クルマでしか行けないVol.7 長野県は食と歴史の宝庫です。その1
「りんごで育った信州牛」

肉好きの筆者。美味しいすき焼きを求めて検索すると、聞きなれない「りんご牛」という文字が。さらには、絶品との評価。
これは食さねばと思いクルマを走らせた先は、長野県の「すき亭」です。到着してまず目を奪われるのが、店先に建つ立派な建物。その名は洗心亭で、もともとは渋温泉(長野県中野市)にあった「大湯(共同湯場)」で明治21年に建築されたものとのこと。
昭和36年に解体された際、渋温泉出身だった先代の社長が取り壊しを残念に思い、建物の保存に手を挙げたことによって現在のこの場所へと移築されました。

長野駅から約10分。一方通行が入り組んだ細い路地を抜けた先に見えるものは、時の流れを忘れさせる趣ある建物。

昭和47年に建てられたという「すき亭」本店までも、先心亭とコラボレーションするかのような純和風の建築物で、くぎは一切使っておらず職人の伝統の技がすみずみに駆使されています。
美味しい食べ物は、場の雰囲気でさらに旨味をますもの。この時点で期待は倍増です。では、いよいよりんご牛とご対面です。

■旨みが凝縮された肉が口の中で溶けていきます。 The 霜降り!!!です。

そのサシの入り方は、美味しそうではなく、思わず“美しいー”と叫んでしまいました。そして、でかい!!!! いや、大きいです。


部屋に漂う、甘く濃厚な割り下の香りをお伝えできないのが残念です。待つこと数分。いざ実食!!
えっ、あれ、口の中で肉が溶けます。驚きです。それでいてしっかり肉の旨みが凝縮されています。恐るべし、りんご牛!
もう一つ、お伝えしたいのがすき焼きの演出家とも言うべき、割り下。漂う香りとは裏腹にさっぱりとした味付けで、肉が持つ本来の味を引き立たせています。

■ビックリ仰天発想で誕生したりんご牛。 ところでなぜ、りんご牛なるものが生まれたのか、常務取締役の掛川さんにお聞きしました。

「りんご牛が開発されたのは、今から50年ほど前です。ジャム工場などりんごの加工場で、大量に余る搾りかすや皮の有効活用がきっかけなんです。
牛の飼料に発酵させたりんごの搾りかすや皮を混ぜてみると、りんごの酸味が牛の食欲を誘うようになりました。すると、それまで頭を悩ませていた食欲減退によっておこる病気が減り、さらには、食欲が増したことによって肉にサシが多く入るようになったのです。
それだけでなく、発酵したりんごに含まれるアルコールの成分によって、脂が柔らかくなって肉色が濃くなることで、現在のりんご牛独特の味わいが生まれました」

「長野と言えば蕎麦が美味しい」とよく言われています。これも正しい認識ですが、是非、一度「すき亭」のりんご牛を食してみてください。きっと、牛肉に対する認識が変わると思います。

さて、お腹も一杯になったということで、次はデザートに安曇野のわさびソフトクリームを食べに行きたいと思います。

すき亭
住所:長野市南長野妻科112-1
TEL:026-234-1123
営業時間
昼:午前11時~午後2時30分(オーダーストップ2時)
夜:午後5時~10時(オーダーストップ9時)
定休日:月曜定休
公式HP:http://www.sukitei.com/


その2「安曇野のワサビ農場でくつろぐ」へ続く

(クルマでしか行けないは毎週金曜日に更新します。次回もお楽しみに!)