「うわあ懐かしい!」と思わず叫びたくなる!
今年で30周年を迎えた「日本カー・オブ・ザ・イヤー」。これを記念し、東京モーターショー会場で特別展示が行なわれている。時代を代表する30台が幕張で一堂に会したのだ。当時を知るひとなら「うわあ懐かしい〜」と叫びたくなるはずだし、若い世代にとっては逆に新鮮な体験かもしれない。そんな歴代の受賞車を年代別に詳しく紹介してゆこう。
第1回[1980-1981]受賞車 マツダ ファミリア 3ドア ハッチバック
記念すべき第1回目の受賞車は5代目のマツダ ファミリアだった。5代目となるこのモデルは、駆動方式をFRからFFへと変更し、スペース効率をアップさせたのが特徴だ。他のノミネート車はトヨタ マークIIや日産 レパードなどだ。
第2回[1981-1982]受賞車 トヨタ ソアラ
初代トヨタ ソアラ、当時としては大排気量の2.8リッター直6エンジンを搭載した、本格的な大型2ドアクーペモデルだった。"ハイソカー"という言葉もこの頃生まれたもので、ソアラはその代表格といえる。2位にはわずかな点差でホンダ シティが入り、日産 スカイラインも健闘した。
第3回[1982-1983]受賞車 マツダ カペラ/フォード テルスター
この年はマツダの中型セダンであるカペラと、その兄弟車フォード テルスターが受賞。この頃のセダンは今とは違い、低めの全高で居住性よりも走りの良さやスタイリングを重視していたが、カペラは欧州車的なゆとりの室内空間が特長だった。ホットハッチの先駆け的存在でもあるホンダ シティ ターボなどもノミネートされた。
第4回[1983-1984]受賞車 ホンダ シビック/バラード
トヨタ カローラ/スプリンターや日産 フェアレディZなどのライバルを制して、ホンダの3ドアハッチバックのシビックが大賞を獲得した。兄弟車のバラード スポーツは、FRPフェンダーなどで軽量化し、1.5リッターらしからぬ走りで人気を博した。
第5回[1984-1985]受賞車 トヨタ MR2
スポーツイメージの低かったトヨタが開発した初のミッドシップスポーツMR2が、圧倒的な得票差で受賞した。FF車(カローラ)のパワートレーンを流用し、魅力あるスポーツカーにもかかわらず、リーズナブルな価格で発売されたことも評価のポイントだった。
第6回[1985-1986]受賞車 ホンダ アコード/ビガー
3代目アコードは、当時の流行だったリトラクタブルヘッドライトを採用するなど、スタイリッシュさが印象的なモデル。4輪ダブルウィッシュボーンサスで走りも良かった。マツダ サバンナRX-7やトヨタ セリカなどのスポーツカーを抑えての受賞はさすが。
第7回[1986-1987]受賞車 日産 パルサー/エクサ/ラングレー/リベルタビラ
パルサーはコンパクトな3ドアハッチバックとして人気があった。また兄弟車のエクサは、独特のデザインがスポーティなイメージを強調していた。軽快感のある走りが味わえたのも特徴のひとつで、日産車初の大賞受賞車となった。ちなみに会場の展示車は、なんと「ラングレー」!
第8回[1987-1988]受賞車 三菱 ギャラン
三菱初の受賞は中型セダンのギャランだった。WRC(世界ラリー選手権)でも活躍したトップグレードのVR-4は強烈な印象で、2リッターターボ+4WDに4WSや4ABSを装備した当時としては先進的なデバイスを満載し、注目された。
第9回[1988-1989]受賞車 日産 シルビア
今でこそドリフト仕様のベースなど、スポーツイメージがある日産 シルビアだが、当時はホンダ プレリュードとお洒落なデートカーとしての地位を争っていた。それだけに立体感のある面で構成された外観デザインなどは、今見ても美しいものだ。
第10回[1989-1990]受賞車 トヨタ セルシオ
トヨタ セルシオは、メルセデス・ベンツやBMWなど、世界に名だたる高級車に肩を並べるクルマが日本からも登場したとして話題になった。海外ではこの頃からレクサスブランドで売られているだけあり、V8エンジンの回転フィールの滑らかさなどが印象的だった。
日本車が世界に向けて躍進を遂げた80年代
さて、ざっと眺めてみても絶版となった懐かしい車名が多いことに気付くはずだ。しかし「マツダ ファミリア」は「アクセラ」へ、「カペラ」は「アテンザ」へ、「日産 パルサー」は「ティーダ」や「ノート」へとそれぞれ姿を変え、今なお世界市場向けの戦略モデルとして重要な役割を果たしている。いっぽう、絶版にならず今も続くブランド「ホンダ アコード」や「シビック」も、いうまでもなく世界戦略車として一線級の活躍を続けている。
折りしも80年代は、日本車が名実共に世界市場へと大躍進を遂げた時期。そんな時代に世界に打って出た各社の代表モデルが、こぞって日本カー・オブ・ザ・イヤーに受賞していたというワケだ。80年代末に登場した高級セダンの初代「トヨタ セルシオ」(欧米では当初から「レクサス LS」)はその集大成といえる。
反面、スポーティカーの「トヨタ MR2」「日産 シルビア」は、今では後継車すらなくなってしまっている。このことに一抹の寂しさを覚えるファンも少なくないだろう。
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