<ライバルは身内のゴルフヴァリアント? あえたパサートを選ぶ理由とは?>
フォルクスワーゲン は、上級ワゴンであるパサート ヴァリアントにスポーティな内外装パーツを装備した特別仕様車 「パサート ヴァリアント R-Line Edition」を設定し発売を開始した。
パサート ヴァリアントは、2011年5月にフルモデルチェンジされ7代目となった歴史あるモデル。7代目パサートには、ダウンサイジングターボTSIと7速DSGが組み合わされた。このパサートに搭載されるエンジンは、割り切ったグレード設定となっていて、1.4LのTSIエンジンのみとなっている。このパワーユニットは、122ps&200Nmをアウトプットし、自然吸気2.0L並みのトルクを1,500回転という低回転で発揮する。パサートクラスのボディサイズを持つクルマが1.4Lエンジンでは少々非力なような気がするのだが、低回転で最大トルクを発揮するため、想像以上に元気よく走り、それていて低燃費性能も高い。このパサート ヴァリアント R-Line Editionの燃費も17.6km/Lという低燃費を実現している。
今回導入された特別仕様車は、フォルクスワーゲンのスポーツブランドを担当する「Volkswagen R GmbH」社が監修したスポーティな「R」専用のエアロパーツやスポーツシートなどの専用装備を装着している。もともと、パサートは全体的におとなしいイメージの強いモデル。それは、ヴァリアントも同じ。完成され隙の無いデザインなのだが、マジメ過ぎるところがパサートの弱点ともいえる部分。
この特別仕様車では、Rラインのエアロパーツを装備することによって、ガラッとパサートのイメージをチェンジした。メルセデス・ベンツであればAMGパッケージやBMWならMスポーツと、日本マーケットは、スポーティなエアロパーツを装着されたモデルを好む。この特別仕様車も、こういったエアロパーツを装着することで、スポーツワゴン的なスタイリングをアピールしている。
また、エクステリアだけでなく、インテリアもRライン専用パーツが多く装備されている。Rライン専用レザー3本スポーク マルチファンクション ステアリングホイールやデコラティブパネル(タングステンシルバー)、アルミ調ペダルクラスター、ドアシルプレート(「R」ロゴ入り)、ファブリックシート(ヘッドレストに「R」ロゴ刺繍入り)などが装備。さらに、カッコだけでなく、走行性能部分もスタイルに相応しいように、スポーツサスペンションも装備。内外装に走りにと、Rラインの個性をアピールしている。
そして、注目したいのは価格だ。これだけの魅力的な装備を装着したパサート ヴァリアントR-Line Editionの価格は3,499,000円。エントリーモデルであるコンフォートラインと比べて、なんと約16万円ほど安い計算になる。これは、バーゲン価格といえるもので、多くの専用パーツを装備していることを考えれば、大幅価格引き下げともいえる。当然、パサートヴァリアントの購入を考えているのであれば、この特別仕様車をベースに商談したい。
非常に魅力的な価格になったパサートヴァリアント。しかし、だからといってこの特別仕様車を無条件に購入していいかというとそうでもない。それは、同じフォルクスワーゲン ゴルフヴァリアントの存在だ。このクルマの存在が、パサートヴァリアントの選択を難しくしている。
価格面では、最新モデルであるゴルフ ヴァリアントのハイラインの価格が3,350,000円なので、価格差がわずか約15万円。当然、ゴルフヴァリアントの方が安い。ところが、ゴルフヴァリアントには、最新安全装備であるブレーキアシストやレーンキープアシスト、全車速追従型のクルーズコントロール機能まで装備されている。さらに、パワーユニットも140ps&250Nmとパサートを上回りながら、燃費も19.5㎞/Lと圧倒する。ハードでは、完全にパサートヴァリアントを上回りながら、価格も安いという状態。ボディサイズを抜きに考えると、当然、ベストな選択はゴルフヴァリアントということになる。
さらに、追い討ちをかけるのがリセールバリュー。パサートよりもゴルフヴァリアントの方がリセールバリューが高い。乗り潰すというのでなければ、買取や下取り価格も高値が期待できるのはゴルフヴァリアントだ。
当然、フォルクスワーゲンもこういう状況を理解しているからこそ、パサートヴァリアントに超お買い得な特別仕様車を設定しているという見方ができる。それでも、どうしてもパサートヴァリアントということであれば、スバル レガシィやレヴォーグなどのワゴンと競合させて、大幅値引きをさせて、ゴルフヴァリアントの価格より安く買うことができれば、多少でもメリットは出てくるだろう。
■価格:3,499,000円