日光いろは坂帰りはフランス食堂 Cafe de Savoie(カフェ ドゥ サヴォア)


北の大地、北海道から初雪の便りが届き始めた10月中旬、関東でも山間の木々
が色付き始めた、とTVから聞こえてきました。

しかも、週末は3連休、渋滞に巻き込まれ疲れても翌週の仕事には影響なし!!
これは一足早く秋を感じに行くしかない、と心に決め向かった先は、関東随一の紅葉の名所、日光です。いろは坂です。

大渋滞のいろは坂。紅葉のピーク時には、
坂を上りきるまでに5時間かかる日もあるとのこと

トイレ休憩の駐車場から見える男体山。
ここまでくればもう少し
とほほほほほほ…。いやー、一足早く秋を感じたかった人は関東中にいたのか、と思うくらいの大大大渋滞。名所のカーブを曲がる速度は、教習所並みです。
しかも、紅葉している木々は殆どなく完全にカーブをキレイに曲がる練習です。


苔と赤く色づいた紅葉の隙間を縫うように流れる滝
このままでは単なる渋滞、ということで目指す先を更に奥地の竜頭の滝に変更。
勇ましい滝の名前は、二枝に分かれ流れ落ちる姿が龍の頭に似ているからとのこと。そして、そして、ここまで来てよかった。
本格的にはこれからかな、と思うものの赤にオレンジ、茶色に黄色、正に秋色です。マイナスイオンに包まれながら、しばし秋を実感。

だんだんと赤く染まる紅葉。どうして赤く色づくかは、
まだ解明されていないそうです
秋、秋、秋、秋と言えば食欲の秋。時間は、既に14時。渋滞に巻き込まれたのはクルマだけではなく、ランチタイムも巻き込まれお腹は空腹状態。そこで、これまでの経験値を活かし、美味しい店を飛び込みで探すことに。どうせなら中禅寺湖を眺めながら、とハンドルを握り走ること1時間。中禅寺湖に到着すると、お土産物屋さんが建ち並ぶ通りが。

中禅寺湖に沿って伸びる道を通ると、ここだけ雰囲気のことなるお店が
手作りの看板が目印。思わず微笑みがこぼれます
ピンッ!! 妖怪アンテナならぬ食いしんぼうアンテナが反応しました。お土産物屋さんに挟まれる形で、その一角だけが違う雰囲気を醸し出しています。和と洋が入り交る建物の前に置かれた看板を見るとフランス食堂の文字が。

ここだ!とハンドルを一気に切って駐車場にクルマを突っ込みます。
「日光でフレンチに会えるなんてラッキー!」と、暖簾を押し分けて中へ入ると手作り風の店内。通りに面した窓から差し込むやわらかな光も手伝って、オシャレというより可愛らしさを感じます。

「フランスの食堂ってこんな感じなのかな?」とキョロキョロと店内を見渡しながらテーブルへ。他のテーブルでは笑顔で会話を交わす数組のお客さん。その笑顔が本当に楽しそうで、お客さん表情もお店の雰囲気をつくるひとつの要素なんだと初めて気づきました。

店内は格調高いフレンチというより、
おもてなしの心を感じるアットホームな雰囲気

お料理は、地元の食材を使用した魚、鶏、牛、豚と中から好きなものを選べます。その時に食べたいものを選べるなんてとても贅沢!どれもおいしそうなんですが、名前に惹かれて「ベルギー風鶏のワーテルゾイ」をメインでコースを注文します。
ちなみに“ワーテルゾイ”とはクリームソース煮込でベルギー地方では家庭料理として一般的なんだそうです。どうしてベルギー?お聞きすると、オーナーの齋藤さんはベルギーでフランス料理を修行されたとのこと。これはますます期待が膨らみます。

齋藤さんのご家族が育てた野菜を使っている前菜
まずは、齋藤さんのご家族がつくっているという野菜の前菜をいただきます。
シャキシャキのレタスに噛むたびに味がにじみ出るカブ。新鮮な野菜で口の中をサッパリさせたところで、拘りのブレッドへと手をのばします。

拘りのブレッド。
噛むほどに甘みが増します
どこが拘りかといいますと、2種類のブレッドのひとつは、近くのパン屋さんにお願いしてこのお店のためだけに焼いてもらっている特別な一品。そしてもうひとつは、このお店で心を込めて焼き上げたもの。
手間がかかってもおいしく焼ける場所を選んで焼き上げる。齋藤さんの拘りに脱帽です。

メイン料理のベルギー風鶏のワーテルゾイ。
チキンはしっかりとしみこんだクリームソースで深い味わい
「おまたせしました!」の声とともに目の前に届けられたメインディッシュ。
クリームソースの甘い湯気の中に目を向けると、思わず「美しい…」と声が漏れてしまいました。スクエアの真っ白なお皿の中央で、白いクリームソースに浸る白いチキン。
そして真っ白なキャンバスを染めるかのような赤緑白の野菜たち。テーブルの上はちょっとした美術館に早変わり、まずは目で味わいます。

デサートのカラメルソースのクリームブブリュレ。
ほどよい甘さで上品さを感じます
ゆっくり中禅寺湖を眺めながら珈琲を飲むと
一日の疲れが癒されます
しっかりと目で堪能したあとは実食。「柔らかい!甘い!おいしい!」と、どの言葉を最初に口にすればいいか悩むほど。一言でいうと「幸せ」です。野菜もシャキッと芯が残っていって歯ごたえもバッチリ。こんなにおいしいものを普段から食べているベルギーの人に嫉妬してしまいそうです。

「フランス料理はその地域で獲れる食材に合わせて姿を変えます。ベルギーとフランスといった国の違いだけでなく、フランス国内でも食材によってその姿は異なります。ですから、この地域の食材に拘ることで日光のフレンチが生まれます」と、齋藤さん。

オーナーの齋藤貴次さん
ここを訪れるお客様に、日光の味をフランス料理というフィルターを通して楽しんでいってほしいと聞かせてくれました。

渋滞がなければ決して見つけることのできなかったフランス食堂。「こんな素敵なお店に出会えるなら、少々の渋滞もわるくないか」と、気持ちに余裕をもって家路を急ぎました。

<アクセス>
フランス食堂 Cafe de Savoie(カフェ ドゥ サヴォア)
住所:栃木県日光市中宮祠2478
TEL:0288-55-1150
OPEN:ランチ 11:30~16:00
ディナー18:00~22:00
定休日:水曜日