左から日産自動車 カルロス・ゴーン CEO、松沢 成文 神奈川県知事、小泉 純一郎 元首相、中田 宏 横浜市長、志賀 俊之 日産自動車 COO

左から日産自動車 カルロス・ゴーン CEO、松沢 成文 神奈川県知事、小泉 純一郎 元首相、中田 宏 横浜市長、志賀 俊之 日産自動車 COO

大物VIPも「日産 リーフ」と横浜新本社竣工を祝福

『「日産 リーフ」は全ての日産社員が誇りに思ってよいほど非常に素晴らしい出来だ』と語る日産自動車 カルロス・ゴーン CEO

 日産は大安吉日の8月2日(日)、東京都銀座に構えていた本社を神奈川県横浜市みなとみらい21地区へ移転させ、日産グローバル本社として新たに竣工させた。横浜は1933年に日産が創業した由緒ある場所で、今回41年ぶりに戻ってきたことになる。新社屋の竣工式という記念すべき日に合わせ、報道陣に対し世界初公開されたのが、2010年に登場予定の日産の新型電気自動車「リーフ」の市販モデル、その姿だった!
 式典オープニング。日産自動車 CEO カルロス・ゴーン氏自らが運転する「リーフ」がステージに静かに現れた。同乗していたのはなんと、神奈川県を基盤とする小泉 純一郎 元首相や中田 宏 横浜市長、松沢 成文 神奈川県知事。本社移転を祝う大物VIPたちの登場に、会場の報道陣は大いに盛り上がりをみせた。

ゴーン氏自らのドライブで静かにステージへ登場してきた「日産 リーフ」!
ゴーン氏自らのドライブで、VIPたちを乗せて静かにステージへ登場してきた「日産 リーフ」!
「ゼロ・エミッション車で世界のリーダーになる」ことを目標に掲げたカルロス・ゴーン氏と「日産 リーフ」
日産は「ゼロ・エミッション車(排出ガスゼロのクルマ)で世界のリーダーになる」ことを目標に掲げる。
日産発祥の地「横浜市」に戻ってきた日産自動車(写真は09年8月に竣工した日産グローバル本社)
発祥の地「横浜」に帰ってきた日産。写真はみなとみらい21地区に竣工した日産グローバル本社の社屋だ。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ エクステリア

来年後半発売予定の新型電気自動車

日産 新型 電気自動車(EV) リーフ エンブレム

 2010年度後半に日本を始め、北米や欧州でも発売が予定されている日産の電気自動車「リーフ」が、初披露された。車名の由来は英語のLEAF(葉)で、ネーミングでもゼロ・エミッションのクルマらしさをアピールしている。
 この日産 リーフは、リチウムイオンバッテリーを搭載した電気自動車(EV)として専用に開発されたクルマで、内外装のデザインなどはリーフ専用のものとされている。そのスタイリングは近未来的でいかにも電気自動車(EV)といった雰囲気たっぷりだが、細部の造りなどを細かく見ても、このまま市販しても良さそうなレベルだ。
 内装に関してはインパネまわりやセンターコンソールにややコンセプトカー的な雰囲気もあるが、市販車並みの作り込みがなされている。今回は実際に座ることはできなかったが、シートもクッションの厚みが十分あり、とても快適そうだ。またリヤシートも頭上、足元スペースともに広々していて、大人が5人で乗っても窮屈ではなさそうだ。

日産 新型 電気自動車(EV) リーフ フロント
デザインのコンセプトは「スマート・フルディティ(賢い流動体)」。高い空力性能や優れたパッケージングを両立させた。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ サイドビュー
ホイールベースは2700mmも確保されている。そのためどっしりとした安定感を感じさせるのはもちろん、後席の居住性も良好だ。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ リヤ
エッジの効いたリヤフェンダーなど、個性的かつ近未来的な雰囲気たっぷり。バンパーにはディフューザー風の処理が施されている。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ フロントマスク
V字のフロントエンドや、ボディから突き出た形状のヘッドランプは空力効果を考えたもの。風切り音の低減にも貢献している。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ リヤコンビランプ
リヤコンビランプは縦長のLEDタイプを採用する。視認性に優れるのはもちろん、消費電力も少なく抑えられているのだ。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ 17インチタイヤ&アルミホイール
17インチのタイヤ&アルミホイールを装着。省燃費タイヤのエコピアを履いているが、意外とハンドリングにも安定感がある。

1回の走行距離は160km! 家庭での充電も可能だ

日産 新型 電気自動車(EV) リーフ フロントマスク

 気になるパワートレーンだが80kW/280N・mのモーターを搭載し、前輪を駆動する。80kWといえばパワーにして約100ps前後で、1.5リッター車並だが、トルクは2.5〜3リッター並もあるので、力強い走りを味わえるという。
 消費電力が従来のヘッドライトの約1/10のLEDヘッドライトの採用や、協調回生ブレーキなどを採用することで消費電力を低減。これらの工夫により、1回のフル充電で走れる距離は160km(USLA4モード)を実現した。ちなみに、これは世界中のドライバー70%以上の日常の運転距離に収まるものだという。
 充電方法は2種類用意されており、家庭の200V電源(新規工事は約10万円から)と各所に設置が進んでいる急速充電器で行なえる。充電時間は家庭用200Vで8時間(フル充電)、急速充電器は30分以内に80%まで回復可能だ。
 こう聞くと、確かに日常の使用には大きな問題はなさそうだが、急速充電器などのインフラがそれほど整っていないことや、路上で電池切れした場合の緊急用電源などがないのがつらい部分だ。クルマを作るだけではなく、ユーザーの使い勝手を考えて、各ディーラーに急速充電器を設置するなどの取り組みも期待したい。

日産 新型 電気自動車(EV) リーフ メーター
メーターはホンダ インサイトのような上下2段式のタイプを採用する。スピードメーターは表示が大きく、とても見やすい。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ メーター
バッテリーの残量や回生ブレーキの状態などをカラフルに表示。残りの走行可能距離は、大きく表示されるので安心だ。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ 充電ポートオープナー
インパネ下部には、充電ポートのオープナースイッチが設置されている。横滑り防止装置も装備することができるようだ。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ 充電ポート
充電ポートはフロントの日産エンブレムの内部に装備されている。専用のコネクターを接続するだけで、簡単に充電可能だ。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ 充電ポート(急速充電器用)
左側は急速充電器用のポートとなっている。30分以内でフル充電の80%まで電池残量を回復させることができるという。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ 充電ポート(家庭用200V)
こちらは家庭用の200V電源用の充電ポート。フル充電までは8時間なので、ひと晩あれば十分に充電することができる。

最新のITシステムも搭載!

日産 新型 電気自動車(EV) リーフ ゼロ・エミッション ステッカー

 日産 リーフは、電気自動車(EV)専用のITシステムを搭載している。これは24時間接続可能な日産のグローバルデーターセンターと様々なデータのやりとりを行ない、ドライバーをサポートするというもの。
 たとえば現在の電池残量に応じた到達可能エリアや、エリア内の充電ステーションの位置をインパネのディスプレーに表示させることもできる。またエアコンとバッテリーの充電機能は、スイッチを切った状態でも携帯電話から遠隔操作が可能で、あらかじめ充電開始時間を予約することができるなど、ユーザーの使い方に合わせたサポート機能が満載だ。
 リーフはこのように電気自動車らしい独自のデザインやパッケージング、そして優れた環境性能や使い勝手が特徴だが、価格も一般ユーザーに手の届きやすい価格を目指したという。ただ、すでに発売されている三菱の電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」の価格が約460万円(補助金制度を利用して約320万円)ということを考えると、まだまだ簡単に手を出すことは難しいかもしれない。今後、量産効果によるコストダウンや、充電設備などインフラの整備がいっそう進むことを期待したい。

日産 新型 電気自動車(EV) リーフ インテリア
近未来的なデザインのインテリアだが、十分に市販できるレベルの作り込みだ。収納スペースも豊富に用意されている。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ インパネ
カーナビのモニターには到達可能エリアや充電ステーションの場所など、様々な情報を表示させることができるようになっている。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ シフトスイッチ
シフトは通常のレバー式ではなく、ダイヤル式のセレクターとなっている。パーキングブレーキは電動式を採用する。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ フロントシート
室内空間は広々しており、大人5人が乗ってもそれほど窮屈な印象はなさそうだ。シートはクッションが厚く、快適性も高そうだ。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ LEDヘッドライト
ヘッドライトは消費電力が従来の約10%のLEDタイプを採用している。立体的なデザインは空力効果も考慮したものだ。
日産 新型 電気自動車(EV) リーフ リヤビュー
リヤビューで目を引くのは、マフラーが装着されていないこと。走行中に排ガスを出さないというのが、リーフ最大の特徴だ。
代表グレード
日産 リーフ
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4445×1770×1550mm
ホイールベース[mm]
2700mm
最高速度[km/h]
140km/h
駆動方式
モーター前置き、前輪駆動
バッテリー
ラミネート型リチウムイオンバッテリー
電動機
交流同期モーター
最高出力[kW]
80kW
最大トルク[N・m]
280N・m
電池容量
24kWh
電池出力
90kWh以上
走行距離[US LA4モード]
160km以上
レポート
CORISM編集部
PHOTO
日産自動車・CORISM編集部

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