クルマでしか行けないVOL.20 紅葉狩り×蕎麦=奥多摩湖「丹三郎」
今年は様々な名店や名所へ足を伸ばしたな~、と振り返っていると…、あっ、しまったと気付きました。湖と呼ばれる場所には足を運んでいませんでした。

ならばと、関東圏で行きやすい奥多摩湖をチョイス。いざ出発です。

八王子ICをおりて滝山街道を通ってあきる野市を抜け、多摩川が見えれば、あとは川沿いを上流へと走れば1時間で奥多摩湖に到着ですが、道中で気になるお店を発見!!!

漆黒の看板に貫録のある字で書かれた「丹三郎」という店名と「そば、うどん」の文字。

クルマを走らせていると突然目に飛び込んでくる名店への道しるべ
歴史を感じさせる建物と一際目を引くもみじに赤に
神社や仏閣のような気品を感じます
どうやら蕎麦屋さんのようでうすが、道沿いにのびる塀の上から見える建物やもみじの色に、その辺の蕎麦屋さんとは異なるオーラを感じます。

調べてみると、なんとこの店を目指して奥多摩へ訪れる人が大勢いるという名店ではありませんか。これは帰りに立ち寄らないわけには行きません。

この季節、奥多摩湖の紅葉は後半へ。
それでも十分に美しい葉色達…。

太陽の反射が湖面の美しさを演出
湖の青ともみじの赤のコントラストに目を奪われます
しかし、心は既に丹三郎へと向かっており、早々に引き返すこととなりました。

到着すると、まず驚くのが門構え。およそ250年前の江戸時代中期に建てられたという長屋門が出迎えてくれます。門の周りではもみじが真っ赤に染まり、その佇まいは、まるで映画のセットかと勘違いしてしまうほど。

およそ250年前につくられた長屋門。
この季節は赤く染まったもみじも一緒に楽しむことができます
茅葺屋根の母屋と隅々まで手入れをされた庭に
江戸時代へタイムスリップしたかのよう
こちらが名店の入り口。
扉を開くと本当の蕎麦に出会えます
店内では時間がゆったりと流れているような感覚が。
心も自然と落ち着きます
ご主人の黒住さんにお伺いすると、“てんぷらせいろ”がおすすめとのこと。
早速その言葉を信じて注文。待つこと10分。目の前に並べられたのは、風情感じるせいろに盛られた蕎麦と庭で摘んだもみじが彩りを添える天ぷら。

この“てんぷらせいろ”を求めて
奥多摩まで多くの人が足を運びます
今年は多くの名店の蕎麦を口にしましたが、ここの蕎麦も一級品。

照明でキラキラと輝きを放つ蕎麦! 一口食べると、コシの強さと歯ごたえに驚きます。

次に天ぷらへと箸を伸ばします。
まずはカボチャから。「サクッ」口の中ではなく、実際に耳で聞こえるほどからりとした衣の食感のあと、カボチャの甘さが広がります。続けてエビ、ナスを頂きます。そして、わざわざ栃木から仕入れているという天然の稚アユの天ぷらと、奥多摩で獲れるハヤトウリの天ぷらも口の中へ。
改めて“てんぷらせいろ”がお勧めであることに納得です。

口の中で押し返すほどのコシが癖になります
具材のやわらかさと衣のパリパリ感が絶妙
「蕎麦本来のおいしさを味わってもらうために、こねることも打つことも、茹でることも手抜きはできません。100食つくれば100食味見をします。妥協せず何があっても丁寧にと心がけてきました」と、語る黒住さん。
蕎麦だけでなく、素材が持つおいしさを損なわないように意識することが大事だと言います。

「素材の味を出し切ることは、
これからも変わらない目標です」と店主の黒住さん。
どんなに手間がかかっても、お客様に喜んでもらうために妥協をしない。蕎麦やお客様に対して真摯に向き合う姿勢が、名店をつくりあげるんだと感じました。

<アクセス>
丹三郎(たんざぶろう)
住所:東京都西多摩郡奥多摩町丹三郎260
TEL:0428-84-7777
OPEN:11:30~15:00
※但し仕込み分売切れ次第終了
定休日 :毎月1日、11日、21日、31日 (1のつく日)