると…
  2. 5代目オデッセイは、エリシオンと統合されたスライドドアと高い全高をもつミニバンになった
  3. 3列目シートをフロア下に収納。2列目シートのロングスライドにより、ラグジュアリーな空間を演出
  4. モデル途中で、自動ブレーキ関連の先進安全装備「ホンダセンシング」を搭載

コンセプト

背高のミニバン、エリシオンに統合され車名がオデッセイになった

コンセプトイメージ
オデッセイは1994年にデビューした初代モデルが大ヒットし、経営不振の状態にあったホンダを一気に急浮上させたクルマだった。

オデッセイの歴史を振り返ると、初代モデルのコンセプトを受け継いだ2代目、思い切り全高を抑えた3代目、さらにそれを受け継いだ4代目とモデルを重ねてきた。いずれのモデルも、ミニバンとしては低めの全高にスイング式(ヒンジ式)の後席ドアを特徴としていた。それを一気に変更したのが、今回の5代目モデルである。

全高を高くしてスライドドアを採用したのは、乗用価値とユーティリティー価値の向上をテーマに、快適な室内空間を作るためと乗降性を良くするためだ。

また、今回のモデルは、オデッセイとエリシオンを統合したモデルとなった。すでに、オデッセイのようなロールーフのミニバンは、マーケットで人気を失っていた。従来のオデッセイのスタイルは、その役割を終えた形だ。ただ、一世を風靡したオデッセイの知名度は高く、オデッセイの名前を使いエリシオンをフルモデルチェンジしたと理解した方が分かりやすい。車名はオデッセイなのに、高い全高とスライドドアを持っているのは、そのためだ。

パッケージング

ホンダの低床低重心フロアがもたらす乗降性に優れたパッケージング

パッケージングイメージ
背を高くしたといっても、ボックス系ミニバンのような高さにしたわけではない。ホンダが得意とする超低床プラットホームをベースに、全高を150mm高くして室内空間を拡大させた。床面が低いので、十分な室内空間を確保しても全高はさほど高くならず、1695mmに抑えている。

後席ドアは左右ともスライドドアとなった。今どきのスライドドアはほとんどが電動式になり、ヒンジ式に比べると開口部が大きくて乗り降りしやすい。とくに、狭い駐車場などでの乗り降りは便利だ。こうした使い勝手の良さから、5代目オデッセイでは後席用のドアをスライドドアに変更し、低い床面と合わせて乗降性に優れたものとしている。

デザイン

先代オデッセイと同じく、スポーティ仕様のアブソルートを設定

デザインイメージ
高すぎない全高にしたことで、新型オデッセイの外観は全体に均整のとれたプロポーションになった。高くなったけれど高すぎない全高が、ミニバンとしてのバランスの良さにつながっている。

今回のモデルにも、標準系とスポーティなアブソルートの2タイプが設定され、それぞれに特徴的なデザインが施されている。アブソルートには、専用のパンバーやグリルが与えられる。

内装は質感の高さが際立つ。インパネ前面のソフトパッドは、標準車がアイボリー、アブソルートはブラックとされていて、この部分の見た目や手触りの良さなどが品質を実感させる。

7人乗りの2列目シートは、プレミアムクレードルシートという新設計の快適シートが用意される。背もたれのリクライニングに合わせて座面が持ち上がり、正にクレードル(揺りかご)感覚のシートになる。中折れする背もたれや、足を伸ばせるオットマン機構なども特徴でとてもリラックスできるシートとなっている。

しかも、3列目のシートは床下に収納できる。その後、2列目シートを後端まで下げると、笑ってしまいたくなるような広い空間が作れる。まさに、ラグジュアリーな居住空間となる。

走り

2種類の2.4Lエンジンを設定。アブソルートは、ややカタめの乗り心地

走りイメージ
5代目オデッセイに搭載されたのは、新開発の直列4気筒2.4Lエンジンとやはり新開発された無段変速のCVTだ。標準仕様のエンジンは129kW/225N・mのパワー&トルクを発生する。これで十分といった感じの動力性能だ。

スポーティなアブソルートには、専用の仕様が用意され、同じ直列4気筒2.4Lながら、直噴機構の採用で140kW/237N・mというパワフルな性能を発揮する。直噴化により、燃費も標準に対して向上させているのが特徴で、レギュラーガソリン仕様というのも経済的だ。アブソルートではCVTも7速のマニュアルモード付きになり、ハンドルの裏側に設けられパドルによって変速操作が可能だ。

実際に走らせると、標準車もアブソルートも並みのミニバンとは違う走行感覚の良さがすぐに感じられる。低床・低重心パッケージングによって、オデッセイが伝統とするセダン感覚の安定した走りは今回のモデルでも健在である。

新型オデッセイでは、ZFの電子制御パワーステアリングやザックス製のダンパーなど、これまでよりもレベルアップした部品が採用され、これが全体的な走りの良さにつながっている。

特にアブソルートでは、10mmローダウンした専用のサスペンションや大径タイヤなどによって引き締まった感じの走りを実現している。ただ、乗り心地はかなり硬めの印象だし、路面の段差を超えるときの突き上げも案外強い。

2列目には、快適なシートが用意されているが、振動などはそれなりに伝わってくるので、快適性のレベルもそれなりである。

装備

一部改良で先進の安全技術ホンダセンシングを装備

装備面では、進化したインターナビや主要モデルに標準装備された先進安全装備のシティブレーキアクティブシステムなど、充実した仕様が用意されている。5代目オデッセイは新コンセプトをベースに確実な進化を遂げたといえる。

自動ブレーキについては、デビューした当初は簡易型のシティブレーキアクティブシステムがメインで搭載された。これは軽自動車などに使われる赤外線方式であり約30㎞/h以下という低い速度域に限られる。従来のCMBSは、一部のグレードにオプション設定されるのにとどまっていて、簡易型は仕様ダウンといえるが、これは一時的な設定であった。

5代目オデッセイがデビューしたのは2013年10月で、2015年1月の一部改良でホンダセンシングという最新仕様が搭載されている。レジェンド用に比べると、わずかに劣るものの、ミリ波レーダーとカメラをフュージョンさせた最新の仕様である。これが上級グレードを中心に標準装備され、それ以外のグレードにもオプション設定されている。

おすすめグレード

スポーティなアブソルートで、ホンダセンシング付がベストな選択

オデッセイを選ぶなら、最新のホンダセンシング搭載車を選びたい。しかし、中古車市場にはほとんど流通していない。中古車の大半が、簡易型自動ブレーキを装備した仕様である。CMBSをオプション装着した中古車なら良いが、簡易型を装着した中古車だったら、購入を考えたほうが良い。ホンダセンシングを搭載した中古車が出てくるのを待つというのもありだろう。こうした自動ブレーキ関連の安全装備は、今後、中古車マーケットでも人気となることは確実。リセールバリューにも大きな影響を与えることから、短期の乗り換えなら自動ブレーキ装着モデルを選ぶと売却時に有利だ。

新車では、まず標準のGかスポーティなアブソルートのどちらかを選ぶことから始まる。人気は圧倒的にアブソルートで、リセールバリューも含めると、やはりアブソルートを選びたい。アブソルートは、1グレードを除きほぼすべてのグレードでホンダセンシングが標準装備されているので満足度も高い。標準のGでは、最上級グレードであるEXのみが標準装備になっている。

アブソルートには、3グレード用意されている。お勧めは、中間グレードの20th Anniversaryパッケージだ。右側のパワースライドドアも標準装備になっていて、十分な装備内容だ。最上級の EXは、死角に斜め後方の死角にいる車両などを検知し注意喚起してくれるブラインドスポットインフォメーションなどが標準装備。大きなクルマの運転が苦手というのであれば、こうした装備があるEXを選択するといいだろう。

さて、オデッセイはデビュー直後から、ハイブリッドの設定が話題となった。当初、1年後と噂されていたが、未だハイブリッド車は投入されていない。ハイブリッドユニットは、アコードに搭載されているスポーツハイブリッドi-MMDが搭載されるのではと予想。

真偽のほどは定かでないというか、ハイブリッド車が追加になる可能性は高いが、発売時期がはっきりしないというのが現時点での情報だ。ハイブリッド車は、当然ながら価格も大幅に高くなる可能性が高い。いつ出るか分からないクルマを無理して待つ必要もないと思う。待つくらいなら、早めに現行モデルの新車を買ったほうが良い。もしくは、CMBSを装着した中古車を探し、次の乗り換えに備えたほうが良いだろう。

5代目オデッセイ ギャラリー
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中古車の価格帯(2015年5月時点)
  1. 5代目オデッセイ

    249~373万円

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ホンダ オデッセイ アブソルートEX
ボディサイズ
(全長×全幅×全高)
4830×1820×1685mm
ホイールベース 2900mm
車両重量 1820kg
排気量 2356cc
最高出力 140[190]/6,400
最大トルク 237[24.2]/4,000
トランスミッション CVT(無段変速機)
燃費(JC08モード) 13.6㎞/L
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自動車評論家 松下 宏(まつした ひろし)

自動車評論家
松下 宏(まつした ひろし)

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。
誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。
そのため、大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。