日産ノート
<変わり身の早さはピカイチだが、安全性能は大幅に向上>
日産ノート日産ノートは、発売からわずか1年半未満という短い期間で、異例のマイナーチェンジを行った。ノートは、2012年8月に現行2代目デビュー。2代目は、ややボディサイズが大きくなった。その理由は、少しボディサイズが大きいティーダがラインアップから姿を消したことにより、ティーダの顧客をも満足させるため居住性をアップさせる必要があった。ボディを拡大した分、室内空間はとても広いく、スタイリッシュなスタイルと24.0㎞/Lという低燃費も誇る。
広くて燃費が良いなら、売れない理由はあまり見当たらないと思うのだが、日産には早期にマイナーチェンジして競争力を高めなくてはならない理由があった。ノートの販売台数は、2013年1~6月の車種別販売台数でプリウス、アクアに次ぐ3位で、なんとガソリン車ではナンバー1。しかし、2013年9月になると、ホンダ フィットがフルモデルチェンジし、圧倒的な燃費性能を誇るハイブリッド車を投入。ハイブリッドモデルがあるフィットは、大ヒットモデルになりノートを抜きナンバー1モデルとなる。現在でもガソリン車しかないモデルとしてはナンバー1であることに間違いはないが、販売台数そのものは1万台/月を割り込んでおり厳しい戦いが続いているのだ。
それだけではなく、ノートには大きな負の要因があった。デビュー当時には、横滑り防止装置が一部グレードにオプションだったり、後席中央のヘッドレストが装備されていないなど、現在の法規制や標準的な安全装備と比べると物足りなかった。当初は、利益優先でこういう仕様になったようだが、急速に進む追突被害軽減自動ブレーキなどの装備が軽自動車でさえ当たり前になった現在では、この装備では競争力が低い。
そこで、マイナーチェンジでは、安全装備の追加が中心となった。ノートのSグレード及びS DIG-Sを除く全グレードに自動ブレーキであるエマージェンシーブレーキパッケージを追加した。エマージェンシーブレーキ パッケージは、フロントカメラで前方の車両や歩行者を検知する。軽自動車に装備されている簡易型ではないので、安全装備としては一定以上のレベルになる。さらに、エマージェンシーブレーキ パッケージグレードには、「踏み間違い衝突防止アシスト」もオプション設定された。また、すでに搭載されていた駐車を容易にするアラウンドビューモニターに、ディスプレイ上に表示されるカメラ画像内での移動物を検知する「MOD(移動物検知)」を追加。駐車時の無用な衝突回避を支援する。

困ったことに、エマージェンシーブレーキパッケージ車は、高いレベルの安全装備を得たモデルになったのだが、依然として標準モデルには、横滑り防止は装備されていない。そう考えると、ノートを買う場合は、エマージェンシーブレーキパッケージ装着車を選ぶしかない。

その他の変更点では、上級グレードのメダリストのエクステリアは、フロントグリルを専用色としたほか、フロントメッキバンパーロアグリルフィニッシャー、メダリストエンブレムを新規採用し、フォグランプを標準装備とした。

また、ボディーカラーは、シャイニングブルーとナデシコピンクの2色を追加して全10色となった。コンパクトカーに似合う鮮やかな色であることが特徴で、ボディカラーの選択肢が増えたことは、ノートを選ぶ楽しみが高まった。

日産ノートの売れ筋グレード価格はX DIG-Sが1,536,150円。マイナー前のX DIG-Sが1,499,400円なので、36,750円の価格アップだ。さらに、X DIG-Sエマージェンシーブレーキ パッケージは1,620,150円なので、自動ブレーキ代は84,000円。

日産ノートこのノートの約162万円という価格はなかなか微妙。なんと、フィットハイブリッドFパッケージの価格が1,720,000円なので、ノートとの差はわずか10万円。フィットにあんしんパッケージを装備するプラス約6万円で自動ブレーキとサイド&カーテンでエアバッグが装備される。価格差は約16万円。ただ、サイド&カーテンエアバッグ分が装備され安全装備の充実度は高いのが特徴。衝突したときのことを考えれば、十分に納得できる価格でもある。残念ながら、ノートにサイドエアバッグは無い。オプションのカーテンエアバッグを装備すると約5万円なので、実質は11万円以下くらいの価格差となる。自動ブレーキの性能は、ノートが圧倒するが、エアバッグ類はフィットが上ということになる。さらに、ハイブリッドという付加価値がフィットにはあり、同時に低燃費性能が手に入る。さらに、ハイブリッド車はリセールバリューも期待できるので、ノートは若干分が悪い状態となる。

定価ベースで計算すると、劣勢気味のノートだが、実際の購入では、もう少し価格差が広がるだろう。フィットハイブリッドは、新型ということもありほぼ値引きなし状態。対してノートは、じり貧状態なのでライバルがフィットとなればかなりの値引きが期待できる。そうなると、支払総額では、かなりの差がつくだろう。30万円以上の支払総額差があるのなら、ノートという選択も悪くない。購入時には、必ずフィットハイブリッドやアクアなどと競合して支払総額を確認することをおすすめしたい。

■日産ノート価格

・HR12DDRエンジン搭載車S DIG-S 1,449,000円                                            X DIG-S 1,536,150円                                                             X DIG-S エアロスタイル 1,683,150円                                                   X DIG-S"エマージェンシーブレーキ パッケージ" 1,620,150円                                    X DIG-S エアロスタイル"エマージェンシーブレーキ パッケージ" 1,767,150円                          MEDALIST 1,715,700円                                                           MEDALISTエマージェンシーブレーキパッケージ 1,799,700円