トヨタ ノア&ヴォクシー
<低床、広大な室内空間にこだわったミニバン>
トヨタ ノア衰えることない5ナンバーサイズミニバン人気。そんな中、そのミニバン人気をけん引する中心モデルであるトヨタ ヴォクシー&ノアがをフルモデルチェンジし発売を開始した。このモデルから、ハイブリッドモデルが追加された。ハイブリッド車は、若干遅れ2月24日から発売予定だ。
トヨタの開発陣は、 5ナンバーサイズミニバンで顧客が最も重視しているのは室内の広さだという。そのため、新型ヴォクシー&ノアはプラットフォームを新開発し、全長を従来モデルから100mm延長し徹底して広さにこだわった。ホイールベースも+25mm延長し2,850㎜とし、室内高は1,400㎜と+60mmとクラストップ高さを誇る。室内の高さ方面への広さ拡大は、スーパーハイト系の軽自動車ともトレンドが類似する。
単に背を高くするだけでなく、フロアの低床化にもこだわった。フロア高も-60mmとなり、乗り降りのしやすさと広さ、クルマの走行安定性を高い次元で両立させている。スライドドアの乗り込み口の高さは360mmとクラストップの低さを誇り、スライドドアのスライド量も805mmと広く、誰にでも優しい使いやすい仕様となっているのが特徴だ。
その広大な室内空間をより楽しめるために、2列目シートをキャプテンシートとした7人乗りをアピールする。なんと、3列目シートを格納すると、従来モデルより2列目シートが+300mm後方へスライド。計810mmというスライド幅をもち、2列目シートはまさにファーストクラスともいえるゆったりとしたドライブが楽しめる。こういったラグジュアリーなシートアレンジの設定は、上級ミニバンのアルファードやヴェルファイアでも人気だ。
トヨタ ヴォクシー3列目シートの収納は、相変わらず左右への跳ね上げ式。ホンダ ステップワゴンと同様にフロア下に収納する方式が良いように感じる。また、跳ね上げ式は後方視界を悪くする方向になるので、後方確認時やバックが苦手な人は注意が必要だ。収納そのものは、とても簡単。ワンタッチで軽々と跳ね上げて、固定できるように改良されている。
ボディデザインは、上級モデルであるヴェルファイア&アルファードのイメージをさせるものとなった。ヴェルファイア系のように上下二分割風にデザインされたヘッドライトをもつのは、アクの強さと押し出し感でアピールする新型ヴォクシー。サイドにエアダクト配したワイド感を強調するエアロを装備したガソリンのZS系はより強面系ナンバー1といえる迫力をもつ。恐らく、このZSが人気グレードになると思われるが、ハイブリッドモデルには、このZS系エアロではなく比較的おとなしいタイプのエアロでまとめられている。いずれ、このZS系のエアロが取り付けられるだろう。
<より、アグレッシブな顔つきになったノア&ヴォクシー。ハイブリッド車は、驚異の燃費23.8㎞/L>
最近は、強面系人気ということもあり、比較的ファミリー系だったノアさえも、かなりアグレッシブなフェイスへと変更されている。ノア&ヴォクシー両車とも、押し出し感があり、なかなか立派な雰囲気でまとめられている。さらに、強烈な個性を持つモデルとして両車にエアロモデルが用意されている。専用エアロだけでなくヘッドライト、グリルなどでも違い、かなりアクの強い仕様となった。このエアロモデルが人気の中心となる。ただし、このエアロモデルは車重などがアップするなどにより、ハイブリッド車には設定されていないので、エアロモデルが欲しいとなるとガソリン車を選ぶしかない。きっと、この設定は、モデルライフの中で、変更されていく可能性もある。
トヨタ ノア&ヴォクシー搭載されるパワーユニットは、1.8Lのハイブリッドと2.0Lガソリンの2タイプが用意される。やはり、注目は1.8Lハイブリッドシステム搭載車だ。搭載されるハイブリッドシステムは、プリウスαと同じ重量級ボディに対応する1.8Lのハイブリッドシステムが選択された。スペースを取るニッケル水素電池の設置場所は、広い室内が犠牲にならないようにフロントシート下にバッテリーを設置した。気になる燃費は、他を圧倒的する23.8km/Lを達成。ガソリン車の約1.5倍という低燃費を実現している。当然、クラスナンバー1燃費。システム出力は100kw(136ps)となっている。
ガソリン車は、既存のバルブマチック付2.0Lエンジンの改良型が搭載。そして、ようやくアイドリングストップ機能が装備された。エンジンの改良によりパワーは158psから152psに。トルクは196Nmから193Nmへと若干出力はダウン傾向となったが、燃費は13.6㎞/Lから16.0㎞/Lへ大幅改善。イッキにクラストップの実力をもつパワーユニットとなった。

低燃費化や低床化、室内スペースの最大化など、まさに5ナンバーミニバンの王道を行く。そんなヴォクシー&ノアにも弱点がある。それが、追突被害軽減自動ブレーキなどと呼ばれる安全装備だ。カメラやレザー、レーダーを駆使し、前方車両に追突、人と接触しそうになると自動ブレーキで衝突回避または被害軽減を行うものだ。簡易型は、すでに軽自動車にも安価で装備できるようになっている。しかし、ヴォクシー&ノアには、こういった安全装備が用意されていない。トヨタは、こういった装備に関して、完全に出遅れている。さらに、サイドエアバッグやカーテンエアバッグなどを標準装備化すれば、まだ言い訳ができるが、それらも相変わらずのオプション。多少良いのは、日産セレナの半額という47,250円というリーズナブルな価格設定くらいだ。

ガソリン車しかないセレナは、そこに目をつけ「パパ・ママドライバーは燃費より安全」といったプロモーションを行い新型ヴォクシー&ノアの弱点を突いている。トヨタは、より良いものを2015年から装備というが、それでは遅すぎる。日産セレナには、人間を認識するカメラまで付いているエマージェンシーブレーキをほぼ全車に標準装備させているくらいなのだ。


トヨタ ノア&ヴォクシーさて、ヴォクシー&ノアの選び方だが、X&VのCパッケージ8人乗りが2,180,000円から。ただし、このグレードは助手席側パワースライドドアも無ければ、アイドリングストップ機能も無い仕様なので、いわゆる価格訴求グレード。実際にはX の2,370,000円がエントリーグレード。満足度の高いグレードで、売れ筋になるのは専用エアロでまとめられた個性派グレードで、ヴォクシーならZS、ノアならSiということになる。どちらも7人乗りで2,600,000円。若干装備が違うので単純比較できないが、日産セレナ ハイウェイスターがエマージェンシーブレーキを標準装備したモデルが2,568,300円。やや、セレナが安めの印象だ。

実際に予算に余裕があるのなら、ヴォクシー&ノアは、ハイブリッドモデルを中心に選びたい。リセールバリューを考えると、やはりハイブリッドを選んだほうがよいだろう。ハイブリッドモデルのエントリーグレードは、2,850,000円で7人乗りだけの設定。リヤオートエアコンなどが装備されている上級グレードが2,970,000円でこの2タイプのみがハイブリッド用グレードとなる。装備と予算次第だが、価格差は12万円と少ないので選ぶなら、上級グレードが満足度は高くなるのでおすすめだ。

■価格:

ガソリン車2,210,000~ 2,800,000円

ハイブリッド車:2,850,000円/2,970,000円